2018-09-29

決闘のすすめ

米国と北朝鮮の緊張が高まっています。最近はトランプ米大統領が北朝鮮の金正恩委員長を「ちびのロケットマン」と罵ったのに対し、金委員長が「米国の老いぼれの狂人」と応じるなど、両国首脳の悪口合戦がエスカレートしています。

このように侮辱されたとき、昔の政治家がとった方法があります。決闘です。

昔といっても、騎士が馬を乗り回していた中世の話ではありません。近代以降に有名な例があります。

米国の建国の父の一人で、初代財務長官となったアレクサンダー・ハミルトンは1804年、政敵アーロン・バーと拳銃で決闘し、命を落とします。ハミルトンがバーを好ましからざる人物として非難したことに対し、バーが決闘を申し込んだのでした。

鉄血宰相として知られるドイツの政治家、ビスマルクは連邦議会のプロイセン代表だった1852年、自由主義者のフィンケ議員にからかわれたのに腹を立て、拳銃で決闘します。さいわいどちらもけがはありませんでした。ビスマルクは若い頃、非常に決闘好きで、ゲッティンゲン大学に在籍した1年半の間に25回も行ったと伝えられます。

イラク戦争突入前夜の2002年10月にはこんなことがありました。イラクのラマダン副大統領が米国に対し、戦争の代わりにブッシュ大統領がイラクのフセイン大統領と、チェイニー副大統領が自分とそれぞれ決闘して片を付けようと提案したのです。「そうすれば米国とイラクの人々を救える」と。

もちろん米国は、まじめに答えるに値しないと無視しました。ラマダン副大統領がどこまで本気だったのかはわかりません。けれども米コラムニスト、ジェフリー・タッカー氏が言うとおり、イラク戦争がもたらした多数の犠牲や今も続くイラクの混乱、難民危機、テロ組織イスラム国(IS)の台頭といった甚大なコストからすれば、まじめに考える価値は大いにあったといえます。

決闘や果し合いを私たちは野蛮だと笑います。しかし無関係な多数の人々を巻き添えにする戦争のほうが、よほど野蛮です。

トランプ大統領と金委員長は、決闘で片を付けてはどうでしょう。血を流す必要はありません。タッカー氏は、ゲームによる仮想決闘を提案しています。(2017/09/29

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