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「反インフレ経済勉強会」開講のお知らせ

インフレは税の一種です。しかも普通の税よりも悪質な税です。ところが、この事実はよく理解されていません。それどころか、多少のインフレはむしろ良いことだという嘘が、現在主流の国家主義的な、誤った経済学(ケインズ経済学)や、そこから派生した極端な説 (MMT=現代貨幣理論など) によっ...

2020-08-14

金と不換紙幣

いかなる法定通貨も、その名とは裏腹に、政府の法令だけで流通することはできない。あらゆる法定通貨は、もともと金や銀(または金や銀を裏付けとする通貨)と交換できた。流通している貨幣と交換できて初めて、政府の紙幣は流通できるようになったのである。
Saifedean Ammous, The Bitcoin Standard: The Decentralized Alternative to Central Banking

今日まであらゆる政府の中央銀行は準備資産を保有し、自国通貨の価値を裏打ちしている。多くの国では準備に金を含めている。金準備を持たない国では、金準備を持つ国の不換紙幣を保有している。いかなる形の裏付けもない純粋な不換紙幣は、流通していない。
Saifedean Ammous, The Bitcoin Standard: The Decentralized Alternative to Central Banking

貨幣国定説の誤った主張とは逆に、政府が法令によって金(きん)を貨幣にしたのではない。金を保有して初めて、政府はその貨幣をあらゆる人に受け入れさせることができたのである。
Saifedean Ammous, The Bitcoin Standard: The Decentralized Alternative to Central Banking

政府は不換紙幣を納税の手段として義務付けることで、不換紙幣の寿命を延ばすことができるかもしれない。ただし、それは政府が貨幣供給量の急激な増加を防ぎ、貨幣を急速な減価から守れる場合だけだ。広く利用される主要通貨は、取引されない二流通貨よりも増加量が少ない。
Saifedean Ammous, The Bitcoin Standard: The Decentralized Alternative to Central Banking

米国トランプのロシア疑惑、2年経過も証拠なし…主要メディアの偽ニュース続々発覚

先月、米国でトランプ政権のロシア疑惑を捜査中のロバート・モラー特別検察官が、新たな疑惑報道を否定する異例の声明を出し、注目を集めた。

問題の報道は、米ニュースサイト「バズフィード」が複数の捜査関係者の話として1月17日に伝えた。モスクワでの「トランプタワー」建設事業計画をめぐり、トランプ米大統領が元顧問弁護士マイケル・コーエン氏に議会で偽証をするように指示したという。


ところがモラー氏は18日夜、「バズフィードの記述は正確ではない」との声明を発表した。その後、バズフィードの報道を裏付けるような事実は判明しておらず、このままではやはりフェイク(偽)ニュースだったということになりそうだ。

バズフィードは急成長してきたネットメディア。2017年1月、ロシア疑惑の発端となった秘密文書の全文を公開したことでも知られる。しかしその後、この文書がじつは米大統領選でトランプ氏と争った民主党のヒラリー・クリントン陣営などの委託で作成されていたことが判明。内容にも虚偽が多かった。

今回、モラー氏から否定された偽証報道は、ロシア疑惑に関するバズフィードの報道姿勢に、あらためて疑念を呼び起こしている。

バズフィードに限らない。16年の米大統領選挙でロシアが共和党のトランプ候補を勝たせるため、トランプ陣営と共謀し世論工作や選挙干渉を行ったとされるロシア疑惑(ロシアゲート)について、多くの米欧主流メディアが2年以上にわたり大々的に報じてきたが、共謀を示す証拠はいまだに見つかっていない。

それどころか、誤報と判明したお粗末な報道が少なくない。おもな偽ニュースを時系列で振り返ってみよう。

2020-08-13

国家が戦争をもたらす

もし企業が自分の起こした失敗を理由に、より多くの資金と権限を自分に与えるよう求めたなら、誰もがその動機を疑い、たやすく承服しないはずだ。それなのになぜ、政府が同じことを求めると、多くの人が進んで資金や権限を与えようとするのだろうか。
Llewellyn H. Rockwell, Speaking of Liberty

国家とはそれ自身、戦争の最大の原因である。
Llewellyn H. Rockwell, Speaking of Liberty

9・11テロに対する正しい対応は、政府の安全保障省庁をすべて解体し、航空会社をはじめとする民間企業に自身の警備を任せることだった。
Llewellyn H. Rockwell, Speaking of Liberty

経済学者ミーゼスが言うとおり、もし社会主義を憎むなら、戦争も憎まなければおかしい。なぜなら軍事社会主義とは国家社会主義であり、そこではあらゆる組織が戦争遂行のために設計されているからである。
Llewellyn H. Rockwell, Speaking of Liberty

障害者への強制不妊手術という優生政策を正当化…“福祉国家”の危険な正体

旧優生保護法(1948~96年)下で約2万5000人もの障害者らに対し不妊手術が行われていた問題は昨年、日本社会に大きな衝撃を与えた。社会問題化を受け、与野党は2018年12月に救済法の基本方針案をまとめた。本人の請求に基づき、厚生労働省が被害認定した人に一時金を支給するとの内容だ。今年の通常国会での成立を目指す。

これまで差別や偏見を恐れ被害を訴え出られなかった人々が、勇気を出して国を相手に裁判を起こした成果である。メディアによる報道も社会の関心を呼び起こした。


しかし、どのメディアも踏み込みが足りないと感じられることがある。それは、強制不妊という非人道的な行為をもたらした根本的な原因の究明である。いや、報道のところどころで遠慮がちに触れられてはいるものの、はっきり名指しすることをためらっているようにみえる。

強制不妊をもたらした「犯人」とは、福祉国家である。強制不妊に代表される優生政策(悪性の遺伝的素質を淘汰し改善を図る政策)というと、ナチスドイツとその指導者ヒトラーを思い浮かべる人が多いだろう。また、優生政策は戦争に向けた富国強兵策の一種だと考える人も少なくない。そうした先入観からは、社会福祉の充実を目指し、ナチスとは正反対に人道的だと思われている福祉国家が強制不妊をもたらしたなどという指摘は、とんでもない暴論に聞こえるに違いない。

しかし優生政策をヒトラーやナチスだけに結びつけると、歴史の重要な事実を見落とし、問題の本質が見えなくなる。

2020-08-12

連銀の予測能力

近年、米連邦準備銀行の職員数は減っているにもかかわらず、経済博士号を持つエコノミストはおよそ千人もいる。サンフランシスコ連銀によれば、一組織として雇う経済博士の数で連銀は米国一であり、おそらく世界一だという。
Danielle DiMartino Booth, Fed Up: An Insider's Take on Why the Federal Reserve is Bad for America

連邦準備理事会議長で初の博士号保持者はコロンビア大学の有名教授だったアーサー・バーンズで、史上最悪の議長の1人として批判された。ポール・ボルカーは経済学修士号のみで博士号は持たなかったが、1980年代に2ケタのインフレを退治したことで最高の議長の1人とされる。
Danielle DiMartino Booth, Fed Up: An Insider's Take on Why the Federal Reserve is Bad for America

クリーブランド連銀の2007年の調査によると、エコノミストは過去23年にわたり、素人以上に優れた予測結果を残せなかった。調査対象のエコノミストで、一貫して正しい予測をできた者は誰もいなかった。
Danielle DiMartino Booth, Fed Up: An Insider's Take on Why the Federal Reserve is Bad for America

2006年には5人の連銀準備理事会メンバーのうち4人と、7人の地区連銀総裁が経済博士号保持者となった。かつて伝統的に銀行業界出身者が占めていたのとは様変わりだ。連銀幹部の多くを学者が占めたという事実は、2008年の金融危機を察知できなかった理由を解くのに役立つ。
Danielle DiMartino Booth, Fed Up: An Insider's Take on Why the Federal Reserve is Bad for America

日産ゴーン逮捕、東京地検特捜部に世界中から批判…異分子排除の「宗教裁判」

日産自動車のカルロス・ゴーン会長(当時)が東京地検特捜部に逮捕され、衝撃が広がっている。特捜部は11月19日、約50億円の役員報酬を有価証券報告書に記載しなかったとして、ゴーン氏を金融商品取引法違反容疑で逮捕。これを受け日産は同22日、臨時取締役会を開き、ゴーン氏の会長職と代表取締役の解任を決めた。

この出来事に対しては、起こった直後から、海外メディアや専門家から疑問や批判の声が上がっている。米ウォールストリート・ジャーナルは、検察によるゴーン前会長の取り調べに弁護士が同席できず、疑惑が次々とメディアにリークされるなか、ゴーン前会長が一方的に企業のトップを解任されたことに対し「宗教裁判」だと批判した。


ゴーン氏がトップを務める仏企業ルノーの地元フランスのメディアでは、西川廣人日産社長らがゴーン氏排除に動いたクーデターだとの見方が広がっている。

郷原信郎弁護士はITmedia ビジネスオンラインへの寄稿で「堀江貴文氏、村上ファンド事件の時より本件の捜査はひどいと感じた」と述べた。2006年、ライブドア社長だった堀江氏、村上ファンド代表だった村上世彰氏がゴーン氏と同じく東京地検特捜部に逮捕された事件は、米国型敵対的買収の排除を狙った「国策捜査」だったとの見方がある。

