資本主義を批判する人々の心配はもっともだが、問題は資本主義(所有権と自由な取引に基づき、人間に多大な利益をもたらした制度)にあるのではない。縁故主義にある。(エコノミスト、フレッド・コフマン)
縁故主義の下では政府が企業に支配され、権力を使って市場に介入し企業に便宜を図る。縁故主義で栄える経営者は利害関係者のために働かず、国家権力を利用し市場経済の規律を免れる。資本主義は個人の野心を他者への奉仕に変えるが、縁故主義は個人の強欲を権力濫用に変える。(同)
縁故主義の下、政治家は親密企業に特別許可や公的助成、税控除を与える一方、その競争相手や消費者には関税や規制を押し付け、市場競争を妨げる。企業は向こう見ずに過剰なリスクを取る。成功すれば儲けは自分のものだし、失敗しても政府が助けてくれると知っているからだ。(同)
縁故主義の経営者は非難に値する。強欲で利己的で不道徳だ。人と環境を犠牲にし、果てしなく欲望を求め、人の権利を踏みにじる。だからマルクス主義者は労働者の搾取を論じた際、手がかりを人の心に求めたのだろう。しかし縁故主義の経営者は資本主義者ではない。マフィアだ。(同)
資本主義のやり方は縁故主義とは違う。自由な市場と法の支配の下では、冷淡で口先だけの欲張りな企業は儲けることができない。せいぜい目先の得だけだ。長期で稼ぐには共感(顧客や従業員らを理解する)、同情心(彼らに奉仕する)、公平さ(彼らを公正に扱う)が必要である。(同)
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