2016年8月31日水曜日

望月衣塑子『武器輸出と日本企業』

 
官民癒着経済の脅威

解禁された武器輸出に政府が前のめりになっている。しかし民間企業には困惑する声もある。兵器産業は必ずしも有望な市場といえず、コストやリスクで懸念もあるからだ。無理に進めれば、しわ寄せは国民に及ぶと著者は警鐘を鳴らす。

ミサイル部品関連の下請け企業の社員は「本音で言えばやりたくないですよ。儲からないからです」と話す。「受注は少量で品種は多岐にわたり、それでいて値段も厳しい」。第三国の従業員を使うとコンプライアンス違反に問われる。

採算面以外にも、企業が武器輸出に慎重になる理由がある。その一つは、武器を売ることでテロの標的になるリスク。下請け企業の男性は「こういうもの(武器)を造っているというのが、オープンにされるのは困るよ」と打ち明ける。

防衛省は企業の不安や不満を把握し、それを払拭する「経済支援策」を練る。たとえば特殊法人や官民ファンドを通じた低利融資。しかし特殊法人は官僚の新たな天下り先になりかねず、乱立する官民ファンドは無責任体質が指摘される。

西川純子独協大名誉教授は取材に答え、「武器市場には、民間ほどの市場や成長は見込めません。…アメリカ型の軍産複合体は…経済的な側面においても日本にとってデメリットがあるのでは」と警告する。政府の介入を排する自由な資本主義からほど遠い、官民癒着経済の典型がここにある。

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