2016年12月15日木曜日

副島隆彦『ユーロ恐慌』


「デフレは不況」の勘違い

インフレとは本来、通貨量が膨張することで、今では物価全般が上昇する現象を指す。デフレとは逆に通貨量が収縮することで、今では物価全般が下落する現象を指す。インフレに好況という意味はないし、デフレに不況という意味もない。

「インフレは好況(好景気)」「デフレは不況(不景気)」と誤解している人は少なくない。それが一般の人ならやむをえない。だが経済の専門家を名乗る人物となると、洒落にならない。本書の著者は以前からその誤りを繰り返している。

本書でもそうだ。第三章にこんな記述がある。「デフレ経済(大不況)というのは実に恐ろしいものだ」。デフレ経済をカッコで大不況と説明している。デフレと不況の混同である。同じ章に「インフレ(成長経済)」という表現もある。

もしかすると著者は、「デフレのときには不況になりやすい」「インフレのときには好況になりやすい」と言いたいのだろうか。そうだとしても、やはり誤りだ。アトキンソンらの実証研究によれば、デフレと不況の関連性はまったくない

日銀のマイナス金利や量的緩和に対する著者の批判は正しい。しかしデフレは悪という迷信を信じる点で、政府・日銀と変わらない。だから公共事業という別の介入を推奨する国家主義者ケインズを「偉大なるケインズ」などと持ち上げる。

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