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「反インフレ経済勉強会」開講のお知らせ

インフレは税の一種です。しかも普通の税よりも悪質な税です。ところが、この事実はよく理解されていません。それどころか、多少のインフレはむしろ良いことだという嘘が、現在主流の国家主義的な、誤った経済学(ケインズ経済学)や、そこから派生した極端な説 (MMT=現代貨幣理論など) によっ...

2026-04-04

イラン戦争の結末

The Consequences of the War Against Iran - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】フランスの知性派ジャーナリスト、ティエリ・メイサン氏は、現在進行中のイランと米国・イスラエルによる紛争が、これまでの軍事戦略の常識を覆す歴史的な転換点になると分析しています。中規模の国家が、世界最強の軍事力を持つ超大国に対して、グローバル化時代の特性を活かした反撃を行い、勝利を収める可能性が出てきたからです。イランの戦略は、敵対する国家の軍事基地だけでなく、外国投資や企業などの経済的権益を標的にするという、これまでにない戦い方を選んでいます。

この紛争の根底には、ネタニヤフ首相が掲げる「修正主義シオニズム」の野望があると同氏は指摘します。これは単なるユダヤ人国家の建設に留まらず、ファシズムに近い思想背景を持ち、周辺国を支配する「大イスラエル」の建国を目指すものです。しかし、この戦争がもたらした最初の大きな余波は、米国内の「MAGA(アメリカを再び偉大に)」運動の分裂でした。トランプ大統領の支持者たちは、イスラエルのためだけに米国が戦争に巻き込まれることを拒否し、彼への信頼を急速に失っています。米国内で行われた3300ものデモは、単なる反戦運動ではなく、大統領の権力行使に対する異議申し立てとなりました。

また、米軍基地を受け入れることが、自国を守るどころか、逆に戦争の標的にされるリスクを招くという現実が浮き彫りになりました。イランの反撃を受けた湾岸諸国に対し、国連憲章は「攻撃に使用された領土を持つ第三者」への反撃も正当な権利として認めています。この事実は中国などの他国にも影響を与えており、台湾情勢を巡る戦略においても、島そのものではなくアジア太平洋地域の米軍基地を直接叩くという方針転換を促しています。米軍がいわば「紙の虎」になりつつある現状で、安価なミサイルを大量に保有するイランに対し、高額な迎撃ミサイルで対応し続ける米国は経済的にも兵器の在庫的にも追い詰められています。

イランは米国の脅しに屈するどころか、米国資本が関わるアルミニウム精錬所や大学の分校、空母などを次々と標的に指定し、独自のペースでエスカレーションを管理しています。トランプ大統領による交渉の試みも、テヘラン側は一貫して否定し、実力行使を続けています。イスラエルもまた、ガザやレバノンでの長期戦で疲弊しており、残された手段は核兵器の使用という究極の選択肢しかないという極めて危険な状況にあります。メイサン氏は、イスラエルが国際法を遵守する道を選ばない限り、この文明の衝突は破滅的な結末を迎えかねないと警鐘を鳴らしています。

無差別攻撃の歴史

‘Bomb back to the Stone Age’: US history of threats and carpet bombing | US-Israel war on Iran News | Al Jazeera [LINK]

【海外記事より】トランプ米大統領は先日、イランに対して「石器時代に戻るまで爆撃する」と警告し、ヘグセス国防長官もこの発言を支持する姿勢を見せました。「石器時代に戻す」という表現は、一般的に絨毯爆撃によって現代的なインフラをすべて破壊し、未開の状態に追い込むことを指します。専門家によれば、現代社会を特徴づけるエネルギー施設や通信網、医療、教育機関などを無差別に攻撃することは国際人道法で禁止されており、こうした脅しは民間人を標的にした重大な戦争犯罪を示唆するものとして批判されています。

しかし、米国が軍事作戦においてこのような過激な脅しを用い、実際に実行してきた歴史は決して新しいものではありません。この言葉の起源は、1965年に米空軍のカーチス・ルメイ氏が北ベトナムに対して放った言葉に遡ります。ルメイ氏は第二次世界大戦中、日本の都市への絨毯爆撃を指揮し、数十万人の犠牲者を出した人物としても知られています。ベトナム戦争では、ニクソン大統領がハノイなどに対して大規模な爆撃を命じたほか、カンボジアやラオスでも激しい空爆が行われ、膨大な数の民間人が犠牲となりました。

1990年代以降も同様の脅しは繰り返されています。1991年の湾岸戦争では、当時のベイカー国務長官がイラクの外相に対し、クウェートから撤退しなければ「石器時代に戻るまで爆撃する」と警告しました。米国は精密誘導兵器によるピンポイント攻撃を強調しましたが、実際には大量の無誘導爆弾も投下され、都市のインフラに甚大な被害を与えました。また、2001年の同時多発テロ後には、米国の高官がパキスタンのムシャラフ大統領に対し、対テロ戦争に協力しなければ「石器時代に送る」と迫ったという証言も残っています。

米国の爆撃の歴史はさらに古く、朝鮮戦争では北朝鮮の建物の80%以上、発電能力の95%が破壊されたと言われています。イランは米国が誕生する1000年以上前から高度な文明を築き、科学や哲学を発展させてきた歴史ある国です。今回のトランプ大統領の発言は、単にイラン政権を打倒するだけでなく、その社会や国民全体を攻撃対象とする姿勢を鮮明にしたものとして受け止められています。過去のベトナムや朝鮮半島、イラクでの事例が示す通り、米国のこうした修辞は単なる脅しに留まらず、しばしば壊滅的な武力行使を伴ってきたという背景があります。

プライベートクレジットの火種

Is Everything Contained in the Private Credit Market? | Economic Prism [LINK]

【海外記事より】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は先日、プライベート・クレジット市場の問題について、銀行システムとの関連性は見られず、他の市場へ混乱が波及する恐れはないとの見解を示しました。しかし、この記事の著者であるMNゴードン氏は、その楽観的な見方に疑問を投げかけています。プライベート・クレジットとは、銀行を介さずに企業へ直接融資を行う非公開の債権市場のことですが、長らく低金利が続いた時期に、富裕層や機関投資家が少しでも高い利回りを求めて資金を投じてきました。ところが現在、この市場の出口が事実上閉ざされるという事態が起きています。

大手運用会社であるモルガン・スタンレーやブラックロック、アポロ、ブルー・アウルといった企業のファンドでは、投資家からの解約請求が相次いでいますが、多くのファンドが償還に制限をかける「ゲート」を設けています。投資家が資産の10%以上の払い戻しを求めても、実際に支払われるのはその半分以下であったり、中には払い戻し自体を一時停止したりするケースも出ています。世界最大のオルタナティブ資産運用会社であるブラックストーンにいたっては、取り付け騒ぎを防ぐために4億ドルの自己資金を注入せざるを得ない状況に陥りました。これは、かつて「リスクが低く、利回りが高い」と宣伝されていたこの市場の流動性が、一夜にして蒸発してしまったことを物語っています。

苦境の原因は、過剰なレバレッジと金利の上昇にあります。2025年のデータによれば、米国のプライベート・クレジットのデフォルト率は9.2%に達しました。これは歴史的な平均値である2%から3.5%を大幅に上回り、1998年の通貨危機や2020年のパンデミック時の水準さえ超えています。特に変動金利で融資を受けていた中堅企業は、金利上昇によって利払い負担が倍増し、経営を圧迫されています。さらに、AIによる技術革新が特定のソフトウェア企業の価値を損なわせていることも、融資側にとっては大きな打撃となっています。

懸念されるのは、この問題が投資家以外にも及ぶ可能性です。格付け会社のムーディーズによれば、米国の銀行によるプライベート・クレジットへの融資露出は約3000億ドルに上ります。また、著名な投資家であるスティーブ・アイスマン氏は、保険業界がこの市場に深く関与していることを指摘し、不透明なオフショア子会社を利用した債務の付け替えが行われている可能性を警告しています。パウエル議長は「限定的である」と述べていますが、2007年に当時のバーナンキ議長がサブプライムローン問題を「限定的」と評した直後にリーマン・ショックが起きた歴史を忘れてはなりません。現実にJPモルガンなどの大手銀行は、プライベート・クレジットの担保評価を引き下げ始めており、当局の言葉とは裏腹に、金融システムへの火種は確実にくすぶり続けていると言えるでしょう。

銀需要、AI進歩で拡大

How Nvidia and AI are Driving Demand for Silver Higher | The Motley Fool [LINK]

【海外記事より】米国のハイテク企業であるエヌビディアが推進する人工知能(AI)技術の進歩が、銀の需要をさらなる高みへと押し上げようとしています。一般的に、銀は宝飾品としてのイメージが強いものの、実際には産業用需要、特に太陽光発電向けの需要が市場を牽引する重要な要素となっています。銀のような商品市場では、供給と需要のわずかな変化が価格の急騰を招くことがあり、最近数年間の銀価格の上昇もそうした背景から生じています。そして今、エヌビディアのアーキテクチャを採用した次世代データセンターという、新たな需要の波が訪れようとしています。

2027年に稼働が予定されている800ボルトの高電圧直流データセンターでは、従来の施設よりも多くの銀が使用される見込みです。銀は銅と比較して熱伝導率が高く、耐酸化性にも優れているため、特に高電圧環境において大きな利点があります。データセンター自体の効率向上やメンテナンスコストの削減に、銀の特性が不可欠なのです。AIアプリケーションの爆発的な普及に伴い、これらの新しいデータセンターの重要性は極めて高まっており、経済学でいう「価格弾力性が低い」状態、つまり銀の価格が多少上がったとしても、需要が減りにくい状況が生まれると考えられます。

最新の予測によれば、2025年の銀の総需要は価格高騰の影響でわずかに減少するものの、2026年には再び安定し、市場全体としては供給不足の状態が続くと見られています。供給不足は価格にとって上昇要因となります。もちろん、投資家による現物投資の動向や、価格高騰に伴う宝飾品需要の減退など、市場には複数の変動要因が存在するため、一時的な価格調整が起こる可能性には注意が必要です。しかし、太陽光発電や電気自動車に加えて、AI主導のデータセンターという新たな産業需要が加わることで、銀の長期的なファンダメンタルズは非常に良好であると言えます。

AI技術の進展は、半導体メーカーだけでなく、それを支える物理的なインフラや素材の需要にも劇的な変化をもたらしています。エヌビディアの技術革新が銀の消費構造を変化させ、非鉄金属市場に「第2の追い風」を吹かせているという事実は、投資家にとって無視できない視点となるでしょう。産業用需要が銀市場全体の約3分の2を占めるようになる中で、次世代データセンターの登場は、銀の価値を単なる貴金属から、デジタル社会を支える不可欠な産業資材へと再定義しつつあります。価格の押し目買いを検討する材料として、この新たな技術トレンドは極めて重要です。

銀の買い要因は強固

War Headlines Shook Prices, but the Bigger Silver Story Is Still Intact [LINK]

【海外記事より】ポッドキャスト番組「マネー・メタルズ」において、銀市場の専門家であるピーター・クラウス氏が、戦争やインフレ、そして銀の長期的な展望について語りました。クラウス氏は、短期的には戦争に伴う混乱が市場の変動を引き起こし、金や銀の価格を押し下げることもあると指摘します。しかし、中長期的な視点で見れば、戦争は極めてインフレを誘発しやすい要因であり、結果として貴金属価格を支えることになると主張しています。軍事行動には多額の費用がかかりますが、政府にはそれを賄う十分な現金がありません。そのため、通貨を増刷して対応せざるを得ず、このプロセスが今後数年にわたってインフレを加速させるという見解です。

投資家の間では、有事の際になぜ金や銀が売られるのかという疑問がありますが、クラウス氏はこれを「換金売り」として説明しています。貴金属はカウンターパーティ・リスクがなく、流動性が高いため、機関投資家や政府が急に現金を必要とした際の資金源になりやすいのです。実際に2008年の金融危機やパンデミック初期にも同様の現象が見られました。また、トルコのように予算を確保するために保有する金を売却する国もあり、こうした一時的な供給圧力が価格を押し下げることがあります。しかし、これは貴金属が資産としての役割を果たしている証拠であり、価値が失われたわけではありません。

米連邦準備理事会、いわゆるFRBによる利上げについても、クラウス氏は冷静な分析を示しています。過去のインフレ局面では大幅な利上げが行われましたが、当時と現在では政府債務の規模が全く異なります。1970年代の対GDP債務比率は35%程度でしたが、現在は120%を超えています。この状況で金利を大幅に上げれば、利払いの負担が深刻化するため、当局はインフレを完全に抑え込むような極端な利上げには踏み切れないはずだと同氏は見ています。債務の借り換え時期、いわゆる「満期の壁」も迫っており、今後2年間で米国の全債務の約半分が借り換えられる見通しです。この巨額の債務問題がある限り、高金利を維持し続けることは困難であり、政府は規律よりもインフレを容認する道を選ぶ可能性が高いとしています。

銀の需要構造が変化している点も重要です。かつて銀の需要の半分は産業用でしたが、現在は約67%にまで上昇しています。特に太陽光パネル向けの需要が急増しており、銀の産業利用の約20%を占めるまでになりました。また、ミサイルやレーダーなどの軍事関連でも銀は不可欠な素材であり、防衛予算の拡大が銀需要の下支えとなっています。一方で供給面では、鉱山生産とリサイクルを合わせても需要に追いつかない構造的な不足が5年連続で続いており、今後もこの傾向は続くと予想されています。クラウス氏は、目先の価格変動に惑わされることなく、インフレや債務問題、そして産業および軍事面での需要拡大という、銀を取り巻く強固な長期的要因に注目すべきであると結んでいます。

モラー氏の憲法蹂躙

The Late Robert Mueller, Bill of Rights Executioner | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】ジム・ボバード氏が執筆したこの記事は、先日81歳で亡くなった元連邦捜査局(FBI)長官、ロバート・モラー氏の功罪について、憲法と市民の自由という観点から厳しい再評価を試みています。大手メディアの中には、モラー氏を消えゆく高潔なエリートの模範として追悼する動きもありますが、著者は同氏を「21世紀版のジョン・エドガー・フーバー」と呼び、あらゆる口実を設けて憲法を軽視し、権力を拡大させた人物であると批判しています。モラー氏が長官に就任したのは、2001年の9.11テロ事件のわずか1週間前でした。事件後、同氏はテロの予兆を知らなかったと主張しましたが、実際にはフェニックスやミネアポリスの捜査官が、飛行訓練を受ける不審な人物について本部に警告を送っていた事実が後に判明しています。こうした不手際は、結果として愛国者法の成立を後押しし、FBIがアメリカ国民の個人情報を際限なく収集する権限を手に入れることにつながりました。

愛国者法によって、FBIが発行する国家安全保障書簡(NSL)の数は年間5万件へと急増しました。これにより、裁判所の令状なしに個人の金銭の出入り、居住歴、オンラインでの購入履歴、旅行先、ウェブの閲覧履歴、さらには電話やメールの相手に至るまで、膨大な私的データが押収されるようになったのです。モラー氏率いるFBIは、こうした権限の乱用を否定し、議会に対して書簡の発行数を過小報告していましたが、後に内部調査によって数千件の違法な発行の可能性が暴露されました。連邦判事の一人は、このプロセスを「法律による住居侵入」であり、憲法上の価値を乗っ取る恐ろしい行為であると非難しています。さらに、モラー氏は議会公聴会において、国家安全保障局(NSA)がアメリカ国民を監視しているかという問いに対し、否定的な回答をしましたが、実際には当時のブッシュ政権下で大規模な無令状盗聴が行われていたことが後に明らかになりました。

モラー氏によるプライバシー侵害の最大の成果とも言えるのが、愛国者法215条の解釈です。同氏は、テロ捜査に「関連がある」という名目で、全米の通話記録を収集し、NSAに提供する仕組みの構築において中心的な役割を果たしました。この監視体制は、2013年にエドワード・スノーデン氏のリークによって世に知られることとなります。連邦判事のリチャード・レオン氏は、司法の承認なしに行われるこの組織的なデータ収集を「オーウェル的」であり、無差別で恣意的な侵入であると断じました。モラー氏は議会で、特定の個人を対象とした令状なしに会話を聞くことはできないと弁明しましたが、実際には当局者に広範な裁量が与えられており、不審な検索を行っただけで監視対象とされるような不透明な運用が行われていたのです。

2017年、モラー氏はトランプ大統領とロシアとの共謀疑惑を調査する特別検察官に任命され、再び注目を集めました。2年間にわたるメディアの狂騒を経て、最終的に共謀の証拠は見つからなかったと認めましたが、2019年の議会証言では、尋問を受けるたびにミュラー氏が精神的に混乱しているように見えたことに、世間は衝撃を受けました。著者は、モラー氏の死後にその功績を美化しようとするメディアの動きを危惧しています。同氏の記録を白紙に戻して正当化することは、今後さらなるFBIによる権利侵害を招くことになると警告しています。この記事は、法執行機関のリーダーが国家安全保障の名の下にどのように市民の自由を侵食してきたのかを、一人の人物の経歴を通じて冷徹に描き出しています。

標的リストに巨大企業

Hit List: Iran Threatens US and Israeli Corporations - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】イランの革命防衛隊(IRGC)が、アメリカやイスラエルの軍事・諜報活動を支援しているとして、18の主要企業を「標的リスト」に含め、攻撃を警告したという記事をご紹介します。2026年3月31日に出されたこの声明によれば、イスラエルや湾岸協力会議(GCC)諸国で事業を展開するこれらの企業は「諜報機関」と見なされています。革命防衛隊は、これらの企業の人工知能(AI)や情報通信技術が、イラン国内でのテロ作戦や暗殺対象の追跡に利用されていると主張し、従業員や近隣住民に対して、命を守るために直ちに避難するよう呼びかけています。

標的リストには、世界的に知られる巨大企業が名を連ねています。エネルギー分野では、イスラエル軍に燃料を供給し、サウジアラビアでも事業を行うエクソンモービルや、イスラエルの天然ガス田を運営するシェブロン、そしてイラク戦争での復興事業で知られるハリバートンが含まれています。金融・投資分野では、世界最大の資産運用会社であり、イスラエルの国防関連企業にも投資しているブラックロックや、イスラエルの政府債券を引き受けているJPモルガンの名が挙がっています。これらの企業は、イスラエルの経済や軍事インフラを支える重要なパートナーであると見なされています。

テクノロジー分野の企業も、その高度な技術ゆえに強い警戒を向けられています。具体的には、アパッチ・ヘリコプターのエンジンを製造するGEエアロスペースや、F35戦闘機などの高度な兵器を供給するロッキード・マーティン、精密誘導爆弾を製造するボーイングといった軍需関連企業です。また、データ分析でイスラエル軍を支援しているとされるパランティアや、イスラエル国内に大規模な研究開発拠点を持ち、時価総額が4兆ドルを超えるエヌビディア、アップル、インテルといった半導体・IT大手の名前もリストに含まれています。さらに、クラウド事業を展開するオラクル、ITサービスのIBM、ネット上の検閲が指摘されているメタ(旧フェイスブック)、そしてシスコやテスラといった企業も標的とされています。

革命防衛隊の主張によれば、これらの企業が提供する技術は、イランの指導者を標的とした作戦などに転用されているとのことです。記事では、多くの企業がイスラエル国内に強固な拠点を持ち、軍や政府と密接な契約を結んでいる実態を詳しく伝えています。一方で、こうした企業に対しては、人権団体や活動家から、イスラエルのパレスチナでの行動を理由に投資撤収を求める声も上がっています。今回の警告は、中東地域で活動する多国籍企業にとって、地政学的な対立が直接的な安全保障上の脅威へと発展している現状を浮き彫りにしています。革命防衛隊は、デルやビザ、マスターカードなど、他にも多くの企業をリストに挙げており、緊張は一層高まっています。

NATOに抜本改革迫るか

Trump Might Finally Force NATO To Radically Reform - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】トランプ氏が主導するアメリカが、ついに北大西洋条約機構、いわゆるNATOに対して根本的な改革を迫る可能性が高まっています。その直接的なきっかけとなったのは、ホルムズ海峡の再開に向けた協力要請をNATO側が拒否したことです。これに対しトランプ氏は、先日の閣議で激しい怒りを表明しました。トランプ氏は、NATOについて、以前から「張子の虎」であると指摘してきたことに触れ、アメリカが加盟国を救うことはあっても、加盟国がアメリカを救うことは決してないと不満をあらわにしました。今回の要請拒否をNATOに対する一種の「テスト」であったと位置づけ、この出来事を数ヶ月後も、そして今後も決して忘れることはないと、同盟国に対して警告とも取れる発言をしています。

トランプ氏の不満は、ドイツなどの主要国に向けられています。ドイツ側がイランとの対立について「自分たちの戦争ではない」と発言したことに対し、トランプ氏は、それならばウクライナもアメリカの戦争ではないはずだが、自分たちは支援を行ってきたと反論しました。本来、アメリカは欧州をロシアから守るために存在しているが、理論上、広大な海に隔てられたアメリカ自身にはロシアの脅威は直接影響しないという考えを改めて示しています。こうした背景から、トランプ氏はNATOに新たな「ペイ・トゥ・プレイ(対価を支払う)」方式を導入することを検討していると報じられています。これは、国防費を国内総生産の5%という高い目標に設定し、これを達成しない国の意思決定権を制限したり、ドイツから米軍を撤退させたりすることを示唆するものです。

こうした動きは、単なる感情的な反発ではなく、アメリカの戦略的な優先順位の変化とも合致しています。政策担当者の間では「NATO 3.0」と呼ばれる構想が議論されており、これはNATOを「初期設定」の状態に戻すことを意味します。つまり、対ロシアの防衛負担を欧州諸国により多く担わせることで、アメリカは自国の軍事・戦略的なリソースを西半球や西太平洋、特に中国への対応へと振り向けるという方針です。ホルムズ海峡の安全確保は、アメリカよりもむしろNATO加盟国にとって死活問題であるにもかかわらず協力が得られなかったことは、この組織改革を加速させる強力な動機となっています。ドイツからの全面撤退は現実的に困難であっても、駐留米軍の一部削減などは十分に起こり得るシナリオです。

一方で、アメリカはすべての欧州拠点から手を引くわけではなく、ポーランドのように米国の国家安全保障戦略において中心的な役割を果たす国では、駐留規模を維持または拡大する可能性があります。また、トランプ氏によるNATO改革の推進は、ロシアのプーチン大統領に対しても、欧州の安全保障体制が変化しているというメッセージとして機能するでしょう。これがウクライナ問題における妥協を引き出す材料となり、停滞している和平交渉の突破口になるという見方もあります。ホルムズ海峡問題で生じた亀裂と、アメリカの中国重視へのシフトという二つの要因が重なり、NATOは今、その歴史の中で最も大きな変革の時を迎えているのかもしれません。

イラン大量殺害の嘘

Trump and the Phantom Dead of Iran - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】カート・ニモ氏が執筆したこの記事は、トランプ政権がイランに対して行っている主張とその実態の乖離について、厳しい視点から分析しています。最近、トランプ氏とその周辺は、イラン政府が自国民3万人を殺害したと主張していましたが、その数字はその後4万5000人にまで上方修正されました。記事の著者は、こうした数字の膨張は、テヘランへの爆撃や無実の市民への攻撃を正当化するための口実に過ぎないと指摘しています。数日間、あるいは数週間のうちに4万5000人もの人々を殺害し、写真や目撃証言を一切残さずに遺体を処理することは、物理的なロジックから考えても極めて不自然です。遺体安置所の溢れかえりや、衛星から確認できるはずの集団墓地といった形跡が全くないことから、亡命グループやメディアによる誇張である可能性が高いと著者は述べています。

トランプ氏の言動には、事実関係の矛盾が数多く見受けられます。例えば、3月初旬にイランがアメリカへの攻撃を企てていると主張しましたが、国防総省はそれを裏付ける情報はないと認めていました。それにもかかわらず、トランプ氏は知見に基づいた判断ではなく、親族などの助言を受けて軍事行動へと舵を切りました。後にトランプ氏自身、この行動がイスラエルの脅威を取り除くためのものであったことを認めています。最近では、イラン側が停戦を懇願しているという投稿もなされていますが、イランのアラグチ外相はこれを明確に否定しています。イラン側は、アメリカとの接触を拒否しており、交渉の最中に攻撃を仕掛けてくる相手とは対話の余地がないという立場を崩していません。

また、トランプ氏はイランの新政権がウランの放棄やミサイルの破棄、制裁の受け入れを望んでいると主張していますが、これも現実とは程遠い状況です。トランプ氏は、ホルムズ海峡が完全に開放されるまでイランを徹底的に攻撃し、石器時代に戻すとまで豪語しています。これに対し、イラン側も報復の構えを見せており、もし検閲がなければ、イスラエル、カタール、アラブ首長国連邦、バーレーン、クウェート、ヨルダン、サウジアラビアなど周辺諸国で起きている広範囲な破壊の実態が明らかになっていたはずだと記事は指摘しています。トランプ氏はイランが既に骨抜きにされたと宣言していますが、実際にはイランの軍事能力の多くは地下深くで維持されており、親イラン勢力によるイスラエルへの攻撃は今も続いています。

興味深いことに、トランプ氏は、アメリカが国内の保育や医療制度を維持できない理由として、イスラエルのために戦争を戦っているからだと、稀に本音を漏らすことがあります。記事の著者は、かつてのネオコン(新保守主義)思想を引用し、エリートが「高貴な嘘」をついて大衆を導くという考え方が、現在の政権にも形を変えて現れていると分析しています。しかし、トランプ氏の場合、それが高貴な嘘であるかどうかさえ重要ではなく、自らの発言を絶対的な真実と思い込む傾向があると著者は警鐘を鳴らしています。事実を疑う者を敗北者として切り捨てるような姿勢は、民主的な議論を拒絶するものであり、現在のイラン情勢を巡る危うい言説の根底にあると結論づけています。

金は木に実る?

