2021-01-18

ヘンデル:組曲「王宮の花火の音楽」

1748年、八年に及んだオーストリア継承戦争がようやく終結し、英王室は翌年、盛大な祝典を催します。祝典の花火大会のためにヘンデルが作曲したのがこの音楽です。本番の一週間前にヴォクソール庭園で行った公開リハーサルに一万二千人以上が詰めかけるほどの話題となりましたが、残念なことに、4月27日にグリーンパークで開いた本番は、イベントとしてはさんざんでした。花火の打ち上げにもたついたうえ、パビリオンに火がつき、焼け落ちてしまったのです。ヘンデルは祝典の一カ月後、孤児院の慈善演奏会で再びこの曲を演奏します。初演では国王ジョージ二世の意向に従い、勇壮な響きを出すため管楽器と打楽器のみが使われましたが、慈善演奏会ではヘンデルの望みどおり弦楽器を加えた編成で演奏されました。第三楽章「平和(La paix)」の穏やかな調べは、長い戦争が終わった喜びを静かに噛みしめるようです。

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