2017年4月20日木曜日

河村小百合『中央銀行は持ちこたえられるか』

 
日本の無策に戦慄

マネーを無尽蔵に作り出せる中央銀行は、政府にとって打ち出の小槌のように便利な道具である。長期では通貨価値の崩壊が待ち受けているものの、短期では行政の大盤振る舞いを可能にしてくれる。主要先進国はいずれもその誘惑に勝てず、軒並み財政が悪化しているが、それでも程度の違いはある。

本書で紹介されるように、債務危機が直撃した欧州各国はさまざまに工夫し、財政を立て直そうとしている。最悪なのはわが日本である。政府は歳出削減にほとんど何の努力もせず、日銀は近未来の金利上昇リスクに開き直ったかのようだ。あまりの無策に背筋が寒くなる。以下、抜粋。(数字は位置ナンバー)

〔諸外国で〕リーマン・ショックと欧州債務危機の打撃は大きく、二〇〇九年にかけて、財政収支、PBとも急激に落ち込んだことがわかりますが、日本と違うのは、懸命の財政運営でその後の財政収支を早期に改善させていることです。(441)

〔財政再建の工夫の〕第一には、財政健全化目標として使用する収支の指標を何にするか、ということです。わが国が利払費を含まないPB〔基礎的財政収支〕であるのに対し、諸外国は軒並み、利払費をも含む財政収支を採用しています。(468)

第二には、中期的な予算編成ルールの強化です。〔略〕ドイツやスペインでは、健全な財政運営を行うことを政府に義務づける条文が憲法に盛り込まれたほか、英国の「財政責任憲章」のように〔略〕ルールを設けている例も多くみられます。(478)

第三には、独立財政機関の設置が挙げられます。選挙によって選出される「議員」に財政拡張志向があるのは、わが国のみならず各国に共通の事情です。ともすれば、立法府で財政再建を軽視した予算運営が決定されてしまいかねません。(483)

今後も自らの資産規模を増やし続け、二〇一七年末頃には名目GDP比で一〇〇パーセントを超えるであろうなどという見通しを示しながらも、先行きの正常化に向けての考え方や見通しを一切示していないのが日銀です。(1051)

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