マレー・ロスバードの国際関係論と国家に関する理論の要点は、彼の国家に対するリバタリアン的見解から導き出された、国家の性質と行動に関する記述的分析にあります。
この理論は、国家間の行動を理解するための枠組みを提供しており、その主な特徴は以下の4点に集約されます。
🧐 ロスバードの国際関係論の主要な特徴
ロスバードの国際システムの記述は、国家とその外交政策に関する以下の4つの主要な信条によって特徴づけられます。
1. 国際システムは無政府状態(Anarchic)である
現代の世界において、各地域は国家組織によって統治されていますが、全世界を統治する超国家は存在しません。
各国は自国領域内での暴力の独占を持っていますが、国家間では「無政府状態」が存在します。
国家は本質的に強制の上に築かれた制度であるため、国家に支配される国際システムは部分的に暴力によって特徴づけられます。
国家は自国の利益と保全に焦点を当てるため、国際協力は国家自身に利益がある場合にのみ行われます。
2. 政府は少数支配エリートによって運営されている
ロスバードにとって、「私たち」は政府ではなく、政府は私たちを正確には「代表していない」という古典的な自由主義の搾取理論が中心です。
国家の正常かつ継続的な状態は寡頭制支配であり、これは国家機構の支配権を獲得した強制的なエリートによる支配です。
この寡頭支配は、民主主義の制度の有無にかかわらず真実であり、外交政策の決定は支配エリートによって行われます。
民主主義と独裁の違いは、戦争遂行において、前者のほうが国民の承認を得るためにより集中的なプロパガンダを必要とすることだけです。
3. 国家は自己保全と勢力拡大を目指す
国家は搾取的エリートによって支配されているため、支配階級は自らの権力と富を維持する手段として、国家の保全を最優先します。
戦争と平和に関する事項は支配階級にとって非常に重要であり、彼らは一般納税者を意思決定プロセスから排除するために秘密主義を利用します(例:CIAなどの影の機関)。
国家が最も恐れるのは、他国による征服か、自国民による革命という、自らの権力と存在への根本的な脅威です。
国家は、他国に対して領土と権力を拡大するために征服を追求する傾向があります。ある領土に対する完全な支配は、他国の排除によってのみ達成されるため、国家間には固有の利害の対立が存在します。
戦争は国家に大きな利益をもたらす可能性がある一方で、失敗すれば悲惨な結果を招くため、常に戦争を追求するわけではなく、リスクが高すぎると認識された場合は現状維持を選択します。
4. 戦争はしばしば国内政策の道具である
国家は対外的な勢力拡大の手段としてだけでなく、国内での権力強化の手段としても他国との戦争を利用します。
例えば、第一次世界大戦は、アメリカ合衆国における進歩主義の集大成として、社会主義的な中央計画や連邦警察権力を拡大する機会を国家に提供しました。
冷戦終結後の米国のように、弱小国や遠方の国に対する戦争は、国家にとって比較的「安全」な方法で国内の権力を拡大する手段を提供します。
結論
ロスバードの見解は、国際システムは自己利益を追求する支配階級によってコントロールされる国家から構成されており、これが現実のあり方であると示しています。彼は、平和と人権の追求は、国際戦争、軍拡競争、徴兵制、警察国家など、国家の戦争遂行能力を高めるあらゆる制度や戦略に対する一貫した反対を必要とすると主張しています。
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