2022-10-15

経済の自由が女性を強くする

ケイトー研究所アナリスト、チェルシー・フォレット
(2017年10月10日)

フェミスト作家ラフィア・ザカリアは、ニューヨーク・タイムズへの寄稿で、女性の地位向上に対する国際援助業界の間違った、恩着せがましい態度に注意を喚起している。

ザカリアは、欧米の開発専門家とその組織が抱える問題を雄弁に語っている。とくに、ヒーローである人道主義者が世界の最貧困層の女性に施しを与えるという物語に沿った、トップダウンのやり方は、ひどく恩着せがましいものだという。「非西洋の女性は、救助を待つ無言で受け身の主体へと還元される」とザカリアは書いている。

途上国開発の専門家は、貧困の緩和にはほとんど無力である。貧しい女性に鶏を与えるような、自己満足でしかない計画は、長期の経済的利益にはつながらない。

ニューヨーク大学のウィリアム・イースタリーは、開発に対するトップダウンの「技術官僚」的な取り組みが、しばしば貧しい国の開発専門家や独裁者を豊かにするためだけに役立つことを、詳しく記録している。

実際、援助によって貧困から抜け出した国は一つもなく、場合によっては国際開発の妨げにさえなっている。ハイチは1万を超える援助NGO(非政府組織)を抱える国として有名だが、慈善の洪水は逆に地元の産業を傷つけ、貧困を悪化させる、依存の連鎖を招いた。

貧困はとくに女性を弱くする。経済学の研究によると、貧困が減少するにつれて男女間の不平等は縮小し、開発によって女性の状態は男性よりも改善されることが示唆されている。つまり、女性の社会的な地位向上は経済的な能力向上と密接に関係しており、繁栄の恩恵を最も多く得る立場にあるのは女性なのだ。

女性の経済的影響力が高まることで、社会変革に向けたロビー活動が可能になり、そこから政治的・法的な変革が生まれる。経済学者ミルトン・フリードマンは「経済的自由は...…政治的自由の達成に向けた不可欠な手段」だと述べている。女性が配偶者の許可なしに有給で働くことが法律上許されていない国もある。法の下における男女平等は、国の経済が自由になるにつれて改善される。

経済発展は達成可能である。この一世代のうちに極度の貧困が半減し、とくにアジアでは心強い進展があったことを、圧倒的な量のデータが示している。

経済的進歩は、援助ではなく、民間企業によってもたらされた。中国とインドの経済成長は、一人当たりの援助がはるかに少ないにもかかわらず、サハラ以南のアフリカを大きく上回っている。その経済成長は、経済の自由化政策と一致している。貧しい国の人々は、救助を待っている受け身の犠牲者ではない。主体性を持ち、自由があればどこでも貧困から脱却している。

とくに女性にとってはそうだ。バングラデシュでは貧困が劇的に減少し、女性の生活にも前向きな変化が見られた。政府やNGOが十年かかっても実現できなかった、女性労働力の創造には、市場の力と、輸出志向の衣料品産業の出現が必要だった。

工業化によって女性の教育水準が上がり、児童婚の割合も減った。パルダ(女性の隔離)という社会的規範を和らげ、女性に対する裁判制度の対応力を向上させた。「女性にとって、衣料品はとても良いものです」と、ある工場労働者は語った。彼女は自分の稼ぎのおかげで、身体を虐待する夫から逃れることができた。「 今、私は自分には権利があり、生きていけると実感しています」と彼女は続けた。貧困からの脱出と平等な権利の達成は、しばしば相伴う。

「女性の地位向上という概念は、開発業界の救世主になろうとする人々の手から急いで救い出す必要がある」とザカリアは寄稿を締めくくっている。その点には同意できる。

政治的自由が不可欠であることにも同意するが、経済的自由の重要性を無視してはならない。発展途上国の苦悩する女性たちは、経済の自由さえ与えられれば、自分たちを救い出すことができる。

(次より抄訳)
With Economic Freedom Comes Female Empowerment - HumanProgress [LINK]

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