2017年4月11日火曜日

菊池良生『傭兵の二千年史』

 
違法な略奪、合法な略奪

国家が市民から税金という名目で財産を奪い、抵抗する者には暴力の行使も辞さないことを、多くの人は当然だと思っている。なぜならそれは「合法」だからだ。

しかし略奪が「合法」だろうと「違法」だろうと、悪という本質に違いはない。本書で描かれる傭兵隊長ヴァレンシュタインとその配下らの非道な振る舞いも「合法」だった。権力者がお墨付きを与えたからである。以下、抜粋。(数字は位置ナンバー)

傭兵契約が切れ、除隊となった兵たちが生きていくために放火、追いはぎ、強盗、人殺し、略奪とありとあらゆる悪事を行い社会不安を引き起こす〔略〕。だがそれら除隊兵士の群れは、多くてせいぜい二十から三十の集団に過ぎない。(1565)

ところが〔傭兵隊長〕マンスフェルトは、これらの略奪行為を二万の軍隊として組織的に行ったのである。しかもそれは〔略〕日常的に繰り返し行われたのである。マンスフェルト軍の戦う相手は最初から都市や農村の非戦闘員であった。(1571)

マンスフェルトのやり口をもっとはるかに大規模に行い、あげくには略奪行為という兵たちの凶悪犯罪そのものを効率的な合法的収奪機構へと変質させたのが、史上最大にして最後の傭兵隊長ヴァレンシュタインであった。(1586)

ヴァレンシュタインは兵力提供と引き換えに、皇帝フェルディナントから占領地における徴税権を手に入れた。この皇帝のお墨付きにより、軍の非合法的恒常的略奪は合法的恒常的戦争税に化けるのだ。いわゆる軍税である。(1629)

ヴァレンシュタインの軍税は苛斂誅求を極めた。宿営地の住民に兵士の給料を賄える額の税金を割り当てる。〔略〕宿営地に指定された都市や村が兵士たちの略奪を恐れ、その免除を願い出ると、これを許す代わりに免除税を取り立てた。(1631)

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