2022-10-04

政府による災害

元米連邦下院議員、ロン・ポール
(2022年10月3日)

先週、米連邦議会は予算継続決議を可決し、中間選挙終了まで休会となった。議会が再開されれば、ハリケーン「イアン」の被害を受けた人々に対する数十億ドルの支援策がほぼ間違いなく可決されるだろう。この支出はおそらく「緊急」と銘打たれるため、議員たちは優先順位の低い他事業の削減で新たな支出を相殺するふりをする必要もあるまい。

議会で災害救助への支出を他事業の削減で相殺できないことが、私が議員時代、たとえそれが自分の選挙区で起きた災害のための支出であっても、つねに災害援助に反対票を投じた理由の一つである。もちろん、反対の理由はそれ以外に、災害救助が他の所得再分配政策と同様、違憲かつ非道徳でもあるからだ。

災害救助に反対すると、事務所に有権者から怒りの電話がかかってきた。しかし数カ月もすると、その有権者の多くが、米連邦緊急事態管理庁(FEMA)とやり取りした後、また電話をかけてきて、被災者は連邦政府の「助け」がないほうがいいと気づいたと言う。

連邦政府が運営する災害救助は、効率的でもなければ、思いやりのあるものでもない。私の事務所でも不満を募らせた人たちからよく耳にしたのは、連邦政府の援助が遅れたせいで建て直しの計画が延び延びになっていると言う話だ。

FEMAが被災者を不当に扱ったというひどい話も、私と職員は数多く耳にした。たとえば、ハリケーン「アイク」で屋根が壊れた家に防水シートをかけるはずだったFEMAは、隣の家の屋根に問題がないにもかかわらず、その家に防水シートをかけてしまった。防水シートが必要な家の所有者がFEMAに電話したところ、間違いを正すために人を派遣するには数週間かかると言われた。家の所有者が近所の人の助けを借りて自分で防水シートを移動させるとFEMAに伝えたところ、承認なしに防水シートに触れた者は、罰金を払わせられたり刑務所に入れられたりするかもしれないと言われた。

ハリケーンの直後には、自分の土地に入るのを政府職員が邪魔しているという苦情を聞いたこともある。もちろん、こうした規制はすべて「国民のため」だと言われた。

FEMAのお粗末な対応は、災害救助の権限を大規模で中央集権的な官僚機構に委ねた結果、当然生じたものだ。したがってこの問題は、人事異動やFEMAの手続きの更新・合理化によって解決できるものではない。むしろFEMAを廃止し、災害救援の責任を個人、地域社会、市民・慈善団体に戻すべきである。個人が自然災害からの復旧にかかる費用の100%を所得税から控除できるようにするべきである。自然災害の被害を受けた企業にも、寛大な税制上の救済措置がとられるべきだ。非課税の貯蓄口座は、米国民が自然災害の際に使う資金を蓄積するのに役立つだろう。

1900年、テキサス州ガルベストンは巨大なハリケーンに襲われた。当時はFEMAなどの連邦災害救済制度がなかったにもかかわらず、ガルベストンの人々は何とか町を再建することができた。この事実は、災害復旧に連邦政府が関与する正当な理由がないことを証明している。連邦政府はFEMAを廃止し、災害救助の責任を国民に返すべきである。議会はまた、福祉と戦争による政府の肥大化を終わらせ、憲法修正第16条とそれに伴う所得税を廃止し、連邦準備銀行を監査・廃止することによって、国民が自分の面倒を見るための資源を確保するべきだ。

(次を全訳)
The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : Americans Suffer from Natural and Government-Created Disasters [LINK]

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