米貿易促進権限(TPA、通称ファストトラック)法案にからみ、政府系金融機関である輸出入銀行の存廃が注目されている。6月末に切れる同行の免許を延長するかどうかが議会内で駆け引きの材料となっているためだ。
民主党議員は大半が輸銀の存続を支持し、共和党議員も意見が二分される現状に対し、リバタリアンとして知られる元下院議員のロン・ポールが断固として廃止を訴えている。
輸銀の支持者は、輸銀は中小企業のためになっていると主張する。しかしそれは事実に反するとポールはいう。2014年度でみると、輸銀最大の政策融資のうち70%は世界的な建設機械大手キャタピラー向けであり、とても中小企業向けとはいえない。輸銀が航空機大手のボーイングに多額の融資をおこない、「ボーイング銀行」と呼ばれているのも有名だ。
また輸銀の支持者は、輸銀を廃止すれば、同行の支援を受ける企業によって生み出されている雇用や経済成長が失われるという。しかしこれは経済学でいう機会費用の概念を知らない人がよく犯す誤りである。
政府が税で国民のお金を取り上げ、政治判断で特定の企業に低利で貸し出せば、たしかにそれらの企業や関係者は潤う。しかしもしその資金が政府を通さず、自由な市場で消費者の需要にもとづいて配分されていれば、もっと消費者を満足させる商品やサービスが生み出されたはずだ。
「輸銀を廃止すれば米国経済は改善し、多くの国民のためになる。今こそボーイングなど補助金漬け企業への施しを打ち切るときだ」。ポールはこう強調する。
0 件のコメント:
コメントを投稿