Gold Growing on Trees? [LINK]

【海外記事より】マイク・マハリー氏が執筆した記事によると、「金は木には実らない」という通説を覆すような、非常に興味深い発見が報告されています。実際に木の中で金が発見された事例があり、オーストラリアの研究者たちが、ユーカリの木の葉からごく微量の金の痕跡を見つけ出したのです。もっとも、これは決して手軽な金儲けの手段になるような話ではありません。葉に含まれている金はナノ粒子レベルの極めて小さなものであり、その濃度は10億分の80という、非常にわずかな量にとどまっています。それでも、植物の体内に貴金属が取り込まれているという事実は、科学的に見て非常に注目すべき現象であると言えます。

なぜ、このように木の中に金が含まれることになったのでしょうか。科学者たちは、地下深くにある金鉱床の上に生えている木が、その深い根を通じて金属を吸い上げていると考えています。例えば、ユーカリの根は地下30メートルもの深さにまで達することが知られています。この現象は「バイオミネラリゼーション」と呼ばれており、微生物や酸化の働きによって、金属イオンが土壌から茎を通り、最終的に葉へと運ばれていく仕組みです。この研究の主筆者であるメルヴィン・リンターン氏は、ユーカリの木がさながら水圧ポンプのような役割を果たしていると説明しています。植物はもちろん金を探しているわけではなく、生きるために必要な水を求めて根を伸ばしているのですが、その水の中にたまたま金が溶け込んでいたということなのです。

金の粒子が最終的に葉へとたどり着くのは、木がそれを体外へ排出しようとしている兆候である可能性が指摘されています。科学者たちの分析によれば、葉の中の金粒子は、毒性のある化学物質を排出するための経路の一部と考えられているシュウ酸カルシウムの結晶の近くで見つかることが多いそうです。この発見の正当性を確認するため、研究チームは温室での実験も行いました。ユーカリの苗木を、実際の環境と同程度の金を含んだ土壌で育てたところ、野生のユーカリと同様に地下深くから金を吸い上げていることが裏付けられました。さらに、この現象はオーストラリアに限ったことではなく、フィンランドの科学者たちも、欧州トウヒの針葉の中に埋もれた金のナノ粒子を発見しています。

もちろん、木の葉から金を採掘して利益を得ようとする人はいませんが、このバイオミネラリゼーションのプロセスを理解することは、鉱山会社が新しい金鉱床を発見する上で大きな助けになる可能性があります。地表近くにある採掘しやすい金の多くが既に掘り尽くされてしまった現代において、植物が地中深くへと根を伸ばして行っている天然の資源探査能力を活用することには、大きな合理性があります。植物の力を借りることで、調査のために掘削する試掘坑の数を減らせるかもしれません。その結果として、採掘に伴う環境破壊を抑え、植物の生息地を守ることにも繋がります。実際に2019年には、ある資源探査会社が木の葉を手がかりにして、オーストラリアで1トンあたり3.4グラムの金を含む6メートルの金脈を特定することに成功しました。自然界が作り出した金探知の仕組みは、時に人間の技術を凌駕するほど精緻なものであり、私たちが周囲の世界をより注意深く観察することの重要性を教えてくれています。

2026-04-03

インフレ時代を生き抜く法

Rising Prices and Falling Values—Inflation and Social Decay - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】最近、食料品店やレストラン、空港など、あらゆる場所でサービスの質の低下と価格の上昇が同時に起きています。生活水準は大きく後退しており、この傾向は今後さらに悪化すると予想されます。著名な投資家であるダグ・ケイシー氏によれば、多くの人々は物価高の原因を生産者に求めがちですが、それは大きな誤解です。自然災害などの例外を除き、物価の上昇は100%通貨供給量の増加、つまり政府による通貨価値の毀損によって引き起こされます。政府は価値を創造せず、規制や税金、そして不換紙幣を生み出すだけです。通貨を増やすことは、国家が国民から密かに富を盗んでいることに他なりません。

インフレは単なる経済現象ではなく、社会の道徳基準を侵食する毒となります。通貨が価値を失うとき、人々は生存のために嘘や不正、あるいは窃盗に手を染めるようになります。本来、自由な市場であれば価格は下がり、生活水準は向上するはずです。しかし、中央銀行が目標とする2%のインフレという設定は、貯蓄を奪い、中産階級を崩壊させる仕組みです。さらに、インフレ下では、政府に近い一部のエリート層が、新たに発行された通貨をいち早く手にすることで富を築きます。一般市民が生産によって豊かになれない一方で、非生産的な層が肥大化し、社会全体が「持てる者」から盗み合う戦場のような状態へと変貌していくのです。

こうした社会の腐敗は、法体系にも現れます。アメリカには140万人もの弁護士が存在しますが、これは法が複雑化し、生産者から富を奪うための「武器」として機能している証拠です。歴史を振り返れば、通貨の破壊が社会の混乱を招いた例は枚挙にいとまがありません。第一次世界大戦後のドイツ・ワイマール共和国では、ハイパーインフレによる社会の動揺がナチスの台頭を招きました。富を築くことが困難になると、人々は生産ではなく政治権力を通じて他者の富を奪おうとし、それが政治的・社会的な不安定さを永続させることになります。

このようなインフレと社会の崩壊から身を守るために、ケイシー氏は「スキルを磨くこと」の重要性を説いています。特定の分野に特化するのではなく、状況の変化に応じて人々に求められるものを生み出せる多様な能力を持つべきです。大学で多額の費用と時間を費やすよりも、知的、身体的、経済的に困難な時代に備える方が賢明です。自分の消費以上に生産し、その余剰分を貴金属などの現物資産で保有することで、政府によるインフレから自分の富を守る必要があります。SF作家ハインラインが言うように専門化は昆虫に任せ、人間は自立した生産者として生きるべきであると、この記事は締めくくっています。

政府の嘘、国民の目覚め

What I Learned Talking About the Empire | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】アメリカのディープステート(闇の政府)は、国民が何も知らないと思い込んでいるようですが、現実は異なりつつあります。近著「嘘の帝国」の宣伝を通じて多くのアメリカ国民と対話してきた著者のチャールズ・ゴイエット氏は、政府による世論操作の嘘がもはや通用しなくなっていると指摘します。例えばマルコ・ルビオ国務長官は、イランの核武装がいかに危険かを説いていますが、これは過去に核開発を放棄したリビアのカダフィ大佐がどのような悲惨な末路をたどったかを無視した議論です。北朝鮮の金正恩氏が核を手放さないのは、核抑止力を持たない国がアメリカという軍事的帝国の標的になることを理解しているからに他なりません。

現在、アメリカ国内ではイランとの戦争を正当化するために、いくつかの偽りの記憶、いわゆる「ミーム」が拡散されています。その第一は、イランが47年間もアメリカと戦争状態にあるという主張です。しかし、歴史を1979年の革命から語り始めるのは不誠実です。実際には1953年にCIAがイランの民主的な政権を転覆させ、残忍な独裁者を据えた歴史があります。第二のミームは、イランが「あと数日で核兵器を手にする」という危機感の煽りです。ネタニヤフ首相は25年前から同じことを言い続けていますが、米インテリジェンス機関の報告では、イランが組織的な核兵器製造プログラムを行っているという確実な証拠は見当たらないのが実情です。

さらに、イランを「諸悪の根源(ヘビの頭)」と呼び、多くのアメリカ人を殺害した責任があるとする言説も政治家の間で繰り返されています。しかし、イラク戦争などで米兵の犠牲をもたらした攻撃の多くは、イラン系の勢力ではなく、アルカイダなどのスンニ派組織によるものでした。このように事実を歪めたプロパティガンダが横行していますが、現代のアメリカ国民はかつてのイラク戦争時ほど盲目的ではありません。多くの人々が、大量破壊兵器の嘘や近年の政府による様々な欺瞞を経験したことで、当局への信頼を失っているからです。

ゴイエット氏がラジオやポッドキャストで語るメッセージは、かつてイラク戦争に反対した時よりも、はるかに大きな共感を持って迎えられているといいます。トランプ大統領の熱心な支持者層でさえ、政権が掲げていた「政権交代のための戦争はもうしない」という公約が裏切られたことに気づき始めています。保守系の政治集会の空席や現政権への厳しい視線は、国民がもはや政府の筋書きを鵜呑みにしていない証拠です。世界が経済的な危機の淵にあり、ホワイトハウスが対イラン攻撃を示唆する強硬な声明を出す中で、国民の「目覚め」が手遅れにならないことを著者は切実に願っています。

米駆逐艦、極超音速兵器を搭載へ

US Navy Awards Lockheed $1.35B to Field Hypersonics on USS Zumwalt [LINK]

【海外記事より】アメリカ海軍は、ロッキード・マーティン社に対し、最新鋭のステルス駆逐艦「ズムウォルト」へ極超音速兵器を搭載するための契約として、13億5000万ドルの修正契約を締結しました。この契約には、統合的なプログラム管理やエンジニアリング、ミサイル生産に必要な長納期材料の調達、さらには試験や専用工具の整備などが含まれています。作業の大部分はコロラド州デンバーで行われる予定で、全体の完了は2032年9月を目指しています。これにより、アメリカ海軍が推進する「統合即応攻撃(CPS)」と呼ばれる極超音速兵器システムの運用が本格化することになります。

今回の契約は、ズムウォルトが造船所での大規模な改修を終え、海上試運転を開始したことを受けて行われました。この改修では、当初搭載されていた2基の155ミリ砲が取り外され、代わりに直径87インチの大型ミサイル発射筒が4基設置されました。それぞれの発射筒には、海軍と陸軍が共同で開発している極超音速滑空体を搭載したミサイルを3発ずつ、計12発格納することができます。このシステムは、海上や海中のプラットフォームから、2775キロメートル以上の射程距離で非核の精密打撃を行う能力を備えるように設計されており、現代の防衛網を突破する強力な攻撃手段となります。

極超音速兵器の統合によって、ズムウォルト級駆逐艦の役割は、従来の沿岸作戦から外洋での長距離打撃任務へと大きく拡大することになります。実際の艦上試験については、現在進行中の地上試験の状況などの影響もあり、2027年または2028年に実施される見通しです。アメリカ海軍は今後、このシステムを同型の「マイケル・マンスーア」や「リンドン・B・ジョンソン」にも順次導入していく計画です。さらに、将来的にはバージニア級原子力潜水艦への搭載も予定されており、極超音速兵器による打撃能力を艦隊全体へと広げていく方針を明確にしています。

米軍事予算1.5兆ドル要求へ

Trump Set To Unveil His $1.5 Trillion Military Budget Request Amid Raging Iran War - News From Antiwar.com [LINK]

【海外記事より】トランプ米大統領は、2027会計年度の軍事予算として1.5兆ドルを要求する見通しです。これは今年度の予算から50%もの大幅な増額となります。2026年度の軍事予算は、国防権限法による約9000億ドルと追加支出を合わせ、史上初めて1兆ドルを突破しましたが、ホワイトハウスは次年度に向けてさらに規模を拡大させる方針です。具体的には、1兆ドル規模の国防権限法に加えて、4000億ドルから6000億ドルにのぼる補正予算を組み合わせる戦略を検討しており、議会の共和党指導部もすでにこの追加予算に向けた準備に着手していると報じられています。

この巨額予算の背景には、現在1か月以上にわたって激化しているイランとの戦争があります。トランプ政権は、これまでの戦闘で消耗した防空弾薬やミサイルを補充するため、近く2000億ドルの緊急支出を議会に求める予定です。この記事によれば、このイラン戦費が2027年度予算の補正分に含まれるのか、あるいは別途追加されるのかは現時点では不透明です。また、1.5兆ドルの予算要求には、トランプ氏が掲げる全米規模のミサイル防衛システム「ゴールデンドーム」計画に充てられる1850億ドルが含まれています。この計画は米国の兵器メーカーに多大な利益をもたらす一方で、新たな軍備拡張競争を引き起こす可能性も懸念されています。

さらに、今回の予算案には中国に対する「抑止力」を高めるための兵器増産や、中東およびウクライナでの戦争で消費された武器の補充費用も盛り込まれる予定です。ホワイトハウスは、国内機関の予算を削減して軍事費を捻出する構えを見せており、この大規模な軍備増強を中間選挙に向けた共和党の主要なメッセージとして位置づけています。米国がイランの島嶼部や港湾に対する地上作戦の開始を目前に控え、米軍に多大な犠牲が出る恐れがある中で、この予算要求が行われることになります。トランプ氏は就任当初こそ軍事予算の削減に意欲を見せていましたが、実際には世界各地での軍事介入を劇的に拡大させ、記録的な支出を追求する形となっています。

米朝対話を急げ

North Korea's Nuclear Status Requires Urgent Negotiation | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は、自国が核保有国であることを公式に宣言しました。最高人民会議での演説において、核保有国としての地位は不可逆的な進路であり、敵対勢力に対して核抑止力をさらに拡大・発展させていく方針を明確に示しました。この記事の著者によれば、こうした北朝鮮の姿勢は決して驚くべきことではなく、以前からその兆候は十分に現れていました。平壌はすでに小規模な核兵器を配備しており、米国や韓国などが安全保障上の譲歩をしたとしても、核を放棄する意思がないことを隠さなくなっています。北朝鮮当局は、欧米諸国が求める非核化という要求を、もはや議論の余地がない時代遅れのものとして切り捨てています。

実際、2025年4月に金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党総務部長は、米国が非核化を強要し続けるのであれば、それは自衛のための核戦力増強を正当化するだけだと警告していました。さらに彼女は同年7月に、2025年という年は2018年や2019年とは状況が異なると強調しました。北朝鮮を取り巻く地政学的環境は激変しており、特にロシアとの軍事的な結びつきが強まったことは重要な変化です。かつては北朝鮮の核兵器保有に消極的だったロシアも、ウクライナでの戦争を通じて北朝鮮から地上部隊の派遣や支援を受けるようになり、その反対姿勢は消滅しました。こうした背景から、北朝鮮は自国の核保有を、米韓による攻撃を防ぐための正当な抑止力であると主張し続けています。

北朝鮮が核に固執する背景には、近年の米国やイスラエルの行動に対する不信感もあります。専門家は、イランやベネズエラに対する米国の軍事行動が、北朝鮮に対して「現代における唯一の安全保障は核兵器である」という認識を確信させたと指摘しています。金正恩総書記も、米国が世界中で国家テロや侵略を行っていると非難し、米国の行動こそが自国の核武装を正当化していると述べています。一方で、米国の対北朝鮮政策は依然として現実から乖離していると記事は批判します。歴代の米政権は一貫して北朝鮮に非核化を求めてきましたが、北朝鮮が約50発の核弾頭を保有し、米本土に到達し得る弾道ミサイルを開発している現状において、その目標はもはや幻想に近いというわけです。

こうした現状を踏まえ、著者は米国が北朝鮮との関係を抜本的に見直すべきだと提言しています。現在、米国は北朝鮮と公式な関係を持っておらず、これが経済や安全保障における重大なリスクとなっているからです。まずは北朝鮮を国家として正式に承認し、互いの首都に大使館を設置すること、そして1953年の休戦協定を平和条約に切り替えて朝鮮戦争を正式に終結させることが求められています。加えて、偶発的な衝突を避けるための緊張緩和に向けた対話も不可欠です。中東での紛争に巻き込まれている米国にとって、太平洋の反対側でさらなる重大な紛争を引き起こす危険を冒すべきではないと、この記事は冷静に警鐘を鳴らしています。

「交渉中」の嘘

Are There, or Will There Be, US Negotiations with Iran? - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】トランプ大統領はイランの重要人物と交渉中であると述べていますが、元英国外交官のアリステア・クルーク氏は、これを事実に基づかない虚構であると断じています。過去のウクライナ紛争やガザでの停戦交渉においても、具体的な進展がないまま「交渉中」というナラティブ(物語)だけが先行するパターンが繰り返されてきました。今回もトランク氏の側近であるウィトコフ氏やクシュナー氏が15項目の和平案を作成し、イラン側が合意を熱望していると宣伝しましたが、イラン軍の広報官はこれを即座に拒絶しました。イラン側には、長年の米イスラエルによる湾岸地域の支配を打破し、自国の経済・軍事圏を確立するという独自の戦略的野心があり、現時点での妥協には全く関心を示していません。

この記事によれば、イランは数十年に及ぶ準備の結果、この紛争において優位な立場を築いています。世界の石油輸出の20%が通過するホルムズ海峡の実効支配を通じて、イランは原油価格や供給量を操作する手段を手に入れています。さらに、ヘリウムや肥料、食品、硫酸といった世界的なサプライチェーンも同海峡に依存しており、ここが閉鎖されれば世界経済に壊滅的な打撃を与えることになります。イラン側は、通過する船舶に対して人民元での支払いを要求するなど、米ドルの覇権を直接脅かすカードも切っています。米国の中間選挙を控えるトランプ氏にとって、ドル覇権の失墜や経済の混乱は致命的な弱点であり、イラン側はこの急所を的確に突いています。

一方で、イスラエルはイランの体制転換という当初の目標が困難であることを認め、戦略を転換しています。現在は、イランの石油輸出の拠点であるカーグ島を米軍が占領し、物理的に管理することを要求しています。しかし、これは米軍に多くの死傷者が出るリスクを伴う危険な賭けです。元CIA職員のラリー・ジョンソン氏は、米軍による島への介入が差し迫っている可能性を示唆していますが、それはイランによる機雷の敷設や地対艦ミサイル攻撃を招き、ホルムズ海峡の完全封鎖を招く結果になりかねないと警告しています。イラン側も「米軍が来るのを何年も待っていた」と挑発的な姿勢を崩しておらず、事態は出口の見えない極めて危険な局面へと向かっています。

ミーゼス研究所とロスバードの遺産

The Mises Institute Versus the Legacy of Murray Rothbard - Instituto Rothbard Brasil [LINK]

【海外記事より】米国のミーゼス研究所において、近頃その編集方針や思想的な純潔性を巡る深刻な議論が巻き起こっています。本来、マレー・ロスバードの遺産を継承し、国家介入を一切認めない純粋な自由社会を目指すはずの同研究所のサイトに、国家の役割を肯定する「責任ある国家主義」とも取れる内容の記事が掲載されたことが発端です。批判の矢面に立たされているのは、財政規律や予算の均衡を「経済計算を維持するための最低条件」と称える主張です。しかし、ロスバード主義の観点から見れば、国家による課税は本質的に略奪であり、たとえ予算が均衡していてもその不道徳性は変わりません。また、中央銀行による通貨発行や公開市場操作を無視して、単に財政赤字の解消だけで経済の歪みが正されると説くのは、オーストリア学派の理論を曲解するものだという厳しい指摘がなされています。

この記事の著者は、古典的自由主義の立場を引き合いに出し、税金がインフラなどの公共サービスと引き換えに提供される「強制的な拠出」であれば正当化される可能性を示唆しています。しかし、これは自由市場における競争とは無縁の独占的強制であり、国家による「強奪」と何ら変わりはありません。かつて「限定的な政府」を目指した試みが、結果として肥大化した無制限の政府を生んできた歴史を考えれば、こうした妥協的な姿勢は個人の自由を著しく損なう危うさを秘めています。さらに、著名な経済学者であるダニエル・ラカジェ氏のような人物が、中央銀行に「財政暴走を抑える役割」を期待するような発言を同研究所のプラットフォームで行っていることも、混乱に拍車をかけています。本来、中央銀行は政府の支出を際限なく可能にするための装置として機能してきたのであり、その独立性を信じることは、オーストリア学派の歴史認識から大きく逸脱していると言わざるを得ません。

こうした変節の象徴として挙げられているのが、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領に対する評価です。彼は自らを無政府資本主義者と称していますが、実際には増税によって財政黒字を演出し、中央銀行を存続させて金融エリートに奉仕させているとの批判があります。ミーゼス研究所がこうした「ミレイ主義」を、検証を欠いたままプロパガンダ的に宣伝し続けている現状は、真実を追究する研究機関としての信頼を揺るがしています。研究所内には依然として優れた学術的成果があるものの、編集陣が本来の価値観を軽視し、妥協的な国家主義を許容している現状は、知的・道徳的な衰退であると断じられています。ハンス=ヘルマン・ホッペ氏のような重鎮からも、現在の研究所の状況はロスバードの遺産に対する裏切りであるとの懸念が示されており、自由主義運動の聖地としてのあり方が今、激しく問われています。

中央銀行の金購入が回復

Central Bank Gold Buying Rebounded in February [LINK]

【海外記事より】世界の中央銀行によるゴールドの買い越し額は、停滞していた2026年1月と比較して、2月には再びプラスへと転じました。トルコやロシアによる売却があったものの、世界全体ではネットで19トンのゴールドが準備資産に加えられています。ただし、価格の高騰が積み増しのペースに影響を与えている側面もあり、月平均26トンを記録した昨年の勢いと比較すると、各国の中央銀行は価格動向を慎重に見極めながら蓄積を進めている様子が伺えます。

