注目の投稿

「反インフレ経済勉強会」開講のお知らせ

インフレは税の一種です。しかも普通の税よりも悪質な税です。ところが、この事実はよく理解されていません。それどころか、多少のインフレはむしろ良いことだという嘘が、現在主流の国家主義的な、誤った経済学(ケインズ経済学)や、そこから派生した極端な説 (MMT=現代貨幣理論など) によっ...

2025-09-29

米国防総省の報道規制

9月17〜19日の間に起きた四つの重要な国際事件は、米中心主義が後退し、地政学的現実(“gravity”=地理・資源・隣接関係など)が再び国際秩序を動かし始めたことを示しているというのが著者の主張である。例えば、サウジアラビアとパキスタンがNATO類似の安全保障同盟を結んだこと、トランプ政権がタリバンとバグラム基地再取得を交渉していた事実、習近平とトランプの友好的電話会談、さらに米国がインドのイラン港湾プロジェクトに対する制裁免除を撤回したことなどが挙げられている。これらは、単なる外交ショックではなく、長年のアメリカ主導秩序(Pax Americana)が力を失い、地理的・戦略的要因が再び中心的役割を取り戻しつつある過程を象徴するという。要するに、「語り(ナラティブ)」よりも「現実(地政学的構図)」が国際関係の主導力となる新時代の兆候を提示している。
The Return of Geopolitical Gravity - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

かつて世界を主導したヨーロッパ諸国は、現在ではアメリカの属州的立場に甘んじていると著者は論じる。英国はトランプを歓待し、EUはその貿易・安全保障政策を無批判に受け入れている。ヨーロッパ諸国は軍事支出を抑制し続け、NATOの義務である対GDP比2%以上の防衛投資も守らず、アメリカに安全保障の重荷を背負わせてきた。トランプ政権は、経済・外交の面で強硬な要求を欧州に突きつけ、各国指導者たちは対抗する力を欠いてひたすら屈従している。著者は、この従属関係はヨーロッパにもアメリカにも不利益であり、トランプが「アメリカ第一」を掲げながら同盟国を強く支配しようとする構図が露呈していると結論付ける。
Europe Surrenders to Trump - The American Conservative [LINK]

E3(英・仏・独)は、2015年のJCPOA(包括的共同作業計画)におけるスナップバック条項を発動して対イラン制裁を再開しようとしている。だが、イランは明らかにその再発動を外交の道を断つ罠と見なし、国際社会との関係を選びながらも、国内政策の主権を守ろうとしている。イランは以前、核合意を誠実に履行していたが、合意を破棄したのは米国サイドであった。記事では、イランが60%濃縮ウランを20%に希釈する案などを提案し、段階的な協定の道を探ってきたが、E3 諸国は予定通りスナップバックを進めようとしており、交渉の最後の逃げ口を封じようとしていると論じられている。結論として、イランにとって妥協か抵抗かの選択は曖昧なものであり、相手が外交か対立かを今一度選択すべき段階にあると記事は訴えている。
What Does Iran Have to Do? - The American Conservative [LINK]

トランプ政権は、国防総省(ペンタゴン)への報道取材に対して厳格な制限を設け、未承認の非機密情報を収集・報道する記者に対して報道資格(プレスパス)を剥奪する方針を打ち出した。記者側には、ペンタゴンが明示的に許可しない情報は取材しないとの誓約を求め、それに従わなければアクセスを拒否するとされている。この政策は、合衆国憲法第一修正(言論・報道の自由)を重大に侵害する前例と批判されており、報道機関各社は「軍事部門に対する市民の監視」を萎えさせる動きだとして強く反発している。記者アクセスを制限し、報道を政府広報の範囲内に押し込めるこの措置は、言論の自由という根本原則を破壊しうる「独裁的・前段的規制」の一手と見なされている。
Trump Turns Pentagon Into Department of War on First Amendment — FAIR [LINK]

著者ヤスミン・アブ・シャマラは、ガザでフリーランス記者として活動していた夫アナスを、イスラエルの空爆で失った。彼女は妊娠中であり、息子マリクは生まれて以来、父を一度も見たことがない。もう一人の子、3歳のイブラヒムは、父との思い出を写真や動画を通じてしか経験できない。アナスはジャーナリストとしてガザの状況を伝え、言論の場を支えていたが、その死は著者にとって、単なる家族の喪失でなく、記憶と存在の抹消を意味するという。著者は母親であり、記憶の継承者として、日々子供たちの生活を支えるとともに、夫の物語を伝え続けることで、彼を「存在させ続ける」闘いをしていると述べている。記事は、戦争が生む目に見えない傷、記憶の消失、そして未来世代への影響を深く問いかけている。
Israel killed my spouse. Now I raise alone a son who’ll never have a father | Opinions | Al Jazeera [LINK]

0 件のコメント: