軍隊で文化は守れない
日本文化を防衛するには軍隊が必要だと三島由紀夫は考えた。それは誤りである。軍隊はおろか、国家すら持たないユダヤ人は二千年もの間、その文化を堅く守った。国家主義の迷信から覚める本。
<抜粋>
およそ200年前に産業革命とともに生まれた国民国家というかたちが、グローバルな経済構造や技術水準が変化してきた時代に、そのまま通用すると考えるほうが無理があります。変化を求めてもおかしくありません。(p.165)
ディアスポラ〔離散〕の思想が教えてくれるのは、土地を支配しなくても、ましてや他の民族を支配せず、彼らから土地を奪わなくても、独自の文化を保持することは可能である、ということです。(p.196)
「領土を守る」という発想そのものを考え直す時期だと思います。…「武力で守る」というのは、古い拡張主義の名残のようなものです。そしてその武力は「本格的な戦争」につながるものです。(p.211)
要塞のように武力で閉ざした国家が長く繁栄したという歴史はありません。…移住や交流は文化的にも相互に刺激や豊かさをもたらすものであったはずです。その多様性を否定したのは、むしろ近代の国民国家のほうでした。(p.220)
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