2024-08-31

権力とリバタリアン

ミレイ・アルゼンチン大統領は改革を推進するため、自らの権力を強めるよう求めている。これは気がかりだ。憲法上、可能かどうかあいまいだし、自称リバタリアンが制度上の制約を増やすのではなく、むしろ減らすよう主張するのは、多くの人にとって奇妙なことだ。
Javier Milei and Argentina's Economic Challenge | Mises Institute [LINK]
資本家に不公平な富を与えているのは、労働者からの剰余価値の搾取ではない。政府の経済支援策によって流れ込み続けるタダの金だ。マルクスは市場経済が問題だとし、解決するために政府の介入を求めた。介入政策は、皮肉にもマルクス主義が非難する不平等を永続させる。
How Corporate Bailouts Inflate the Money Supply | Mises Institute [LINK]

インフレと景気循環は必然ではなく、政策の選択である。インフレは終わりのない戦争に資金を提供する。インフレは政府が自分たちの政策にコストがかかっていないように見せるための簡単なトリックだ。その代償は、コスト上昇と市民社会の破壊という形で隠されている。
What Was Missing at NatCon 2024 | Mises Institute [LINK]

各国の不換紙幣を統合しても、より良い、信頼できる、倫理的に健全な通貨は生まれない。むしろさらに悪いものを生み出す。ユーロという創造物を何としても維持しようとする試みは、ユーロをさらに邪悪なものにするだけだ。それがもたらす損害は、ユーロ圏の人々を破滅させる。
The Euro Is a Frankenstein-Currency | Mises Institute [LINK]

財はそれが最も役立つ民間部門にできるだけとどまるべきであり、政府部門からはできるだけ資源をなくすべきだ。政府組織は解体するか、民間組織に転換し、誤りを犯したときにはその結果を明らかにし、市場が提供する情報を隠蔽・無視させないようにするべきである。
MMT: Feeding the economically inferior machine | Mises Institute [LINK]

2024-08-30

自然法は宗教ではない

自然法の原理は、神学的な原理から導き出されたものではなく、理性と合理的探究の独立した手順によって導き出されたものである。人間がそのような法則を理解する道具は理性であり、信仰でも直感でも恩寵でも啓示でもない。
Natural Law and Rothbardian Liberty | Mises Institute [LINK]
物理学における法則は絶対ではなく、暫定的なものでしかない。一方、経済学は基本的な公理(「個人は選んだ目標に向かって意識的に行動する」など)について完全で完璧な知識を持つ。それらの公理は人間の行為そのものに内在するもので、人間が存在する限り絶対有効である。
The Reality of Human Action | Mises Institute [LINK]

自然界を規制し、私たちが望むような自然を再構築しようとする試みは愚かである。野生動物が捕食者にならないように訓練することはできないし、「共有された価値観」を守るために多様性、公平性、包摂性の訓練を受けさせることもできない。
Praxeology and Animals | Mises Institute [LINK]

集団間の成果の違いを、成功した集団による、成功しなかった集団の支配と抑圧の証拠とみなすのは誤りである。こうした違いは、自然かつ有機的に起こりうるし、実際に起こっている。これは、抑圧と支配が過去および現在において存在することを否定するものではない。
The Primitive Superstition of our Age | Mises Institute [LINK]

人々が金持ちに抱く嫉妬を利用することで、政府は大衆に重い税負担を受け入れさせることができる。高所得者、とくにその最上位に課される高い税率から得られる税収は、税収全体に比べ非常に小さく、他の人々の税負担にほとんど違いをもたらさない。
The Politics of Envy - LewRockwell [LINK]

2024-08-29

ロシアは敵ではない

ウクライナ戦争によって、米国人がロシアを敵だと決めつけるのは自然なことだ。だがそれは違う。私たちの敵は、米国の国家安全保障機構だ。すなわち国防総省、CIA、NSAである。彼らこそウクライナでの戦争に責任を負い、米国人の生活、自由、幸福を破壊している。
Russia Is Not Our Enemy - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]
もし北朝鮮が米国に向けて核弾道ミサイルを発射したら、米国防総省はこれに応じ、北極上空から北朝鮮に向けてミサイルを発射する。ロシアは目標が自国の都市だと考え、撃ち返す。世界核戦争を防ぐには敵との意思疎通が不可欠だが、米政治エリートにとってそれはタブーだ。
Diplomacy, Distrust, and Nuclear War | Mises Institute [LINK]

