米政府は過去20年以上、対中牽制の戦略の一環としてインドを民主的パートナーとして取り込もうとしてきた。クリントン政権による制裁解除や民間核協定、オバマ政権によるアジア太平洋構想、トランプ第1期のクアッド再活性化などがその例である。ところが2025年1月以降、トランプ政権はその立場を反転させ、インドに対して50%の高関税を課すなど、長年の外交政策を覆す行動に出た。記事は、この政策が対中タカ派や伝統的なインターナショナリスト、リアリストを動揺させており、トランプの単独行動が米国とインドとの関係に亀裂をもたらしていると指摘する。こうした動きは、米国がインドをもって中国を封じようとしたこれまでの戦略の基盤を揺るがし、結果として中国の影響力を増す可能性があると論じられている。(2025年9月11日)
Trump, India, and the China Hawks' Horror | The Libertarian Institute [LINK]
ウクライナ戦争は3年半を経ており、両国とも戦略的・現実的な妥協の必要性に直面している。ウクライナは軍事的敗北を避けるために外交的な道を模索すべきであり、ロシアも外交による決着を望んでいるが、自ら設定した戦争目的を達成しなければ戦争終結には納得できない。提案されている妥協案には、ウクライナがNATO加盟の見込みを公に否定し、ドンバス地域の住民に文化・市民的権利を保証し、クリミアの実質的承認を含むものがある。ロシア側もドンバス・ルハンスク以外の領域要求について譲歩する用意が見られ、軍事・経済的コストと西側からの孤立を考慮すると、双方にとっての最善策はある程度の妥協であると筆者らは論じている。(2025年9月11日)
For Both Ukraine and Russia, Compromise Aligns With Necessity | The Libertarian Institute [LINK]
著者は、自らがかつてイスラエル領事館の「戦略的アウトリーチ・ディレクター」として働き、米南西部のキリスト教徒コミュニティに対してイスラエル支持を促すプロパガンダ活動を行っていたと告白している。前千年王国天啓史観(premillennial dispensationalism)という宗教信仰を利用し、現代のイスラエルを聖書における「神の国」として描くことで、信徒に無条件の支持を促す手法が取られた。著者は、教会でのラリー・クレーグのような牧師らとの関係構築、テレビ局出演、敬拝イベントでの演説原稿の作成、牧師らをイスラエル訪問に導く「聖地ツアー」の企画などを通じて、信仰と外交を結びつける影響工作に関わっていたと述べている。また、この活動には聖地償還基金(Holy Land Redemption Fund)など、ヨルダン川西岸での入植者支援など物理的・地理的な「現状変更」を助長する事業への関与も含まれている。宗教的信念が政府政策と結びついたとき、政策決定者に対する信頼と立法が歪められる危険性を著者は警告している。(2025年9月9日)
I Helped Israel Propagandize American Christians | The Libertarian Institute [LINK]
この文章は、2009年2月12日にロン・ポールが米国下院で行った「What If…(もしも)」演説に応答するものであり、その内容はリバタリアニズム的な米国外交政策・経済・政府の批判を鋭く突いている。ポールは、連邦準備制度(FRB)が信用創造により好況・不況サイクルとインフレを引き起こしており、政府の金融・財政刺激策が問題の根本ではなく、むしろその悪化要因であると主張する。また、「テロとの戦争」が米国の自由と安全保障を抑圧し、国家が国民の表現の自由や経済的自由を削ぐ主因となっていると警鐘を鳴らす。記事は、現在のトランプ政権もまたポールの指摘する問題から逃れておらず、ポピュリスト的言説を用いつつも実務では従来のエリート的外交・金融体制にほぼ従っていると批判する。政策の真の改革は、軍事介入の撤回、政府支出の抑制、中央銀行の権限制限というポールのかねてからの提言に従わねばならないと結論づけている。(2025年9月9日)
Answering Ron Paul's 'What If...' Speech | The Libertarian Institute [LINK]
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