個別に見ると、ポーランドが2月に20トンを購入し、最大の買い手となりました。同国は2025年にも年間102トンを購入して世界をリードしており、最終的には保有量を700トンまで引き上げ、世界トップ10の「エリート国」入りを目指すという明確な戦略を持っています。また、ウズベキスタンが8トン、チェコが2トンを追加したほか、マレーシアも2018年以来となる購入に踏み切りました。中国人民銀行も16か月連続となる1トンの増加を報告し、公表ベースの保有量は2308トンに達しています。しかし、専門家の分析によれば、中国は公表値の2倍以上にあたる5000トンを超えるゴールドを秘匿している可能性も指摘されています。さらに、アフリカ諸国でも、国際金融市場のリスク管理や多角化を目的として、国内で産出されるゴールドを買い取る独自のプログラムを開始する動きが広がっています。

一方で、通貨リラの下落に苦しむトルコが8トン、制裁下にあるロシアが6トンを売却するなど、経済防衛のために備蓄を切り崩す動きも見られました。2025年を通じた中央銀行の純購入量は前年比で21%減少しましたが、それでも2010年から2021年の平均値である473トンを大きく上回る863.3トンという高い水準を維持しています。世界的な経済や地政学的な不透明感が続く中で、中央銀行のゴールドに対する長期的かつ戦略的な関心は極めて高く、最新の調査でも、今後12か月間に世界の金準備はさらに増加すると予想されています。価格高騰による慎重な姿勢は見られるものの、中央銀行にとってのゴールドの重要性は、かつてないほど盤石なものとなっているようです。

中国、金需要が二極化

Chinese Gold Demand: A Tale of Two Sectors [LINK]

【海外記事より】中国のゴールド市場は現在、二つの部門で対照的な動きを見せています。宝飾品部門が価格高騰の影響で苦戦を強いられる一方で、投資需要はかつてないほどの熱気に包まれています。貴金属分析機関のメタルズ・フォーカス社によれば、安全資産や資産保全への意識が高まったことで投資用の金需要は急増しましたが、高値圏での推移や消費支出の減退が宝飾品市場には強い逆風となっています。2025年の中国における金宝飾品の需要は360トンに留まり、2023年の630トンと比較して半分近くまで落ち込みました。2026年に入ってからも、旧正月前の小売店が在庫積み増しに慎重になるなど、依然として弱い動きが続いています。これは価格の高さに加え、観光や娯楽への支出優先、可処分所得の減少、そしてより軽量な製品を好む傾向といった要因が重なった結果であると分析されています。

一方で、投資としてのゴールド需要は記録的な活況を呈しています。2025年の金地金およびコインの購入量は前年比28%増の432トンに達し、統計開始以来、初めて実物投資需要が宝飾品需要を上回りました。投資家たちは昨年の価格上昇局面において、一時的な価格の下落を絶好の買い場と捉え、積極的に購入を進めたことが判明しています。特に富裕層の間では、国内外の経済的な不透明感や米国の政策への不安を背景に、分散投資の手段としてゴールドをポートフォリオに加える動きが加速しました。さらに2025年末の付加価値税政策の変更も、宝飾品と比較して投資用ゴールドの魅力を高める結果となりました。この税制優遇により、地金製品は宝飾品に対して少なくとも6%の価格優位性を持つことになり、宝飾品から地金へと需要のシフトが鮮明になっています。

2026年の年初もこの勢いは衰えず、金地金の販売が伸びたことで一部の銀行や小売店では旧正月前に特定のサイズが品切れになる事態も発生しました。また、現物を好む傾向が強い中国市場において、近年は金ETFへの投資も急増しており、2026年の最初の2ヶ月間だけで46トンの資金流入を記録しています。こうした市場の過熱を受け、中国の規制当局は個人投資家の保護と投機抑制を目的に、金の積立プランの最低購入額の引き上げや、先物取引の証拠金要件の厳格化といった対策に乗り出しました。しかし、メタルズ・フォーカス社の分析では、こうした規制強化にもかかわらず、今年の中国における金投資需要はさらに7%増加すると予測されています。経済の先行きへの懸念が続く中で、中国の人々にとってゴールドは依然として最も魅力的な資産であり続けているようです。

金か暗号資産か

Schiff on Capital Cosm: Buy Gold, Dump Crypto | SchiffGold [LINK]

【海外記事より】米国の経済評論家ピーター・シフ氏が最新のインタビューで、現在の不透明な経済情勢において、なぜゴールドが最も信頼できる資産であり、一方で暗号資産を売却すべきなのかについて論じています。シフ氏は、近年の金価格の一時的な下落は短期的な流動性の問題に過ぎず、長期的な上昇トレンドが変わったわけではないと分析しています。市場は米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見送りや利上げの可能性に過剰に反応していますが、ゴールドの本質的な価値は中央銀行の政策に左右されるものではないと主張しています。むしろ、政府が戦争関連の支出を賄うために財政赤字を拡大させ、通貨を増刷し続ける現状こそが、貴金属への需要を押し上げる要因になると見ています。実際に、過去の危機において膨大な量のドルが発行されたのと同様に、今後も軍事費や予算赤字を埋めるために通貨供給量が増えることは避けられず、それがインフレの波を加速させると警告しています。

シフ氏は、ビットコインを価値の保存手段ではなく、ハイテク株やナスダック市場のリスクを反映する指標であると定義しています。同氏の視点では、ビットコインはデジタル・ゴールドなどではなく、ゴールドとは正反対の動きをする「デジタル・アンチゴールド」です。足元の市場では、ビットコイン価格が急落して4万ドルを目指すような動きが見られる一方で、ゴールドは底を打って反発の兆しを見せていると指摘しています。これまでビットコインに資金を投じてきた投資家たちが、そこから離脱してゴールドへ回帰する「ローテーション」が始まっているというのが同氏の認識です。中央銀行がドルからゴールドへ資産を移す中で、個人投資家も同様の動きを見せていますが、暗号資産の買い手が不在となる中で、出口を求める売りが加速する懸念を表明しています。ビットコイン強気派が市場に参入しきった現在、誰がそれを買い支えるのかという点に疑問を呈しています。

金鉱株については、エネルギー価格の上昇が逆風になる可能性を認めつつも、業績への影響は限定的であると述べています。燃料費が安かった時期でも、金や銀の価格上昇による利益が株価に十分に反映されていなかったため、コスト増によって評価を大きく下げる必要はないという論理です。エネルギー価格の上昇で利益が多少抑制されたとしても、貴金属価格の高騰による利益は依然として莫大なものになると予測しています。また、紛争の影響についても独自の視点を示しており、短期的には和平の実現が原油安や利下げ期待を通じて金価格を急騰させる可能性がある一方で、長期的には紛争の継続が財政赤字とインフレを招き、結果としてゴールドにより有利な環境を作り出すと分析しています。名目金利からインフレ率を引いた実質金利の動向こそが重要であり、どのようなシナリオを辿るにせよ、長期的な金価格の上昇は避けられないというのが同氏の揺るぎない結論です。

2026-04-02

NGOによる内政干渉

Amnesty International Defends US Regime-Change NGOs: Venezuela, Nicaragua, and Cuba - Antiwar.com [LINK]

【海外記事より】アムネスティ・インターナショナルが最近発表した報告書は、ニカラグア、ベネズエラ、キューバなどのラテンアメリカ諸国が非営利団体(NGO)を相次いで閉鎖していることを、「人権を制限し社会基盤を破壊する動き」として厳しく非難しています。しかし、ジョン・ペリー氏とロジャー・D・ハリス氏の両分析家は、この報告書がNGOによる政治工作や国家の不安定化という重要な側面を無視した、極めて偏った内容であると反論しています。アムネスティは対象となる約4万の団体のうち、わずか15団体への聞き取りのみで結論を出しており、各国の政府関係者への取材も一切行っていません。

アムネスティが無視している最大の要因は、米国によるNGOを介した内政干渉の歴史です。例えばキューバでは、米国国際開発庁(USAID)が反政府活動を促すために多額の資金を投じており、2021年の暴力的なデモにも関与したと指摘されています。ニカラグアでも、全米民主主義基金(NED)などの団体が、2018年のクーデター未遂事件に際して若者への政治教育や暴動の土台作りに加担したことが報告されています。ベネズエラでも同様に、人道支援の名目で提供された資金が、米国の望む「体制転換」のための活動に転用されてきました。こうした外国資本による国家の不安定化工作から自国を守るために、各国が規制を強化しているという背景が完全に抜け落ちているのです。

さらに、アムネスティはこれらの規制法をロシアの「外国代理人法」になぞらえて批判していますが、実際には米国の「外国代理人登録法(FARA)」こそが多くの国々にとってのモデルとなっています。米国では、規定に従わない非営利団体を毎年約4万4000団体も閉鎖しており、英国でも毎年約4000団体が閉鎖されています。つまり、NGOに対する規制や登録制度の導入は、西側諸国を含む世界的な潮流であり、ラテンアメリカ諸国特有の異常な人権弾圧ではないのです。アムネスティは西側諸国の事例との比較を避け、特定の国々だけをターゲットにすることで、偏ったナラティブを構築していると著者らは主張しています。

アムネスティには、以前からベネズエラやキューバなどに対して偏向した姿勢を取ってきた歴史があります。国際法違反である米国の経済制裁がこれらの国々に与える悪影響を過小評価する一方で、暴力的なクーデター未遂を扇動した人物を「良心の囚人」として称揚するなどの矛盾が指摘されています。かつての国連専門家は、NGOという業界が情報機関によって深く浸透・腐敗しており、主権国家の内政に干渉する道具になっていると警告しました。アムネスティの今回の報告書も、米国が支援する反対派の主張のみに基づいたものであり、米国による支配から脱却しようとする国々の主権を守る戦いを無視したものだと言わざるを得ません。

自由の危機と希望

Hope for the Dead - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】アメリカの元判事であり憲法学者でもあるアンドリュー・ナポリターノ氏は、イースター(復活祭)を前に、現代のアメリカが直面している自由の危機と、信仰がもたらす希望について深い洞察を述べています。かつてアメリカの入植者たちが英国の圧政に対して立ち上がった際、彼らが最も求めたのは「自由」でした。当時、英国政府は秘密裁判所を通じて一般捜索令状を発行し、市民の私生活を侵害しました。ナポリターノ氏は、現代のワシントンにおける秘密裁判所や、令状なしの通信傍受、さらには宣戦布告や正当な手続きを経ないドローン攻撃による殺害など、現代の政府が行っている行為は当時の圧政と酷似していると指摘しています。

自由とは、政府の許可証なしに個人の選択を行う能力、すなわち「自由意志」を行使することです。ナポリターノ氏の考えによれば、自由意志は神から無条件で与えられた贈り物であり、人間性の本質です。政府が法律や行政命令によって自由を奪うことは、神からの贈り物を盗み、自然法や憲法に違反する行為に他なりません。自由がなければ、人は真の幸福や真実に到達することはできないのです。現在のアメリカ政府は、無謀なインフレを引き起こし、法を無視して不道徳な戦争に突き進み、第三次世界大戦の脅威さえ生み出しており、もはや信頼に値しない状態にあると厳しく批判しています。

今から二千年前、ローマ帝国の警察国家であったユダヤでも、自由こそが真理と結びつくための不可欠な手段でした。当時のローマ政府は、イエス・キリストが政治的革命を扇動することを恐れて十字架にかけましたが、イエスが起こした真の革命は人々の心と魂の中にありました。イエスは自らの自由意志によって死を受け入れ、そして復活することで、信仰と希望を持つ者が死から立ち上がることができるという真理を示しました。ナポリターノ氏は、この「復活」こそが人類の存在の要であり、これがあるからこそ、いかに苦痛や損失に満ちていても人生は生きる価値があるのだと説いています。

イースターを真剣に受け止めるということは、死者に希望があり、それゆえに生者にも希望があることを知るという、非常にシンプルで力強い事実を認識することです。しかし、かつての入植者たちが自由のために戦ったように、現代の私たちもまた、自由が守られて初めてその希望を達成することができます。そのためには、自由を攻撃するのではなく、保護する政府が必要です。たとえ政府が法を破り、社会が分断と恐怖に包まれていても、イエスの復活に対する信仰は、神だけが与えることのできる自由と喜びを信者の魂に吹き込んでくれるのだと、ナポリターノ氏は結んでいます。

戦争を飾る美辞麗句

Criticizing Hawkish Evangelicals For the Wrong Reasons | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】アメリカのキリスト教福音派内部で、現在進行中の対イラン戦争をめぐる支持のあり方に大きな変化が起きています。歴史学者のジョン・フィア氏は、トランプ大統領を支持する現在の「MAGA福音派」の指導者たちが、かつてのジョージ・W・ブッシュ政権下での福音派とは異なり、戦争を正当化するための道徳的・神学的な「原則」を欠いていると批判しています。かつての指導者たちは、イラク戦争に際して「正当な戦争理論」を用い、謙虚さや悲しみを伴う「悲劇的な勇気」として戦争を語りました。しかし現在の指導者たちは、単なる復讐心や終末予言、あるいはトランプ氏への個人崇拝に近い形で、暴力的な情熱を剥き出しにして戦争を喝采しているというのです。

しかし、こうしたフィア氏の批判に対し、本記事の著者ジェフ・ライト氏は異なる視点を提示しています。ブッシュ時代の指導者たちが用いた高潔なレトリックは、結果としてイラクやリビア、シリアでの悲劇的な結末を覆い隠すための「道徳的な口紅」に過ぎなかったのではないかという問いです。実際に、米国による「体制転換」を目的とした過去の戦争は、いずれもキリスト教徒を含む現地の人々に甚大な苦難をもたらしてきました。イラクではサダム・フセイン政権下で守られていた100万人以上のキリスト教徒が、戦後の迫害により今や15万人から30万人程度にまで激減しました。リビアでもカダフィ大佐の失脚後、キリスト教徒は誘拐や殺害の標的となり、開かれた奴隷市場が存在する無法地帯と化しています。

さらに、現在イランには80万人から100万人のキリスト教徒が暮らしており、レバノンにも人口の30%にあたる200万人以上の信者が存在します。イスラエル軍がレバノン南部への侵攻を計画する中、過去の失敗を繰り返さないための教訓が必要です。ライト氏は、今回のイラン戦争もまた、過去の戦争と同様に道徳的に正当化することはできないと断言しています。政府は戦争の正当性について一貫した説明ができず、嘘を重ねているのが現状です。そうした中で、ブッシュ時代のような「祈りや断食を伴う謙虚な戦争支持」を求めることは、現実を直視せず、戦争という悲惨な行為を操作的で欺瞞的な美辞麗句で飾ることに他ならないと批判しています。

むしろ、現在の国防長官ピート・ヘグセス氏のような「勝利とは支配だ」と言い切る姿勢の方が、戦争の本質に対してより正直であると著者は述べています。かつての福音派指導者たちが提唱した「道徳的な世界秩序の構築」という理想は、現実には達成されず、むしろ事態を悪化させてきました。フィア氏が求めるような「原則への訴え」が必要なのであれば、それは戦争をいかに美しく支持するかではなく、この戦争そのものにいかに反対するかという形で行われるべきです。体制転換を目指す戦争は機能せず、常に状況を悪化させるという現実に、今こそ真摯に向き合うべきであると締めくくっています。

日韓、代償を肩代わり

East Asia Foots the Bill For Washington's Iran War | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】アメリカとイスラエルによる対イラン攻撃が2ヶ月目に入り、その経済的・軍事的な代償を東アジアの同盟国が肩代わりさせられている実態を、政治学者のジョセフ・ソリス=ミレン氏が鋭く分析しています。中東の石油への依存度が極めて高い日本と韓国は、ホルムズ海峡の封鎖によって深刻なショックを受けています。原油価格の高騰により、日本はすでに254日分の国家備蓄の取り崩しを開始し、韓国も約30年ぶりとなる燃料価格の上限設定や数千億円規模の緊急予算措置に追い込まれました。自動車や半導体といった両国の基幹産業は、安価で安定したエネルギー供給を前提としており、この混乱は企業の利益や国民の実質賃金を直撃しています。

経済的な苦痛に加え、軍事面での「空白」も深刻な懸念材料となっています。米国が中東に戦力を集中させるため、韓国からサード(THAAD)やパトリオットミサイルを転用し、日本からも海兵隊や横須賀拠点の駆逐艦をアラビア海へ派遣したことで、東アジアの安全保障の傘が薄くなっているためです。北朝鮮の核の脅威や台湾海峡の緊張が続く中、長年米軍を駐留させ、多額の駐留経費を負担してきた日本や韓国の政府関係者は、自国の安全保障が軽視されているのではないかという疑念を強めています。日本の野党からは、国内の米軍基地が中東戦争の出撃拠点として自由に利用されることへの疑問の声が上がり、韓国でも米国の遠方の紛争に巻き込まれることへの反対デモが起きています。

対照的に、中国はこの状況を静観し、地政学的な優位を固めています。中国は膨大な石油備蓄を持ち、ロシアやイランからの陸上供給ルートも確保しているため、経済的な打撃は限定的です。また、イラン当局が中国船籍の通行を容認しているとの報道もあり、中国は自国を「爆弾ではなく、貿易と対話を行う安定した勢力」として印象づけることに成功しています。中国の国営メディアは、中東の泥沼に足を取られるアメリカを嘲笑する動画を流し、アメリカがいかに同盟国にとって不出来で信頼できないパートナーであるかというナラティブを強化しています。

自由至上主義的な視点から見れば、こうした介入主義のコストは、爆撃を受ける側だけでなく、米国の納税者や同盟国の市民によって支払われる隠れた税金に他なりません。ワシントンの政治エリートが軍産複合体の利益や一時的な政治的団結のために進める海外冒険主義は、結果として憲法上の制約を侵食し、通貨膨張を招き、生産的な経済を疲弊させます。トランプ政権二期目におけるこうした強引な外交政策は、皮肉にも日本や韓国を含む「有志連合」に対し、現状維持の代償があまりに高すぎることを痛感させています。アメリカ帝国の構造的な崩壊は、外部からの攻撃ではなく、こうした同盟国がワシントンを見限ることから始まるのかもしれないと記事は結んでいます。

米政府は破産同然

Uncle Sam’s Balance Sheet Looks Like Bankruptcy [LINK]

【海外記事より】アメリカ政府の財務状況を、ある一般家庭の家計に置き換えて考えてみると、その深刻さが浮き彫りになります。年収およそ5万2000ドルの世帯が、毎年7万3000ドルを支出し、2万1000ドルの赤字を出し続けている状態です。さらに、この世帯には136万ドルもの負債や支払い約束がある一方で、資産はわずか6万ドルほどしかありません。これは2025会計年度の米国政府の財務諸表を、わかりやすく1億分の1の規模に縮小した数字です。執筆者のマイク・マハレイ氏は、もし米国政府が民間企業であれば、とっくに破産裁判所に駆け込んでいるレベルの債務超過に陥っていると指摘しています。

公式発表によれば、2025年度末時点で米国政府の総資産は約6兆ドルに対し、負債総額は47兆ドルを超えています。資産1ドルに対して約7.9ドルの負債を抱えている計算です。2025年度だけで財務状況は2兆ドル以上悪化し、純資産はマイナス41兆ドルに達しました。ここには社会保障やメディケアの将来的な不足分は含まれていません。問題の本質は税収不足ではなく、制御不能な支出にあります。富裕層への課税を強化したとしても、その税収は政府支出のわずか数週間分を賄う程度にしかならず、現在進行中の紛争による軍事費の増大がさらなる追い打ちをかけています。

債務負担の増大は、中央銀行である連邦準備制度(FRB)の政策にも歪みをもたらしています。利息支払い費用は年間1.2兆ドルに達し、すでに国防費やメディケアを抜いて、社会保障に次ぐ第2の支出項目となりました。金利が高止まりすれば利払い負担が経済を圧迫するため、インフレが続いていてもFRBは利下げを余儀なくされる可能性があります。こうした財政の無責任さは、世界的な「脱ドル化」を加速させる要因にもなっています。かつては安全な避難先とされた米国債ですが、40兆ドル近い借金を抱える政府への融資に、以前ほど魅力を感じない投資家が増えており、ドルの購買力低下という形で国民にそのコストが転嫁されています。

こうした状況下で、マハレイ氏は「本物のお金」である金や銀による資産防衛の重要性を説いています。金の供給量は極めて限定的で、人類の歴史でこれまでに採掘された全ての金を集めても、オリンピックサイズのプール4杯半に収まる程度しかありません。供給が安定している一方で、伝統的な運用に貴金属を組み入れる動きが強まれば、需要が急増して価格に大きな上昇圧力がかかることが予想されます。債務が膨らみ、通貨の価値が構造的に下がり続ける現代において、希少性の高い実物資産を保有することは、長期的な購買力を維持するための不可欠な手段であると締めくくっています。

イラン戦争の出口戦略

An Iran Exit Plan [LINK]

【海外記事より】アメリカのシンクタンク、クインシー研究所のジョージ・ビービ氏とトリタ・パルシ氏は、激化するアメリカとイランの紛争を解決するための現実的な妥協案を提示しています。歴代の米大統領が学んできた外交の教訓は、「解決できる問題」と「解決はできないが管理すべき問題」を区別することです。トランプ大統領は現在、空爆によってイランの体制を変え、脅威を完全に排除できるという罠に陥っていますが、軍事力だけでイランの核の知見やドローン部隊、さらには地政学的に重要な海峡を脅かす能力を消し去ることは不可能です。また、広大な山岳地帯を持つイランへの地上軍投入は、ベトナムやイラクを遥かに上回る犠牲を強いる無謀な選択肢であると著者らは指摘しています。

現在、一時的に攻撃を止めて勝利を宣言する「芝刈り戦略」も浮上していますが、将来の安全が保障されない限りイラン側が停戦に応じる理由は乏しいでしょう。特に中間選挙を控えたトランプ大統領にとって、ガソリン価格の高騰や経済停滞を招く泥沼の戦争は、自身の政治生命を脅かす致命傷になりかねません。そこで提案されているのが、互いのメンツを保ちつつ核心的な懸念を解消する「出口戦略」です。具体的には、イランがイスラエルへの直接・代理攻撃を停止し、ホルムズ海峡を完全に開放すること、そして石油販売の少なくとも半分を人民元ではなく米ドルで行うことを約束します。その見返りとして、米国は日本や韓国、インドなどがイラン産石油の購入を再開できるよう制裁を免除し、イランの経済復興を容認するという内容です。

この合意を確実なものにするため、ロシアに仲介役を委ねるという大胆な案も示されています。イラン側はすでに米国の特使を信頼しておらず、オマーンによる仲介も限界に達しています。ロシアのプーチン大統領はトランプ大統領と親交があるだけでなく、イランの軍事・治安中枢やイスラエルのネタニヤフ首相とも長年密接な関係を築いてきました。ロシアにとっても、隣国であるイランの核武装は望ましくなく、世界経済の深刻な後退はエネルギー輸出の利益を損なうため、和平を仲介する動機は十分にあります。ロシアがイランの高濃縮ウランを自国領内で保管することを柱とした核合意の成立を支援できれば、危機の沈静化に向けた大きな一歩となります。

もちろん、イランへの制裁緩和やウラン貯蔵庫の放棄は、ワシントンとテヘラン双方で激しい抵抗に遭うでしょう。しかし、これらの妥協案は決して理想的なものではなく、他に選択肢がないがゆえの苦渋の決断です。代償を払わずに相手を屈服させることはもはや不可能であり、このままエスカレーションを続ければ、トランプ政権の崩壊とイランの困窮という共倒れの結果しか残りません。両国は今、互いを屈服させるのではなく、一方が勝利を主張できる余地を残しながら、同じボートに乗って沈没を避けるための「出口」を見つけ出さなければならない局面に立たされています。 