ゴーン氏は日産の経営危機を救った立役者で「コストカッター」の異名をもつ。今回の逮捕の背景にはまだわからない部分が多いものの、日本の経営風土になじまない「異分子」を排除しようとする点で、かつてのライブドア、村上ファンド事件に通じるものがある。

2020-08-11

学校教育は壮大な無駄

偉大な教師は生徒をシェイクスピア愛好家、南北戦争ファン、前衛芸術家、熱心なバイオリン奏者に変えるかもしれないが、それはめったにない。教師が最善を尽くしても、大半の若者にとって高尚な文化は退屈だし、それは大人になってもまず変わらない。
Bryan Caplan, The Case against Education: Why the Education System Is a Waste of Time and Money

学校教育で労働者の生産性を高めることができないなら、なぜ経営者は高学歴者に高給を払うのだろう。シグナリング効果だ。かりに授業の中身がまったく役に立たなくても、学校の成績が生産性に関する何らかの情報を与えてくれさえすれば良いのだ。
Bryan Caplan, The Case against Education: Why the Education System Is a Waste of Time and Money

より高度な教育を受けた人は、より良い仕事を得る。しかし、国民全員がより高度な教育を受けたからといって、国民全員がより良い仕事に就けるわけではない。
Bryan Caplan, The Case against Education: Why the Education System Is a Waste of Time and Money

最善の教育政策とは、教育政策の全廃である。学校と国家を分離するのだ。
Bryan Caplan, The Case against Education: Why the Education System Is a Waste of Time and Money

ケネディ米大統領暗殺、55年目の真実…ジョンソン副大統領“黒幕”説が広まる

1963年11月22日のジョン・F・ケネディ(JFK)米大統領暗殺から55年目を迎えるのを前に、ケネディの後任に副大統領から昇格したリンドン・B・ジョンソン(LBJ)にスポットを当てるハリウッド映画『LBJ ケネディの意志を継いだ男』(ロブ・ライナー監督)が全国で上映されている。思いがけず大統領の重責を担った重圧のなか、ケネディの理想を実現するため努力した誠実な人物としてジョンソンを描く。しかし、このジョンソン像は真実だろうか。

それというのも、ジョンソンはケネディ暗殺の黒幕だったという衝撃的な陰謀説が以前からくすぶり続けているからだ。


犯罪には(1)動機、(2)手段、(3)機会の3要素が存在するとされる。ジョンソン黒幕説のポイントを紹介しながら、点検してみよう。

動機


まずジョンソンには、合衆国大統領という強大な権力への並外れた欲望と、通常の方法ではその望みをかなえられないという動機があった。テキサス州の農村で生まれ育ったジョンソンはまだ小学校低学年のとき、将来大統領になると初めて宣言した。これだけなら子供によくある話だが、ジョンソンの場合、大統領になる夢は一生を賭けた執念となる。そのためには手段を選ばなかった。

ジョンソンは民主党に籍を置き、1948年、上院議員に初当選する。これは水増し投票による不正なものだったといわれる。ジョンソンの顧問弁護士を務めたバー・マクレラン氏の著書『ケネディを殺した副大統領-その血と金と権力』によれば、投票終了後、有権者を捏造し、その名前を登録有権者名簿に書き加え、開票結果にその数を上乗せしたという。

実質的な党代表である上院院内総務にまで出世したジョンソンは1960年、大統領選に出馬するが、党指名候補争いでケネディに敗れ、屈辱を味わう。大統領になる執念を実現するには2つの選択しかなくなった。次の大統領選挙まで待つか、不慮の事態を期待してケネディの副大統領候補に甘んじるかである。ジョンソンは後者を選び、新聞記者に意味深長な言葉を語った。

「大統領の4人に1人は在職中に死亡している……一か八かやってやろうじゃないか!」

ジョンソンには大統領を目指すのにゆっくり時間をかけていられない理由があった。健康問題だ。ジョンソンのおじは57歳の若さで心臓発作で死亡し、父親もやはり60歳のときに心臓病で死んだ。ジョンソン自身もすでに47歳の若さでひどい心臓発作に襲われ、危うく死にかけている。これでは長寿は望めず、あと5〜10年の猶予しかないという焦りがあった。

駄目押しとなったのがスキャンダルである。副大統領在職中、ジョンソンの身辺にはカネにまつわる問題が相次いだ。有力な支援者である事業家ビリー・ソル・エステスが綿花の作付け割り当てで不正を働いた事件、腹心の民主党上院院内総務秘書ボビー・ベーカーによる収賄事件などだ。

これらのスキャンダルも一因となり、1964年の大統領選が近づく頃には、ジョンソンは民主党の公認候補にはなれないとの見方が広がっていた。決定打として、ケネディ本人が「ジョンソンは副大統領候補にならないだろう」と発言したと伝えられる。このままではジョンソンに「次がない」ことは誰の目にも明らかだった。

2020-08-10

福祉国家と総力戦

侵略的ナショナリズムは、政府の経済介入と国家計画の政策から、必然的に派生したものである。自由放任主義が国際紛争の原因を取り除くのに対し、ビジネスに対する政府の干渉と社会主義は、平和のうちに解決できない紛争を引き起こす。
Ludwig von Mises, Human Action

自由貿易と移民の自由の下では、自国領土の規模を心配する者はいない。経済ナショナリズムによる保護政策の下では、ほとんどの市民が領土問題に利害を持つ。市民にとって領土の拡張は、物質的な向上か、少なくとも、外国政府による福利の制限からの救済を意味する。
Ludwig von Mises, Human Action

王家の軍隊同士が争った前近代の限定戦争を、国民と国民との衝突という総力戦へ変質させたものは、軍事技術ではない。自由放任国家から福祉国家への転換である。
Ludwig von Mises, Human Action

戦争をなくすうえで、条約や会議、国際連盟や国際連合のような官僚組織は頼りにならない。大使や書記官、専門家は思想の闘いでは見栄えがしない。お役所仕事で征服心を抑圧することはできない。必要なのは、思想と経済政策の根本的な変化である。
Ludwig von Mises, Human Action

米国9・11テロ、その22年前にイスラエルが予告?テロ前からイラク戦争実行計画が存在か

TRT(トルコ・ラジオ・テレビ協会)の報道によると、10月6日、イラクの都市ファルージャ、サラハッディン、モスルの3カ所でテロ攻撃が発生し、4人が死亡、37人が負傷した。一方、翌7日、アフガニスタンで反政府武装勢力タリバンのメンバーがマイダン・ヴァルダク州サイード・アバド区を攻撃し、区警察局の局長とその護衛6人が死亡した。

米国が2001年9月11日の米同時多発テロ後にアフガンやイラクで始め、英国や日本も追随した「テロとの戦い」は、同時テロから丸17年もの年月がたった今も終わる気配がなく、国際社会に暗い影を落とす。


テロとの戦いは、本当に戦うに値するものだったのか。その問題を考えるときに避けて通れないのは、大義名分とされた同時テロの真相だ。その首謀者が国際テロ組織アルカイダの指導者、故ウサマ・ビン・ラディン容疑者であるという米政府の公式説明に対しては、大手メディアでは取り上げられないものの、今でも疑いが抱かれている。

よく指摘されるのは、アフガンやイラクに対する米政府の戦争は、9・11テロに対する報復ではなく、テロの前から当時のブッシュ政権の行動計画にあったというものだ。

たとえば2000年9月、ネオコン(新保守主義派)のシンクタンク、アメリカ新世紀プロジェクト(PNAC)は「アメリカ国防の再建」と題する文書を公表している。PNACはその後ブッシュ政権に参画することになる人々によって結成されたもので、そのなかにはディック・チェイニー氏(ブッシュ政権で副大統領)、ドナルド・ラムズフェルド氏(同・国防長官)、ポール・ウォルフォウィッツ氏(同・国防副長官)らが含まれる。

この文書は米国によるイラク占領など米軍事政策の根本的な変革を求めるが、その変革は「新しい真珠湾のような何か破局的で触媒的な出来事がない限り、ゆっくりとしか進まないだろう」という。言い換えれば、もし「新しい真珠湾」のような出来事が起これば、軍事的な革命がもっと迅速に完遂されうるということだ。

9・11テロこそ米政府に都合の良い「新しい真珠湾」であり、ブッシュ政権や米情報機関はなんらかのかたちでその発生に加担する動機があったと、公式説明に異を唱えるジャーナリストや著作家はみる。

ところが最近、テロとの戦いを軍事政策の大義名分として利用する考えは、さらに昔からあり、しかもそれは米国内ではなく、外国で生まれたものだという説が浮上、注目を浴びている。この説を唱える米ジャーナリスト、クリストファー・ボリン氏によれば、その外国とはイスラエルである。

2020-08-09

ネット企業、政府批判を「検閲」の動き…背後にちらつく米国政府の圧力


米国の超保守派メディア「インフォウォーズ」とその設立者であるアレックス・ジョーンズ氏が、アップル、フェイスブック、グーグル傘下のユーチューブ、スポティファイなど大手ネット企業の配信サービスやSNS(交流サイト)から情報発信を禁止され、議論を呼んでいる。過激な発言で知られるジョーンズ氏の排除に快哉を叫ぶ人々もいるが、そう単純な話ではない。

