この記事「Decentralized and Neutral(分権化と中立)」は、ハンス=ヘルマン・ホッペ(Hans-Hermann Hoppe)氏によるものです。
この記事の主要な論点を要約します。
1. 中央集権化の危険性と「世界政府」への懸念
ホッペ氏は、国家を国民から略奪する「定住型強盗」と見なし、国家が領土を拡大し中央集権化を進めるのは、略奪(税金など)をより効率的に行い、国民が他国へ逃げ出すのを防ぐためであると説明します。最終的に「世界政府」が誕生すれば、人々はどこへも逃げることができなくなり、国家による搾取は過去に例を見ないレベルに達すると警告しています。
2. ヨーロッパの繁栄の源泉
かつてヨーロッパが経済、科学、文化で世界をリードできたのは、中世以来、数百から数千の独立した小さな統治体に分権化されていたからです。この「秩序ある無政府状態」において、国民は「足による投票(移住)」で搾取から逃げることができたため、統治者は国民を引き止めるために搾取を控えざるを得ませんでした。
3. 欧州連合(EU)への批判
中央集権化の象徴: EUや欧州中央銀行(ECB)は、ヨーロッパを一つの超大国家にし、最終的には世界政府へと統合しようとするステップであると批判しています。
偽りの自由貿易: EUが推進する「法の共通化」や「税制の調和」は、国家間の立地競争(減税競争など)を排除し、国家が国民をより確実に支配するための「カルテル」であると指摘しています。
経済的失敗: 生産性の高い国(ドイツなど)が、低い国を支える構造は、生産性を罰し寄生を促すものであり、EUはいずれ崩壊すると予測しています。
4. 戦争と小国家の自衛戦略:「中立」
ウクライナ情勢に関連して、ホッペ氏は戦争と自衛について以下のように述べています。
戦争の主体: 戦争を引き起こすのは「国民」ではなく、他人の財産で戦費を賄う「支配層(強盗集団)」です。特に、巨大な国家(アメリカやNATO)ほど拡張主義的で好戦的になります。
中立の重要性: 小さな国家が大国の脅威から身を守るための唯一の処方箋は「中立」です。他国の内政に干渉せず、挑発も脅威も与えないことが重要です。
ウクライナ問題への視点: ウクライナの現政権がNATO加盟を望んだことは、ロシアに対する重大な「挑発」と見なされました。もしスイスのように「中立」を維持し、国内のロシア語圏地域の分離を認めていれば、現在の悲劇は避けられた可能性が高いと論じています。
結論
ホッペ氏は、自由と繁栄を取り戻す唯一の道は「過激な分権化」であると主張します。EUのような中央集権的な組織を解体し、数千もの「リヒテンシュタイン」や「スイスの州」のような小さな単位に分裂させ、それらが自由貿易と金本位制で結ばれ、互いに国民を惹きつけるために競い合う世界こそが理想であると結論づけています。
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