ハリス大統領になれば、中東など特定の地域では戦争を多少抑えるかもしれないが、ロシアと中国に対しては、核戦争につながりかねない体制派の政策を続けるだろう。真の自制とは、戦争と対立は死と破壊をもたらすだけだと認識することだ。ハリス大統領で真の自制は望めない。
Personnel is Policy for Kamala Harris | Mises Institute [LINK]

米国の中国との戦争はコストがかかり、複雑なものになるだろう。米国は太平洋に艦隊を駐留させているが、必要な艦船を編成するには数週間かかる。米日台が中国と対峙する机上演習は通常、中国の敗北に終わるが、米国はおそらく数十隻の艦船と数百機の航空機を失うだろう。
Trump and Biden can't wait to send more assistance to Ukraine | Mises Institute [LINK]

2005年にイスラエルがガザから撤退した後、米国はパレスチナに民主主義を押し付けた。パレスチナ人はハマスを選び、ハマスは2007年からガザを支配した。米国がハマスの政権獲得を後押ししたのは皮肉だ。ハマスはイスラエルと米国からテロリスト集団とされているのだから。
Another Presidential Debate, Another Loss for the Palestinians | Mises Institute [LINK]

2024-08-28

自由主義は保守ではない

自由主義は、既成の見識を単に「保守」する思想ではない。むしろ急進的な思想である。自由に対する最大の脅威は、しばしば国家を含む既成の制度によってもたらされることを認識している。自由は人間の本性に根ざした道徳原理であり、正義の原理である。
An Optimistic Strategy for Liberty | Mises Institute [LINK]
自由な社会では、他者を攻撃したり財産権を侵害したりしない限り、親切で思いやりのある人間であろうと、凶悪で悪意に満ちた人間であろうと自由である。その場合、優しさや思いやりが自由主義者に不可欠ということにはならないし、悪辣さや悪意が必要ということにもならない。
Distinguishing Libertarian Philosophy from Political Strategy | Mises Institute [LINK]

良好なビジネス環境を成り立たせるのは、堅固な財産権と協力の自由である。政府はこれらの権利を政策で侵害することしかできず、ビジネスのしやすさには貢献しない。欧米諸国がビジネスのしやすさランキングで優位に立つのは、財産権に関する長い歴史があるからだ。
The Best Thing Governments Can Do for Business Is Get Out of the Way | Mises Institute [LINK]

関税は現実的な財源ではないし、かりに財源になりうるとしても適正な額を決める方法はない。トランプ氏は減税できるよう歳出削減に集中し、関税引き上げが歳入増に役立つという保護主義的でお粗末な言辞を弄するのはやめるべきだ。
Trump’s Faulty Tariff Scheme | Mises Institute [LINK]

ミレイ(アルゼンチン大統領)はファシストではない。むしろファシストを打ち負かした。ミレイの対立候補は公然たるペロン主義者だった。フアン・ペロン元大統領はムッソリーニを称賛し、その哲学の一部を信用するとともに、ナチスの戦犯を欧州から逃がす手助けをした。
No, Milei Is Not a Fascist | Mises Institute [LINK]

2024-08-27

税という搾取

政治権力は搾取の有効な手段だ。搾取は強盗、貢納、奴隷制、地代の徴収を経て、最後の段階で、政治権力は生産物に対する課税によって支えられるようになった。何世紀にもわたる慣行が私たちをこのビジネスに慣れさせ、習慣と法律が正しさのオーラを与えてきた。
Taxation Is Robbery | Mises Institute [LINK]
米大統領選挙では二大政党が異なる政策を示すが、いずれも国債発行の増加と財政赤字の拡大を招き、インフレを悪化させ、債券市場を脅かす恐れがある。現在と将来の世代にさらなる税と債務の負担を強いることに国民がどれだけ耐えられるかが問題だが、変化の兆しは見えない。
Be Prepared to Hear More about Taxes, Taxes, Taxes | Mises Institute [LINK]

