--帝国主義について。(1898年)
拡張主義と帝国主義は、スペインの今ある〔衰退の〕姿を招いた、国の繁栄にまつわる古びた哲学にすぎない。これらの哲学は、国民の虚栄と物欲に訴える。とくに初めうわべだけ見ると、魅惑的である。だから人気を集める強い効果があることは否定できない。 人を惑わせ、冷静に抵抗しないと堕落させられる。# 1898年4月25日、スペインの圧政からキューバを救うという名目で米国はスペインに宣戦布告した。米西戦争である。戦争は米国の圧倒的な勝利のうちにわずか三カ月で終わる。これを国務長官ジョン・ヘイは「輝かしき小戦争」と呼んだ。だが輝かしいと思った者ばかりではない。同年6月15日、フィリピンとプエルトリコの併合阻止をめざし、アメリカ反帝国主義連盟が結成される。連盟には鉄鋼王アンドリュー・カーネギー、作家マーク・トウェインなど著名人が名を連ね、その一人にエール大学教授の社会学者サムナーがいた。サムナーは講演で、米国は戦争でスペインに勝ったかもしれないが、その代わり、スペインの思想に制圧されたと論じた。その思想とは、暴力で他国を植民地とする帝国主義である。しかしサムナーら反帝国主義連盟の訴えは、勝利の喜びに沸き返る国民の耳には届かなかった。この後、米軍はフィリピンの独立運動を武力で鎮圧し、多数の市民を殺す。圧政を倒すという「正義の戦争」の欺瞞があらわになったのである。(木村)
Expansionism and imperialism are nothing but the old philosophies of national prosperity which have brought Spain to where she now is. Those philosophies appeal to national vanity and national cupidity. They are seductive, especially upon the first view and the most superficial judgment, and therefore it cannot be denied that they are very strong for popular effect. They are delusions, and they will lead us to ruin unless we are hard-headed enough to resist them.出所:oll.libertyfund.org
- William Graham Sumner
参考記事:民主主義をあがめるな(サムナー) - ラディカルな経済学
参考図書:『オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史』第一巻
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