この記事は、1932年に経済学者ミーゼスによって執筆されたエッセイ「The Myth of the Failure of Capitalism(資本主義が失敗したという神話)」の要約です。
当時(大恐慌時代)の「資本主義は終わった、これからは計画経済(社会主義)の時代だ」という世論に対し、ミーゼスは「現在起きている危機は資本主義の失敗ではなく、政府の介入主義(中途半端な社会主義的政策)の失敗である」と真っ向から反論しています。
## 1. 経済理論と介入の矛盾
市場の法則の発見: デイヴィッド・ヒュームやアダム・スミスが発見したのは、社会には物理法則と同じように、権力者でも変えることのできない「市場の内的整合性(法則)」があるということです。
介入主義の不毛さ: 政府が価格や市場プロセスに介入しても、意図した結果は得られず、むしろ状況を悪化させます。自由主義(リベラリズム)は科学的根拠に基づき、私有財産こそが全員の富を築く唯一の方法であると主張してきました。
警告の無視: 欧州諸国は過去数十年にわたり、自由主義の警告を無視して反資本主義的な政策(国有化、失業手当の拡大、高関税、重税、インフレ政策)を進めてきました。
## 2. 「不自由な経済」が生んだ腐敗
経営者の変化: 「現代の経営者は自由主義を捨て、介入を求めている」という批判に対し、ミーゼスはそれは資本主義の本質が変わったからではなく、経営者が「介入主義のルール」に適応せざるを得なくなったからだと指摘します。
コネ社会への転落: 介入主義国家では、「良い製品を安く作る」ことよりも、「政治家と良好な関係を築く」「関税や補助金を引き出す」といった政治工作(コネ)が成功の鍵になります。
責任の欠如: 大企業の経営者は、株主の利益(収益性)よりも政治的思惑を優先し、経営に失敗しても「大きすぎて潰せない(Too big to fail)」という論理で政府に救済を求めるようになります。
## 3. 結論:失敗したのは「介入主義」である
真の危機の正体: 世界を苦しめている経済危機は、資本主義の欠陥によるものではなく、「反資本主義政策(介入主義)」が生み出した歪みの爆発です。
残された資本主義: 社会が完全に崩壊せず、飢餓を免れているのは、依然として社会の片隅に残っている資本主義的な生産活動が価値を生み出し続けているからです。
歴史の審判: ミーゼスは最後に、「失敗したのは自由主義(バスティア)ではなく、マルクスやシュモラー(介入主義者)である」と断言しています。
## 要約のポイント
この記事の核心は、「経済がうまくいかないのは自由が多すぎるからではなく、政府の介入によって市場の調節機能が破壊されたからだ」というリバタリアン経済学の根本的な視点にあります。
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