ジョーンズ氏の名は日本ではあまり知られていないが、ホストを務めるトークラジオ番組は全米で100局以上が放送する有名人だ。ただし主流メディアでは陰謀論者と呼ばれ、評判は良いとはいえない。2001年の同時多発テロは米政府の自作自演、フロリダ州パークランドの高校銃乱射事件の生存者は金で雇われたクライシスアクター、コネティカット州のサンディフック小学校銃乱射事件はでっち上げといった説を主張していることがその原因だ。


ジョーンズ氏の番組がトラブルや事件のきっかけになったことも少なくない。サンディフック銃乱射事件で子供を失った男性は、子供が存在しなかったというジョーンズ氏のデマにより、絶え間なく嫌がらせを受けていると訴えを起こした。パークランド銃乱射事件では、犯人であるとして画像や名前を誤って公開された男性が、名誉毀損でジョーンズ氏を訴えている。

ジョーンズ氏の主張には、裏付けの乏しい荒唐無稽なものもあるかもしれない。しかし一方で、米情報機関や主流メディアの偏った主張を正しく批判しているのも事実だ。

主流メディアがロシアのプーチン大統領を独裁者と呼び、その権力を背景に2016年米大統領戦に干渉したという「ロシアゲート」を盛んに報じるのに対し、ジョーンズ氏は、プーチン氏は大統領選で76%の得票を勝ち取ったのだから独裁者ではありえないと反論。英国南部で起きた神経剤襲撃事件の犯人はロシアだとする英政府の主張にも疑問を投じた。

ジョーンズ氏の番組はフェイスブックやユーチューブから排除される直前、米国家安全保障局(NSA)の元幹部で内部告発者、 ウィリアム・ビニー氏に対するインタビューを行い、米国の監視社会化に警鐘を鳴らしている。ビニー氏は、ロシアゲートは嘘だと指摘してきたことでも知られる。

ジョーンズ氏やその番組のアカウントをすべて削除・凍結してしまえば、価値のある報道まで失われてしまう。そもそもすべてが削除されてしまったら、それが適切な対応だったかどうか、第三者が判断することもできない。

2020-08-08

金高騰が鳴らす警鐘 通貨への信認取り戻せ


  • 金価格高騰の根底にあるのは現在の通貨制度への不信感
  • 金本位制のもとでは政府による通貨価値の低下に歯止め
  • 経済を繁栄させるには通貨に対する信認を取り戻す必要

金価格が高騰している。指標となるニューヨーク金先物は1日に一時、1トロイオンス1800ドルを突破し、2011年11月以来約8年8カ月ぶりの高値水準を付けた。国内でも最大手の田中貴金属工業が公表する金地金の小売価格は1グラム6826円(税込み)と過去最高を更新した。

メディアでは金高騰の理由として、世界各地で新型コロナウイルスの感染者が再び増加し、再開したばかりの経済活動が再び規制されるとの懸念が強まったことで、安全資産といわれる金を買う動きが加速したと解説している。

金はインフレから財産を守る


それも一つの要因ではある。けれども、金高騰の背景にはもっと根深い理由がある。

そもそも金はなぜ、安全資産といわれるのだろうか。「安全」が元本割れしないという意味だとすると、金はそれには当てはまらない。金の価格は変動し、元本を割る場合もあるからだ。


金が安全資産と呼ばれるのは、昔から財産を守る手段として頼られてきたからだ。それにはいくつか理由がある。世界のどこでも価値のある貴金属として通用すること。持ち運びでき、かさばらないこと。そして特に重要なのは、インフレに強いことだ。

インフレになると、財産として蓄えたおカネの価値が失われてしまう。金であれば、インフレで物価全体が上昇すれば、それにつれて金の値段も上がる可能性が大きいから、その分、財産の価値が目減りしなくて済む。

もしインフレが起こる心配が小さいのであれば、財産の防衛手段としてわざわざ金を買う必要はないだろう。けれども現実には、世界の政府・中央銀行はデフレ脱却の旗印の下、インフレを起こそうと躍起だ。

それに加えて、コロナ対策の影響で痛んだ経済を立て直すとして、巨額の財政支出に乗り出している。財源は実質、中央銀行によるおカネの大量発行に頼るから、おカネの価値が薄まるのは必至だ。

そうだとすれば、人々がおカネの価値の目減りを少しでも防ごうと、金の購入に殺到するのもうなずける。つまり金高騰の根底にあるのは、政府がおカネの発行権を独占し、その価値を自ら薄めていく、今の通貨制度に対する不信感なのだ。

政府の通貨運営に対する不信感が頂点に達すると、政府の発行するおカネではなく、金を正式な通貨として使う制度が人々に支持されるようになる。かつて、その制度は実際に存在した。金本位制だ。

近内悠太『世界は贈与でできている』

資本主義はカネだけか


資本主義に対する誤解の一つは、資本主義が与えるのはお金で買える物・サービスだけであり、人の信頼や感謝、幸せといったお金で買えないものとは無縁というものだ。本書もその誤解に陥っている。


著者は、資本主義の「すきま」を埋めるものとして、贈与に注目する。一例は、親しい人から誕生日にプレゼントされた腕時計だ。店で売られている腕時計は単なる商品にすぎない。ところが「贈り物」として手渡された瞬間、自分にとって唯一無二の存在となり、壊したり無くしたりすると、相手に申し訳ないと感じ、後悔する。

著者は言う。「僕らは、他者から贈与されることでしか、本当に大切なものを手にすることができないのです」

優れた贈与によって、温かい感情的なつながりが深まり、信頼や感謝の念が生まれるのは事実だ。けれども、それは贈与に限らない。

たとえば、プレゼントの腕時計を買った時計店が気に入れば、時計を選んでくれた店主を信頼し、次からもその店を訪れるようになるかもしれない。ときには何も買わず、美しく陳列された時計を眺めるだけかもしれない。そしてある日、店が外出自粛の影響で閉店したら、寂しさに包まれ、「もっと買ってあげればよかった」と後悔するだろう。

小さな時計店に限らない。大会社が製造・運営するゲーム、書籍、映画、テーマパーク、レストラン等々にも人は愛着を感じ、携わる人々に感謝する。プレゼントではなく、自分のためにお金を出して買った本、観た映画でも、ときには人生を変えるほどの影響を及ぼす。親しい人との食事やテーマパークもそうだ。「本当に大切なもの」は贈与だけでなく、資本主義の市場取引でも巡り合うことができる。

贈与であれ市場取引であれ、強要されない自由な経済行為は、すべて人を少しだけ、あるいは大いに幸せにする。もし著者が続編を出すなら、そうしたメッセージを読者に届けてほしい。

プーチン露大統領、米メディアを「完全論破」した動画が話題に

トランプ米大統領の外交政策に対するメディアの非難が過熱している。最近それが最高潮に達したのは7月16日、フィンランドの首都ヘルシンキでロシアのプーチン大統領と行った米ロ首脳会談の際だ。

首脳会談後の共同記者会見で、焦点のひとつとなったのはトランプ氏が当選した2016年米大統領選に対するロシア政府の干渉疑惑。この疑惑については、モラー米特別検察官が首脳会談直前の13日、ロシア軍当局者12人を起訴している。だがプーチン氏は「ロシア政府は選挙を含め、米国の内政に一切干渉していないし、今後もしない」と改めて主張した。


注目されたのは、これを受けたトランプ氏の発言だ。同氏は「彼ら(米情報機関)はロシアの仕業だと言う。だがプーチン大統領は今、ロシアじゃないと言った」「ロシアがやる理由は見えない」と同意し、「プーチン大統領は非常に力強く否定した」とその主張を信じる姿勢を見せた。さらにロシア疑惑の捜査を「魔女狩り」と断じ、「世界の二大核保有国の関係に悪影響を及ぼしている。非常にばかげている」と批判。「(トランプ氏陣営と)ロシアの結託はない」とプーチン氏と話し合ったとも語った。

この一連の発言に米国の政官界上層部は猛反発する。共和党の重鎮、マケイン上院議員は声明で「米大統領による、もっとも不名誉な振る舞いのひとつだ」と酷評。「トランプ大統領はプーチン氏に立ち向かう能力がないだけでなく、その意思もないことが証明された」と切り捨てた。

コーツ米国家情報長官は声明で、ロシアによる米大統領選への干渉は「明白だ」と表明。米中央情報局(CIA)のブレナン元長官は「トランプ氏の会見での発言は反逆罪そのものだ。彼は完全にプーチンの手に落ちている」とツイッターで批判した。

米欧大手メディアの論調は、これら政官界エリートの主張をなぞるようなものばかりだ。CNNの看板司会者であるアンダーソン・クーパー氏は共同会見が終わるやいなや、「ご覧いただいたのは、ロシア首脳の前で米国大統領が見せたおそらく、もっとも不名誉な振る舞いのひとつです」とコメント。ニューズウィークは「米ロ会談、プーチンの肩持った裏切り者トランプにアメリカ騒然」、英BBCは「トランプ米大統領、ロシア疑惑でFBI(米連邦捜査局)よりロシアを擁護」と扇情的な見出しでトランプ氏を攻撃した。日本のメディアもほぼ追随している。まさにトランプ非難の異様なまでの大合唱である。

トランプ氏は批判の強さにたじろいだか、わずか1日後、米情報機関の捜査結果を「受け入れる」と軌道修正した。

しかし、トランプ氏に対する非難は本当に正しいのだろうか。

2020-08-07

もう一つの階級理論

近代社会における階級の存在や階級闘争を発見したのは、私ではない。私よりずっと前にブルジョア歴史家が階級闘争の歴史的発展について述べたし、ブルジョア経済学者が階級を経済的に解剖してみせた。(カール・マルクス)
Ralph Raico, Classical Liberalism and the Austrian School

社会とは絶え間ない交換に他ならない。これは称賛すべきことである。交換ではそれを行う両者がつねに得をするからだ。したがって、社会とはそのメンバー全員にとって利益の連続である。(デステュット・ド・トラシー)
Ralph Raico, Classical Liberalism and the Austrian School

役人は、その仕事によって何も生み出さない。勤勉な生産階級が生み出す物によって存在している。役人が消費する物で、生産階級から奪わなかった物は何もない。(シャルル・コント)
Ralph Raico, Classical Liberalism and the Austrian School

商業とは交換であり、社会そのものである。税はつねに悪である。(オーギュスタン・ティエリ)
Ralph Raico, Classical Liberalism and the Austrian School

14万人の広島市民を殺戮した米国の原爆、「戦争終結早めた」論はいかに捏造されたのか?