西暦301年、ローマ皇帝は1200以上の商品に価格の上限を設けた。銀貨が過去250年の間に劣化し、市民が物価高に不満を抱いたからだ。銀貨の銀含有量は50年当時の約3.9グラムから、200年には2グラム以下に、250〜275年には「わずかな銀のコーティング」だけになっていた。
Thousands of Years Later, Price Controls Are Still a Bad Idea | Mises Institute [LINK]

どの国でも最低賃金法の影響を歴史的に調査すれば、他の条件がすべて同じであれば、労働力を売りたい労働者の一部の失業をつねにもたらすことが明らかになる。失業した大量の熟練労働者が非熟練労働市場に参入するため、非熟練労働者の賃金も低下する。
The New Minimum Wage Increase in Nigeria is a Pyrrhic Victory for Organized Labor | Mises Institute [LINK]

ポピュリズムはイデオロギーではなく、戦略である。どのような政治哲学にも染まりうるし、危険にも有益にもなりうる。ポピュリズムはエリートと大衆の利益が一致しているかどうかを問い、ほとんどの場合、政治エリートの利益は大衆の利益と対立すると正しく結論づける。
Tucker Carlson's Broadside Against Austrian Economics | Mises Institute [LINK]

2024-08-26

小さな政府の不正

思想家アイン・ランドの小さな政府論を批判する人々によれば、たとえ小さくても政府に正当性はなく、人間の本性に合致する唯一の社会制度は無政府資本主義である。政府が権利を侵害するのは避けられないし、小さな政府はいつまでも小さなままではいられない。
Anarcho-Capitalists Against Ayn Rand | Mises Institute [LINK]
ミーゼスが欧州で権力を握ったマルクス主義や社会主義と戦わねばならなかったように、今日我々は文化マルクス主義や左翼の暴徒に直面している。その誤った教義を暴露する以外、長期で勝利する方法はない。悲観する理由は十分あるが、少なくとも朗らかな悲観主義者になろう。
Mises the Sunny Pessimist | Mises Institute [LINK]

貯蓄と投資は豊かで進んだ経済への道を開く。貯蓄と投資を弱めれば、政府の財源である生産性も弱めることになる。アルゼンチンのミレイ政権は、規制緩和や一部減税の一方で、為替規制を維持し、広範な増税を行い、数十万人のサラリーマンに所得税まで導入した。
Milei's Monetary Conundrum | Mises Institute [LINK]

レーガン元米大統領は財政赤字を非難し、「お金を使っても金持ちにはならない」と述べた。保守派やリバタリアンによく引用されるフレーズだ。しかしレーガン政権下で政府支出は60%以上増加した。軍事費の増加は一部にすぎない。教育への支出は68%、医療費は71%増加した。
Romanticizing Reagan | Mises Institute [LINK]

米民主党全国委が承認した2024年党綱領で、中東に関する項目は驚くほどタカ派的で、まるでとびきり戦争好きの共和党議員が書いたかのようだ。イスラエルへの支援と武器輸出の継続は「鉄壁」だと繰り返し呼んでいる。トランプ氏はイランに甘すぎると批判している。
Democrats Release Insanely Hawkish Middle East Policy Platform - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

2024-08-25

田中正造の戦い

北関東を流れる渡良瀬川の上流にある足尾銅山は、もとは幕府直轄の銅山だった。1876(明治9)年12月、生糸貿易商の古河市兵衛はこの銅山を買い取り、設備を近代化して採鉱を開始した。のちに会社組織の古河鉱業となる。開発が進むにつれて銅の産出量は年々増加した。

田中正造 (センチュリーブックス 人と思想 50)

ところがそれに伴い、渡良瀬川やその沿岸で異変が起こる。魚が大量に死んだり、山林や稲が枯れたりし始めたのである。銅の精錬に伴う亜硫酸ガスの放出量が増えるとともに、銅・亜鉛・鉛・砒素などの有毒重金属を含む鉱毒が川に大量に垂れ流されたせいだと、後日判明する。

