War Headlines Shook Prices, but the Bigger Silver Story Is Still Intact [LINK]
【海外記事より】ポッドキャスト番組「マネー・メタルズ」において、銀市場の専門家であるピーター・クラウス氏が、戦争やインフレ、そして銀の長期的な展望について語りました。クラウス氏は、短期的には戦争に伴う混乱が市場の変動を引き起こし、金や銀の価格を押し下げることもあると指摘します。しかし、中長期的な視点で見れば、戦争は極めてインフレを誘発しやすい要因であり、結果として貴金属価格を支えることになると主張しています。軍事行動には多額の費用がかかりますが、政府にはそれを賄う十分な現金がありません。そのため、通貨を増刷して対応せざるを得ず、このプロセスが今後数年にわたってインフレを加速させるという見解です。
投資家の間では、有事の際になぜ金や銀が売られるのかという疑問がありますが、クラウス氏はこれを「換金売り」として説明しています。貴金属はカウンターパーティ・リスクがなく、流動性が高いため、機関投資家や政府が急に現金を必要とした際の資金源になりやすいのです。実際に2008年の金融危機やパンデミック初期にも同様の現象が見られました。また、トルコのように予算を確保するために保有する金を売却する国もあり、こうした一時的な供給圧力が価格を押し下げることがあります。しかし、これは貴金属が資産としての役割を果たしている証拠であり、価値が失われたわけではありません。
米連邦準備理事会、いわゆるFRBによる利上げについても、クラウス氏は冷静な分析を示しています。過去のインフレ局面では大幅な利上げが行われましたが、当時と現在では政府債務の規模が全く異なります。1970年代の対GDP債務比率は35%程度でしたが、現在は120%を超えています。この状況で金利を大幅に上げれば、利払いの負担が深刻化するため、当局はインフレを完全に抑え込むような極端な利上げには踏み切れないはずだと同氏は見ています。債務の借り換え時期、いわゆる「満期の壁」も迫っており、今後2年間で米国の全債務の約半分が借り換えられる見通しです。この巨額の債務問題がある限り、高金利を維持し続けることは困難であり、政府は規律よりもインフレを容認する道を選ぶ可能性が高いとしています。
銀の需要構造が変化している点も重要です。かつて銀の需要の半分は産業用でしたが、現在は約67%にまで上昇しています。特に太陽光パネル向けの需要が急増しており、銀の産業利用の約20%を占めるまでになりました。また、ミサイルやレーダーなどの軍事関連でも銀は不可欠な素材であり、防衛予算の拡大が銀需要の下支えとなっています。一方で供給面では、鉱山生産とリサイクルを合わせても需要に追いつかない構造的な不足が5年連続で続いており、今後もこの傾向は続くと予想されています。クラウス氏は、目先の価格変動に惑わされることなく、インフレや債務問題、そして産業および軍事面での需要拡大という、銀を取り巻く強固な長期的要因に注目すべきであると結んでいます。
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