米国が第2次大戦中、原爆開発を推進した「マンハッタン計画」関連地の米国立歴史公園が、原爆投下による人的被害などの非人道的な側面を展示する計画を進めている。施設の展示計画の策定は2019年にも着手し、2年以内の完成を目指す。

米政府は15年11月、マンハッタン計画の中心地のニューメキシコ州ロスアラモスやテネシー州オークリッジ、ワシントン州ハンフォードの原爆研究開発施設や周辺区域を国立歴史公園に指定。広島・長崎両市が「原爆投下の正当化が強調されかねない」と懸念を伝え、人体への影響を展示するよう求めていた。


今回の展示計画が異例なのは、米国では「原爆は戦争終結を早め、多くの米兵の命を救った」などとその使用を正当化する世論が根強いからだ。1995年には国立スミソニアン航空宇宙博物館が企画した原爆展が退役軍人らの反発で事実上中止されている。日本でも、米国でのこうした世論に反感を覚えても、どこが間違っているか具体的に反論できる人は少ないのではないか。

しかし原爆投下を正当化する米国での世論は、歴史的事実に照らして誤りであることが判明している。しかもその誤りは、米国の政府や軍が情報操作によって意図的に撒き散らした嘘なのである。

2020-08-06

原爆の真実

1945年8月6日、トルーマン米大統領が原爆投下に関する声明で、広島は多数の市民の住む都市ではなく、軍事基地だと嘘をついたとき、米国民はそれを信じたいと思った。自分の国が前代未聞の残虐行為を犯したなどという恥辱を、誰が望むだろうか。

米海軍提督で事実上の統合参謀本部議長を務めたウィリアム・リーヒは、原爆投下についてこう述べた。「この野蛮な兵器を広島・長崎に対して使用したことは、対日戦争にとって重要な助けにはまったくならなかった。日本はすでに打ち負かされ、すぐにも降伏するところだった」

ドイツのポーランド侵攻を受け、英仏はドイツに宣戦布告し、第二次世界大戦が始まった。英国は1940年、ドイツとの合意を破棄し、非戦闘員への爆撃を行う。ドイツも同様の爆撃で報復した。もっともドイツはそれ以前、ゲルニカとワルシャワを爆撃。日本も中国の市民を空爆した。

いら立ち、腹が立つ。自分は大物だと感じたい。復讐したい。そんなとき人は、政府を支援して道徳の停止を宣言させ、相手を憎み、殺すための公然の許可を出させようとする。戦争を熱狂的に支持する人々は、敵だけでなく、非暴力の反戦主義者を殺し、苦しめようとする。

トランプ米大統領、ケネディ暗殺関連文書の公開見送り…広まるCIAによる暗殺工作説

トランプ米大統領は4月26日、1963年に起きたジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件に関する機密文書について、全面公開を引き続き見送り、3年半後の2021年10月までに改めて公開の是非を検討するよう中央情報局(CIA)や連邦捜査局(FBI)などの関係官庁に指示した。

トランプ氏は昨年10月、国立公文書館に保管されていた暗殺関連の非公開文書の全面公開を指示した。しかし、CIAやFBIが「情報源や外国政府に関する機密が含まれている」として一部文書の記述について公開に反対。トランプ氏は一部文書の記述に関し、180日間かけて公開の是非を決めるとしていた。その期限が訪れた今回、結局、全面公開は実現しなかった。


すでに事件から半世紀以上が過ぎているにもかかわらず、CIAやFBIがここまで公開を渋るのはなぜなのか。本当に彼らが主張するように国の安全保障上の理由からだけなのだろうか。

ケネディ暗殺関連文書をインターネットで多数公開する米民間団体、マリー・フェレル財団によると、総計36万8000ページを超す約2万1980もの文書が今なお全面的に非公開か、編集済みのかたちでしか公開されていない。同財団は今年3月、国立公文書館に公開書簡を送り、すべての文書を完全に公開するとともに、各政府機関に公開延期の理由を官報に掲載させるよう求めたが、実現していない。

残りの文書には何が含まれているのだろうか。確実にはわからないが、その多くはメキシコの首都、メキシコシティのCIA事務所にかかわるものとみられている。

メキシコシティには1963年9月、ケネディ暗殺犯とされるリー・オズワルドが訪れていた。暗殺の2カ月前のことだ。1990年代後半に公開された文書によれば、CIAとFBIはこの事実を知っており、オズワルドがメキシコのキューバ領事館とソ連大使館を訪ねたり、ケネディ殺害についておおっぴらに話したりしたことも承知していたという。ところがCIAなどはなぜか、暗殺事件直後に設立された政府の調査委員会(ウォーレン委員会)にこのことを報告しなかった。

2020-08-05

納税者と徴税者

階級闘争に関する最も有名な理論はマルクスのもので、階級を資本家と労働者に分ける。しかし自由主義者がマルクス以前に築いた理論では、階級を徴税者と納税者に分ける。
JIm Cox, The Haiku Economist: 101 Poems Economic Principles, economically expressed

経済学者ケインズは自分の理論が長期で及ぼす財政破綻などの影響を無視し、「長期では我々は全員死んでいる」とうそぶいた。
JIm Cox, The Haiku Economist: 101 Poems Economic Principles, economically expressed

経済学者ミーゼスが言うとおり、政府は以前行った経済介入の予期しない影響を修正するため、さらに介入を行う。
JIm Cox, The Haiku Economist: 101 Poems Economic Principles, economically expressed

マルクス経済学の根幹は、商品の価値は生産にかかった労働量で決まるという「労働価値説」である。労働価値説は間違っている。ゆえにマルクス経済学は全体が間違っている。
JIm Cox, The Haiku Economist: 101 Poems Economic Principles, economically expressed

元スパイ襲撃事件、イギリスに重大な不審点…捜査拒否、ロシア関与の根拠提示も拒否

英国南部ソールズベリーで3月4日、ロシアの元情報機関員セルゲイ・スクリパリ氏と娘のユリアさんが神経剤ノビチョクで襲撃されたとされる事件は、欧米とロシアが互いに外交官追放に踏み切る事態に発展し、国際的な緊張を広げている。

しかしこの問題は、そもそもの出発点に大きな疑問が横たわる。英国は襲撃にロシアが関与していると主張しているが、いまだにその証拠が提示されていないのだ。今から15年前、米英が実際には存在しない大量破壊兵器の保有を口実にイラクを攻撃し、甚大な犠牲と被害をもたらしたイラク戦争の過ちを繰り返しかねない。


事件発生後、英国のメイ首相は「ロシアが関与した可能性が極めて高い」と断じ、ロシア外交官を追放。トランプ大統領率いる米国や、欧州連合(EU)加盟国のうちドイツやフランスなどもこれに追随した。EUは事件にロシアが関与した可能性が高いとする英国の主張を「団結して支持する」との声明を公表している。

しかし、この欧米の行動には批判が少なくない。EU加盟28カ国(離脱を決めた英国を含む)の約3分の1は外交官追放に追随しなかった。「ロシアと対話のルートを絶やしたくない」(オーストリア)、「英国とは連帯したいが、調査も必要」(ギリシャのチプラス首相)と、バタバタ追放を決めた諸国よりむしろ冷静さが目立つ。

それというのも、英国はロシアが事件に関与した証拠を示していないからだ。ロシアのプーチン大統領は、ロシアを非難するのはばかげたことだと否定。ロシアの化学兵器は国際監視の下で廃棄しており、存在しないと強調している。ロシアは事件について英国と協力して捜査する用意があるとしているが、英国側は協力を拒み、国際法に沿った問題解決も拒否している。

2020-08-04

社会的に危険な分子

フェイスブックがそのコミュニティ規定で「危険な人物および団体」を定めるレトリックは、ソ連がスターリンによる大粛清時代、政府にとって「有害」な人々を呼ぶ際に使ったものと似ている。
Michael Rectenwald, Google Archipelago: The Digital Gulag and the Simulation of Freedom

ソ連が定めた「社会的に危険な分子」は、フェイスブックの「危険な人物および団体」「ヘイト団体のリーダー」と同じく、融通無碍で曖昧だった。そこには旧体制の警察官、反革命軍の将校、僧侶、尼僧、田舎の職人、元小売店主、田舎の知識人、及び「その他」が含まれた。
Michael Rectenwald, Google Archipelago: The Digital Gulag and the Simulation of Freedom

