この記事「The Intellectual Incoherence of Conservatism(保守主義の知的支離滅裂さ)」は、ハンス=ヘルマン・ホッペ(Hans-Hermann Hoppe)氏によるものです。
この記事の主要な論点を要約します。
1. 現代保守主義の変質
ホッペ氏は、現代(特に第一次世界大戦以降)の保守主義が、本来の「反平等主義・反国家主義」というルーツから、「文化的に保守的な国家主義者(右派社会民主主義者)」へと変質してしまったと指摘します。現代の保守主義者の多くは、家族の崩壊、多文化主義、社会の無秩序を憂いていますが、その解決策を国家(政府)に求めている点が矛盾していると批判します。
2. 知的な支離滅裂さ(矛盾)
記事の核心的な主張は、「伝統的な道徳や家族制度の回復を望みながら、それを破壊している原因である『福祉国家制度』を維持しようとすることの矛盾」です。
福祉国家の影響: 社会保障、公共教育、失業手当などの redistributive(再分配)政策は、個人から責任を奪い、家族やコミュニティへの依存度を下げます。その結果、家族の絆は弱まり、近視眼的な行動や道徳的退廃が促進されます。
矛盾の指摘: 保守主義者は文化的な衰退を嘆きますが、その衰退を引き起こしている「福祉国家というエンジン」を止めようとしません。原因を維持したまま結果だけを変えようとする姿勢が、知的・経済的に不可能(支離滅裂)であるとしています。
3. 三つの保守主義勢力への批判
ネオコン(新保守主義): 彼らは実際には文化に無関心で、グローバルな社会民主主義を推進するために保守的なレトリックを利用しているに過ぎない「国家主義者」であると断じます。
ブキャナン派(パレオコン): パトリック・ブキャナンのような勢力は、家族や国家を重視しますが、同時に経済的保護主義や社会保障の維持を訴えます。ホッペ氏はこれを「社会ナショナリズム(国家社会主義)」の一種と呼び、経済法則を無視した不可能な試みであると批判します。
キリスト教右派: 彼らもまた、教育の国家独占を終わらせるのではなく、国家の権力を自分たちが望む内容に置き換えようとしているだけであり、国家権力そのものを縮小させようとはしていません。
4. 解決策:真の保守はリバタリアンであるべき
ホッペ氏は、もし誰かが本当に「伝統的な家族、秩序、道徳」を回復したいと願うのであれば、その手段は国家権力の拡大ではなく、「徹底した国家の解体(ラジカル・リバタリアニズム)」でなければならないと結論づけています。
国家による搾取(税金)や再分配をなくし、教育や社会保障を家族や民間市場の手に取り戻すことだけが、伝統的な社会秩序を再構築する唯一の道であると主張します。
結論
ホッペ氏によれば、「国家主義者でありながら保守主義者であることはできない」のです。現代の保守主義者が「小さな政府」と言いながら福祉や軍事予算を支持するのは、知的な欺瞞であり、真の伝統回復を目指すなら、国家に反対するリバタリアンにならざるを得ないというのが彼の見解です。
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