2014年12月19日金曜日

政府閉鎖のプレゼントを

米上院は12月13日、連邦政府の支出の大部分を来年9月まで手当てする歳出関連法案(CRomnibus)を、超党派の賛成多数で可決した。すでに下院を通過しており、オバマ大統領の署名で法が成立。昨年秋に生じた、政府機関が閉鎖される事態は回避された。果たしてこれは米国民にとって良いニュースだったのだろうか。そうではないという論者を2人紹介しよう。

海外主要経済メディアの論調はいずれも好意的で、なかでも米紙ウォールストリート・ジャーナルは「まれに見る超党派の成功」とほめたたえる見出しを掲げた。これに噛みついたのが評論家デヴィッド・ストックマン。レーガン政権で行政管理予算局長を務め、現在は財政肥大を厳しく批判する論客として活躍している。

ストックマンは自身のウェブサイトでこう書く。「2011年以来繰り返し起こるけれども中身はインチキな連邦政府の『閉鎖』(shutdown)を起こしたからといって、有権者が政治家を懲らしめた形跡はない。それどころか、共和党は昨年10月、異例の長期にわたる政府閉鎖を起こしたが、今年11月に〔共和党が大勝した中間選挙で〕示された有権者の意思は、懲らしめるのとは正反対だったではないか」

ストックマンはつけ加える。「歳出関連法案を通過させたとき、わが国は2014年の345日目で、この間に積み上がった財政赤字は7,000億ドルに達していた」。法案の承認は賞賛に値するどころか、国をさらに深刻な財政状況に陥れると非難する。

もう1人は元連邦下院議員で、徹底した自由主義者(リバタリアン)として知られるロン・ポール。「上下院議員の多くは政府閉鎖の再来を恐れ、1〜2日間の政府閉鎖の危険を冒すより、読んでもいない1,774ページの法案に賛成することにした」と元同僚たちの怠慢をまず一喝する。そしてストックマンと同じく、目先の問題回避に躍起になり、将来のより大きな問題から目をそらす議員の態度をこう批判する。
法案に賛成し政府閉鎖を避けようとした議員が見落としているのは、政府をやみくもに膨張させれば、一時閉鎖よりもはるかに悪い影響を及ぼすということである。短期の、いや長期であっても、政府閉鎖の代償など小さい。議会が歳出と債務の削減に失敗して引き起こす、経済的惨事(economic calamity)を避けることができるなら。
そもそも閉鎖されるのは連邦政府の機能の20%にすぎない。米国民は昨年、政府が20%小さくなってもやっていけることを学んだ、とポールは指摘する。

そのうえで、真に自由を支持する議会であれば、一部の政府閉鎖に動転する代わりに、連邦政府の大半を永久に閉鎖する案を熱心に作成するはずだとして、リバタリアンらしい大胆な私案を披露する。廃止の対象として槍玉に挙げられる政府機関、政策は以下のとおりである。

  • 連邦準備銀行(中央銀行)
  • 内国歳入庁(日本の国税庁に相当。所得税を廃止)
  • 軍国主義的外交政策(海外米軍の撤退、軍事介入の中止)
  • 市民監視政策(TSA=運輸保安庁、NSA=国家安全保障局、CIA=中央情報局を廃止)
  • 社会福祉(まずは政府と結託した富裕者向けを廃止)
  • 教育省
  • オバマケア(国営医療保険)

ポールは歳出関連法を「米国民にとって最悪のクリスマスプレゼント」とこきおろしたうえで、「議会はいつの日か福祉戦争政府(welfare-warfare state)を閉鎖し、平和、繁栄、自由をプレゼントしてほしい」と呼びかけている。

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