ソ連で大粛清が進むにつれ、「社会的に危険な分子」は増えていった。危険な人が増えたからではなく、危険とみなされる人が増えたからだ。旧制度の遺物として廃止されたか、廃止せよと言われた役職を務めたことのある「元◯◯」は、社会的に危険な分子とみなされた。
Michael Rectenwald, Google Archipelago: The Digital Gulag and the Simulation of Freedom

大粛清時代のソ連で用いられた、「社会的に危険な分子」の曖昧で融通無碍な定義には、「ブルジョア専門家」も含まれた。彼らはソ連政府に仕えたが、スターリン新政権の官僚らによって、2年間だけで多数が殺された。大粛清の犠牲者70万人のうち多くの割合を占める。
Michael Rectenwald, Google Archipelago: The Digital Gulag and the Simulation of Freedom

ロシアゲート、存在しなかった?融和路線のトランプを潰す「米政府-軍事産業連合」

トランプ大統領が当選した2016年の米大統領選で、ロシア政府がトランプ陣営と共謀して選挙に干渉したとされる疑惑「ロシアゲート」。昨年7月17日の本連載で、そのような共謀は捏造で、存在しなかった可能性があると指摘したが、どうやらそれは正しかったようだ。

米連邦大陪審は2月16日、大統領選に違法な手段を使って介入した罪で、ロシア人13人とロシアの3企業を起訴した。ロシアゲートをめぐり、ロシア人やロシア企業が起訴されるのは初めてである。


全37ページの起訴状は、元連邦捜査局(FBI)長官で、疑惑捜査を担当するモラー特別検察官が作成した。起訴状によると、被告らは14年ごろから、米国の政治体制に「不和の種をまく(to sow discord)」という戦略的な目標を掲げて活動に着手。16年ごろには、ロシアに厳しい姿勢を示す民主党大統領候補のクリントン元国務長官を標的にする方針を固め、ソーシャルメディアを使ったり集会を開いたりして中傷する一方、トランプ氏を支持する活動を展開したとされる。

しかし、ちょっと待ってほしい。そもそもロシアゲートの発端は、米大統領選中に民主党全国委員会へのサイバー攻撃が発覚し、同委幹部らのメールが流出した事件だったはずだ。米情報機関はロシア政府がクリントン氏の当選を妨害するためにサイバー攻撃を仕掛けたと断定し、主流メディアはその尻馬に乗ってトランプ批判を繰り広げた。

ところが9カ月もの捜査の挙句にまとめられた今回の起訴状には、同委へのサイバー攻撃の話はどこにも見当たらない。その代わり、ロシア人は米国政治に「不和の種をまく」ためにソーシャルメディアを使ったという。

これは、ほとんど冗談にしか聞こえない。少し記憶を呼び戻せば明らかなように、大統領選中、トランプ共和党陣営とクリントン民主党陣営は互いに激しく攻撃し合った。民主党側はトランプ氏や同氏に投票した人々に差別主義者とレッテルを貼り、罵った。わざわざロシア人が種をまくまでもなく、米国人同士の不和は十分すぎるほど募っていたのである。

ソーシャルメディアへの投稿や広告に費やされた予算は一時、1カ月に125万ドル(約1億3300万円)以上に上っていたとされる。これもトランプ、クリントン両陣営が大統領選に投じた計26億5000万ドル(約2820億円)に比べればわずかな金額にすぎない。さらに投稿や広告の多くは大統領選後に実施されたもので、25%はまったく読まれていなかった。

しかも「ロシアゲート」とはいうものの、トランプ陣営とプーチン大統領率いるロシア政府との共謀も起訴状では証明できていない。直接のつながりはもちろん、間接的な関係も薄弱だ。

たとえば起訴されたひとり、実業家のエフゲニー・プリゴジン氏は「プーチンの料理人」の異名を持つそうだが、その理由は文字どおり、同氏の経営するケータリング会社がクレムリンの宴席を請け負ったからである。かりに癒着があったとしても、軍産複合体と呼ばれる米政府と軍事産業の巨大な連合に比べれば、どう見ても恐ろしい脅威ではない。

2020-08-03

戦争は国家の健康

故国という概念は平和、寛容、共存に連なる。しかし国家という概念の本質は権力と争いであり、攻撃する集団である。現代人は不幸にも、故国と同時に、国家にも生まれ落ちる。そして成長するにつれ、故国と国家を絶望的なまでに混同してしまう。(ランドルフ・ボーン)
Murray Polner, Thomas E. Woods Jr., We Who Dared to Say No to War: American Antiwar Writing from 1812 to Now

戦争とは国家の健康である。抵抗しがたい力を社会に無意識のうちに行き渡らせ、国民に画一性を強い、政府に熱心に協力させて、群集心理に染まらない少数派の集団や個人を服従させる。(ランドルフ・ボーン)
Murray Polner, Thomas E. Woods Jr., We Who Dared to Say No to War: American Antiwar Writing from 1812 to Now

戦争は軍事体制なしに存在できず、軍事体制は国家組織なしに存在できない。戦争と国家は分かちがたく機能的に結びついている。国家に反対しない限り、戦争に反対することはできない。(ランドルフ・ボーン)
Murray Polner, Thomas E. Woods Jr., We Who Dared to Say No to War: American Antiwar Writing from 1812 to Now

国家が象徴するのは、社会集団における横暴で、気まぐれで、強制的で、好戦的な力のすべてである。国家とは、現代の創造的な精神、生きたいという感覚、自由、幸福の追求に対するあらゆる嫌悪の複合体である。(ランドルフ・ボーン)
Murray Polner, Thomas E. Woods Jr., We Who Dared to Say No to War: American Antiwar Writing from 1812 to Now

CIAが「陰謀論」を世界に広めた? ケネディ暗殺、壮大な世論誘導工作を実行

「陰謀論」という言葉は現在でこそよく目にするが、その歴史は意外に新しい。しかもこの言葉は使われるようになった当初から、馬鹿げたものというレッテル貼りに利用されてきた。

自然にそうなったのではない。政府がひそかにそのように仕向けたのである。陰謀論とは、その言葉からして政府の陰謀の産物だったのだ。そのきっかけは前回の本連載で取り上げた、ケネディ米大統領暗殺事件である。



米歴史学者ランス・デヘイヴンスミスが2013年に上梓した著書『アメリカの陰謀論(Conspiracy Theory in America)』(未邦訳)によれば、陰謀論(conspiracy theory)という言葉が米国の日常会話で使われるようになったのは、1960年代半ば以降のことである。50年余り前にすぎない。それ以前は日常会話の表現としては存在しなかった。

それでは、陰謀論という言葉はなぜ広まったのか。デヘイヴンスミスは衝撃的な事実をこう記す。「米国人の多くは、陰謀論というレッテルが1967年に始められた中央情報局(CIA)のプロパガンダ計画によって侮蔑的な言葉として広められたと知ったら、ショックを受けるだろう」(日本語訳は『世界金融 本当の正体』<野口英明/サイゾー>より)。

そもそものきっかけは1964年9月、前年11月に起こったジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件を検証するため設置された大統領特命調査委員会(ウォーレン委員会)が公表した最終調査報告にある。本文だけで888ページに及ぶ膨大な報告書の説明には不自然とみられる点が多く、翌1965年以降、疑問を呈する新聞記事や書籍が相次いだ。

こうした疑問の指摘をきっかけに、米国民の間に公式見解への疑いが広がり始める。デヘイヴンスミスは書く。「しだいに多くの人々が、暗殺に責任のあるのはおそらくリンドン・ジョンソン大統領だというようになった。ジョンソンこそ利益を得た人物である。大統領になったのだから」。ジョンソンはケネディの死によって副大統領から大統領に昇格している。

1966年には世論調査により、国民の過半数がウォーレン委員会の調査結果を不十分なものとして否定していることがわかった。 まさにこの時期、CIAはプロパガンダ作戦に着手したのである。

2020-08-02

CIAとFBIがケネディを暗殺したのか

1963年11月22日、米国のジョン・F・ケネディ大統領がテキサス州ダラスでのパレード中に狙撃され、死亡した。ケネディ暗殺事件である。今年10月26日には事件をめぐる機密文書の一部が米国立公文書館のウェブサイトで公開され、話題となった。

米政府の調査委員会(ウォーレン委員会)は1964年9月にまとめた報告書で、リー・ハーヴィー・オズワルドによる単独犯行と断定した。しかし証拠は乏しいうえ、報告書の内容は論理的に筋の通らない点も多く、別に黒幕がいるとの陰謀論が今も絶えない。


陰謀論と聞くと、それだけで冷笑する人が少なくない。たしかに陰謀論には荒唐無稽なものもある。けれども、すべてを頭から妄想や作り話と決めつけるのも理性的な態度とはいえない。のちほど詳しく述べるように、ケネディ研究を専門とする大学教授でさえ、公共放送の番組を通じ、陰謀の存在を明言しているのである。

まずは事件の経緯と謎をざっとおさらいしておこう。

ケネディが狙撃されたのは、ダラスのエルム通りにある教科書倉庫ビルの前を通過したときである。現場から病院に搬送されたが、到着後20分で死亡が確認された。すぐに元海兵隊員で教科書倉庫の従業員、オズワルドが容疑者として逮捕された。共産主義の信奉者とされ、ソ連に亡命した経験があることなどから容疑が固まった。

