2017年1月28日土曜日

貝塚茂樹・伊藤道治『古代中国』


土地私有と経済発展

左翼の一部は「原始共産制」に憧れを抱く。その一つの特徴は土地の公有である。縄文時代など大昔の社会では土地は私的に所有されず、共同体で公有されたという。しかし、もし現在土地を公有化すれば、経済そのものが崩壊するだろう。

土地の私有は経済発展の基礎である。それは本書が描く古代中国の歴史からもわかる。中国で土地はもともと公有であり、人民は使用権や占有権を認められるだけで、土地の所有権というものはなかったらしい(p.446)。それがある時期に変化する。

春秋戦国時代、土地に所有権が認められるようになる。これは秦の政治家、商鞅などが農地の開墾を奨励する手段としてとり始めた政策によるとされる(p.447)。自分の土地でなければ人は真剣に耕さないことを政治家は認めざるをえなかったのだ。

所有権の成立後、農村に「貧富の差が出てくる」と本書はやや批判的に述べる(p.452)。しかし一方で各地に産業が興り、商業の発展を促す。大規模な都市がいくつもできる。都市では音楽、闘鶏、ドッグレース、博打などあらゆる娯楽が盛行した(p.437)。

交易の発展を受け、各国は関税を課す。収入を増やそうと高い税をかけた。これに対し孟子は、荷物の中身を検査するだけで関税を取らないのが古代理想国家の政策だったとして、無関税を説いた(p.435)。実行すればその国はもっと栄えただろう。

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