歴史上、金など実物貨幣の利点は明らかだ。紙幣はそれが多く発行されるほど、物価上昇を伴って価値を失う。紙幣経済は不安定で、景気変動や経済格差を起こしてきた。世界大恐慌はその例だ。極端な場合、ハイパーインフレや第一次世界大戦以降のような戦争を引き起こす。(エコノミスト、マーク・ソーントン)
金本位制は、政府が貨幣の原料や製造方法、市場価格を決めることを認めない。数百年にわたり政府の介入がなくても、貨幣は洗練された仕組みに変化してきた。ビットコインなど暗号通貨の台頭は、貨幣の潜在能力と政府が起こす混乱を思い出させる。(同)
金本位制復活の利点は、世界的な物価の引き下げと安定だ。貨幣の安定は貯蓄と経済成長を促すだろう。貨幣の購買力が安定すれば、起業家と消費者は将来に向け、より良い計算と計画ができる。(同)
金本位制の下で中央銀行でなく市場が決める金利は、短期では変動が大きくても、投資の時機を測りやすくする。物価高が続くと証券資産は価値を失い、実物資産は価値が増す。貨幣の安定でそうした分断はなくなり、社債や生命保険への長期投資が見直されるだろう。(同)
中央銀行の紙幣発行は、資産と資本を持つ高所得者をますます豊かにし、労働と年金を収入源とする低所得者をますます貧しくする。『21世紀の資本』の著者ピケティは図らずも、米国の格差拡大は1971年のニクソンショック(金本位制廃止)後に起こったことを示した。(同)
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