著者ロン・ポールは、2021年1月6日の議会襲撃は「実際のクーデター」ではなく、むしろ合衆国政府が言論の自由(第一修正)を攻撃した出来事であると論じる。メディアは暴徒の行動を誇張して国民の反発を誘導し、1500人以上が起訴、約500人が投獄された。中には軽微な行為を理由とする過酷な判決例もある。議員の中には、実際に襲撃現場に潜入した FBI や他の法執行機関の隠れた工作員の数とその関与の詳細を追及しようとする動きもあった。公開された FBI の「アフター・アクション」報告書により、250人以上の潜入捜査員、数十人の報酬付き情報提供者が人混みに混じっていたことが明らかになった。著者は、それらが単なる情報収集の枠を超え、暴動の誘発を担った可能性を問う。最終的には、1月6日は市民の言論・抗議活動を抑えるための「クーデター」であったと結論づけ、憲法が保障する権利を日常的に行使しなければ、それら権利は消え去るだろうと警告している。
The Real Jan. 6th Coup - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]
本稿は、政治的暗殺や暗殺未遂が日常化しつつある現象を巡る警鐘である。米国は長年にわたり、諜報機関を通じて外国の指導者暗殺を多数行ってきた(たとえば、コンゴのルムンバ、南ベトナムのディエム、フィデル・カストロ暗殺未遂など)と歴史を振り返る。これらは真の自発的反乱ではなく、米国の意向に沿った「裏舞台の操作」であったと主張される。現在、こうした暗殺手法がかなり露骨になっており、国家暴力と殺害が「正当な政策手段」として容認されつつあるという。著者は、この傾向が国家正統性と倫理を破壊し、市民の信頼を損なうものだと論じる。そして、暗殺を「例外ではない例外扱い」へと押し上げ、暴力と抑止の回路が正当化される未来が目前に迫っていると警告する。
The Normalization of Assassination - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]
著者エリック・マーゴリスは、自身と母親の中東報道の経験を振り返りつつ、現在のイスラエル中心主義が行き詰まりへ向かっていると論じる。1950年代から母はパレスチナ難民の実態を報じ、アラブ側の視点を広めようとした。現在も、イスラエル拡張派は「より大きなイスラエル(Greater Israel)」の理念を掲げつつ、実際には外交的孤立と衝突の連続を招いており、支持者を失い始めていると見る。トランプ政権のイスラエル支持も、最終的な方向性を示せておらず、従来の戦略は破綻しかかっている。要するに、イスラエル優先主義という外交路線は「どこにも通じない道(road to nowhere)」であり、平和共存という視点を無視したままでは、未来を描けないという警鐘を鳴らす。
The Mideast Road to Nowhere - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]
著者は、「Tren de Aragua(アラグア列車)」と称されるベネズエラ発の犯罪組織をめぐる脅威は、実際には米国情報機関、特にCIAが陰で作り上げた演出かもしれないと疑っている。記事によれば、CIAは過去にも別の紛争地域や集団に資金・情報提供をして、世論を操作し、介入の口実をつくった実績がある。著者はその前例を挙げたうえで、Tren de Aragua に関する報道が急速に拡大したのも、米国政府が軍事的・外交的行動を正当化する物語作りの一環である可能性を提示する。報道の初出は2024年6月頃であり、米政府は2024年7月にはこの組織を「国際犯罪組織」として制裁対象に指定した。だが、CIA の関与を立証する公開資料は存在せず、米政府側は関与を否定している。著者は、こうした操作型のストーリーラインは戦争やクーデターを正当化する装置となり得ると結論し、読者にこの種の報道に対して慎重な視点を持つよう促している。
Is Tren De Aragua a CIA Operation In Order to Justify an Attack on Venezuela? - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]