戦争という市場取引

The War as the Trade - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】現在進行中の中東紛争は、単なる軍事衝突を超え、一部の勢力による「巨大な市場取引」と化しているという冷徹な分析が提示されています。アラブ首長国連邦(UAE)が、ホルムズ海峡を開放するための武力行使を容認する国連決議を求めて外交攻勢を強めており、湾岸諸国として初めて本格的な参戦を準備していると報じられました。その一方で、トランプ大統領が側近に対し、海峡が封鎖されたままでも戦争を終結させ、後始末を他国に委ねる意向を示したという情報も流れています。こうした情報が流れるたびに、株式市場や原油先物市場では巨額の資金が動き、特定の層が不当な利益を得ている可能性が指摘されています。

米国内では、国防に関する機密情報を利用して利益を得る行為は「反逆罪」に等しいとの批判も上がっていますが、当局の監視の目は事実上機能していないようです。市場はトランプ大統領の強気な発言と撤回に慣れきっており、さらなる利益を追求するためには、より大規模な地上戦やイランのカーグ島占拠といった事態のエスカレーションが必要とされるという、極めて不健全な構造が出来上がっています。しかし、軍事専門家によれば、イラン本土からわずか30キロメートルほどしか離れていないハルク島への上陸作戦は、イラン側のミサイルやドローンの餌食になるリスクが極めて高く、米軍にとって無謀な賭けになると警鐘を鳴らしています。

この紛争による「漁夫の利」を得ているのはロシアと中国です。米国が中東に防空システムや弾薬を振り向けることで、ウクライナ向けの軍事支援は滞り、太平洋地域における中国への抑止力も削がれています。さらに、戦争による肥料価格の急騰やエネルギー価格の上昇は、世界最大の肥料輸出国であるロシアに莫大な副収入をもたらしています。世界各地で食料インフレとエネルギー不足が加速する中、グローバルサウスの国々は、海峡を封鎖した側と、人民元による決済システムを構築した側のどちらが実利をもたらすかを冷静に見極めています。

かつてニクソンとキッシンジャーが築き上げ、米ドルの覇権を支えてきた「ペトロダラー」の体制は、今や音を立てて崩壊しつつあります。米国がイスラエルの意向に沿ってイランへの攻撃を続行した2026年2月28日は、アメリカによる世紀の「自死」が完結した日として記憶されることになるでしょう。米国の軍事予算のわずか1%程度の予算で動くイランが、世界の石油供給の20%を遮断し、人民元で通行料を徴収し、アメリカを屈服させようとしています。40年にわたりこの日に備えてきたイランに対し、目先の取引に終始する米国の戦略的な不整合が、アメリカによる支配の終焉を招いていると記事は締めくくっています。

イランの大胆な戦略

Iran’s audacious strategic moves – declared ‘missile dominance over the Occupied Territories’; a warning of ‘nuclear deterrence’ — Strategic Culture [LINK]

【海外記事より】中東での紛争が4週目に入り、イランと米・イスラエル連合との戦いは新たな局面を迎えています。激しい空爆を受けているものの、イランの軍事的な有効性は損なわれておらず、各地に分散して深く埋設されたミサイル拠点は破壊を免れているとみられます。これに対し、イスラエルと米国は国民の戦意喪失を狙った民間施設への攻撃にシフトしているとの指摘もありますが、イラン側はこれを「ミサイル支配」を確立した機会と捉えています。実際に、厳重に守られたイスラエルのディモナ近郊への報復攻撃の際、迎撃ミサイルが作動しなかったことを受け、イラン指導部はイスラエルの空は無防備であると主張し、次段階の作戦実行を予告しています。

トランプ大統領はイランに対し、48時間以内にホルムズ海峡を開放しなければ、ブシェール原子力発電所を含む主要な民間発電所を順次破壊するという最後通牒を突きつけました。しかし、新たに就任した最高指導者アヤトラ・モジタバ・ハメネイ師はこれに屈することなく、逆に米国に対して極めて厳しい要求を突き返しています。その内容は、中東からの米軍の完全撤退、60日以内の制裁全面解除、そしてこれまでの経済的損害に対する長期的な賠償を求めるものです。もしこれらが受け入れられない場合、イランはホルムズ海峡の完全封鎖に加え、ロシアや中国との防衛協力の正式化、さらには「核抑止力」の保持を公言する段階へ移行すると警告しています。

イランの戦略は単なる軍事的勝利を超え、西アジアの地政学的な景観を根本から変えることを目的としています。ホルムズ海峡において、イラン革命防衛隊の承認を受け、人民元で手数料を支払う船舶のみが通行できる独自の回廊を設置する計画が浮上しています。これにより、イランは年間8000億ドルにものぼる通行料収入を得る可能性があるだけでなく、世界のエネルギー価格の決定権を握ることになります。同時に、アラブ諸国に対しては米国との経済関係の断絶を迫り、1974年以来の米国の財政的覇権を支えてきたオイルマネーの還流、いわゆるペトロダラー体制を根底から崩そうとする動きを見せています。

もしイランがホルムズ海峡と紅海の制圧を維持し続ければ、日本や韓国を含むアジア諸国は、エネルギー供給の安全保障を確保するために、事実上イランの意向に従わざるを得ない「従属国家」になることを強いられるかもしれません。トランプ政権内では、イランのエネルギー網を破壊し、カーグ島などに地上軍を投入する強硬策も検討されているようですが、イラン側もまた、国家の命運を賭けた決定的な結末を求めて階段を上り続けています。中東における米国の軍事的存在感の排除だけでなく、世界の金融とエネルギーの秩序を再編しようとするイランの動きは、アジアの地政学を全く新しい現実へと変えようとしています。

エネルギー株と金に好機

Why U.S. Energy Stocks and Gold Could Win Big - USFunds [LINK]

【海外記事より】中東での紛争勃発から数週間が経過し、経済への影響がより鮮明になってきました。投資家の間では、パニック売りを避けるべきだという助言がある一方で、この紛争が当初の予想よりも長期化し、深刻なエネルギー危機を引き起こしているという現実にも注目が集まっています。現在、世界の石油市場では二極化が進んでいます。米国の指標であるWTI原油先物は1バレル100ドルを超えていますが、中東のオマーン原油は一時173ドルの最高値を記録し、米国との価格差が70ドル以上に拡大しました。これは、広く知られている米国の指標価格が、中東で起きている深刻な供給不足の実態を十分に反映していない可能性を示唆しています。

ホルムズ海峡の封鎖が長引けば、米国内の在庫も減少し、いずれ価格は上昇せざるを得ません。しかし、米国は過去のエネルギーショック時と比べて、非常に有利な立場にあります。国内の産油量は日量1400万バレルに迫る勢いであり、国際エネルギー機関(IEA)による備蓄放出も行われています。米国の経済成長率は2.5%程度を維持できるとの予測もあり、過去の統計を見ても、戦争やエネルギー危機などの外部ショック後、S&P500指数は1年間で平均8.4%上昇しています。ただし、一般家庭への負担は無視できません。ガソリン価格の上昇により、1世帯あたりの年間支出は約740ドル増加すると試算されており、これは減税による恩恵を打ち消す規模です。

一方、ヨーロッパの状況はより深刻です。ロシア産ガスへの依存を脱却した後、カタールからの液化天然ガス(LNG)に頼ってきましたが、中東情勢の悪化によりその供給路が脅かされています。イランによる攻撃でカタールの輸出能力が17%失われ、その復旧には3年から5年かかると見られています。ヨーロッパの天然ガス貯蔵量は5年ぶりの低水準にあり、エネルギー価格の高騰が欧州経済をリセッションへと追い込むリスクが高まっています。市場では、利下げが予想されていた欧州中央銀行が、逆に利上げに踏み切るとの観測も出始めています。

このような状況下で、投資の機会は二つの分野に集約されると考えられています。一つは米国のエネルギー生産者です。原油価格の上昇は国内メーカーに巨大な収益をもたらし、セクター全体が過去最高値を更新しています。もう一つは金です。足元では米ドルの強さや金利上昇の影響で価格が調整していますが、長期的な視点では魅力が増しています。巨額の軍事支出に伴う国家債務の増大や、数年にわたるエネルギー危機、そしてスタグフレーションのリスクといった条件は、歴史的に金の価値を支えてきました。エネルギー株と金を保有し、規律を維持する投資家こそが、この危機を乗り越えた際に最も有利な立場に立てるという見解が示されています。

金本位制復帰なら金価格は?

Big Questions: Is There Enough Gold For a Gold Standard? [LINK]

【海外記事より】アメリカの経済コラムニストであるジョン・ルビノ氏は、通貨制度の歴史的な議論の一つである「金本位制」への復帰が可能かどうかについて興味深い分析を提示しています。多くの読者から寄せられる疑問として、現在のアメリカの国内総生産や通貨流通量に対して、保有する金の価値があまりに小さすぎるため、金本位制を再導入するための金が物理的に不足しているのではないかというものがあります。ルビノ氏はこの問いに対し、理論上は「十分な量の金が存在する」と回答しています。その理由は、金本位制を成立させるために必要なのは、保有する金の絶対量ではなく、その金の「価格」をいくらに設定するかという計算の問題だからです。

金本位制とは、中央銀行が保有する金によって通貨の価値を裏付ける制度です。例えば、通貨発行量の40%を金で裏付けると決めた場合、政府は公定価格に基づいて、市民からの要求に応じて通貨と金を交換することを約束します。これにより、中央銀行が通貨を刷りすぎてインフレが起きれば、人々は通貨を金に換え、市場から通貨が回収されて物価が安定します。逆に景気が停滞すれば金が通貨に換えられ、市場にお金が回ることで経済が活性化します。ルビノ氏は、この制度が持続可能な成長と低インフレをもたらし、中央銀行の過度な権限を抑制する仕組みになると説明しています。

現在の米国でこの制度を導入する場合の具体的な試算が示されています。現在、狭義の通貨供給量であるM1は約19兆ドルです。これに対し、米国の公式な金準備量は約8133トン、つまり約2億6100万オンスです。もしM1の40%を金で裏付けるとするならば、約7兆ドル相当の金が必要になります。この7兆ドルを保有する2億6100万オンスで割ると、金の公定価格は1オンスあたり約2万9000ドルに設定されることになります。現在の金価格を大幅に上回る価格を設定することで、理論上は現在の通貨供給量を裏付けることが可能になるというわけです。

もちろん、こうした移行には大きな痛みが伴うことも指摘されています。ある日突然、政府が金の公定価格を大幅に引き上げれば、ドルの価値は実質的に急落し、現金や国債を保有する人々の資産は目減りします。一方で、金などの実物資産を持つ人々は富を増やすことになり、社会的な混乱が生じる可能性は否定できません。しかし、ルビノ氏は、現在の米国の膨大な債務残高を考えると、従来の金利操作だけでは経済の安定を保つことは難しく、いずれは通貨制度のリセットが避けられない状況にあると述べています。将来的に訪れるかもしれない金融システムの再編において、金が重要な役割を果たすとの見解を示しています。

2026-04-01

スペイン帝国の教訓

Empires Past and Present - The Daily Reckoning [LINK]

【海外記事より】経済ライターのアダム・シャープ氏は、16世紀のスペイン帝国の興亡を引き合いに出し、現代のアメリカが直面している経済的・軍事的な危機の類似性を指摘しています。1492年にコロンブスの新世界への航海に出資したスペインは、歴史上稀に見る投資対効果を得ました。1500年から1550年にかけて、スペインは新世界から数百トンの金と数万トンの銀を本国へ運び込み、空前の富を築きました。しかし、この輝かしい表面の下では、深刻な問題が進行していました。大量の通貨が流入したことで、それまで数世紀にわたって安定していた物価が100年間で4倍に跳ね上がり、労働者の賃金は食料品などの物価上昇に追いつかなくなりました。

富が溢れたことで国内の産業は衰退し、スペインは必要な物資の多くを輸入に頼るようになりました。エリート層が豪華な生活を送る一方で、帝国を維持し防衛するための戦争が財政を圧迫し続け、莫大な富にもかかわらず債務が積み上がっていったのです。1500年代後半に銀の輸入が鈍化すると、スペイン王室は銅貨を鋳造するという通貨の改悪を余儀なくされました。かつての栄華はわずか1世紀ほどで浪費され、スペインは衰退の道を歩み始めることになります。シャープ氏はこの歴史的教訓が、現代のアメリカにも当てはまると警鐘を鳴らしています。

アメリカもまた、米ドルが世界の基軸通貨であるという特権を享受してきましたが、それは祝福であると同時に呪いでもありました。強いドルは輸入を安くする一方で輸出競争力を弱め、製造業の衰退を招きました。現在の米国経済は過度に金融化され、富を創造するのではなく、単にお金を回すだけの構造になっています。さらに、衰退する帝国が陥りやすい古典的な間違いとして、持続不可能な軍事支出が挙げられます。現在進行中のイランとの戦争はその最新の例であり、これが債務危機を大幅に加速させることは間違いありません。軍事が経済や外交の大部分を占めるようになると、その構造を変えることは極めて困難になります。

現在のアメリカは、若者が住宅を購入できず、少子化が進むなど、多くの国民が生活に苦しむ岐路に立たされています。政治システムは修復不可能なほど壊れているように見え、山積した債務が自然に解決することはありません。今後10年間で、かつての金融危機やパンデミック時を上回る規模の通貨増刷が行われると予想されます。16世紀のスペインでは金や銀の流入がインフレの原因でしたが、現代においては、それらの貴金属こそが通貨価値の下落から資産を守る解決策の一部となります。シャープ氏は、資産の5%から20%を金や銀に割り当てることを推奨しており、価格の調整局面は、時間をかけて買い増していく絶好の機会であると述べています。

イランの脅威という嘘

Beneath the Big Lie About Iran – An Economy That’s Been Shrinking for 50 Years - Antiwar.com [LINK]

【海外記事より】元米予算管理局長のデイビッド・ストックマン氏は、現在ペルシャ湾で激化している「トランプのイラン戦争」を巡る言説に対し、過去50年以上の経済データに基づいた冷静な分析を提示しています。同氏によれば、米国に対するイランの「脅威」という主張は、政治的に捏造された虚構に過ぎません。本来、他国を軍事的に脅かすには、高度な技術や兵力、そして膨大な軍事費を支えるための強固な経済基盤、すなわち国内総生産(GDP)が必要不可欠です。しかし、統計が示す事実は、イランの経済規模は米国と比較して極めて小さく、その差は過去半世紀で劇的に拡大しているということです。

具体的な数字を見ると、1973年当時は米国の経済規模はイランの約8.4倍でした。当時のイラン経済は中東で最も勢いがあり、一人当たりの実質GDPも米国の半分近くに達していました。しかし、1979年の革命以降、イラン経済は衰退の一途をたどります。2025年のデータでは、米国のGDPはイランの約35.4倍にまで達しており、その格差は1973年時点の4倍以上に広がっています。イランの実質GDPは1977年から2025年までの48年間で年平均わずか1.1%しか成長しておらず、人口増を考慮した一人当たりの実質所得に至っては、年率0.81%のペースで縮小し続けているのが現状です。

ストックマン氏は、この経済的な衰退の原因として、イラン政権自体の失政に加え、米国による数十年にわたる過酷な経済制裁を挙げています。かつて日量600万バレルを超えていた産油量は、2001年には378万バレルまで落ち込み、外貨収入も大幅に減少しました。現代の軍事力の源泉が産業力にあるとするならば、自国の経済すら維持できていないイランが、1万キロメートルも離れた米国本土に持続可能な軍事的脅威を与えることは物理的に不可能です。イランには遠洋航海が可能な海軍も、長距離爆撃機も、ワシントンまで届くようなミサイルも存在しません。

それにもかかわらず、なぜ「イランの脅威」が叫ばれ続けてきたのでしょうか。ストックマン氏は、イスラエルのネタニヤフ首相が自身の政治的地位を固めるために、パレスチナ問題から目を逸らさせ、「遠くの敵」であるイランを存亡の危機として描き出してきたと指摘しています。この記事は、今回の米国による攻撃には正当な根拠がなく、捏造された物語によって引き起こされたものであると結論づけています。事実としての経済指標は、イランが米国にとって軍事的なライバルでは到底あり得ない、極めて脆弱な経済状態にあることを明確に示しているのです。

在宅勤務や運転自粛を

Top Brussels official urges Europeans to work from home and drive less – POLITICO [LINK]

【海外記事より】欧州委員会のダン・ヨルゲンセン・エネルギー担当委員は、中東の紛争に起因する深刻な石油危機を受け、欧州市民に対して在宅勤務の活用や自動車の運転、飛行機の利用を控えるよう強く促しました。ヨルゲンセン氏は、加盟27か国のエネルギー相による臨時会合後のスピーチにおいて、現在の欧州は出口の見えない極めて深刻な事態に直面していると警告しています。同氏は、たとえ明日平和が訪れたとしても、近い将来に元の日常に戻ることはないという見解を示しており、この発言は新型コロナウイルスのパンデミック初期を彷彿とさせる内容となっています。

特に石油、その中でもディーゼル燃料やジェット燃料の消費を抑えることが重要であると強調されており、市民一人ひとりの節約が全体の助けになると呼びかけられています。具体的な対策としてヨルゲンセン氏は、国際エネルギー機関(IEA)の助言に従うよう各加盟国に促しました。これには、可能な限りの在宅勤務の実施や、高速道路の速度制限を時速10キロ引き下げること、公共交通機関の利用促進、自家用車の利用制限、カーシェアリングの拡大、そして効率的な運転慣行の採用などが含まれています。

こうした短期的な節約策に加えて、長期的には再生可能エネルギーの導入を倍増させる必要があると訴えています。ヨルゲンセン氏は、今こそエネルギーの自立を真に実現するために舵を切るべき時であると主張しました。火曜日に行われた閣僚級の協議では具体的な提案こそまとまりませんでしたが、欧州委員会は近い将来にEUレベルでの一連の対策パッケージを発表することを約束しています。この背景には、今回の危機が1970年代のオイルショックを凌ぎ、パンデミックに匹敵する世界的な経済的影響を及ぼすのではないかという懸念が強まっていることがあります。

米国とイスラエルによるイランへの攻撃が開始されてから1か月あまりが経過し、世界の原油と液化天然ガスの供給量の5分の1がペルシャ湾で停滞したままとなっています。その結果、石油やガスの価格は最大で70%も高騰しました。非公開の会合では、エネルギー安全保障を高めるための国家補助の必要性や、再生可能エネルギー、さらには原子力発電の強化についても話し合われた模様です。今回の会合の主な目的は各国間の行動を調整することにあり、加盟国が足並みを揃えてこの未曾有のエネルギー危機に対応していく姿勢を鮮明にしています。

アラブ経済に打撃

One month of war on Iran cost Arab countries up to $194bn: UNDP | US-Israel war on Iran News | Al Jazeera [LINK]

【海外記事より】国連開発計画(UNDP)は、米国・イスラエルとイランとの間で発生した戦争がアラブ諸国に壊滅的な影響を及ぼしているとする最新の報告書を公表しました。この報告書によれば、わずか1か月の戦闘であっても、アラブ地域全体の国内総生産(GDP)は約3.7%から6%減少すると推定されています。これは金額に換算すると1200億ドルから1940億ドルの経済的損失に相当します。国連事務次長補兼UNDPアラブ局長のアブダラ・アル・ダルダリ氏は、この戦争によって地域全体で370万件の雇用が失われ、さらに約400万人が貧困線以下の生活を余儀なくされる可能性があると指摘し、アラブ経済の脆弱性が浮き彫りになったと述べています。

今回の報告書は、4週間にわたる「短期間ながら激しい紛争」という予測に基づいたものです。しかし、イランが湾岸諸国のエネルギーインフラを攻撃し、ホルムズ海峡を経由する石油やガスの輸出を制限している現状を鑑みると、紛争が長期化すればその影響はさらに拡大する恐れがあります。実際に、原油供給の逼迫によってブレント原油先物価格は4.7%上昇し、1バレルあたり118ドルを超えました。報告書は、戦略的な海上回廊におけるリスクが、インフレ、貿易の流れ、そして世界のサプライチェーンに連鎖的な影響を及ぼし、相互に結びついた中東経済の生活基盤を脅かしていると警告しています。

特に貧困率の上昇が顕著なのは、レバント地方や、すでに脆弱な状態にあるスーダンやイエメンなどの国々です。これらの地域はもともとの脆弱性が高いため、経済的なショックが直接的に福祉の損失へとつながりやすい傾向にあります。中でも、2月28日のイランの最高指導者アリ・ハメネイ師殺害に対する報復として、ヒズボラがイスラエルを攻撃したことで戦争に巻き込まれたレバントのレバノンは、特に深刻な打撃を受けています。

現在進行中の空爆や避難命令により、レバノンでは住宅地、輸送インフラ、公共サービスが広範囲にわたって破壊され、大規模な避難民が発生していると報告書は述べています。この記事は、紛争が当事国だけでなく、周辺のアラブ諸国全体の経済に深刻な影を落とし、多くの人々を貧困に追い込む現実を冷静に伝えています。中東全域に広がる経済的な波及効果は、エネルギー市場を通じて世界全体にも不確実性をもたらしていると言えるでしょう。

金銀を買わない理由?

