2016年10月16日日曜日

佐藤優『国家と神とマルクス』


プレゼントは反資本主義?

知識人の多くは左右を問わず、資本主義を非難する。しかしそのほとんどは本気でない。資本主義に対して的外れな攻撃を繰り返しながら、資本主義の恩恵を手放すつもりはさらさらない。なかには、恩恵に気づいてすらいない人もある。

著者は白井聡との対談で、資本主義の弊害をどう克服するかが重要だと強調し、「商品経済に巻き込まれない領域を自分で、個々の人が少しだけ作っていく」よう提案する。そして自分が日常生活で定めている原則なるものを披露する。

その原則とは、「本のやり取りに関して、自分から特定の本を薦め、相手がその本を読みたいと言ったときは、代金を取らないで送る」というもの。欧州のインテリもやっているという。さすがインテリ。庶民は平凡にプレゼントと呼ぶ。

プレゼントは資本主義社会で珍しいものではない。インテリが嫌うバレンタインデーのチョコレートはその代表だ。デパートでチョコを買って贈るのは、本屋で本を買って贈るのと何ら変わらない。著者の考えをあてはめれば、バレンタインデーのチョコ売り場は反資本主義の砦になってしまう。

色とりどりのチョコのように、専門書から文庫本まで多彩な書物が普通の市民にも買えるのは、資本主義の恩恵である。その恩恵に気づきもせず、あるいは気づかないふりをして、著者は資本主義を「ろくでもないシステム」と謗るのだ。

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