2021-01-26

金本位制の規律


グリーンスパン元FRB議長が若いころ述べたとおり、政府が借金する際、担保は将来の税収で返すという約束しかない。金本位制は政府の借り入れを制限する。金は紙幣と違い、印刷できないからだ。金本位制の下でお金を増やすと、国際収支が赤字になって金が国外に流出してしまう。

金約款は債務の支払いを金(きん)または同価値の紙幣で行う契約で、19世紀後半から20世紀初めの米国で普及していた。政府の起こすインフレから財産を守るためだ。ニューディール政策を行ったルーズベルト大統領は、金約款を無効にした。国債を好き勝手に増やせないからだ。

1970年代初め、米国が金本位制を停止した際、経済学者フリードマンは金の価格が急落すると予言した。金の価値はドルとの関係から生じ、金がドルの裏付けでなくなれば、その需要は激減すると考えた。それは間違いだった。価値が急落したのはドルのほうで、金価格は急騰した。

米国でハイパーインフレは来ないかもしれない。ドルは向こう数年、他国通貨に対して上昇するかもしれない。外為相場とは相対的なものでしかない。だがどこかで実体経済が成長しないと、生活水準は保てない。お金を刷っても商品・サービスの量は増えないし、質は良くならない。

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