Don’t Be a Precious Metals Fool [LINK]

【海外記事より】本日は4月1日、エイプリルフールです。スチュアート・エングラート氏は、この日にちなんで「金や銀を保有することがいかに愚かであるか」という10の理由を皮切りに、現在の世界経済が直面している状況を逆説的に描き出しています。まず第一に、世界が抱えるあらゆる経済問題や、過剰な通貨発行、インフレ、そして記録的な債務問題は、もはや永久に解決されたと考えるならば、貴金属を持つ必要はありません。また、世界中の債権者が法外な利息を不道徳であると認め、政府や企業、家計にわたる総額348兆ドルの債務をすべて免除する「徳政令」を宣言し、経済的なユートピアが到来すると信じるのであれば、金は不要になるでしょう。

さらに、債務が消滅したことで各国政府が赤字支出や借入を停止し、国民に対して数十年にわたる所得税の免除を発表するとしたらどうでしょうか。将来への不安がなくなり、人々が富に浸る生活を送れるのであれば、資産を守るための金は過去の遺物となります。加えて、莫大な戦費がかかり予算赤字の要因となる戦争や武力紛争が世界中で禁止され、経済制裁や貿易制限も撤廃されると仮定します。自由企業が支配し、博愛と慎重さが浪費や戦争利得を上回る「平和の配当」が支配する世界では、金の価値は今ほど重視されないかもしれません。こうした状況下では、インフレも抑制され、連邦準備制度や中央銀行はその存在意義を失って解体されることになります。資産バブルを抑えるための利上げも不要になり、寄生的な金融機関は姿を消すという理屈です。

インフレが制圧され、すべての予算が均衡すれば、法定通貨の価値は上昇します。そうなれば、各国の中央銀行は保有する合計3万7000トンの金準備を、無価値な地金として歴史博物館などに寄贈し、数千年の通貨の歴史を放棄することになるでしょう。通貨の減価がなくなれば、経済的な保険として貴金属を保有することは無意味になります。金や銀は恐竜の骨やフィルムカメラのように時代遅れのものとなり、コインはカジノのトークンに、地金のバーはドアストッパーや文鎮として再利用されることになります。さらには、インドの女性たちが金の宝飾品の代わりにバービー人形を集め始めたり、アメリカの新婚夫婦が環境への配慮からプラスチック製の指輪を交換したりするような変化が起きるかもしれません。

最後に、宇宙人が中国の科学者に「愚者の黄金」と呼ばれる黄鉄鉱を本物の金に変える方法を教え、消費者の需要が激減するという空想のような話まで挙げられています。エングラート氏は、もしこれらのような「ナンセンスな話」を4月1日の今日、あるいはそれ以外の日に本気で信じてしまうほど世間知らずであるならば、金や銀を保有しないという選択もまた、同様に愚かなことであるかもしれないと結んでいます。この記事は、逆説的な表現を用いることで、現実の世界が抱える根深い債務問題やインフレの懸念、そしてそれに対する備えとしての貴金属の役割を、皮肉を込めて浮き彫りにしています。

UAE経済に打撃

Israeli-US war batters UAE economy, wiping $120bn from Abu Dhabi, Dubai markets | Middle East Eye [LINK]

【海外記事より】アラブ首長国連邦(UAE)は、イランを舞台としたイスラエル・米国軍の戦争により、過去数十年で最も深刻な経済的衝撃に見舞われています。この記事によれば、ドバイとアブダビの株式市場では、この1カ月で1200億ドル以上の時価総額が消失しました。特にドバイの株価指数は2月28日の開戦以来16%も急落しており、アブダビの2倍以上の下落率を記録しています。サウジアラビアやオマーンといった近隣諸国が原油価格の上昇で恩恵を受けているのとは対照的に、観光、不動産、物流、金融というグローバルな経済モデルに依存してきたUAEは、戦争の直撃を受けてその脆弱性を露呈しています。

UAEはイスラエルの緊密な同盟国として、イランによる攻撃の標的となってきました。3月28日までに、398発の弾道ミサイルや1800機以上のドローンによる攻撃を受け、迎撃は行われているものの、ドバイの主要な観光地や空港、石油産業地帯で被害が発生しています。特に「ブランド・ドバイ」の象徴である不動産市場は深刻な打撃を受けており、2025年末まで活況を呈していた取引は急減しました。ドバイの不動産指数は少なくとも16%下落し、取引件数は前年比で37%減少、販売額にいたっては2月の半分以下にまで落ち込んでいます。一部の物件は10%から15%の割引価格で投げ売りされており、人口増加の予測も大幅に下方修正されています。

経済の柱である航空・観光セクターも壊滅的な状況にあります。年間9500万人の旅客を扱うドバイ国際空港は、3月1日に完全に閉鎖されました。ドバイやアブダビ、シャルジャなどの空港を合わせると、これまでに1万8400便以上のフライトがキャンセルされ、エミレーツ航空やエティハド航空は数千億円規模の損失を抱える見通しです。かつて「安定した島」として世界中から投資家や富裕層を惹きつけてきたこの国では、現在、ホテル予約は崩壊し、富裕な居住者たちが多額の費用を投じて国外への避難を急ぐ事態となっています。

混乱の中で当局は、ドバイでの攻撃を撮影した外国人居住者の取り締まりを強化しており、情報統制のために高額な罰金や禁錮刑を科す姿勢を見せています。しかし、こうした強硬な対応は、国際的なイメージをさらに損なうリスクを孕んでいます。今回の紛争では29カ国以上の国籍を持つ人々が死傷しており、安全という神話に基づいたUAEの経済モデルは、開戦からわずか1カ月で存亡の機に立たされています。大統領や皇太子が事態の沈静化に努めてはいるものの、この記事は、単なる表面的な宣伝活動だけでこの未曾有の経済的苦境を乗り切ることは困難であると結論付けています。

誰も払えない戦争

A War No One Can Afford - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】貨物船の運航や中東軍事の専門家であるエリック・マーゴリス氏によれば、現在進行中のイランとの戦争は無謀な試みと言わざるを得ません。世界的な原油輸送の要衝であるホルムズ海峡は、幅が約33キロメートル、平均水深はわずか220メートルほどしかなく、巨大タンカーにとっては極めて浅い海域です。もしイランがこの狭い水路で大型タンカーを自沈させれば、1956年のスエズ運河封鎖の時のように、世界の石油流通は何カ月も停滞することになります。トランプ政権内の強硬な新保守主義者たちは、こうした地理的な制約やリスクを軽視しているのではないかと筆者は指摘しています。

米軍の艦隊はホルムズ海峡に接近しており、イランの石油輸出拠点であるカーグ島を占領するための海兵隊の上陸が予想されています。しかし、もし米国がこの島を攻撃すれば、イランはサウジアラビアやアラブ首長国連邦、クウェートなどの主要な石油・水利施設を攻撃すると警告しています。一方で、親イラン派のフーシ派が紅海の出口にあたるバベルマンデブ海峡での攻撃を再開したことで、海上輸送は混乱し、原油価格はさらに押し上げられています。筆者の経験によれば、こうした現地の部族勢力は外部からの干渉を極めて嫌う性質を持っており、事態の収束を難しくしています。

米国内では、戦争開始からわずか1週間で直接的な戦費が110億ドルに達したことが明らかになり、国民の多くがこの戦争に反対しています。地上戦の準備が進む中でコストはさらに膨らむ見通しです。特にアメリカ国民にとって痛手となっているのがガソリン価格の急騰で、1ガロンあたり4ドルに達したことで、政権の支持基盤である中西部や南部でも不満が急速に高まっています。一部の批評家は、この戦争が国内の不祥事からメディアの目を逸らすための手段であると主張していますが、景気が減速し、国の債務が39兆ドルに達している現状で、国民がどこまで戦争を容認し続けるかは不透明です。

中東での紛争は世界経済を破綻させる恐れを孕んでいます。多くの人が見落としている重要な要因の一つに、船舶保険料の跳ね上がりがあります。湾岸地域や紅海周辺での混乱により保険料が暴騰しており、これが原油価格の上昇と相まって、世界経済に壊滅的な打撃を与える可能性があると筆者は警鐘を鳴らしています。アメリカもイスラエルも多額の債務を抱える中で、この「誰も支払うことのできない戦争」を継続することは、単なる軍事的な対立を超えて、世界的な経済システムそのものを沈没させかねない危うさを秘めているのです。

中銀が米国債売却

Foreign central banks sell US Treasuries in wake of Iran war [LINK]

【海外記事より】イランでの紛争勃発を受けて、海外の中央銀行がニューヨーク連邦準備銀行に預けている米国債の保有残高を急速に減らし、2012年以来の低水準に落ち込んでいることが判明しました。ニューヨーク連銀のデータによると、中央銀行や政府機関による米国債の預かり資産価値は、2月25日以降のわずか1カ月間で820億ドルも減少しました。これは、戦争によるホルムズ海峡の封鎖がエネルギー価格の急騰を招き、石油輸入に頼る国々の財政を圧迫していること、そして世界的なドル高が進行していることが背景にあります。

多くの国の中央銀行は、自国通貨の急激な下落を防ぐために外国為替市場でドル売り介入を行っており、その原資として保有する米国債の売却を余儀なくされています。特にトルコ、インド、タイといった石油輸入国による売却が目立っています。トルコ中央銀行は、攻撃開始直前の2月27日以降、外貨準備から220億ドル相当の外国政府証券を売却しており、その大部分が米国債であったと推測されています。これらの国々にとって、自国通貨安はドル建てで取引される原油の国内価格をさらに押し上げる要因となるため、通貨防衛と物価安定のために米国債を現金化せざるを得ない状況にあります。

一方で、中東の石油輸出国も、混乱による石油収入の変動を補うために資産を売却している可能性があると専門家は指摘しています。世界で最も流動性が高く、安全な準備資産とされる30兆ドル規模の米国債市場ですが、現在はインフレ懸念から利回りが上昇しており、中央銀行による売却がさらなる金利上昇圧力を生んでいます。投資家の中には、この動きを市場の混乱に備えて「戦時資金」を蓄えるための現金化と見る向きもあります。米国債の保有残高が、市場規模が現在の3分の1程度だった2012年当時の水準まで減少したことは、非常に注目すべき事態と言えます。

こうした最近の動きは、単なる一時的な資金調達にとどまらず、海外の当局が米国債から離れて資産を分散させようとしている大きな流れを浮き彫りにしています。かつては米国債市場を支える主役であった海外中央銀行の存在感が低下する一方で、民間投資家の重要性が高まっており、準備資産の管理における「脱ドル化」の傾向が一段と鮮明になっています。紛争という不測の事態が、世界の金融当局による米国債への依存度を低下させ、資産構成を根本から見直す動きを加速させているのが現在の実情です。

金、長期で上昇続く

HSBC: Gold Is Behaving Like a Risk Asset But Bullish Case Remains [LINK]

【海外記事より】マイク・マハリー氏の記事によると、イランでの紛争勃発直後、金は安全資産として一時的に急騰しましたが、その後は調整局面に入り、現在はリスク資産に近い動きを見せています。当初、金価格は1オンス5400ドルまで上昇したものの、原油価格の急騰に伴うインフレ懸念から、アメリカ連邦準備理事会による利下げ期待が後退したことで反落しました。金利を生まない資産である金にとって、利上げサイクルの再開さえ囁かれる現状は逆風となっており、現在は投機家やトレーダーが市場を主導する「リスク資産」としての側面が強まっています。

しかし、大手金融機関であるHSBCのアナリストは、金に対して長期的な強気姿勢を維持しています。特筆すべきは、2022年以降、金価格と実質金利の間にあった伝統的な逆相関の関係が崩れている点です。かつては10年物国債の実質金利が上昇すれば金価格は下落していましたが、現在はその感受性が低下しています。背景には、地政学的リスクの高まりや個人投資家の買い、そして中央銀行による継続的な金購入があります。HSBCのチーフ貴金属アナリスト、ジェームズ・スティール氏は、金がもはや金利の動向だけに左右される資産ではないことを指摘しています。

この強気見通しの根底にあるのが、世界的な「脱ドル化」の進展です。現在の紛争は、ドルの兵器化を警戒する諸国によるドル離れを加速させる可能性があります。実際に、インドが石油取引においてドルを介さない決済を行うといった動きも出始めています。アメリカの財政状況が悪化し、政府への融資に慎重になる国が増える中、外貨準備を分散させる手段として金の重要性が高まっています。スティール氏は、ドルが基軸通貨の座をすぐに失うことはないとしつつも、各国の中央銀行がドルへの依存度を下げるために金を購入する流れは続くと見ています。

ドルの需要がわずかでも減少することは、通貨発行によって経済を支えているアメリカにとって大きなリスクとなります。世界中で余剰となったドルが国内に還流すれば、ドルの価値は下落し、国内のインフレ圧力をさらに強めることになります。最悪のシナリオではドルの崩壊やハイパーインフレの可能性も否定できません。HSBCは、紛争が長期化する中で金市場のボラティリティは続くと予想していますが、ドルの構造的な変化を背景に、長期的な投資先としての金の価値は依然として揺るぎないものであると結論付けています。

金は一体どれほど存在するのか?

Just How Much Gold Is There? [LINK]

【海外記事より】マイク・マハリー氏が執筆した記事によれば、金の価値を支える大きな要因の一つはその希少性にあります。では、実際に世界にはどれほどの金が存在するのでしょうか。貴金属調査機関のメタルズ・フォーカス社の推計によると、現在までに地上に掘り出された金の総量は21万9890トンに上ります。この数字だけを聞くと膨大な量に思えるかもしれませんが、すべての金を溶かして一つの立方体にまとめたと仮定すると、その一辺の長さはわずか22メートルほどにしかなりません。視覚的に表現するならば、世界中のすべての金は、オリンピックサイズのプール約4.5個分の中に収まってしまう程度の量なのです。この限られた現存量が、金という資産の希少性を象徴しています。

地下に眠る資源についても、興味深いデータが示されています。メタルズ・フォーカス社は、2025年現在の条件下で経済的に採掘可能な金原単位、いわゆる埋蔵量を5万4770トンと見積もっています。一方で、現在の経済状況下では採掘が困難なものの、地質学的に存在が確認されている金は、さらに7万7340トンあるとされています。ワールド・ゴールド・カウンシルによれば、地下の埋蔵量推計は、継続的に採掘が行われているにもかかわらず、過去数十年にわたって安定した水準を維持しています。これは、新たな金の発見のペースが、毎年の採掘量とほぼ一致していることを意味しています。

埋蔵量が安定している背景には、主に3つの理由があります。第一に、金の価格が上昇することで、かつては採算が合わなかった低品位の鉱床が経済的に実行可能な「埋蔵量」へと格上げされるためです。第二に、発見のペースは緩やかになっているものの、依然として新しい鉱床が見つかっていることです。第三に、既存の鉱山の周辺で、補完的な小規模鉱床の探索が進められていることが挙げられます。昨年の金産出量は前年比1%増の3672トンと過去最高を記録しましたが、近年の産出量は概ね横ばいの状態が続いています。一方で、2025年の金需要も過去最高の5000トンを超えており、採掘だけでなくリサイクルによる供給が市場を支えているのが実情です。

将来的に金の産出が限界を迎える「ピーク・ゴールド」という説がありますが、記事では、すぐにそれが起こる可能性は低いと分析しています。現在の生産ペースではあと15年分しか埋蔵量がないという見方もありますが、これは新規発見のペースを考慮していません。今後、技術革新によって採掘困難な鉱床の活用が進み、より高度な探査方法が確立されることで、利用可能な供給量は維持される見通しです。ただし、環境への配慮や地政学的な不安定さから、新しいプロジェクトの開発期間は長期化しており、コストも上昇しています。結論として、安価で容易に採掘できる金は減少していますが、技術の進歩と適切な価格水準があれば、かつては不可能だった場所からの供給も可能になり、産出量は当面の間、高原状態を維持すると予測されています。

2026-03-31

原油200ドル突破も

Egypt’s al-Sisi says only Trump can stop war, warns oil could top $200 [LINK]

【海外記事より】エジプトのシシ大統領は、月曜日にカイロで開催されたエネルギー会議において、現在進行中のイランとの戦争を止めることができるのはアメリカのトランプ大統領だけであると訴えました。シシ大統領は、トランプ大統領に対し、湾岸地域におけるこの戦争を止められるのはあなたしかいないと述べ、戦争を止めるための助力を切実に求めました。エジプト政府は、湾岸のアラブ諸国に対するイランの攻撃を非難しており、地域全体に及ぶ広範な戦争を避けるための外交努力を続けています。この戦争は供給不足と価格高騰という二重の衝撃を引き起こしており、大統領はその深刻な影響がまだ完全には現れていないと指摘しています。

シシ大統領は、生産施設や精製所などのエネルギー施設が攻撃の対象となることで、世界経済や燃料価格に非常に深刻な影響が及ぶことを危惧しています。市場関係者の間では、原油価格が1バレルあたり200ドルを超える可能性があるとの見方が出ていますが、大統領はこれが決して誇張ではないと警鐘を鳴らしました。また、エネルギー問題にとどまらず、肥料の輸出が停滞することで世界の食料供給にも危機が迫っていると言及しました。富裕国であればこうした価格上昇を吸収できるかもしれませんが、中所得国や経済基盤の脆弱な国にとっては、国家の安定を揺るがす極めて深刻な事態を招きかねないと強調しています。

今回の訴えの背景には、2025年11月にエジプトのシャルム・エル・シェイクで合意に至ったガザ地区での停戦において、トランプ大統領が果たした役割への評価があります。シシ大統領は、当時の紛争についてもトランプ大統領こそが終結させられる唯一の人物であると述べており、今回も同様の指導力を期待している形です。一方で、湾岸協力会議(GCC)のブダイウィ事務局長も会議にオンラインで参加し、国際社会に対して重要な海上航路の保護を強く求めました。事務局長は、イランによるホルムズ海峡の封鎖や地域のエネルギーインフラへの攻撃を国際法に対する明白な違反であると非難しています。

現在、サウジアラビアやアラブ首長国連邦、クウェートなどのGCC加盟国は、ドローンやミサイルによる攻撃にさらされています。かつて世界の石油供給の約5分の1を担っていたホルムズ海峡が封鎖されたことで、極めて重要な輸送ルートが遮断されています。事務局長は、こうしたイランによる一連の行動は世界全体に対する脅威であり、世界のエネルギー供給に直接的な危機をもたらしていると訴えました。中東地域が直面しているこの危機的状況は、エネルギー価格の暴騰や食料危機の懸念を通じて、世界経済の安定に大きな影を落としています。

敵を作り、友を失う

Manufacturing An Enemy And Losing Your Friends | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】イランとの戦争は避けられないものでも、必要なものでもありませんでした。2026年3月の時点で、国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は、イランが核爆弾を製造している証拠は見当たらないと述べていました。また、アメリカのタルシ・ギャバード国家情報長官も上院の委員会において、軍事作戦「ミッドナイト・ハマー」の開始以降、イランが濃縮能力を再建しようとする動きはないと証言しています。国防情報局の報告書でも、イランが大陸間弾道ミサイルを開発する可能性に触れてはいるものの、それはあくまで将来的な仮定の話に過ぎませんでした。交渉の過程でイラン側は、核兵器保有への道を完全に遮断するための多くの選択肢を提示していたのです。しかし、アメリカ政府は一方的に攻撃という選択をしました。これは、同盟国を従属国とみなす覇権的な振る舞いと言わざるを得ません。NATO諸国やEUの友人たちとの協議は行われず、湾岸諸国やイスラム圏のパートナーからの猛烈な反対も無視されました。この決定により、アメリカとNATO、そして湾岸諸国との関係は、回復困難なほどに深く傷ついてしまいました。

NATO条約第5条では、加盟国への武力攻撃を全加盟国への攻撃とみなし、共同で対抗することが定められています。しかし、アメリカはイランから攻撃を受けたわけではなく、この条約を適用する法的根拠はありません。それにもかかわらず、ドナルド・トランプ大統領はSNSなどで、NATOがアメリカを支援しないことを激しく非難しました。NATOを「紙の虎」と呼び、参戦を拒む同盟国を「卑怯者」と罵り、この恩知らずな行為を忘れないと脅迫めいた発言を繰り返しています。一方、欧州の指導者たちは冷静かつ毅然とした態度を保っています。NATOのルッテ事務総長は、この紛争に引き込まれる計画は一切ないと明言し、ドイツのメルツ首相も、NATOは介入のための組織ではなく防御のための同盟であると強調しました。さらに、ドイツのシュタインマイヤー大統領やフランスのマクロン大統領らは、アメリカによるイランへの攻撃を「国際法違反」であると明確に指摘し、承認できないとの立場を表明しています。アメリカの命令に従うかどうかの境界線において、明確な決裂が生じているのです。

この関係の変化は、湾岸諸国やイスラム世界との間でも同様に起きています。イランは近年、近隣諸国との関係改善に努めてきましたが、今回の事態はその努力を台無しにするものでした。イランのペゼシュキアン大統領は、近隣諸国への攻撃を停止する意向を示しましたが、トランプ大統領はこれを「降伏」と決めつけ、さらなる破壊と死を警告して紛争鎮静化の道を閉ざしました。一方で、アメリカは湾岸諸国の基地や領空を軍事作戦に利用し続けており、その過程で近隣諸国に被害が出る事態も発生しています。これに対し、湾岸諸国はアメリカが自分たちの警告を無視し、一方的に戦争に巻き込みながら守ってくれないことに強い憤りを感じています。かつてはアメリカの安全保障の傘を信頼していましたが、今や米軍基地の存在は安全の源ではなく、むしろリスクそのものと見なされるようになりました。

アメリカと湾岸諸国の安保関係が完全に終わることはないにせよ、もはや以前と同じ姿には戻らないでしょう。サウジアラビアがパキスタンと安保同盟を結び、トルコやエジプトを中心にイスラム圏独自の安全保障の枠組みを求める声が強まっているのは、その現れです。トランプ大統領による今回の「遠征」はいずれ終わりますが、湾岸諸国とイランは今後も数千年にわたって隣人として共に生きていかなければなりません。カタール外務省の報道官が述べたように、地域の人々はこの地で共存する方法を見つけ出す必要があります。今回の戦争はイランに打撃を与え、国際法や核不拡散の体制を損なうだけでなく、アメリカが長年築いてきたNATOや湾岸諸国との重要な信頼関係をも根底から揺るがす結果となったのです。

新シオニズムの推進者

Bari Weiss and the ‘Four Horsemen of New Zionism’ | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】米軍内部で、指揮官たちがイランとの戦争を「聖戦」や「神の計画」として位置づけ、トランプ大統領を「終末」をもたらす存在と呼んでいるという、軍事宗教自由財団への200人以上の告発からこの記事は始まります。筆者は、こうした「新シオニズム」を推進する中心人物の一人として、メディア界に多大な影響力を持つバリ・ワイス氏を「新シオニズムの四騎士」の一人に例えて痛烈に批判しています。

かつてニューヨーク・タイムズ紙のアイデンティティ政治を批判して退社したワイス氏ですが、現在の彼女はイスラエル政府や米国内の権威主義を後押しする広告塔と化していると筆者は指摘します。彼女は「キャンセル・カルチャー」を批判しながら、自らには批判的な人々を反ユダヤ主義者として冷酷に攻撃し、排除しようとする二重基準を持っているというのです。彼女は言論の自由の戦士を装っていますが、その実態は自らの意に沿わない意見を「誤った考え」として犯罪視するマッカーシズム的な手法を駆使しています。

ワイス氏はその著作において反ユダヤ主義を警戒していますが、そこにはキリスト教シオニストによる終末論的な反ユダヤ主義への視点が欠けています。彼らはユダヤ人を終末の生け贄として利用しようとしているにもかかわらず、ワイス氏がこれを黙認するのは、彼女自身がイスラエル政府を神格化し、ネタニヤフ政権によるガザでの虐待や過激な閣僚の存在を覆い隠そうとしているからだと批判されています。こうした姿勢は、イスラエル政府の行動とアメリカのユダヤ人を同一視させることになり、結果として反ユダヤ主義を蔓延させる一因になっていると筆者は警鐘を鳴らしています。ワイス氏は、ユダヤ人としてのアイデンティティがイスラエル政府への忠誠を義務付け、その政策批判を差別とみなす「アイデンティティ政治」の罠に自ら陥っているのです。

ワイス氏が率いるメディア「フリー・プレス」は、ガザでの飢餓を否定するような歪んだ報道を行っており、筆者は彼女を黙示録の四騎士になぞらえて「飢饉」と呼んでいます。人道支援を拒む一方で軍事援助を受け入れるイスラエルを擁護する彼女の姿勢は、ジャーナリズムの誠実さを欠いていると断じられています。ワイス氏はアメリカのための思慮深い声であるか、あるいはイスラエルの傀儡であるかの選択を迫られています。権力者を監視し、不当な戦争や飢餓を告発することこそが真のジャーナリズムであり、特定の政治的利益のためにアイデンティティを武器にすることは、アメリカ国民への裏切りであると結論づけられています。

民主主義から寡頭政治へ

Of Two Minds - Is a "Democracy" That's For Sale Still a Democracy? No, It's an Oligarchy [LINK]

【海外記事より】「売却可能な民主主義は、果たしてまだ民主主義と呼べるのか、それとも別の何かなのか」。この記事は、現代の政治システムが実質的には「政治的恩恵や影響力の競売場」と化しており、最高額の入札者が勝利するオークション会場に近いのではないかと問いかけています。

「民意」という言葉は、今や便利な飾りに過ぎません。多額の資金を集めた者が選挙に勝つのは、洗剤の広告と同じように、マーケティングによって認知度を買い取っているからです。この劣化した民主主義の根底には、「誰もが私利私欲を最大限に追求すれば、魔法のように公共の利益が生まれる」という誤った信仰があります。しかし、ジミー・カーター元大統領がかつて述べたように、国家の利益とは個々の特殊な利益を足し合わせたものではありません。最高額の入札者に補助金や恩恵を分配するだけの国家は、公共の利益を支えることは不可能なのです。

