2023-04-07

テロの「正当な標的」

ジャーナリスト、アレクサンダー・ルービンスタイン
(2023年4月3日)

米政府の後援を受ける(英報道調査機関)ベリングキャットのクリスト・グロゼフ氏は、(ロシア第2の都市)サンクトペテルブルクの公共イベント中にロシアの戦争記者を殺害し多くの人々を負傷させた、テロ攻撃を支持した。グロゼフ氏はまた、ウクライナがロシアの哲学者を暗殺しようとしたのも、哲学者が「宣伝要員」だったからだと擁護している。
2023年4月2日にロシアのサンクトペテルブルクで起きたカフェの爆破事件から数時間後、米政府出資による団体ベリングキャットのクリスト・グロゼフ氏は、戦争記者を殺害し30人を負傷させたテロ攻撃を擁護した。

英スカイニュースとの8分間のインタビューを通じて、ベリングキャットのロシア調査主任クリスト・グロゼフ氏は、サンクトペテルブルクのカフェ「ストリートフードバー・ナンバーワン」での公開イベントでのテロ攻撃を堂々と、事実上支持する発言をした。テロを正当化するために、グロゼフ氏はこのテロを「ハイブリッド戦争」の文脈で行われた正当なウクライナの作戦か、ロシアの偽旗の可能性のいずれかに分類した。

グロゼフ氏は、攻撃の標的であるドンバス地方生まれの戦場記者、ウラドレン・タタルスキー氏を「正当な標的」と位置づけた。なぜならタタルスキー氏はウクライナのクーデター後、政府に対して起こった2014年の同国東部の反乱に武装参加者として従事していたためだとした。また、ベリングキャットのブロガーであるグロゼフ氏は、爆発物が起爆されたカフェは「純粋な民間施設」ではなく、「ロシアのサイバー戦士」の拠点だと主張した。

「彼は正当な標的であり、将校であり、プロパガンダを行う人物でもあった」とグロゼフ氏は自信満々、スカイニュースに語っている。

司会者から、なぜウクライナは「ロシア第2の都市のカフェではなく」、軍事拠点に作戦を限定しないのかと尋ねられたグロゼフ氏は、こう反論した。「しかし、これはこれまで見てきた戦争とは似ても似つかない。熱戦(実際に撃ち合う戦争)に加え、ハイブリッドな戦争なのだ」

おそらく自身が軍事ブロガーであるこのベリングキャットの記者は、カフェの爆破を正当化するために、こう主張した。カフェは「ロシアのサイバー攻撃者、サイバー戦士がウクライナのインフラを実際に狙う、ある種の集合場所として定期的に使われていた。……だからこれが純粋な民間用地かどうか、議論すべきだろう」

グロゼフ氏のコメントは、(ジャーナリスト)マイケル・ワイス氏のような新保守主義(ネオコン)活動家や、NAFO(北大西洋同志機構)として知られる親ウクライナの嫌がらせ軍団のコメントと同じものだった。

このカフェのインターネット上での存在感は、グーグルのレビューが2073件、(旅行サイト)トリップアドバイザーのレビューが161件と、異なることを物語っている。おそらくロシアのサイバー戦士たちは、オンラインでレストランを評価するよりも、もっと重要なことに時間を使っているのだろう。スカイニュースは、ブロガーのタタルスキー氏が攻撃時に「一般の人々」と会っていたと報じている。

グロゼフ氏はさらに、ウクライナ保安局(SBU)がロシアの民族主義哲学者アレクサンドル・ドゥーギン氏を暗殺しようとしたが、代わりに娘のダリヤ・ドゥーギナ氏を殺害してしまったことを正当化した。娘であるダリヤ氏を「同じようにプロパガンダを行うが、父親ほど影響力はなく、同じく正当な標的だ」と評した。

サンクトペテルブルクのテロがロシア人によって行われた可能性について尋ねられたグロゼフ氏は、ロシアに自国のテロがないことを嘆き、スカイニュースにこうコメントした。「ロシア国内に危険を冒す活発なレジスタンスが存在することを望むと同時に、我々が見たその話の多くは、実際には、地元のレジスタンスとして示されたウクライナの活動だと思う」

ウラドレン・タタルスキー氏とアレクサンドル・ドゥーギン氏は「プロパガンダ活動家」として機能しているため、テロの正当な標的であるというグロゼフ氏の主張は、もしその論理が自分たちに適用されれば、大勢の欧米メディアの論客を政治的暴力にさらすだけでなく、ベリングキャットにおけるグロゼフ氏の雇用主を特別に危険にさらすことになるだろう。実際、グロゼフ氏が働いているのは、全米民主主義基金(NED)として知られる米中央情報局(CIA)の手先から資金提供を受け、「ロシア政府の影響力を弱める」ことを目的とした英外務省の秘密活動に参加するメディアなのだから。

“Legitimate target” — Bellingcat defends terror attack at St. Petersburg cafe - The Grayzone [LINK]

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