2022-12-01

嘘のアサンジ報道を撤回せよ

ジャーナリスト、ケイトリン・ジョンストン
(2022年11月30日)

英紙ガーディアンは、米ニューヨーク・タイムズ、仏ルモンド、独シュピーゲル、西エル・パイスとともに、米バイデン政権に〔内部告発サイト「ウィキリークス」創設者〕ジュリアン・アサンジに対するすべての告発を取り下げるよう求める共同書簡に署名した。この5社は12年前、〔元米陸軍上等兵〕チェルシー・マニングのリーク情報を公開したウィキリークスと協力している。主流メディアによるこの突然の支持は、オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相が個人的にアサンジの裁判を終結させるよう米政府に働きかけているというニュースが流れたときに起こった。

この書簡へのガーディアンの参加は、そもそもアサンジへの迫害を世間に支持させるために同紙が果たした主導的な役割を考えると、とくに注目すべきことである。もしガーディアンが本当に英雄的なウィキリークス創設者の迫害を終わらせたいのなら、多くの中傷、ごまかし、まったくの嘘を撤回し、それらを掲載したことを正式に謝罪することが最善の方法だろう。

これは結局のところ、トランプの手先であるポール・マナフォート〔=トランプ陣営の選挙対策本部長〕が〔英国の〕エクアドル大使館でアサンジと密会したという、明らかに馬鹿げた、完全に無意味な2018年の記事を掲載したのと同じガーディアンである。同大使館は当時、地球上で最も厳重に監視されていた建物のひとつだったにもかかわらず、この主張を立証する証拠は一片もなく、その広大な範囲には明らかにそうした会合が含まれていたであろうロバート・モラー〔特別検察官〕の捜査も、それを裏付けるものはまったく何も報告されていない。この記事は、告発したすべての関係者が強硬に否定し、まともな人間は誰も真実だと信じていないインチキ記事だったが、今日に至るまで、何の撤回もなくガーディアンのウェブサイトに掲載されている。

2018年に「ジュリアン・アサンジがエクアドル大使館を出る唯一の障壁はプライドだ」という記事を掲載し、「ウィキリークス創設者が米国で起訴される可能性は低い」から、大使館での政治亡命を続けるアサンジが馬鹿らしく見えると論じたのも同じガーディアンである。この記事を執筆したのは、悪趣味なジェームズ・ボールで、その記事はこう始まっている。「1769年以来エチケットの権威とされる(英出版社)デブレッツによれば、『訪問者は魚のように、3日間で臭う』。これを考えると、ジュリアン・アサンジがハロッズ百貨店から道を隔てたナイツブリッジの小さなフラット〔=エクアドル大使館〕に身を寄せてから5年半以上たった今、エクアドルのロンドン大使館がどんな臭いを放っているか想像するのは難しい」

「パラノイア(妄想性障害)の定義=ジュリアン・アサンジの支持者」と題する記事を掲載したのも同じガーディアンだ。この記事で、米国がアサンジを送還させると信じるアサンジ擁護者は狂った陰謀論者だと主張している。その根拠は、「英国の米国送還条約は手ぬるいことで有名」だし、「アサンジがご苦労にも自分で自分の信用を落としているのに、米国が投獄するはずがない」し、「送還請求は来ていない」からだという。

アサンジがナイジェル・ファラージ〔英ブリグジット党党首〕、ドナルド・トランプ、ロシアの奇妙な陰謀の一部として文書を受け取る可能性があるという、馬鹿げた記事を掲載したのもガーディアンだ。この記事はおもに「米情報機関とつながりのある高位の接触者」とされるたった一人の匿名情報源の曖昧な分析に基づいている。アサンジの「クレムリン〔ロシア政府〕とのつながり」(そんなものはない)について、「疑惑」という言葉を一度も使わずに報道し、標準的なジャーナリズムの手順をトイレに流してしまったのと同じガーディアンである。英ニュースサイト「カナリア」による2018年の記事「風評による有罪——あらゆる規則を破るガーディアンのジュリアン・アサンジに対するキャンペーン」に記されているように、さらに多くの悪質な中傷を進めたのと同じガーディアンである。

共同書簡の文言自体も、ガーディアンのものである以上、不誠実なものだ。

「この編集者・出版社のグループは、アサンジと仕事をしたことがあり、2011年に編集されていない電報のコピーが公開された際、アサンジの行為を公に批判する必要を感じていたし、アサンジが機密データベースのコンピューター侵入を援助しようとしたという起訴状の疑惑について懸念している者もいる」と書簡には書かれている。「しかし私たちは今、機密資料を入手し公開したジュリアン・アサンジを引き続き起訴することについて、重大な懸念を表明するために集まった」

以前にも説明したように、2011年にアサンジが無謀にも編集されていない文書を公開したという物語自体が不正な中傷であり、編集されていないファイルが実際に別の場所で公開されたのは、ガーディアンの記者デビッド・リーとルーク・ハーディング(マナフォートとアサンジの偽の物語を共同執筆したのと同じルーク・ハーディング)による本の中で本物のパスワードが無謀にも公開された結果である。アサンジはガーディアンの記者たちによってもたらされた損害を最小限に抑えようと特別な措置をとったが、結局はその責任を負わされる羽目になった。

もしガーディアンがジュリアン・アサンジへの迫害を終わらせたいと心から願っているなら、その目標を達成するためにできる最も効果があることは、アサンジについて世界を欺くことに貢献したと公に認め、その記録を訂正することだ。

アサンジの件が現在あまり支持されていない唯一の理由は、多くの国民が、起きているのは真実を語ったジャーナリストに対する不当な迫害ではなく、法律を破り人命を危険にさらした邪悪なロシアのスパイの正当な告発であると信じ込まされているからだ。ガーディアンはこのような誤解を生み出すのに、世界中のどのニュース媒体よりも大きな役割を果たした。この誤解を招いた記事を撤回し謝罪することで、多大な貢献ができるはずだ。

真実や正義、ジャーナリズムの倫理に本当に関心があるのなら、そうするはずである。ガーディアンの上層部がそれを選択するだろうか。そうは思えない。

(次を全訳)
The Guardian Could Help Assange By Retracting All The Lies It Published About Him [LINK]

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