現在のシステムは、民主主義を装った「寡頭政治(オリガーキー)」に過ぎないと筆者は指摘します。反乱を防ぐために下層や中産階級にも一定の分配を行いつつ、実質的な権力と富はトップ0.1%の手に握られています。本来の機能的な民主主義とは、社会契約、市民的徳、共通の目的、共有された犠牲、そして道徳的正当性といった要素が結びついたエコシステムであるはずです。社会のリーダーが徳を捨て、私利私欲に走った時、中国でいう「天命」が失われるように、政治の正当性は消滅します。

信頼や帰属意識に基づく「社会の結束力」は、特権階級の利益のために下層階級が犠牲にされることで失われていきます。連邦政府の権力や恩恵を奪い合う「強欲」が、公共の利益に資するという主張は、エリート層の支配を隠すための便利なカモフラージュです。有権者ができることは、自らの利益のみを追求するエリートたちのうち、どちらの広告キャンペーンがより効果的だったかを投票で決めることだけになっています。

このような私利私欲の賛美は、やがて社会の結束力と道徳的正当性を侵食し、このまやかしは維持できなくなります。強欲が生んだ催眠状態から目覚める時、私たちは避けることのできない、そして極めて重大な局面に直面することになるだろうと、記事は結んでいます。

優位確保するイラン

Advantage Iran [LINK]

【海外記事より】アメリカとイスラエルによる1ヶ月間に及ぶ激しい空爆作戦にもかかわらず、イラン情勢はトランプ大統領の意図に反してイラン側に有利な展開を見せています。トランプ氏はイランの民間エネルギーインフラへの爆撃を示唆したかと思えば、秘密の和平交渉案を理由に一転して攻撃を保留するなど、混乱した対応を続けています。一方で第82空挺師団の派遣も決定しており、軍事衝突がさらに拡大する可能性も排除できません。しかし、こうした不透明な状況下にあって、イラン体制は動じる気配を見せず、戦略的な優位性を確保しつつあります。

確かにイラン側は甚大な被害を受けています。指導層の多くや数百人の民間人が犠牲となり、防空システムや海軍、ミサイル発射施設の大部分が破壊されました。しかし、この戦争が始まった当初から懸念されていた通り、体制が生き残っていること自体がイランにとっては一種の勝利を意味します。国内ではアメリカとイスラエルによる猛攻撃を受けて強硬派の革命防衛隊が実権を握り、体制のグリップはむしろ強化されています。約400キログラムの高濃縮ウランは手つかずのまま瓦礫の下に保管されていると見られ、核の脅威は排除されていません。最も衝撃的なのは、世界供給の5分の1を占めるホルムズ海峡をイランが封鎖し、湾岸諸国の石油・ガス輸出を差し止める能力を証明したことです。安価なドローンやミサイルを用いた非対称戦争により、超大国アメリカを寄せ付けない状況を作り出しています。

また、イランは国外でも依然として影響力を行使しています。イエメンのフーシ派は紅海での攻撃を控えることでサウジ産原油の一部を市場に流し、原油価格を1バレル100ドル前後に抑えていますが、これは交渉において高い代償を要求するためのカードとなり得ます。イラクやレバノンでも、イランの代理勢力が「抵抗勢力」としての正当性を取り戻しつつあります。一方で、アメリカの同盟国である湾岸諸国は、傷つきながらも不敵な態度を崩さないイランが以前よりも大きな脅威になることを恐れています。サウジアラビアは地上部隊の投入を求めていると報じられており、UAEはイランの行為を「経済テロ」と非難しています。

イスラエルの安全も保障されていません。イランのミサイルはイスラエルの領空を突破して民間人を殺害しており、政権交代がない限りこの脅威は続きます。さらに深刻なのは、アメリカ国内でこの戦争への支持が急落していることです。ガソリン価格の高騰や市場の混乱により、特に若年層の有権者がイスラエルに対して批判的になっています。トランプ氏は戦略的な根拠なしにこの戦争を開始しましたが、現時点で実質的な成果は何も得られていません。トランプ氏に残された選択肢は、民間インフラへの攻撃や島嶼部の占領といったさらなるエスカレーションか、あるいは交渉かです。しかし、軍事的な深追いは1980年のジミー・カーター政権の失敗を繰り返すリスクがあり、アジアなど他地域での軍事力を弱めることにも繋がります。結論として、トランプ氏は即時停戦に応じ、真剣な交渉を模索すべきですが、戦争を通じて強硬派を勢いづかせてしまった以上、開戦前よりも厳しい条件での合意を余儀なくされる可能性が高いでしょう。

イラン攻撃「行き過ぎ」が過半

59% of Americans feel US military offensive against Iran has ‘gone too far’ [LINK]

【海外記事より】アメリカがイランに対して展開している軍事作戦「壮絶な怒り」について、アメリカ国民の過半数が「行き過ぎである」と感じていることが、最新の世論調査で明らかになりました。AP通信とNORC公共事務研究センターが3月19日から23日にかけて実施した調査によると、回答者の59%が米軍の攻撃規模は過剰であると答えています。これに対し、妥当であると考える人は26%にとどまり、不十分であると回答したのはわずか13%でした。また、ピュー・リサーチ・センターの調査でも、トランプ大統領の紛争への対応を支持する人は37%で、不支持の61%を大きく下回っています。

国民の間に懐疑的な見方が広がる一方で、米中央軍のクーパー司令官は、2月28日の作戦開始以来、イラン国内の1万箇所以上の軍事目標を攻撃したと発表しました。この攻撃により、イランのミサイルやドローン、海軍の生産施設および造船所の3分の2以上を大幅に破壊し、その機能を低下させたと説明しています。これを受け、トランプ大統領は26日の閣議で、イランに対する戦争は「予定より早く進んでおり、間もなく終わる」と宣言しました。大統領は記者団に対し、世界を巻き込みかねない非常に危険な火種を消すためにイランへ向かう必要があったとした上で、イラン側が取引を懇願している状況にあると強調しました。

閣議に同席したウィトコフ和平特使は、中東での戦争を終結させるための15項目の計画をパキスタンの仲介者を通じてイラン当局に提示したことを明かしました。ウィトコフ氏は、死と破壊以外の選択肢がないことをイラン側に納得させることができれば合意の可能性があるとし、それが実現すればイランだけでなく地域全体、そして世界にとって素晴らしいことになると述べています。トランプ政権が外交交渉による解決の可能性を示唆する一方で、国防総省は軍事攻勢を緩めない姿勢を強調しています。

ヘグセス国防長官は26日、平和的な合意を歓迎し祈っていると述べつつも、合意に至るまでは、国防省は引き続き「爆弾による交渉」を継続すると明言しました。この記事は、軍事的な成果を強調し早期終結を楽観する政権側と、軍事行使の拡大を冷ややかに見つめるアメリカ世論との間にある大きな乖離を浮き彫りにしています。

本当のインフレ率とは?

What's the Real Inflation Rate? [LINK]

【海外記事より】マイク・マハレイ氏は、現在のインフレ率が公表されている数字よりもはるかに高い水準にあると指摘し、消費者物価指数(CPI)という指標に惑わされないよう警鐘を鳴らしています。一般的にメディアや経済専門家がインフレについて語る際、基準となるのはCPIです。これは一定の「商品バスケット」の価格変化を測定するもので、価格インフレの目安にはなりますが、経済学的な定義に照らした本来のインフレの動向を正確に捉えているとは言えません。本来、インフレとは単なる「物価の上昇」ではなく、通貨と信用の量の増加と定義されてきました。つまり、インフレは原油価格のショックや企業の強欲によって引き起こされるのではなく、通貨の乱発によって引き起こされるものなのです。

一般的に物価が上昇するのは、この通貨膨張という現象の一つの症状に過ぎません。通貨の膨張は消費財の価格だけでなく、資産価格のインフレも引き起こします。近年の株式市場の上昇や金価格の高騰も、その多くはインフレによるものです。主流派の専門家が価格インフレと通貨インフレを区別しないことが、多くの混乱を生んでいると氏は述べています。政府が作成したバスケットに基づく現在の年率インフレ率は2.4%とされています。これは目標とされる2%をわずかに上回る程度に見えますが、通貨供給量の増加をインフレ率と定義すれば、その実態は2倍以上の水準に達しています。

連邦準備理事会(FRB)のデータによれば、通貨供給量(M2)は2025年2月の21.61兆ドルから2026年2月には22.67兆ドルへと増加しました。これは4.9%の増加を意味しており、実際には5%近いインフレが発生していることになります。通貨供給量の推移を見れば、インフレ圧力は収まるどころか高まっています。通貨供給量は2023年10月に底入れし、再び増加に転じました。現在はパンデミック時のピークを大きく上回る水準にあり、その増加ペースは2022年7月以来の速さとなっています。これは、現在の金融政策が歴史的な基準で見れば決して「引き締め」の状態にはないことを示しています。

シカゴ連邦準備銀行の全米金融条件指数も、金融状況が歴史的に緩和的であることを裏付けています。さらに、FRBの資産規模の拡大は、当局が「量的緩和」という言葉を使わずに、事実上の資産買い入れを昨年12月から静かに再開していることを露呈させています。インフレが加速している根本的な原因は、イランでの戦争や原油価格の上昇ではありません。もちろん紛争は経済的な苦痛を悪化させ、世界を景気後退に陥れる可能性がありますが、たとえ戦争が終わり原油価格が急落したとしても、政府が通貨を刷り続ける限りインフレ問題は解決しません。むしろ原油安でインフレの脅威が去ったと国民が信じれば、政府は戦費調達のためにさらに通貨発行機をフル稼働させる口実を得ることになると氏は結んでいます。

金は今後も重要性増す

Swiss Bankers Association: Despite Current Volatility Gold Will Continue to Gain Relevance [LINK]

【海外記事より】スイス銀行家協会は、現在の価格変動や直近の下落傾向にかかわらず、細分化が進み政治的不透明感が増す世界経済において、金の価値の保存手段としての重要性は今後も高まり続けるとの見解を示しています。同協会の規制・経済アドバイザーであるニナ=アレッサ・ミシェル氏は、目先のニュースが価格変動を引き起こす可能性はあるものの、金価格の推移は単発の出来事だけでなく、根本的な構造の変化によって決まると指摘しています。

地政学的、経済的な緊張の高まりや政府債務の増大を背景に、安全な投資先への需要は増加しています。こうした傾向は不確実性に満ちていますが、長期的に見て相対的な安定性を持つ金は優れた投資対象となります。インフレの変動や金利予測の変化が続く中では、安定した資産への需要が底堅く推移するためです。特にイランでの戦争が勃発して以降、金価格は大きな振れ幅を記録していますが、地政学的な不透明期においては他の資産よりもボラティリティが低くなる傾向があります。ミシェル氏は、現在の環境下で金は投資ポートフォリオや外貨準備における「戦略的な錨」として、より重要な役割を果たすようになると述べています。

短期的にはエネルギー価格への懸念から中央銀行による買い入れが鈍化する可能性もありますが、長期的にはその需要は旺盛なままでしょう。世界の勢力均衡が変化するほど戦略的予備資産としての金の魅力は高まり、伝統的な主要通貨への依存を減らして外貨準備を多角化しようとする動きが強まるからです。これは、アメリカによる通貨の武器化や無責任な財政政策への懸念から、脱ドルの動きが加速していることを意味しています。実際、2025年上半期だけでスイスからアメリカへ476トン以上の金が輸出されましたが、これはアメリカ国内の不透明感やインフレ、政府債務増大への懸念が需要を押し上げた結果です。

現在、原油価格の急騰によるインフレ懸念から、連邦準備制度が金利を高く維持、あるいは引き上げるとの観測が金の重石となっています。しかし、こうした分析は膨大な債務という問題を無視しています。中央銀行はインフレ抑制のために引き締めを行う必要がありますが、一方で債務を抱えたバブル経済を維持するために利下げも必要という板挟みの状態にあります。最終的に彼らはインフレよりも経済の維持を選択するでしょう。金の本質的な役割は、法定通貨が減価する世界での富の保全にあります。政府が通貨を乱発し価値を下げる行為をやめない以上、金は投資戦略に不可欠な資産であり続けると結論づけられています。

ミレイ氏のケインズ政策

The “Austro-libertarian” Keynesian president strikes again [LINK]

【海外記事より】マーティン・カブレラ氏が執筆した記事によれば、アルゼンチンのハビエル・ミレイ政権が打ち出した最新の経済施策が、大きな議論を呼んでいます。ミレイ政権は、消費を活性化させ経済成長を刺激することを目的として、中央銀行を通じてペソを市場に注入する計画を発表しました。この計画には、銀行システムの法定準備率を5%引き下げることが含まれています。カブレラ氏はこの政策について、まさに「教科書通りのケインズ経済学」であると指摘しています。

こうした政策の背後にあるケインズ経済学的な考え方、すなわち「乗数効果」や「加速度原理」、あるいは「信用拡大によって持続可能な経済成長を生み出せる」という理論は、オーストリア学派のエコノミストたちによって繰り返し論破されてきたものです。今回の政策が長期的にもたらす否定的な結末は、完全に見通せると同氏は述べています。具体的には、相対価格の歪みや、誤った投資が引き起こす景気循環、インフレの再燃、そしてミレイ氏自身がかつて廃止を公約していた「通貨の中央計画」のさらなる定着を招くことになります。

カブレラ氏は、この事例はミレイ氏がオーストリア学派のエコノミストでもなければ、リバタリアンでもないことを示す多くの証拠の一つに過ぎないと考えています。ミレイ氏は公の場で、マレー・ロスバード氏を「史上最高のエコノミスト」と称賛する一方で、ロスバード氏とほぼ同一の貨幣理論を持つハンス=ヘルマン・ホッペ教授を「経済学に無知である」と攻撃しています。その一方で、実際にはケインズ主義的な政策を実行している現状に対し、カブレラ氏は「ロスバードが草葉の陰で泣いているだろう」と批判しています。

さらに同氏は、ケインズ経済学への批判やそのドグマの論破に貢献してきたはずの一部のオーストリア学派系リバタリアンや自称リバタリアンたちが、今なおミレイ氏を賞賛に値する英雄として持ち上げ続けている現状を、極めて不名誉なことであると断じています。かつての公約や理念とは裏腹に、実際に行われている政策が自由放任主義から遠ざかっていることへの、強い不信感が示された内容となっています。

米軍を撤退させよ

Bring The Troops Back. End This War Now! - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】アメリカの元下院議員であるロン・ポール氏が、現在の緊迫したイラン情勢とアメリカの軍事行動に対して強い警鐘を鳴らしています。週明けのメディア報道によれば、トランプ大統領はイランのウラン押収、あるいは沿岸の島への攻撃を目的とした地上作戦を承認する準備を整えているとのことです。すでに数千人規模の米軍部隊が紛争地域へと急行し、大統領の決断を待っている状態にあります。ポール氏はこの状況に対し、大統領は重大な過ちを犯そうとしていると指摘します。イランに対するこの凄惨な、自ら選んだ戦争において、これまでに積み重なってきた致命的な失敗に、さらなる過ちを加えようとしているというのです。もし地上作戦が実行されれば、数千人の米軍兵士が命を落とす結果にしかならないと氏は主張しています。

本来であれば、議会がその役割を果たしていればこのような事態にはならなかったはずです。アメリカへの差し迫った攻撃がない限り、大統領は開戦の是非を議会に問わなければならないという明確な信号を、議会指導部が大統領に送るべきでした。しかし、実際に行われたのは議会による黙認であり、その結果としてすでに数十億ドルの費用と尊い命が失われています。現在、この戦争の主な目的として、イランに核兵器を持たせないこと、そしてホルムズ海峡の航行の自由を確保することが掲げられています。しかしポール氏は、これら二つの事柄は戦争が始まる前からすでに達成されていた事実であると指摘します。結局のところ、戦争を始めたことによって生じた負の連鎖を断ち切るために、さらに戦争を拡大させようとしている矛盾した状況に陥っているのです。

当初、イランを降伏させるための短期間の「電撃作戦」になると想定されていましたが、戦況は急速に拡大し、アメリカに多大な代償を強いています。ニューヨーク・タイムズ紙が報じている通り、周辺地域のすべての米軍基地は破壊されるか、深刻な被害を受けています。イラン側の反撃により、数十億ドル相当の軍装備品が失われました。先週末だけでも、サウジアラビアの米軍基地で5億ドル相当のレーダー機や空中給油機が破壊されています。イラン側はアメリカが奇襲を仕掛ければ反撃すると警告していましたが、アメリカ政権はそれをはったりだと高を括っていたのです。

国民にはこの惨状の全貌が伝わっていない可能性があります。主流メディアが戦争は順調であるかのような報道を続けているためです。しかし、実際に破壊されているのはイランだけではありません。石油やガス、さらには肥料といった世界的なサプライチェーンそのものが崩壊の危機にあります。すでにアジア諸国では燃料を巡る暴動が起き、配給制や外出禁止令が出される事態となっています。オーストラリアでも数週間以内に燃料が枯渇する恐れがあり、物流や発電が止まれば生活が立ち行かなくなります。これは新型コロナウイルスによる経済停止よりも深刻な事態を招き、世界恐慌に発展する可能性があります。ポール氏は、これ以上の地上作戦という戦火拡大を即座にやめ、軍を撤退させるべきだと強く訴えています。

2026-03-30

肥料不足と食料危機

Global Food Supply at Risk: The Silent Collapse Triggered by Fertilizer Shortages [LINK]

【海外記事より】現代の世界的な食料供給システムは、一見強固に見えますが、実は「肥料」という極めて脆弱な基盤の上に成り立っています。世界の食料生産の約50%が化学肥料に依存しており、その供給が滞れば、スーパーの棚の豊かさや価格の安定はまたたく間に崩壊してしまいます。2026年、中東での紛争激化はこの脆弱性を浮き彫りにしました。世界の尿素輸出の約50%が通過するホルムズ海峡が物流のボトルネックとなり、タンカーの通航量が激減したことで、尿素価格は紛争前と比較して47%以上も急騰しています。

肥料危機の深刻さは、エネルギー価格との密接な連動にあります。窒素肥料の製造には天然ガスが不可欠ですが、その価格高騰に加え、中国やロシアといった主要輸出国による輸出制限が追い打ちをかけています。農家は、高価な肥料を減らして収穫量の減少を受け入れるか、肥料をあまり必要としない作物へ転換するか、最悪の場合は耕作を断念するという過酷な選択を迫られています。肥料コストは農業生産費の最大25%を占めるまでになっており、2026年には1エーカーあたり166ドルを超えるケースも報告されています。

この問題の影響は農場に留まらず、社会全体に波及します。肥料不足による食料価格の上昇により、世界で新たに最大4,500万人が深刻な飢餓に直面すると予測されています。特に輸入依存度の高い発展途上国への打撃は深刻で、小麦や米、トウモロコシといった主要作物の供給不足が懸念されています。また、各国政府が国内市場を守るために輸出禁止措置を講じることで、すでに緊張状態にあるサプライチェーンがさらに断片化するという悪循環も起きています。

肥料危機が最も恐ろしいのは、その影響が時間差で現れる「遅効性の災厄」である点です。肥料の使用量が減れば、数年かけて土壌の肥沃度が低下し、構造的な収穫量の減少を招きます。長期的には、世界の食料システムが地域ブロックごとに分断され、慢性的な飢餓や政治的不安定、移民圧力の増大につながる恐れがあります。現在、世界の食料備蓄はかろうじて安定を保っていますが、専門家はこれが一時的な見せかけに過ぎないと警告しています。物流ルートの混乱が3ヶ月以上続けば、世界の食料供給システムは修復不可能な段階にまで崩壊しかねないという極めて危険な状況にあります。

露財政、原油高で恩恵

$100 Oil Is Solving Russia's Budget Problem | OilPrice.com [LINK]

【海外記事より】中東での紛争に伴う原油価格の高騰が、ロシアの財政状況に予期せぬ恩恵をもたらしています。イランとの戦争やホルムズ海峡の実質的な封鎖を背景に、原油価格が1バレルあたり100ドルまで急騰したことで、ロシアの今月の石油収入は過去4年間で最高水準に達しました。これにより、当初計画されていた予算削減が見送られるだけでなく、ウクライナでの軍事支出をさらに増強する可能性も浮上しています。

わずか1ヶ月前まで、ロシアは石油・ガス収入の激減に直面していました。主要な買い手であったインドがスポット市場から撤退し、ロシア産原油の割引率も拡大していたため、政府は経済見通しの下方修正や、予備基金への積立基準の引き下げを検討していたほどです。しかし、中東情勢の悪化が世界のエネルギー市場に史上最大の混乱をもたらした結果、状況は一変しました。米国がロシア産原油の購入を事実上黙認する姿勢に転じたこともあり、ロシアの主力油種であるウラル原油の価格は約2倍の100ドル前後まで上昇し、インドからの需要も再び急増しています。

この収入増を受け、ロシア当局は2026年の経済成長予測の下方修正案を撤回しました。タンカーの追跡データによれば、3月の石油収入はウクライナ侵攻直後の2022年以来の極めて高い水準を記録しています。ウクライナによるバルト海沿岸の主要港へのドローン攻撃が続き、輸出能力が一部阻害されているものの、価格高騰による利益がそれを補って余りある状態です。中東での戦争という外的要因が、図らずもロシアの財政難を解消し、軍事経済を支える皮肉な構図となっています。

消える「財務官」の署名

Exclusive: Trump's signature to appear on US currency, Treasury says, ending 165-year tradition | Reuters [LINK]

【海外記事より】米国財務省は、アメリカ建国250周年を記念して、発行される紙幣にドナルド・トランプ大統領の署名を記載すると発表しました。現職大統領の署名が紙幣に刻まれるのは合衆国史上初めての出来事となります。一方で、1861年の連邦紙幣発行開始以来、165年間にわたって途切れることなく続いてきた「アメリカ合衆国財務官(Treasurer)」の署名記載は、今回の変更に伴い廃止されることになりました。

財務省の声明によれば、トランプ大統領とスコット・ベセント財務長官の署名が入った新しい100ドル札の印刷は2026年6月に開始され、その後数ヶ月かけて他の額面の紙幣も順次切り替わる予定です。現在、政府印刷局ではバイデン前政権時代のイエレン財務長官とマレルバ財務官の署名が入った紙幣が引き続き製造されていますが、マレルバ氏がその伝統を引き継ぐ最後の財務官となります。

今回の措置は、政府機関やプログラム、戦艦などに大統領の名を冠そうとするトランプ政権の一連の取り組みの一環とみられています。すでにトランプ氏の肖像をデザインした記念金貨の発行も承認されていますが、流通用の硬貨については「存命中の人物を描くことを禁じる法律」が壁となり、今回は紙幣への署名という形に落ち着きました。なお、連邦準備銀行券の印刷に関する法律では、偽造防止のためにデザインを変更する広範な裁量が財務省に与えられており、今回の変更もその権限に基づくものです。

ベセント財務長官は、第2期トランプ政権下での強い経済成長とドルの覇権を背景に、建国250周年の節目に大統領の名を刻むことは「歴史的な成果を称える最も強力な方法であり、極めて適切である」と述べています。紙幣の全体的なデザイン自体に大きな変更はなく、「イン・ゴッド・ウィ・トラスト(我ら神を信ず)」の文言や、故人の肖像を用いるといった法的要件も維持されますが、財務官の署名が消え、大統領の署名に置き換わるという点は、米国の通貨制度における歴史的な転換点となります。 

