2023-04-13

中東の平和、米国の苛立ち

元米下院議員、ロン・ポール
(2023年4月10日)

現在進行中のロシアとウクライナの戦争と、この戦争への米国の関与増大に気を取られているうちに、中東で大きな進展があり、米国がこの地域に介入してきた数十年の歴史に終止符が打たれた。中東に平和が訪れようとしているが、米政府はこれをまったく喜ばない。
たとえば、サウジアラビアと、かつて敵対していたイランやシリアとの関係が最近修復されつつある。中国が仲介したサウジとイランの取引により、両国の外相が先週北京で会談し、完全な国交を再開した。両国の外相会談は、この7年間で最高レベルのものである。

さらに、サウジはシリアをアラブ連盟に復帰させる見込みで、シリアのアサド大統領が次のアラブ連盟首脳会議に出席する可能性もある。シリアがアラブ連盟から外されたのは12年前、当時の米国の中東における同盟国が、地域全体に大混乱をもたらした米国の「アサドは去れ」政策に署名したときだった。

また、10年近く続いたイエメンでの戦争は、その住民に壊滅的な打撃を与えたが、やっと終わりそうだ。サウジが米国に支援されたその戦争の終結を発表する見込みである。アラブ首長国連邦(UAE)の軍隊がイエメンを離れ、サウジの代表団が和平交渉のために到着している。

普通の人々にとって、中東に平和が訪れるということはすばらしいことだ。しかし米政府は普通ではない。バイデン大統領は先週、中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ長官をサウジに派遣し、突然の訪問を行わせた。報道によると、バーンズ氏は和平交渉が成立したことに対する米国の驚きと苛立ちを表明するために派遣されたという。バイデン氏の外交政策チームは、サウジが近隣諸国と仲良くしようと突然動き出したことに「不意打ちを食らった感じ」だという。

サウジがシリアやイランと取引を始めることに米国が怒っているのは、この両国がまだ米国による「重大な障害を与える」制裁下にあるからだ。米国が要求した制裁を無視する国が次々と現れ、米国の外交政策全体が、威勢と脅しだけの張り子の虎であることが露呈しつつある。

中東情勢は、米国の外交政策に関する汚い秘密を明らかにした。米政府は長い間、「分割統治」戦略を用いて、中東やその他の国々を互いにいがみ合わせてきた。制裁、秘密工作、カラー革命はすべて、これらの国々が互いにうまくいかないように、そして誰が主導権を握っているかを確認するために使われてきた。

ありえないことだと思う人もいるかもしれないが、中国がこの地域に進出し、異なる政策をとっている。中国はビジネスパートナーを求めているのであって、中東の内政を操作するつもりはない。中国は中国なりに非情かもしれないが、この地域の国々が米国の干渉に疲れ、新たなパートナーを探していることは、突然明らかになった。

私たち非介入主義者はしばしば、「孤立主義者」として攻撃されるが、私がいつも言っているように、米国を世界から孤立させているのは、政府のネオコン(新保守主義者)と介入主義者である。それが最近中東で顕著に表れている。このような事態になる必要はなかったのだが、もしこれで米国が中東問題に干渉することがなくなるのであれば、結局は米国民にとって、そして平和にとって、良いことである。

The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : Peace is Breaking Out in the Middle East…and Washington is Not Happy! [LINK]

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