しかしオズワルドは逮捕後、犯行を全面否定する。教科書倉庫で発見されたライフル銃を持つ写真が妻の滞在先から見つかったが、偽造写真だと主張。「俺は囮(おとり)だ」と言い続けた。銃を使った際に手や頬から検出されるはずの硝煙反応もなかった。

そもそも共産主義を信奉しながら海兵隊に入ったというのも不自然だ。当時は米ソの対立が激化し、朝鮮戦争で共産主義陣営の北朝鮮が多数の犠牲者を出したばかり。海兵隊に入れば、朝鮮半島やラオス、ベトナム、欧州など当時緊張が高まっていた地域で再び戦争が起こった場合、戦場に送られ、自分が共感する共産主義国と戦わなければならなくなる。逮捕2日後、オズワルドは本格的な取り調べを受けるため移動中、警察署の地下でジャック・ルビーという男に射殺される。

ケネディの後を継いだジョンソン新大統領は直属の調査委員会を設置し、事件を徹底的に調べると発表した。委員会は責任者に任命されたウォーレン最高裁長官の名前を取って、ウォーレン委員会と呼ばれる。他に6人の委員で構成された。

驚いたことに、委員の1人に前中央情報局(CIA)長官、アレン・ダレスがいた。ダレスは長官時代、軍部とともにキューバのピッグス湾への侵攻作戦をケネディに進言。ところが作戦は完全な失敗に終わり、激怒したケネディからクビにされた因縁がある。

そんな委員のいるウォーレン委員会が、公平で厳密な調査を行うとは考えにくい。実際、発表された報告書は分量こそ膨大だったが、中身には不審な点が多くあり、批判にさらされる。

2020-08-01

ハイパーインフレより怖いもの


  • ハイパーインフレよりも長期の小幅なマイルドインフレが怖い
  • 年2%のインフレで、お金の価値は約36年間で半分に
  • MMTによる大量資金供給はバブルとその崩壊で弱者を苦しめる恐れ

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて各国政府が大規模な経済対策に乗り出したのをきっかけに「ハイパーインフレは起きるか」という議論をよく目にするようになった。

ハイパーインフレとは物価水準が月ごとに1.5倍となり、それが数年続くような事態を指す。歴史上の例としては、第1次世界大戦後のドイツ、2009年にピークに達したジンバブエなどがよく知られ、最近ではベネズエラも一時は年率268万%というハイパーインフレに見舞われた。


コロナを受けた経済対策に充てるため政府が国債を大量発行し、それを事実上引き受ける形で中央銀行が巨額の資金を供給すれば、世の中にお金がじゃぶじゃぶに広がり、お金に対する信頼が失われる恐れもある。最悪のケースとして、ハイパーインフレに対する関心が高まっているようだ。

ハイパーインフレは確かに怖い。こつこつ蓄えたお金の価値があっという間になくなってしまう。第一次世界大戦後のドイツで、紙くず同然となった札束を積み上げて遊ぶ子供の写真は衝撃的だ。

ハンザ同盟、繁栄の理由

新型コロナウイルスの感染拡大への対応を巡り、欧州連合(EU)加盟国で南北の対立が深まっている。イタリアやスペインが求めたEU共通の「コロナ債」を、財政規律を重んじるオランダなどが拒否しているためだ。

オランダのルッテ首相は4月26日に開いたEUテレビ首脳会議で、コロナ債は経済的に裕福な北部の国々が南欧の借金を肩代わりする財政移転につながり、「一線を越える」と反対姿勢を崩さなかった。

オランダは近年、EU内で結成された小国連合の盟主として存在感を増している。北欧やバルト3国など計8カ国で2018年に結成した「新ハンザ同盟」だ。


構成国はオランダとバルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)、フィンランド、デンマーク、スウェーデン、アイルランド。いずれも欧州北部の中小国家だが、EU内では経済的に豊かな国だ。英国のEU離脱、独仏の台頭、南北経済格差といった問題に共同で対応する狙いがある。

名前の由来は、中世後期の欧州で繁栄した都市連合「ハンザ同盟」。その歴史をひもとくと、今日のEUの混迷を乗り越えるヒントが見えてくる。

2020-07-31

住吉雅美『あぶない法哲学』

国家という暴力団


多くの人は、国家・政府や法律に従うことは道徳的に正しいと信じている。だから法律に基づくものであれば、「自粛要請」という矛盾した日本語に疑問も抱かず、その要請に進んで従うし、従わない人を声高に罵ったりもする。


しかし、そうした考えや態度は正しくない。本書は、国家や法律をむやみにありがたがる誤った思い込みに、根底から疑問を投げかける。

著者が述べるように、法律は原則、道徳とは無関係なルールである。殺人や窃盗など両者が一致する場合もあるが、法律は人為的に作れるから、道徳とは別の目的で制定されうる。

その最たるものが、国家自身の行為に関する法律だ。一般人が行う殺人は犯罪だが、国家が行う殺人は死刑と呼ばれ合法化されている。一般人が行う強盗は犯罪だが、国家が国民を脅して税金を取ることは合法である。

国家が国民から税金を取ることが正当化されたのは、16世紀フランスの法学者ジャン・ボダンが「主権」の概念を確立させて以降のことだ。主権というと難しそうだが、著者が指摘するとおり、「要するに暴力団の縄張り支配と本質的には変わらない」。

国家と暴力団の違いは、国家の暴力が合法であるのに対し、暴力団は違法というだけだ。著者は続ける。
国家は主権者という組長に「合法的に」支配されるシマなのだ。ボダンは主権の権限として国民からの徴税権を正当化したが、それはいわば「みかじめ料」のようなものである。
なんと過激な主張だと驚くかもしれない。けれども、「国家=暴力団説」は、著者が記すとおり、別に珍奇なものではない。アウグスティヌスやマックス・ウェーバーをはじめ、神学や政治学では昔から言われていることだ。

本書は、昨今流行の無難な哲学本や教養本とは対照的に、思想の危険な魅力にあらためて気づかせてくれる。

ロスチャイルド陰謀論の化けの皮を剥ぐ…デタラメだらけの挿話を徹底検証

陰謀論には、世界を支配するという謎めいた集団や一族が登場する。そのなかでも圧倒的な知名度を誇るのは、ロスチャイルド家だろう。ユダヤ系の金融財閥であるロスチャイルドについては、その卓絶した富と力、冷徹で非情な性格を印象づけるさまざまなエピソードが陰謀論で語られる。

けれども、これらの「ロスチャイルド伝説」は果たして本当なのか。今回はその代表例とされる、ワーテルローの戦いにまつわる挿話をみてみよう。

破産しかけた過去


ワーテルロー(ウォータールー)の戦いとは、1815年6月18日、フランスのナポレオンが英国・オランダ・プロイセン連合軍に大敗し、百日天下に終止符を打たれた有名な戦いである。


多くの陰謀本によれば、当時の英国ロスチャイルド家当主、ネイサン・ロスチャイルドが、ナポレオン敗北の報せを独自の密使によっていち早く入手し、その情報を他の人々に隠し、英国債の取引で莫大な利益をあげたという。

さて、これらのエピソードは事実なのか。以下、検証しよう。

第1に、戦争の結果がロスチャイルド家にもたらした影響である。ハーバード大学教授で経済史が専門のニーアル・ファーガソンは、ロスチャイルド家は連合軍の勝利で「大儲けをするどころか、もう少しで破産するところだった」と指摘し、「彼らの財産は、ワーテルローの戦いによってではなく、この戦いにもかかわらず築かれたというほうが正しい」(『マネーの進化史』<仙名紀訳、ハヤカワ・ノンフィクション文庫>)と述べる。

ネイサン・ロスチャイルドは、それまでのナポレオンの戦争と同じように、今回の戦争も長引くだろうと予想していた。そしてこの読みにもとづき、ネイサンとその兄弟は、戦時中に需要が急増すると予想される金を大量に買い込んだ。まさか戦いがあっという間に終わるとは、つゆほども思わずにである。連合軍側政府への融資や軍需品の買い付けで、ネイサンは大きく儲けるつもりだった。

けれども、戦いが早々と終われば狙いは外れる。

「彼ら兄弟は、いまやだれにとっても無用の金貨の山の上にすわっているのも同然だった。そのカネが必要とされる戦争は、終わってしまったからだ。平和が訪れれば、ナポレオンに応戦した軍隊は不要になり、連合軍も解散する。したがって兵士の給料も、イギリスの盟友諸国に支給する予定だった金も支払われなくなる。戦時中に高騰した金の価格が暴落することは、目にみえていた」(ファーガソン前掲書)

戦争の期間を読み誤ったネイサンは、今や巨大で増え続ける損失に直面することになったのである。

2020-07-30

財政赤字の害悪

財政赤字は深刻な経済問題を引き起こす。お金の量を増やして埋め合わせれば、お金の価値を損なう。増税や国債でまかなえば、貴重な貯蓄を生産的な民間投資から無駄な政府事業に振り向けることになる。
Murray N. Rothbard, Making Economic Sense