中南米の軍事化

A Retreat to the Western Hemisphere? | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】米国のアジアや中東での影響力が相対的に低下する中、トランプ政権は「バックヤード(裏庭)」とみなすラテンアメリカへの関与を、一世代で最も攻撃的な軍事化という形で強めています。これは「モンロー主義のトランプ補完計画」とも呼ばれ、西半球を戦略的優先地帯と位置づけ、麻薬カルテルの制圧と中国の影響力排除を軍事力によって進める枠組みです。その象徴的な出来事が、2026年1月に実行されたベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の拘束作戦です。約150機の航空機を動員したこの作戦により、マドゥロ氏はニューヨークへ移送され、麻薬テロ共謀の罪で起訴されました。トランプ大統領は、ベネズエラの膨大な石油資源の管理が主要な動機であると公に認めています。

こうした動きは、国家元首の拘束に留まりません。2025年9月以降、米南方軍はカリブ海や東太平洋で、麻薬密売の疑いがある船舶に対して系統的な致命的攻撃を開始しました。2026年2月までに44回以上の攻撃が行われ、少なくとも151人が死亡しています。法的根拠のない超法規的殺害であるとの批判が専門家から上がっていますが、軍事的な足跡は急速に拡大しています。プエルトリコでは2004年に閉鎖された海軍基地が再稼働し、F-35B戦闘機が配備されました。また、パナマでは運河の奪還を視野に入れた軍事トレーニングが再開され、エクアドルでも現地の治安部隊と米軍による共同作戦が新段階に入っています。

この戦略の中核をなすのが、2026年3月に発足した「米州反カルテル連合(別名:米州の盾)」です。これは、参加国がカルテルに関する情報を共有し、軍事力を行使して麻薬テロ組織を解体することを目的としています。アルゼンチンのミレイ大統領やエルサルバドルのブケレ大統領など17カ国が参加していますが、メキシコ、ブラジル、コロンビアといった地域の主要経済国は、トランプ政権との思想的な不一致から除外されました。特にメキシコのシェインバウム大統領は、自国領土内での米軍の作戦を拒否する姿勢を鮮明にしています。

批評家たちは、こうした軍事化の道は人権侵害を招くだけでなく、パートナーとしての信頼を損なうと警告しています。本来のモンロー主義の精神に基づけば、他国の介入を防ぎつつ経済的な自由を認める温和な覇権を追求することも可能ですが、現在のトランプ政権は、他地域での劣勢を挽回するかのように、西半球での支配を強める道を選んだと分析されています。隣国をパートナーではなく「臣民」として扱うこの姿勢が、将来的に米国自身の安全保障に対する反発を招く懸念が指摘されています。

露、財政赤字補填へ金売却

bne IntelliNews - Russia sells gold bars for the first time in 25 years to fund budget deficit [LINK]

【海外記事より】ロシア政府は、拡大する財政赤字を補填するため、約25年ぶりとなる中央銀行保有の現物金の売却を開始しました。規制当局のデータによると、2022年から2025年にかけての金および外貨の売却額は15兆ルーブル(約1,500億ドル)に達し、2026年に入ってからも最初の2ヶ月間だけでさらに3.5兆ルーブルが売却されています。具体的には、1月に30万オンス、2月に20万オンスの金が市場に放出されました。これは、帳簿上の操作ではなく現物の金地金を直接売却するという、ロシアの予備費管理における大きな方針転換を意味しています。

この売却により、ロシアの金保有量は過去4年間で最低の水準となる7,430万オンスまで減少しました。背景にあるのは、長期化する軍事支出に伴う極めて強い財政圧力です。2025年末の財政赤字は対GDP比で2.6%に達し、当初予測の0.5%を大幅に上回りました。さらに、昨年度後半の原油価格の下落や制裁の強化により、国家収入に占める石油・ガス税の割合は戦前の約半分である20%まで低下しています。政府は付加価値税の増税や国内債券の発行、国民福祉基金の取り崩しなど、複数の手段を組み合わせて赤字を埋めようとしていますが、現物金の売却に踏み切ったことは、流動性の高い予備資源が直接的に削られ始めている現状を物語っています。

一方で、金価格が1オンスあたり5,000ドルを超える水準まで急騰したことで、保有資産の評価額が大幅に上昇している側面もあります。ロシアの国際準備高は2月末時点で8,090億ドルを超えており、そのうち金準備の価値は3,840億ドルに達しています。ロシアは世界第5位の金保有国であり、長年かけてドルの依存度を下げる戦略を進めてきました。また、対外債務がGDPの14%と主要国の中で突出して低いことも、制裁への耐性を支える要因となっています。しかし、紛争が4年目に入る中で現物金の取り崩しが始まったことは、ロシアの財政状況に生じている歪みが一段と深刻化していることを示唆しています。

実物資産の時代

The Hard Asset Revolution Has Begun — And Most Investors Are Going to Miss It – GAINS, PAINS & CAPITAL [LINK]

【海外記事より】現在の金融システムは急速に変容しており、投資の定石が大きく塗り替えられようとしています。イランでの紛争によって浮き彫りになったのは、経済において最も重要な要素はテクノロジーや戦略ではなく、「ハードアセット(実物資産)」であるという事実です。特に石油は、単なる自動車の燃料にとどまらず、プラスチック、合成繊維、肥料、薬品から化粧品に至るまで、現代社会のあらゆる製品の基礎原料となっています。原油価格が高止まりすれば、輸送や製造コストを通じて経済全体が浸食されることになります。

また、近年のAI革命を支えているのも、実は膨大な実物資産やコモディティです。データセンターや次世代のインフラを機能させるためには、銅、シリコン、銀、金、リチウム、希少土類といった鉱物資源に加え、天然ガスやウランなどのエネルギー資源が不可欠です。つまり、技術革新の成否はこれらの物理的な素材の確保にかかっていると言っても過言ではありません。金融市場もこの現実に気づき始めており、これまで市場を牽引してきた主要なハイテク銘柄が苦戦する一方で、コモディティ関連の指標は力強い動きを見せています。

実際に市場のデータを見ると、AI関連の代表的な銘柄よりも、金鉱株などの実物資産に関連するセクターの方が、過去2年間で高いパフォーマンスを記録しているケースが見受けられます。賢明な投資家たちは、すでに従来の金融資産から、今後さらなる成長が期待される実物資産や貴金属へと資金を移動させ始めています。2025年には一部の貴金属採掘関連のポジションが極めて高い上昇率を記録しましたが、こうした傾向は2026年も継続する可能性があると予測されています。インフレの嵐の中で資産を守り、利益を上げるためには、この実物資産へのシフトを理解することが不可欠です。

グローバル経済、イラン戦争で変容

The war on Iran is transforming the global economy: Economist Michael Hudson explains how - Geopolitical Economy Report [LINK]

【海外記事より】米・イスラエルとイランの衝突は、単なる地域紛争に留まらず、世界の地政学秩序と経済構造を根本から変容させています。経済学者のマイケル・ハドソン氏は、今回の事態を「歴史上最大のオイルショック」と位置づけています。1973年や1979年の危機の規模を上回り、特に中東へのエネルギー依存度が高い日本を含むアジア諸国に深刻な影響を及ぼしています。日本はすでに過去最大規模の備蓄放出を余儀なくされ、国際エネルギー機関の加盟国も合計で4億バレルの放出に合意しましたが、これらは一時的なしのぎに過ぎません。イランとの戦争が続く限り、エネルギー市場の混乱と価格の高騰は避けられない見通しです。

ハドソン氏は、この戦争の本質を「石油を通じた世界支配の権益を巡る争い」であると指摘します。過去半世紀、米国は石油取引をドル建てで行う「ペトロダラー」体制を基盤に、他国へのエネルギー供給をコントロールすることで外交的な主導権を握ってきました。しかし、イランが世界の石油輸送の要所であるホルムズ海峡を封鎖し、通過の条件としてドルではなく中国の「人民元」による決済を要求し始めたことで、このドルの独占体制が根底から揺らいでいます。イラン側は、これまで米国が他国を従わせるための「チョークポイント(戦略的要衝)」として利用してきた石油の支配権を奪い返し、逆に米国やその同盟国に対して制裁を科す力を手に入れようとしています。

また、石油や天然ガスの供給不足は、単なるガソリン価格の上昇に留まりません。肥料や化学製品の原料も絶たれるため、世界的な食料危機や農業の収益悪化を招きます。ハドソン氏は、ロシア産ガスを失い産業が衰退したドイツの例を挙げ、同様の現象が日本や韓国、フィリピンなど米国の同盟国でも起きると警告しています。特に半導体製造に必要なヘリウムや電力の不足は、ハイテク産業にも打撃を与えます。結果として、各国では軍事費の増大と社会支出の削減という政治的対立が激化し、米国の同盟関係そのものが揺らぐ可能性があります。この戦争は、米国による一極支配が続くのか、それとも各国が自国独自の主権を回復する独立した経済圏へと移行するのかを決める、国際経済の重大な分岐点となっているのです。

深刻な失敗、覇権の終焉

Escalating from Suez to Waterloo: Trump’s Three-Card-Monte Takes on the Chess Grandmasters [LINK]

【海外記事より】エコノミストのサイファディーン・アモウズ氏が発表した分析によれば、イスラエルとアメリカによる対イラン戦争は、当初の予想に反して4週目を迎え、アメリカ側に深刻な戦略的失敗をもたらしています。アモウズ氏は、この戦争が20世紀型の超大国が、21世紀型の安価な新技術を駆使する中等国家に敗北する歴史的な転換点になる可能性を指摘しています。

アメリカ側の当初の目標であったイランの無条件降伏や政権交代、核・ミサイル計画の阻止は、現時点でほとんど達成されていません。一方でイランは、1機あたり約7000ドルという低コストのドローンや高精度な極超音速ミサイルを運用し、アメリカの防空システムを枯渇させつつ、ホルムズ海峡の事実上の支配権を確立しています。

イランは現在、海峡を通過する石油1バレルにつき1ドルの通行料を課しており、世界のエネルギー市場に対して強力な影響力を行使しています。さらに、イランによる攻撃は中東におけるアメリカの軍事拠点を機能不全に陥らせ、空母すらもミサイルの脅威から遠ざけられています。

トランプ政権は、エネルギー価格の高騰や米国債の利回り上昇を恐れ、戦争中にもかかわらずイランやロシアへの制裁を一部解除するという異例の対応を余儀なくされました。アモウズ氏は、トランプ氏が直面している選択肢を、イギリス帝国の衰退を決定づけた1956年のスエズ危機になぞらえた敗北の受け入れか、あるいはナポレオンが完全に没落したワーテルローのような壊滅的な敗北を招くさらなる軍事拡大かの二択であると論じています。

もしアメリカが地上軍の派遣などで戦火を拡大すれば、米ドルの基軸通貨としての地位の喪失や、膨大な債務による国家財政の破綻、さらには世界規模のハイパーインフレを招く危険性があると警鐘を鳴らしています。

記事の結論として、アメリカがイスラエルの戦略に引きずられ続ける限り、イランを崩壊させて泥沼化させるか、あるいは自国の経済を破壊するかのどちらか、あるいはその両方の悲劇的な結末に向かう可能性が高いとアモウズ氏は分析しています。このように、本記事は現行の軍事戦略がアメリカの覇権そのものを終わらせる瀬戸際にあることを冷静に提示しています。

ミレイ氏称賛の知的不誠実

On Intellectual Integrity and What a Difference one Crook can Make [LINK]

【海外記事より】ハンス・ヘルマン・ホッペ氏は3月29日付の論考において、自由主義運動における知的誠実さと、特定の人物への評価を巡る矛盾について批判を展開しています。この議論の背景には、経済学者のウォルター・ブロック氏がイスラエルを優先するシオニズム的な立場を表明したことで、ミーゼス研究所やロン・ポール研究所などの複数の自由主義団体から上級フェローの職を解かれた経緯があります。

スペインの経済学者であるヘスス・ウエルタ・デ・ソト氏は当初、ブロック氏の解任につながったホッペ氏の批判記事に同意し、その論理を非の打ちどころがないと称賛していました。しかし、ブロック氏と本質的に同じ見解を共有し、自らを「世界で最も偉大なシオニストの大統領」と称するハビエル・ミレイ氏に対して、デ・ソト氏は正反対の態度を取っています。

ホッペ氏によれば、デ・ソト氏は現在、ミレイ氏を「史上最高の無政府資本主義の代弁者」として熱烈に称えています。ブロック氏が優れたオーストリア学派の経済学者であるのに対し、ミレイ氏はせいぜい素人同然の見習いレベルに過ぎないとホッペ氏は指摘します。それにもかかわらず、世界最大のシオニストを称賛したデ・ソト氏がミーゼス研究所から解任されることはなく、むしろ同研究所はデ・ソト氏を歓迎しました。

一部からは、デ・ソト氏はミレイ氏の演説について数言触れただけだという擁護の声もありますが、ホッペ氏はそれこそが問題であると論じています。つまり、ミレイ氏がいかに自由主義とはかけ離れた行動をとっているかという、誰もが知るべき事実を語らなかったこと自体が不誠実であるという指摘です。また、ミレイ氏がオーストリア学派の普及に誰よりも貢献したという主張についても、過去のロン・ポール氏の活動と比較すれば、戦争を助長するネオコン的な姿勢を持つミレイ氏を称賛することは不適切であると結んでいます。

ネオコンの新たな首領

A New “Godfather” of Neoconservatism for the Twenty-First Century [LINK]

【海外記事より】トム・ディロレンゾ氏は、2026年3月29日付の論考において、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領を、21世紀における新保守主義、いわゆるネオコンの新たな「ゴッドファーザー」であると論じています。かつてネオコンの創始者として知られたアーヴィング・クリストル氏は、1980年代のレーガン政権下で政治的な影響力を強め、その後のアメリカの外交政策を主導しました。

クリストル氏によれば、初期のネオコンはかつての共産主義者、特にトロツキストであり、社会主義の失敗を受けてその衝動を抑えたものの、帝国主義的な外交政策や国家至上主義、シオニズム、そして古典的自由主義への敵対姿勢は維持し続けました。クリストル氏は生前、レーガン政権の減税や規制緩和といった自由主義的な経済政策を支持していましたが、その真の目的は、侵略的で帝国主義的な外交政策を維持するための税収を確保することにありました。同氏は、その外交政策の主目的を「アメリカではなく、イスラエルを守ること」であると明言していたと、この記事は指摘しています。

クリストル氏が2009年に亡くなってから、ネオコンは長らく指導者を欠いていましたが、ディロレンゾ氏はそこにミレイ氏が登場したと述べています。ミレイ氏はレーガン氏やトランプ氏を偶像視し、自由主義的な経済政策を称揚する演説を繰り返していますが、その実態はクリストル氏と同じくシオニストであり、帝国主義的な外交政策を掲げる人物であると分析されています。同氏はガザ地区での軍事行動やイランへの爆撃、北大西洋条約機構、いわゆるNATOのあらゆる行動を支持しており、アルゼンチン国内でも国家による監視体制を導入しました。

この記事は、戦争こそが国家を肥大化させ、個人の自由を破壊するものであるという見解を示しています。戦争が終わっても、政府が有事の際に獲得した緊急権力をすべて返上することはありません。そのため、ミレイ氏がどれほど無政府資本主義や経済的自由を口にしたとしても、その好戦的でネオコン的な姿勢は、自由主義的な側面を上書きしてしまうものであると批判的に紹介されています。ラテンアメリカで自由主義を学び始めた人々が、ネオコン的な終わりのない戦争を支持することこそが自由主義の本質であると誤解してしまうことを、この記事は懸念しています。

2026-03-29

イランが核自爆ベスト?

Vance Tries To Justify Continued Iran War by Suggesting Iran Could Make a Nuclear Suicide Vest - News From Antiwar.com [LINK]

【海外記事より】JDバンス副大統領は木曜日、現在継続されているアメリカとイスラエルによる対イラン戦争を正当化するため、イランが核爆弾を自爆ベストに転用する可能性があるという主張を展開しました。しかし、この主張は現実的な根拠に基づいたものではありません。ヴァンス副大統領は閣議の中で、イランとの紛争に関するアメリカの軍事的および外交的な選択肢について議論する際にこの発言を行いました。彼は、イランによる核兵器の製造を阻止するためにこの戦争が必要であると描き続けていますが、2025年6月の紛争以前にも、また今年2月28日に開始された現在の戦争においても、テヘランの現政権が核爆弾の製造を決定したという証拠は存在しません。

閣議においてバンス副大統領は、1年余り前に大統領が就任した際にはなかった能力、つまりイランが核兵器を保有しないよう、あらゆる手段を行使できる能力が現在の我々にはあると述べました。さらに、アメリカ国民に対して、自分たちが検討している選択肢は何のためのものなのかを知ってもらうことが重要であると強調し、それはイランに核兵器をけっして持たせないための選択肢であると付け加えました。その説明の中で、混雑したスーパーマーケットに自爆ベストを着用して現れ、数人を殺害する悲劇を引き起こす人物の例を引き合いに出しました。そして、もしそのベストに装着されているものが数人ではなく、何万人もの人々を殺害できるものだったらどうなるかと問いかけました。

しかし、実際のところ核爆弾を人間が着用できるベストのサイズにまで小型化することは不可能です。もしバンス副大統領が核物質を用いた、いわゆる汚い爆弾を念頭に置いていたとしても、その規模の兵器で数万人もの死傷者を出すことは考えられません。加えて、近年の地域における自爆テロの圧倒的多数はスンニ派の過激派によるものであり、イランやその同盟者であるシーア派勢力によるものではないという事実もあります。アメリカとイスラエルが戦争を開始する前から、ヴァンス副大統領は政権内でもこの紛争がイランの核開発阻止を目的としたものであると主張する中心的な人物となっていました。これは、2025年6月の空爆によってイランの核プログラムは壊滅したとするトランプ大統領のこれまでの主張とは矛盾する内容です。以上が、バンス副大統領による発言と、その背景にある矛盾を報じる記事の概要です。

レバノンで記者3人殺害

Three Lebanese Journalists Killed in Israeli Attack on Their Marked Press Vehicle - News From Antiwar.com [LINK]

【海外記事より】レバノン南部ジェジンの町近郊で、イスラエル軍が報道用であることを明示した車両を繰り返し直接攻撃し、3人の記者が死亡、数人が負傷しました。この攻撃中、イスラエル軍は車両に向けて4発のミサイルを発射したとされています。亡くなったのは、アル・マヤディーンのファティマ・フトゥニ記者、アル・マナール・テレビのアリ・シュアイブ記者、そしてカメラマンとして同行していたファティマ記者の兄弟であるモハメド氏の3人です。現場には救急隊がすぐに駆けつけましたが、救急車もイスラエル軍による攻撃を受け、救急隊員1人の死亡が確認されました。

明確に表示された報道陣がイスラエル軍の直接攻撃を受けるのは、今回が初めてではありません。先週もロシア・トゥデイの取材班が攻撃され、英国人記者とカメラマンが負傷しています。イスラエル軍は今回の攻撃を認め、標的はシュアイブ記者であったと主張しました。軍の説明によれば、彼は記者のふりをしてイスラエル軍の部隊の場所を暴露していたと非難されています。これに対し、アル・マナール・テレビは、シュアイブ記者が数十年にわたり特派員を務めてきた同局で最も著名な記者の1人であると説明しています。

レバノンのジョゼフ・アウン大統領は、ジャーナリストは戦争中であっても国際的な保護を受けるべき存在であり、今回の攻撃は国際法および人道法に違反する明白な犯罪であると非難しました。フトゥニ記者は、ここ数週間でイスラエルによって殺害された6人目のアル・マヤディーンの記者となります。レバノン保健省の報告によると、今月初めにイスラエルによる最新のレバノン侵攻が始まって以来、死者は1142人、負傷者は3300人以上に達しています。

この記事の著者はアンチウォー・ドットコムのシニアエディターであるジェイソン・ディッツ氏で、20年にわたる外交政策の研究経験を持ち、多くの主要メディアに寄稿している人物です。以上が、レバノンでの報道陣殺害に関する記事の内容です。

ウクライナ向け武器を中東転用へ

‘We Do That All the Time’: Trump Open to Taking US Weapons for Ukraine and Sending Them to the Middle East | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】トランプ大統領は、NATOがウクライナ向けに購入した武器を回収し、対イラン戦争が進む中東へと転用することに前向きな姿勢を示しました。木曜日に開かれた閣議の中で、トランプ大統領は、ウクライナに送られる予定だった武器が別の目的地へ振り向けられたというワシントン・ポスト紙の報道について質問を受けました。これに対し大統領は、アメリカはそうした措置を頻繁に行っていると説明しました。私たちは常にそのような対応を取っており、多くの弾薬を保有しているため、一方から取ったものを他方に使用することがあると述べています。また、現在アメリカはウクライナに対して軍事援助を直接提供しているわけではなく、アメリカ製の武器をNATO加盟国に販売し、それらの国々がウクライナへ移送しているという現状を付け加えました。

ワシントン・ポスト紙が政府当局者の話として伝えたところによれば、国防省はNATOがウクライナのために購入する予定だったミサイル迎撃機を回収し、中東へ転用することを検討しているとのことです。ただし、情報筋によれば、現時点では最終的な決定には至っていないとされています。トランプ大統領はさらに、対イラン戦争に対するドイツの対応を批判しました。ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は、ドイツはこの紛争には参加しないと表明しており、ピストリウス国防相も、これは自分たちの戦争ではないと断言しています。

トランプ大統領はこれらの発言を聞いたとした上で、ウクライナも自分たちの戦争ではないと応じました。現在、トランプ大統領は同盟諸国に対し、イランにホルムズ海峡を再開させるための連合を組むよう圧力をかけています。テヘラン政府は、2月28日にアメリカとイスラエルによる奇襲攻撃が行われたことを受け、ペルシャ湾の出口を封鎖しています。しかし、ヨーロッパの指導者たちは、この地域への軍派遣を拒否しています。こうした状況の中で、ウクライナのゼレンスキー大統領は、アメリカの対ドローンシステムを支援するため、200人のドローン専門家を中東に派遣したことを明らかにしました。以上が、トランプ大統領によるウクライナ向け兵器の中東転用への意欲と、それを取り巻く国際情勢に関する記事の概要です。

今回の動きは、アメリカの軍事リソースの優先順位がウクライナから中東へとシフトしている可能性を示唆するものです。トランプ大統領は、同盟国であるドイツなどが対イラン情勢への関与を避ける姿勢を強めていることに対し、ウクライナへの関与を対比させる形で不満を示しており、今後のNATO諸国との関係や、中東およびウクライナ双方の紛争の行方に大きな影響を与える可能性があります。

米軍部隊3500人超が中東到着

Over 3,500 More US Troops Arrive in Middle East as Iran War Continues to Escalate - News From Antiwar.com [LINK]

【海外記事より】アメリカ政府はイランへの地上軍投入の可能性を否定し続けていますが、中東地域には大規模な米地上部隊の到着が相次いでいます。アメリカ中央軍の報告によりますと、土曜日には新たに3,500人を超える兵士が現地に到着しました。その大部分は強襲揚陸艦トリポリに乗船していた海兵隊員で、第31海兵遠征部隊から2,200人から2,500人ほどが担当区域に配属されたと見られています。さらに、キャンプ・ペンドルトン所属の海兵遠征部隊を乗せた強襲揚陸艦ボクサーを中心とする部隊も、およそ1週間後には現地へ到着する予定です。これらは過去数十年で最大規模の軍備増強であり、すでに展開している約5万人の米兵を補完する形となります。イランとの戦争が激化する中で、こうした動きは地域一帯の軍事的混乱と世界的な経済不安を招いています。

