2023-04-09

アサンジ氏、史上最高のジャーナリスト

ジャーナリスト、ケイトリン・ジョンストン
(2023年4月5日)


面白いことに、イスラエルのエフード・バラク元首相がイスラエルの核兵器保有を認めるツイートを削除したのと同時に、ワシントン・ポスト紙が報じたところによると、米国の同盟国は「(爆破されたロシアのパイプライン)ノルドストリームについて話すな」という方針をとっており、その理由は「答えが見つかるから」だという。誰もが知っているが、公に認めることを許されていない公然の秘密がたくさんある。


世界で最も有名なジャーナリストが国境なき記者団との面会を拒否されたのは、収容されている英国の刑務所が「相手がジャーナリストだという情報を受け取った」ためだ。しかし耳にするのは、ロシアや中国がいかにジャーナリストを虐待しているかという話ばかりである。ジュリアン・アサンジ氏は世界で最も偉大で有名なジャーナリストであり、優れたジャーナリズムを行ったという罪だけで刑務所にいる。でももちろん、ジャーナリストを投獄した、はるか遠くの「権威主義国家」に対して拳を振るうことに時間を費やそうではないか。

アサンジ氏は世界で最も偉大な現役ジャーナリストであるだけでなく、これまで生きてきた中で最も偉大なジャーナリストである。これに対してもっともな反論はできないだろう。まじめな話、もっと優れたジャーナリストを挙げてみてほしい。無理だろう。アサンジ氏は、デジタル時代の情報源保護に革命を起こすことでジャーナリズムのキャリアをスタートさせ、その後、今世紀最大の記事をいくつか発表してきた。生死にかかわらず、彼に匹敵する人物はいない。

そして今、同氏が最高警備の刑務所にいるのは、世界中の誰よりも最高のジャーナリズムを行うことに長けていたからにほかならない。それが私たちの住む文明の姿だ。ジャーナリズムを行うという理由で、史上最高のジャーナリストを投獄するような文明だ。


私は決して納得しない。国民がつねに二つの等しい対立する政治派閥に分裂するのは有機的な現象であり、それはつねに何も成し遂げられない行き詰まりに陥り、その行き詰まりはつねに金持ちや権力者に有利だということには。


中国共産党は、中国のソーシャルメディア微博(ウェイボ)で習近平国家主席を「侮辱」した女性を逮捕した。女性は習氏を「くず」と呼んだとして裁判を受けなければならず、有罪になれば多額の罰金を科されることになる。

冗談だ。中国、習近平、微博ではなく、フランス、マクロン(仏大統領)、フェイスブックである。
(筆者自身のツイート)


中国について騒ぐことに時間を費やす人々は、私がネット上で接する中で最も愚かな集団である。必ずしも最も悪意があるわけでも、最も攻撃的なわけでもないが、間違いなく最も愚かだ。この人々は、中国に批判的であれば、どんなに馬鹿げたことでも、誰の言葉でも信じる。

文字どおり誰からでも中国について否定的な主張を目にしたとたん、批判能力はすべて消え去り、泡を吹くような愚か者の集団と化してしまう。(保守派の心理学者)ジョーダン・ピーターソン氏が緊縛SMの「乳搾り」動画を共有したのは、中国政府による虐待を記録しているという偽情報があったためである。

このような動きは、何世代にもわたって、中国人は私たちとはまったく違う文化を持つ、神秘的で不可解な民族だと描かれてきたことに端を発しているようだ。欧米人が中国政府に意味不明な動機や思惑を抱くのは、それだけが理由だと思う。

ある民族を、希望と夢を抱き、家族を愛し、自分と同じように生きていこうとする普通の人間だと思わなくなると、その動機や目標について何でも真実だと信じることができるようになる。もしあなたが、中国人は多かれ少なかれ自分と同じような動機をもつ人間だと信じているならば、その動機や行動に関するデタラメな主張は、普通の人間の視点からは意味をなさないから、すぐに気づくことができるはずだ。その視点がなければ、あなたは道を踏み外すことになる。

先日ネット上で議論していた人が、中国人を蟻の巣に例えて「昆虫のようだ」と何気なく言っていた。このように国民全体を非人間的な存在にしてしまうと、批判的な思考能力がすべて昏睡状態に陥ってしまう。精神が麻痺してしまう。

反中ヒステリーの人々が、私がネット上でやりとりする中で最も愚かな集団であるもう一つの理由は、いつも次のような馬鹿げたデタラメを聞かされているからだ。

中国は米国人を殺す準備をしており、我々は自衛の準備をしなければならない。国防総省は中国に対抗する準備をゆっくりと進めている。
(保守政治行動会議=CPAC=理事、ゴードン・チャン氏)

反中ヒステリーの人々はつねに、ゴードン・チャン氏のような帝国の宣伝マンによって、このような脳内毒を頭蓋骨に流し込まれている。

「中国は米国人を殺す準備をしており、我々は自衛の準備をしなければならない」。それって中国が、あからさまな軍事包囲網と、米国による中国・台湾間の紛争への介入の可能性から自衛する準備をしていることか。米国にとって地球の反対側の紛争のことか。あなた、ゴードン・チャン氏が戦わないような紛争のことか。

馬鹿野郎が。


欧米のメディア関係者は、プロパガンダ担当者が正当な標的であるという考えを広めたいのかどうか、よく考えるべきだ。
(筆者自身のツイート)


2016年の米大統領選は、すべてを変えた。トランプ氏自身が事態を大きく変えたからではなく(変えなかった)、西側メディアがその時点で、米政府がロシアとの情報戦に勝つのを助けることが自分たちの厳粛な義務であるという合意を形成したからである。

ロシアのハッカーが出所とされた(ただし、今日に至るまで証明されていない)2016年のウィキリークスの発表をメディアが報道するのは間違っているという合意がすぐに形成された。この決定により、主流メディアにおける真のジャーナリズムの最後の光は消し去られた。すべての主流派ジャーナリストが、権力者に関する真の事実を報道するのではなく、政府やお気に入りの政党の情報利益を促進することが自分たちの仕事だと認めた時点で、それは終わったのだ。真実に基づく社会の最後の光明が消え去ったのである。

ロシアがウクライナに侵攻して以来、私たちはこの状況を目の当たりにしてきた。「ジャーナリスト」たちは、検証されていない政府の主張を無批判に報道し、ウクライナの死者数のような重要な問題を無視し、情報戦で嘘を流すためにジャーナリストを使っているという米政府の告白さえ受け入れているのである。

その逆もありえた。メディアはウィキリークス文書で暴露された腐敗をとらえて、米政府の不正を調査するために奮起することができたはずだ。しかしそれは米政府の不正を隠し、許し、助長するために使われたのである。

Assange Is The Greatest Journalist Of All Time: Notes From The Edge Of The Narrative Matrix – Caitlin Johnstone [LINK]

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