財政赤字を心配するのは正しい。ところが残念なことに、多くの人は間違った解決法を提案する。増税だ。財政赤字を増税で解決しようとするのは、気管支炎の人を治すのに銃で撃つのと変わらない。そんな「治療」は病気よりはるかに害が大きい。正しい解決法は財政支出の削減だ。
Murray N. Rothbard, Making Economic Sense

パーキンソンの法則が言うとおり、政府の支出の額は収入の額に達するまで膨張する。政府は収入が増えても、それ以上に支出を増やし、結局、財政赤字の比率は元のままにとどまる。
Murray N. Rothbard, Making Economic Sense

コンピューターメーカーは製品の値下がりにもかかわらず成功している。生産コストが下がり、生産性が向上しているからだ。それどころか、コストと価格の下落のおかげで、大衆消費者を取り込み、ダイナミックな成長ができた。「デフレ」はこの業界に何の危害も及ぼしていない。
Murray N. Rothbard, Making Economic Sense

Ludwig von Mises Institute
発売日 : 2011-07-14

9・11米同時多発テロ、真相知る民間人が次々と不審死か…米政府の自作自演説も根強く

2001年9月11日に米国内で発生した同時多発テロ事件から16年。この事件については米政府の「9・11委員会」が発生から3年後の2004年に公式の調査報告書を発表したものの、その内容に納得できないとして真相究明を求める声が今なお多い。

公式見解に対する異論は多岐にわたり、それに対する反論もあって議論が非常に複雑である。異論のほんの一部を挙げれば、以下のようなものがある。

  • 世界貿易センタービル(ツインタワーの北棟、南棟、7号棟など)の崩壊は航空機の衝突とそれに伴う火災ではなく、人為的な爆破によるとの説
  • 国防総省(通称ペンタゴン)に突入した飛行物体は旅客機ではなくミサイルとの説
  • テロを米政府があらかじめ知っていたが無視したとの説、あるいは政府による自作自演との説

これらの説を念頭に置いてもらったうえで、9・11テロに関するある事実を紹介したい。テロで命を落とした人々のほかに、公式見解に疑義を唱えた人や真相究明の鍵を握っていたとみられる人が多く不審な死を遂げていることである。


以下、おもな不審死を時系列で記す。

プラサナ・カラハスティさん(Prasanna Kalahasthi)は南カリフォルニア大学で歯科医の勉強をする女子学生だった。9・11テロから1カ月後の01年10月19日、ロサンゼルスのアパートで死亡する。自殺とされる。まだ25歳の若さだった。
 
プラサナさんはある男性と結婚していた。ペンディアラ・バミシクリシュナ氏。同氏は世界貿易センター北棟に突っ込んだアメリカン航空11便の乗客の1人とされるが、元々の乗客名簿には名前がなく、その後、互いに矛盾する2組の非公式名簿に現れた謎の人物である。

キャサリン・スミスさん(Katherine Smith)はテネシー州車両管理局の職員で、アラブ人の不法入国者に運転免許証を売った罪に問われた。裁判所に出廷する前日の02年2月10日、電柱に突っ込み炎に包まれた自家用車の中で、死亡しているのが見つかる。

キャサリンさんの着衣からはガソリンが発見された。米連邦捜査局(FBI)の調べによると、発火は可燃性物質によるもので、死因は衝突による火災ではなかった。不法入国者のひとりには世界貿易センターの入館許可証が発行されており、テロとなんらかの関係があるとみられている。

2020-07-29

交通事故死の犯人

道路における多数の交通事故死に責任があるのは、政府である。道路網を建設し、運営し、管理し、修繕し、計画するのはすべて政府なのだから。
Walter Block, The Privatization of Roads and Highways: Human and Economic Factors

政府が交通事故に対する責任を免れるのは、たいていの人が交通事故を飲酒、スピード違反、不注意、車の不具合など、政府の誤った道路運営以外のせいにするからだ。
Walter Block, The Privatization of Roads and Highways: Human and Economic Factors

政府による道路の誤った運営に人々が無関心なのは、単にそれに代わるやり方に気づいていないからだ。ちょうど火山に対し誰も反対・抗議しないのと同じように、政府の道路管理は人には制御不能と信じ込み、ほとんど誰も反対しないのだ。
Walter Block, The Privatization of Roads and Highways: Human and Economic Factors

民間の道路会社ができれば、航空会社と同じように、道路の安全を確保するため規則と運用を整備できる。運転者、車両、道路に影響を及ぼすことができる。欠陥車を禁止するのに、政府の官僚より機敏に対応できる。
Walter Block, The Privatization of Roads and Highways: Human and Economic Factors

ロシアゲートは、トランプ大統領追放クーデターの可能性…国家とメディアの陰謀

前回の本連載でも述べたとおり、トランプ米大統領周辺がロシアと不透明な関係にあるという真偽不明の「疑惑」は、「ロシアゲート」と呼ばれる。1970年代にニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件になぞらえたものだ。

しかし、このウォーターゲート事件自体、発生から45年たった今でも大きな「謎」に包まれていることは、日本ではあまり知られていない。真相を探ると、現代にも通じる権力とマスコミの不都合な関係が垣間見える。

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ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日 :

1972年、ニクソン大統領の共和党の再選支持派が、ワシントンのウォーターゲートビルにある民主党全国委員会本部に盗聴器を仕掛けるため侵入、逮捕された。ホワイトハウスは関与を否定したが、ワシントン・ポスト紙が調査報道で追及。もみ消し工作も明らかになり、ニクソン氏は74年辞任した(朝日新聞「キーワード」より)。これが事件の一般的な説明だ。

事件を追ったワシントン・ポストの若い2人の記者、ボブ・ウッドワードとカール・バーンスタインは報道の経緯を共著『大統領の陰謀』にまとめ、1974年に出版。ベストセラーとなった。76年には映画化され、世界中でヒットする。今でもブルーレイ・ディスクなどで見ることができ、原作より映画で事件のイメージをつくり上げている人も多いだろう。両記者は一躍英雄となった。とくにウッドワードはその後も米国政治をテーマとする著作を次々と発表し、ジャーナリストの神様のように崇められている。

2020-07-28

価値は主観的

古典派経済学は、物の価値は客観的だという理論に基づき、お金とは客観的価値を測る物差しだと考えた。現代の経済学は、物の価値は主観的だという理論に基づき、価値の源泉は行動する個人の心にあると考える。価値とは、ある個人によって特定の商品に与えられる重要性なのだ。
Robert P. Murphy, Study Guide to the Theory of Money and Credit

自発的な取引を行う双方はそれぞれ、自分の価値の序列が低い物を手放し、序列が高い物を手に入れる。互いに得になる取引がなくなるまで、交換は続く。個人の主観的な価値判断によって、客観的な交換比率、すなわち価格が左右される。
Robert P. Murphy, Study Guide to the Theory of Money and Credit

現代の経済学によれば、価値とは物理的な物自体に備わっているのではなく、主観的な選好によって物理的な物に与えられる属性である。価値とは、個人によって特定の商品に与えられる重要性である。個人はその商品を使って、より大きな満足を得る方法を考えることができる。
Robert P. Murphy, Study Guide to the Theory of Money and Credit

自発的な取引を行う双方はそれぞれ、自分の価値の序列が低い物を手放し、高い物を手に入れる。同じ物の価値が人によって高くなったり低くなったりするのは一見矛盾だが、何もおかしくはない。価値とは見る人の目に映るものだからだ。言い換えれば、価値は主観的だからだ。
Robert P. Murphy, Study Guide to the Theory of Money and Credit

米トランプとロシアの疑惑の関係、存在しなかった可能性…CIAによる捏造工作との見方

ドナルド・トランプ米大統領周辺がロシアと不透明な関係にあるという「疑惑」が、米メディアによって盛んに報じられている。1970年代にニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件になぞらえて、「ロシアゲート」とも呼ばれる。しかし、これらの報道は信頼性に乏しく、むしろ「疑惑」を主張する側に危険な意図があるとの見方が強まっている。

ロシアゲートの発端は、トランプ(共和党)、ヒラリー・クリントン(民主党)の両候補が争った米大統領選中の昨年夏、民主党全国委員会へのサイバー攻撃が発覚し、同委幹部らのメールが流出した事件。同12月9日、ワシントン・ポスト紙は米中央情報局(CIA)の秘密報告書を引用し、サイバー攻撃はロシア政府機関のハッカー集団によるもので、クリントン氏の当選を妨害し、トランプ氏の勝利を支援するものだったと報じた。


このほか、「トランプ陣営関係者がロシア政府による選挙干渉を支援」「ロシア側と対ロ制裁について秘密裏に協議」「ロシア絡みで不透明なカネの流れ」といった「疑惑」が相次ぎ浮上。今年5月に米連邦捜査局(FBI)のコミー長官を突如解任したトランプ氏の司法妨害疑惑も加わった。

米主流メディアはこれらの「疑惑」について繰り返し報道してきた。しかしワシントン・ポストによる最初の報道から半年以上が過ぎた今でも、「疑惑」を裏づける証拠は判明していない。

2020-07-27

ピケティのナンセンス

自由と平等は論理的に両立できない。人々に自由を与えれば、一部の人々は自由を使って物質的に豊かになり、他の人々はそうならない。このジレンマを解決するために暴力で平等を強いれば、自由は守れないだろう。
Hunter Lewis, Economics in Three Lessons and One Hundred Economics Laws