この紛争は、2月28日にアメリカとイスラエルが「壮絶な怒り作戦」と銘打って開始したもので、アヤトラ・アリ・ハメネイ師を含むイラン政府高官の暗殺を機に、イラン側による大規模な報復攻撃が地域内の米軍やイスラエルの標的に対して行われてきました。アメリカ当局は1ヶ月近くにわたり、戦争は終結の兆しを見せていると主張し続けてきましたが、実際には紛争のペースは加速しています。次々と海兵隊が派遣される現状は、政府が最終的に地上戦を計画しているのではないかという憶測を呼んでいます。しかし、今回の攻撃の目的や最終的な目標が不透明なままであり、十分な計画がないままエスカレートしているとの懸念から、地上戦への発展は国民の強い反発を買う可能性が高いと考えられています。

さらに情勢を複雑にしているのが、イエメンのフーシ派による参戦表明です。これまではイラン沿岸のホルムズ海峡が注目の的でしたが、今後はアラビア半島の重要な経済航路であるバブ・エル・マンデブ海峡を通行する船舶も脅威にさらされることになります。先週末、アメリカとイスラエルによる攻撃はイランのフーゼスターン州に集中し、現地の鉄鋼会社が甚大な被害を受けて操業の一部停止を余儀なくされるなど、戦火は重要インフラにも及んでいます。このように、平和への道筋が見えないまま軍事的な緊張が一段と高まっており、情勢は極めて予断を許さない状況が続いています。

イラン攻撃、米経済に影

Iran War Will Cost the US 10,000 Joes Per Month, Push Inflation Over 4% | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】トランプ大統領によるイラン攻撃の決定が、今後のアメリカ経済に重大な影響を及ぼすと予測されています。経済協力開発機構、OECDが発表した最新の見通しによりますと、アメリカのインフレ率は今年の12月には4%を超えるとされています。中東で展開されている予測困難な紛争と、それに伴うエネルギー価格の急騰が、コストの押し上げと需要の減退を招くという分析です。これにより、好調なテクノロジー関連の投資や生産、実効関税率の低下、そして2025年から引き継がれた経済の勢いといった好材料が相殺されてしまう形になります。ホワイトハウスは石油価格の急騰を抑えるために、イランやロシア、ベネズエラに対する制裁の解除、ジョーンズ法の適用停止、戦略石油備蓄の放出など、複数の対策を講じてきました。しかし、こうした努力にもかかわらず、北海ブレント原油の価格は木曜日に7%上昇し、1バレルあたり109ドルに達しました。

この紛争はアメリカ国内にとどまらず、世界的なインフレを引き起こす原因にもなっています。G20は加盟国全体で平均4%のインフレを予測しています。また、アメリカの労働市場への影響も深刻です。ゴールドマン・サックスの試算によりますと、石油価格の急騰を背景に、年末まで毎月1万人もの雇用が失われる見込みです。紛争が早期に終結しない場合、経済的な影響はさらに深刻化すると警鐘が鳴らされています。ゴールドマン・サックスのエコノミスト、ピエルフランチェスコ・メイ氏は、紛争がすぐに終わればブレント原油は12月までに1バレル80ドルまで下がると述べる一方で、もし紛争が拡大すれば、価格は160ドルまで跳ね上がる可能性があると指摘しています。

国際エネルギー機関のファティ・ビロル事務局長も、世界はイランとの戦争に起因する大規模なエネルギー危機に直面していると述べています。ビロル氏は、現在のエネルギー不足は1970年代の危機や、2022年のロシアによるウクライナ侵攻の影響を合わせたものよりも深刻であると論じています。二つの石油危機と一つのガス危機が同時に起きたような状態であり、世界経済は極めて大きな脅威にさらされていると危機感を示しました。国防省は地上侵攻を含むさらなる拡大案をトランプ大統領に提示していると報じられていますが、イラン側も侵攻があれば地域全体での攻撃を激化させ、バブ・エル・マンデブ海峡を封鎖すると表明しており、情勢は非常に不透明です。

独裁台湾を支えた米国

When the US Supported a Brutal Chinese Conquest of Taiwan - Antiwar.com [LINK]

【海外記事より】今日、台湾は独裁的な隣国に包囲された輝かしい民主主義の象徴として語られますが、歴史学者スルマーン・ワシフ・ハーン教授の新著は、その背後にある暗く複雑な真実を浮き彫りにしています。著者は、アメリカがかつて台湾の自己決定を支える守護者ではなく、むしろ過酷な独裁体制による台湾制圧の主要なスポンサーであったという衝撃的な歴史を掘り起こしています。

歴史を遡れば、台湾が古来から中国の一部であったという主張は単純化されすぎています。清朝が1683年に台湾を併合したのは、神聖な領土保全のためではなく、外国勢力の拠点になることを恐れた安全保障上の理由からでした。その後、19世紀の中国が列強に蹂躙された「屈辱の世紀」において、アメリカもまた英国の帝国主義に便乗して不平等条約を強い、中国の民衆蜂起を武力で鎮圧する側に回りました。1895年に日本が台湾を割譲させた後、台湾は「模範植民地」として近代化を経験しましたが、それは台湾人が二級市民として扱われる過酷な統治でもありました。

第二次世界大戦後、アメリカは最大の過ちを犯します。台湾の人々の意志を無視し、カイロ会談での約束通り、台湾を蒋介石率いる国民党政権に引き渡したのです。1945年に米軍の船で上陸した国民党軍は、解放軍ではなく征服軍として振る舞い、1947年の「228事件」では数千人のエリートや市民を虐殺しました。その後の「白色テロ」により、台湾は数十年に及ぶ戒厳令下の監視国家となりました。皮肉なことに、現代の台湾独立運動の源流は、北京の共産党に対してではなく、アメリカが支えた蒋介石の独裁統治に対する抵抗から生まれたものでした。

1950年代、アメリカは台湾を「不沈空母」と見なし、核兵器の使用を辞さない強硬姿勢で共産党に対抗しました。この時期、アメリカは台湾を拠点に大陸を攻撃しようとする蒋介石を保護し、地域を核戦争の淵に何度も立たせました。しかし1970年代に入ると、ニクソンやキッシンジャーは現実的な外交判断から、台湾が中国の一部であるという北京の主張を認める「一つの中国」政策を構築し、ようやく核戦争の脅威から遠ざかることができたのです。

その後、台湾の人々は自らの力で民主化を勝ち取りましたが、21世紀に入り、再び平和が崩れ始めています。ハーン教授は、トランプ前政権からバイデン政権に至るまで、アメリカが「一つの中国」政策を交渉の道具として扱い、台湾を中国封じ込めの武器として利用している現状を厳しく批判しています。ペロシ氏の訪台のようなパフォーマンスは、台湾の安全を高めるどころか、中国の軍事的エスカレーションを招いただけでした。著者は、かつて外交的な曖昧さと妥協が40年間の平和を守ってきたことを指摘し、現在の「抑止」一辺倒の政策が、台湾を解放するのではなく灰の山に変えてしまう危険性を警告しています。歴史に学ぶべき真の責任とは、次の戦争に備えることではなく、それを防ぐための地道な外交努力に立ち返ることなのです。

欧米、テロ組織を正当化

How the West Is Quietly Legitimizing Anti-Iran Terrorists - Antiwar.com [LINK]

【海外記事より】かつてロナルド・レーガン大統領は「テロリズムは弱く邪悪な男たちが好む武器だ」と述べました。しかし、アメリカとその同盟国は、自国の利益に合致する場合には、テロリストと見なされる組織を支援してきた歴史があります。ソ連のアフガン侵攻時にウサマ・ビンラディンを「反ソの戦士」と称賛したように、現在、対イラン戦争の勃発に伴い、欧米諸国は再びテロ組織を正当化しようとしています。

焦点となっているのは、イラン南西部の油田地帯フーゼスターン州の独立を目指すアラブ系武装組織「アフワズ」の動向です。2026年3月初旬、これらの武装勢力は革命防衛隊の基地を襲撃して武器を奪い、イラン政府に対する武装蜂起を宣言しました。これらの組織の中には、過去に軍事パレードを襲撃して多数の死傷者を出したテロ行為に関与しているものも含まれています。しかし、驚くべきことに、これらの過激派組織は現在、欧米で公然と活動を広げています。

2026年3月7日、ロンドンで「アフワズ・ファースト」というスローガンのもと、複数の武装組織が参加する会議が開催されました。この会議には欧州数カ国の政治指導者や国家的人物が出席したと伝えられています。さらにその数日前には、米連邦議会内でもイランの次なるステップを議論する会合が開かれ、アフワズの代表団が参加しました。ここには米政府の政策立案者や国会議員、外交専門家らが同席していたと報告されています。

これらの動きを時系列で見ると、米議会での会合の翌日にイラン国内で基地襲撃が起き、その後にロンドン会議、そして武装蜂起の宣言と続いています。これは単なる偶然ではなく、欧米による支援の拡大を示唆している可能性があります。シリア内戦において、かつてのアルカイダ系指導者が欧米と手を結ぶことでテロリスト指定を解除されたように、アフワズの武装勢力もまた、メディアや人権団体を装ったフロント組織を通じて、自らの正当性を欧米に売り込もうとしています。

欧米政府がイランに対抗するためにテロリストとの連携を深めるならば、それはかつてレーガン大統領が警告した「弱く邪悪な存在」に自らが成り下がることを意味します。政治的な利便性のためにテロ組織を「自由の戦士」へと書き換える行為は、国際社会に深刻な倫理的問いを突きつけています。

中間選挙、焦点の両議員

Two Primary Elections for the Soul of 'America First' | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】「アメリカ・ファースト」というスローガンは今、その真意を問われる大きな分かれ道に立っています。単なる政治的な宣伝文句なのか、それとも債務の抑制や不要な戦争の回避、憲法に基づく議会の権威回復を目指す真の哲学なのかが、2026年の中間選挙に向けた共和党の2つの予備選挙を通じて試されようとしています。

一方の主役は、ケンタッキー州選出のトーマス・マッシー下院議員です。彼は、議会が政府の支出や行政を監視するという本来の役割を果たすべきだと考え、共和党内でも独立した独自の行動をとる人物として知られています。保守的な団体からも経済的自由の擁護者として高く評価されていますが、トランプ前大統領が支持する大規模な支出法案に反対したことや、機密性の高い情報の開示を求めたことで、党主流派やトランプ氏本人からの激しい反発を招いています。マッシー氏の予備選挙には、イスラエル支援を優先する外部団体から500万ドル以上の巨額資金が投じられ、彼の落選を狙ったネガティブキャンペーンが展開されています。これは、外国への資金援助に慎重な姿勢を示す議員を、ドナー層が排除しようとする構図を浮き彫りにしています。

対照的なのが、サウスカロライナ州のリンゼー・グラム上院議員です。彼は党の主流派や外交政策の既得権益層と密接に連携しており、2000万ドル近い圧倒的な資金力を背景に5期目を目指しています。グラム氏はイランへの強硬姿勢を隠さず、自国の有権者の息子や娘を中東へ送るよう公然と求めるなど、他国への軍事介入を優先する立場を鮮明にしています。記事によれば、彼の視線は地元有権者よりも、多額の献金を行う親イスラエル団体などの外部に向けられており、同盟国への無条件の支持を愛国心の尺度としているかのようです。

この記事は、マッシー氏が生き残り、グラム氏が敗れるようなことがあれば、それは共和党の有権者が独立性や憲法による抑制、海外介入への懐疑心を依然として持っている証拠になると述べています。逆にマッシー氏が敗れ、グラム氏が勝てば、「アメリカ・ファースト」という言葉は権力を抑制する理念ではなく、単なる権力維持のための道具に成り下がったことを意味します。有権者は、自制を選ぶのか、それとも際限のない介入と膨張を選ぶのか。この記事の著者は、この2つの選挙の結果が、政党としての魂を維持できるかどうかの決定的な審判になると警鐘を鳴らしています。

搾取される市民

The Stealing of America: You’re Not a Citizen—You’re a Revenue Stream for the Power Elite - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】アメリカの現状は、もはや市民を保護する政府ではなく、特権階級が利益を得るためのビジネスモデルへと変貌を遂げていると著者は指摘しています。物価の高騰や監視の強化、自由の制限は偶然ではなく、市民の財布や時間、権利を搾取し、終わりのない戦争や肥大化した政府機関、利潤追求型の警察活動の資金源にするよう設計されているというのです。この記事によれば、現在のトランプ政権が進める経済計画は、一般市民を犠牲にして寡頭政治を潤すものに他なりません。

具体的な例として、大統領の週末のゴルフ旅行に年間数千万ドル、累計で1億4100万ドルもの税金が投じられている一方で、政府機関は解体され、数万人の連邦職員が職を追われています。また、イランとの戦争に関連して、開始からわずか12日間で160億ドル以上が費やされ、さらに2000億ドルの追加国防予算が計上されました。その一方で、国防総省は予算を使い切るために、1ヶ月で2200万ドルもの高額な食材を購入したり、空軍参謀総長の自宅用に10万ドル近いグランドピアノを購入したりしています。さらに、アーリントン国立墓地の隣に1億ドルをかけて「トランプの凱旋門」を建設し、大統領の誕生日を祝うイベントに6000万ドルを投じるなど、市民が招待されることのない贅沢な施設や行事に巨額の税金が浪費されています。

国民が生活費の増大に苦しむ中で、政権に近い人々は贅沢な食事を楽しみ、側近は国民に対して「レバーのような安い肉を食べればいい」と示唆しています。政府支出を削減するという主張の裏で、実際には関税やインフレが一般市民を苦しめ、政府職員の解雇も結局は失業手当という形で納税者の負担となっています。著者は、税金や罰金、手数料、関税、資産没収といったあらゆる名目で政府が市民から資金を吸い上げる行為を「窃盗」と呼び、富める者がさらに富み、中産階級や貧困層が搾取される逆転した社会構造を批判しています。

監視カメラや軍事化された警察、ドローンなどの法執行システムも、安全のためではなく利益のために存在していると記事は説いています。これらは数兆ドル規模のエコシステムであり、テロや治安維持を口実に、納税者の資金を政府機関経由で企業へと流し込む仕組みです。政府は医療や教育、住宅には予算がないと主張しながら、戦争には無限の資金を見出します。結論として、市民はもはや主権者ではなく、単なる収益源やデータの一部として扱われており、自らの自由を侵食する仕組みのために自ら代償を払わされているのです。

多極世界の極になるのは?

Who Gets a Seat at the Multipolar Table? - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】世界政治における一極集中の時代は終わり、新たな多極化の時代がすでに到来しています。かつてはアメリカが唯一の支配者として君臨し、他国は従属的な立場か敵対者かのどちらかでしたが、その階層構造は今や崩れつつあります。この記事は、多極化した世界という新しい「食卓」において、単に招待されるのではなく、自らの力で席を勝ち取るのは誰かという問題を提起しています。

現在の秩序において、すでに席を確保しているのはアメリカ、中国、ロシアの3か国です。これらは核兵器、経済規模、世界的な影響力を備えており、当然の帰結として「極」と見なされます。しかし、真の多極化には、外部の許可を得ずに自らの周辺地域を形成できる地域的な中心勢力が必要です。記事が注目するのはイランです。イランは経済規模や人口だけでなく、打撃を吸収して反撃する回復力や、超大国に対してもエスカレーションを政治的に持続不可能にさせる意志を示しています。ホルムズ海峡の閉鎖によるエネルギーショックの誘発などは、まさに「極」としての振る舞いであり、中東における地域大国としての地位を実力で示しました。

一方で、経済力や技術力がありながら「極」になれない国々もあります。日本はその代表例として挙げられています。日本は経済の巨人であり米国の重要な同盟国ですが、憲法上の制約や米国への追従から、自律性を欠いた保護領の域を出ていないと指摘されています。サウジアラビアなどのアラブ諸国も同様で、莫大な富を持ちながらも、いざとなれば米国製の防衛システムが機能せず、自律的なアーキテクトにはなれていません。

欧州についても厳しい評価が下されています。EUは経済や文化の面では先導的ですが、軍事的には米国に依存し、団結した意志を欠いています。フランスやドイツ、イギリスも、それぞれ国内事情や資源不足により、単独で極として行動する能力がありません。トルコは全方位外交を展開していますが、その不安定さから信頼を得られず、周辺的な存在に留まっています。ブラジルやインドネシアは、自国周辺への外部介入を阻止するまでの強制力を持っていません。インドは経済や軍事で成長しており、多極化の重要な要素ではありますが、指導力を発揮することには依然として慎重であり、現在はキャスティングボートを握る準メンバーのような立場にあります。

結局、新しい秩序において「極」となる条件は、打撃に耐える力、影響力の及ぶ範囲、そして自律のために代償を払う意志の3点に集約されます。席は与えられるものではなく、実力で行使し、奪い取るものです。世界はこの限られた椅子に誰が座るのかを注視しています。

2026-03-28

UAE、地獄への道?

The Iran-U.S.-UAE-Pakistan Riddle - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】現在、中東では世界の運営システムを書き換えるような地殻変動が起きています。最新の記事によれば、トランプ政権下の米国はイランに対して「最終的な打撃」を与えるべく、大規模な空爆と並行して地上侵攻のシナリオを検討しています。戦略的要衝であるホルムズ海峡のラルク島などを占拠する計画が浮上していますが、イラン側も無数の対艦ミサイルやドローンを崖や洞窟に配備して強固な防衛網を敷いており、侵攻は極めて困難なものになると予想されます。

この緊迫した状況下で、アラブ首長国連邦(UAE)の動向が注目されています。UAEはイランとの停戦の可能性を否定し、米国に対してイランの脅威を解体するよう促すなど、事実上の参戦状態にあります。背景には、UAEによる1.4兆ドルという巨額の対米投資の約束があり、米国との同盟を維持せざるを得ない事情があります。これに対しイラン側は、ドバイやアブダビの発電所、海水淡水化施設、原子力発電所など、UAEの国家存立に関わる5つの重要インフラを攻撃目標として特定しました。もしUAEに駐留する米軍がイラン攻撃を開始すれば、UAE全土で停電や断水が起き、データセンターが停止する「地獄への道」が待っていると警告しています。

また、パキスタンを通じた間接交渉も試みられましたが、トランプ氏の側近であるクシュナー氏らが提示した条件は実質的な降伏文書であり、イラン側はこれを拒絶しました。パキスタン軍部とトランプ政権の密接な関係も不信感を強める要因となっています。さらに、サウジアラビアやカタールなどが米国のイラン体制転換工作を資金面で支援しているとの情報もあり、湾岸協力会議(GCC)諸国の足並みの乱れと、将来的な国家存続の危機が現実味を帯びています。

経済面では、イランがホルムズ海峡の通行料や石油取引の決済に「ペトロ人民元」を制度化したことが決定的な意味を持ちます。すでに石油収益の80%が人民元で決済されており、これにより米国による制裁や国際銀行間通信協会(SWIFT)を完全に回避する仕組みが整いました。UAEが旧来のシステムに固執する一方で、イランは中国との連携を強め、ドルの支配を脱した新しいグローバル・オペレーティング・システムへの移行を加速させています。

金銀高騰という警告

Mind the Real Money – Why Gold and Silver Are Soaring - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】元米予算管理局長のデビッド・ストックマン氏は、金と銀の価格が高騰している現状について、アメリカの経済政策に対する「不信任投票」であると鋭く分析しています。現在、金価格は1オンス5000ドルを超え、トランプ氏が2025年1月に大統領に就任した際の2700ドルから約2倍に跳ね上がりました。銀も一時100ドルを突破し、1年前の31ドルから約4倍という驚異的な上昇を見せています。一方で、米国の連邦債務残高は39兆ドルを超え、数週間以内には40兆ドルに達する勢いです。これらは、政府による野放図な支出、借金、そして通貨増刷が加速していることへの市場の警告に他なりません。

ストックマン氏は、現在の状況を1970年代後半のインフレ期と比較しています。当時はポール・ボルカー氏という強力な連邦準備理事会(FRB)議長が通貨増刷を停止し、ドルの価値を回復させることでインフレを鎮静化させました。しかし現在、トランプ政権にはボルカー氏のような人物はおらず、むしろ大統領自身が低金利とドル安を執拗に求めています。ストックマン氏によれば、トランプ氏は自由市場を理解しておらず、ドル高を外国の陰謀と決めつける傾向があります。その結果、ドルの為替レートは過去1年で決定的に誤った方向へ進んでいます。

さらに深刻なのは、ベセント財務長官がニューヨーク連邦準備銀行に対し、ドル・円相場のレートチェックを命じたことです。これは通貨介入の前兆であり、低迷する円を救うために自国通貨であるドルを犠牲にしようとする動きです。その背景には、円を支えることで、膨れ上がる米国の赤字を穴埋めするための国債を日本に買い続けてもらおうという、ストックマン氏が「愚かな理論」と呼ぶ思惑があります。日本は公的債務と中央銀行による増刷が世界で最も極端に進んだ国の一つですが、トランプ政権はそこへの依存を強めようとしています。

金や銀がパラボリックな上昇を見せているのは、こうした「経済のカウボーイ」たちによる介入主義や統計主義が限界に達しつつあることを示唆しています。投資家が歴史的な「本物の通貨」である貴金属へ逃避しているのは、ワシントンが引き起こしている経済の地殻変動に対する防衛策なのです。黄金時代の到来を謳う政権の主張とは裏腹に、現実はドルの崩壊と深刻なスタグフレーションの足音が近づいていると、ストックマン氏は警鐘を鳴らしています。

米イスラエル、侵略の罪

Trump Goes Amalek on Iran: Israelization of The US Military; Gazafication of Iran & Lebanon - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】作家のイラナ・マーサー氏は、ドナルド・トランプ大統領下での米軍の「イスラエル化」と、イランおよびレバノンに対する過激な軍事攻勢を痛烈に批判する論考を発表しました。記事によれば、トランプ政権は親イスラエル派の資産家や助言者を政権中枢に配し、国際法や主権を無視した「侵略の罪」を重ねています。これは単なる国家間の対立ではなく、個人の権利や道徳を破壊する「蓄積された悪」であると著者は断じています。特に、イスラエルがガザで行ってきた破壊の手法をイランやレバノンにも適用しようとする「ガザ化」の動きが顕著であり、米軍はその火力を提供することでこの動きを全面的に支援している現状があります。

トランプ氏の側近たちは、イランが核兵器を保有しているという嘘をメディアに流布し、かつてのイラク戦争前夜のような世論操作を行っていると指摘されています。しかし実態は、核を持たず何世紀も戦争を仕掛けていないイランに対し、未申告の核保有国であるイスラエルと米国が攻撃を加えるという不条理な構図です。現在、米国とイスラエルの共同作戦によってイランの都市や民間インフラが攻撃されており、白リン弾の使用や主要な石油施設への空爆により、現地の環境や市民の生活は壊滅的な打撃を受けています。国連難民高等弁務官事務所の報告によれば、すでに320万人のイラン人が家を追われ、数千の住宅が破壊されました。

イラン保健省のデータでは、2月後半からの攻撃で少なくとも1937人が殺害され、1万8000人以上が負傷していますが、この数字は刻一刻と増加しています。また、レバノンでも100万人以上が避難を余儀なくされ、国家としての限界点に達しつつあります。イスラエルは隣国に対して深刻な生存の脅威を与えており、西側のエリート層が戦術核兵器の使用の可能性を軽々しく論じている現状は、道徳的に極めて退廃していると著者は批判します。

イスラエルの真の狙いは、イランを主権国家として機能不全に陥らせ、定期的に空爆を繰り返すことができる状態にすることにあります。6000年から8000年の歴史を持つ文明国家であるイランに対し、略奪を哲学とする勢力が破壊を試みているのです。国際社会がこの組織的な犯罪に対して沈黙し、軍事的な予測ゲームに興じていることに対し、著者は強い憤りとともに、この文明破壊の試みが失敗に終わることを願うと結んでいます。