仏経済学者ピケティによれば、金持ちによる投資の収益は必ず一般の人々の収入の伸びを上回るという。これはナンセンスだ。もし本当なら、過去数千年のうちに金持ちは現在の世界の資産の数倍を手にしているはずだ。
Hunter Lewis, Economics in Three Lessons and One Hundred Economics Laws

仏経済学者ピケティが提案するように資産課税を強化すれば、資産家は多くの株式、債券、不動産を売却しなければならない。それらの市場価格は急落するだろう。その結果、課税できる資産の額が小さくなるうえ、企業は投資を控え、従業員の大量解雇につながるだろう。
Hunter Lewis, Economics in Three Lessons and One Hundred Economics Laws

社会主義は、社会の全員を貧しくすることによって、平等な収入をもたらすと言われる。しかし実際には、国民のほとんどが貧しくなっても、支配者層はつねに一般国民より多額の収入を手にする。
Hunter Lewis, Economics in Three Lessons and One Hundred Economics Laws

トランプと敵対の「正義の味方」FBIの正体…無実の国民を監視・逮捕・大量殺傷

昨年の米大統領選にロシアが介入した疑惑をめぐり、捜査にあたる米連邦捜査局(FBI)が注目を浴びている。トランプ大統領は5月9日、同局のジェームズ・コミー長官を突然解任。これに対し同長官は6月8日、上院情報委員会の公聴会で宣誓証言し、「トランプ政権が自分とFBIについて嘘をついた」(ワシントン・ポスト紙)などと述べた。

コミー前長官の言い分に対し、米大手メディアは大半がコミー氏に好意的で、トランプ大統領を批判している。日本の大手メディアの論調も、米メディアをなぞったようなものばかりである。


けれども、一方的な論調には違和感がある。たとえばメディアはトランプ氏の「嘘」を強調するが、これは文脈を無視している。コミー氏が言う「嘘」とは、トランプ氏が自分を解任した理由である。トランプ政権は解任の際、FBIは混乱状態に陥り、コミー氏の指導力に対する信頼も失われたからと説明した。これに対しコミー氏は公聴会で「あれは真っ赤な嘘だった。FBIの職員があんな言葉を聞かされたことは残念だ。国民にそうした説明が行われたことも残念に思う」と強調した。

だが、これは読めばわかるとおり、政権側の説明を侮辱と受け取り、それを感情的に否定したにすぎない。本人が「嘘」と言いたくなる気持ちはわかるが、メディアがその言葉だけをことさら強調するのは、トランプ氏は嘘つきだという印象を広めたいからだと思われても仕方あるまい。

それでも読者の多くは、メディアのコミー氏支持を素直に信じているようだ。その背景には、捜査機関であるFBIに対する信頼感があるとみられる。FBIは昔からテレビドラマなどで、有能で正義感にあふれ、政治的な腐敗とは無縁の存在として描かれてきた。

2020-07-26

世界を動かしたロックフェラーの「陰謀の真実」…戦争や軍事クーデターで巨万の利益

米ロックフェラー家の当主で世界有数の大富豪、デビッド・ロックフェラー氏が3月、心不全のため101歳で死去した。

主要メディアが訃報で伝えたデビッド氏の経歴はおおむね次のようなものだ。石油業で巨富を成したロックフェラー家の3代目で、チェース・マンハッタン銀行の頭取を務めた。有力シンクタンク外交問題評議会(CFR)の理事長となり、日米欧の民間有識者による政策協議グループ「三極委員会」を創設する。親日家で慈善家としても知られた――。


これらの記述に誤りはない。問題は書かれていないことにある。デビッド氏は政府の公職には一度も就かなかったが、米国の政治、特に外交政策に対して強い影響力を及ぼす影の実力者だった。おもなエピソードを3つだけ紹介しよう。

2020-07-25

CIA、米主要メディアと強固な協力関係…偽ニュース流布で軍事介入、職員が記者活動も

トランプ米政権と報道機関が対立を深めている。トランプ大統領は匿名の情報源に基づく報道を「偽ニュース」と批判。偽ニュースを流したという報道機関を取材の場から締め出し、対決姿勢をあらわにした。

これに対し報道機関は「報道統制」「政権が望まない報道をしたことに対する報復」などと反発している。一応もっともではあるが、素直にうなずけない。


政府に取材できたからといって、正しい報道になるとは限らない。政府との親密な関係によって、かえって真実が歪められてしまうかもしれないからだ。いや実際、そのような政府と報道機関の不健全な関係は過去にもあった。

その代表例は「モッキンバード作戦」である。

モッキンバード作戦とは、米中央情報局(CIA)が報道の操作を図った秘密工作である。冷戦期の1950年代に始められた。米国の主要ジャーナリストを誘い入れ、政治や外交などに関するCIAの見解を広める手助けをさせた。

作戦を主導したCIA幹部はアレン・ダレス長官、フランク・ウィズナー工作本部長、コード・メイヤー(ワシントン・ポスト紙編集主幹ベン・ブラッドリーの義兄)らである。ウィズナーはワシントン・ポスト紙発行人のフィル・グラハムを協力者に引き入れたほか、50年代初めにはニューヨーク・タイムズ紙、ニューズウィーク誌、大手放送局CBSなどの経営者やジャーナリストの協力を取りつけたとされる。

77年10月、ウォーターゲート事件報道で知られる元ワシントン・ポスト紙記者カール・バーンスタインは、ローリング・ストーン誌に衝撃的な記事を寄稿した。それによると、52年以来、ピュリッツァー賞受賞記者を含む総勢400人ものジャーナリストがCIAのために働いていたという。

バーンスタインは「CIAとメディア」と題するこの記事で、CIAに協力したとされる報道関係者を実名で列挙した。それにはウィリアム・ペイリー(CBS創業者)、ヘンリー・ルース(タイム誌・ライフ誌創刊者)、アーサー・サルツバーガー(ニューヨーク・タイムズ紙発行人)などの大物が含まれていた。彼らはダレスCIA長官の親しい友人でもあった。

CIAはこうした大物や、第二次世界大戦中に政府の情報機関である戦争情報局にいたジャーナリスト、大戦中に政府の広報に携わった職員らを通じ、海外情勢や各国指導者に関する情報を意図的にリークした。情報を小さな新聞社に流し、CIAに協力的なメディアを通じて次第に広げさせる手法もとった。

2020-07-24

白井聡『武器としての「資本論」』

使い物にならない武器


著者の白井聡氏は、マルクスの『資本論』を「人々がこの世の中を生きのびるための武器として配りたい」と述べる。しかし、間違った設計図に基づいて作った銃が使い物にならないように、間違った経済理論に基づく『資本論』は知的な武器にはなりえない。

著者 : 白井聡
東洋経済新報社
発売日 : 2020-04-10

『資本論』によれば、資本制社会では「等価交換」が原則となっているという。この考えによれば、AさんがBさんにリンゴ1個をあげ、代わりにオレンジ1個をもらったとしたら、リンゴ1個とオレンジ1個の価値は同じということになる。

けれども、よく考えてほしい。もしリンゴとオレンジの価値が同じなら、なぜわざわざ交換をする必要があるのだろうか。せっかくリンゴを手放して得たオレンジが、もともと持っていたリンゴと同じ価値しかなければ、そもそも交換を行う意味はない。

交換が起きるのは、Aさんはリンゴよりもオレンジの価値が大きいと考え、Bさんはオレンジよりもリンゴの価値が大きいと考えるからだ。つまり、物の価値とは、誰が見ても変わらない客観的なものではなく、見る人によって異なる主観的なものなのだ。

現代の経済学では、物の価値が主観的であるというのは常識だ。これに対し『資本論』は、物の価値は客観的だという間違った前提に基づいている。だから、そこから導かれる結論のすべてが間違っている。たとえば、資本家が労働者を搾取するというのは誤りだ。労働者を搾取するのは、税金や社会保険料を奪う政府だ。

論理破綻した書物は理解できない。解説する白井氏も「読んでいてよくわからなくなるのです」「何度読んでも頭がこんがらがってきます」と四苦八苦している。今の政治や社会のあり方に白井氏が感じる怒りには共感するものがあるけれども、『資本論』やマルクスは、それと闘う武器にはならない。

2020-07-23

行為の目的

行為する人間は、選択し、決定し、目的を達成しようとする。同時に二つのものを選べない時、一方を選んで他方をあきらめる。だから行為は、つねに取捨選択を伴う。
Ludwig von Mises, Human Action

人間に行為をさせる誘因は、つねに何らかの不安である。自分の状態にまったく満足なら、物事を変えようという誘因はないだろう。希望も願望もなく、まったく幸福だろう。行為せず、何の悩みもなく生きるだろう。
Ludwig von Mises, Human Action

行為をするためには、不安で、満足な状態を想像できるだけでは十分でない。行動には不安感を除くか、少なくとも軽減する力があると予想できなければならない。この条件が欠ければ、どんな行為も不可能である。人間は必然に従うほかはなく、宿命に屈しなければならない。
Ludwig von Mises, Human Action

人間行為の究極目標は、欲望の満足だ。満足の大小は、各個人の価値判断以外に基準はなく、人によって異なり、同じ人でも時によって異なる。何が不安を感じさせ、軽減させるかは、その人自身の意思と判断で決まる。どうすれば他人を一層幸福にできるかわかる人は、誰もいない。
Ludwig von Mises, Human Action