栃木県選出の改進党代議士、田中正造は、この問題の解決は足尾銅山の操業停止しかないと考え、1891年の第2回議会に質問書を提出した。農商務大臣の陸奥宗光は答弁を避け、議会解散後に答弁書を官報に載せた。それには、被害は事実だが原因は確実でない、鉱業人(古河市兵衛)はなすべき予防の措置を準備しつつある、とあった。まるで「政府は鉱業人の代言人(弁護士)」のようだと批判を浴びる。陸奥大臣の次男は古河の養子だった。

正造は政府の言い逃れに騙されはしなかった。翌年の臨時議会に再度質問書を提出する。今度は専門家の分析結果が発表されたので、政府も足尾の鉱毒を認めたが、一方で手を回して、県知事や県会議員を仲裁役に立て、被害農民と古河の間に示談を成立させた。それは古河に著しく有利なものだった。

日清戦争中、足尾銅山は一段と発展し、被害は依然として続いた。田中は議会ごとに声を枯らして政府を難詰したが、事態は容易に進まなかった。

田中正造は1841(天保12)年、栃木県の名主の家の生まれで、19歳の若さで名主を継ぐと、農民を苦しめる領主の悪政を改めるために奔走し、捕えられ投獄されたという前歴がある。自由民権運動を経て国会開設とともに推されて議員となり、ほぼ10年間の議員活動の大半を、この鉱毒問題に注いだ。

1901年2月に正造の行なった質問は、「亡国演説」として有名である。正式な表題を「亡国に至るを知らざれば之れ即ち亡国の儀につき質問書」という。登壇した正造は、次のように政府を厳しく批判した。「民を殺すは国家を殺すなり。法を蔑(ないがしろ)にするは国家を蔑(なみ)するなり。皆自ら国を毀(こぼ)つなり。財用を濫(みだ)り民を殺し法を乱して而(しこう)して亡びざるの国なし」

同じ月の13日、被害地の農民2500人が大挙して議会への請願のため、上京に向かった。ところが利根川べりの川俣(群馬県明和町)で当局が待機させた200人の警官・憲兵と衝突し、数十人が逮捕され、上京は阻止された。「川俣事件」である。

正造は川俣事件に強い衝撃を受け、ただちに議会で2度の質問に立ち、警察・憲兵の暴行を批判した。2月15日には憲政本党(改進党の後身)への失望から、同党を脱党した。

同年3月の第15回議会では、あらためて鉱毒についての質問を数度行う。そのなかでとくに重要なのは、人民は国家権力の不当な行使に対して抵抗することができるという「抵抗権」の思想をはっきりと表現したことだ。

もし政府が古河市兵衛の指図を受けて、憲法で保障された人民の請願を妨害したり、被害民を捕えて牢へ入れるといった乱暴なことをするなら、政府は人民に「軍(いく)さを起す権利を与えるのである」と正造は主張した。

第15回議会は、北清事変(義和団事件)の出兵に充てる増税案を可決して閉会した。この出兵を機に日本は帝国主義に向かって大きくカーブを切る。当時、銅は生糸、綿製品に続く重要な輸出品であり、政府は輸出の花形である銅を守り、被害民を切り捨てたのである。

同年10月23日、正造はついに衆議院議員を辞職した。「憲法・政府・政党・議会といった制度を他力的に頼っても、問題が少しも解決しない」(布川清司『田中正造』)と悟ったからである。

しかし、すべての制度に絶望したかにみえる正造にも、ひとつだけ最後の希望が残っていた。それが辞職からまもない12月10日、第16回議会の開会式から帰る明治天皇に対して敢行した直訴だった。

この日、正造は黒の綿服、黒の袴、足袋はだしで拝観人の中から飛び出し、直訴状を手に高く掲げつつ、「お願いがござります」と叫びながら天皇の馬車に突進した。慌てた警護の警官がこれをさえぎろうとして落馬。正造もつまずいて転び、警官に取り押さえらえた。正造は麹町警察署に連行され、一晩留め置かれ、「狂人」として釈放された。

直訴文は正造の依頼で、当時名文家として知られた社会主義者の幸徳秋水が執筆し、当日の朝、正造が訂正・捺印したものだった。直訴という衝撃的な行為によって世論を喚起しようとしたのである。世間の人々は鉱害の認識を深め、その惨状に心を動かされ、支援の輪が広がった。

1902年、政府は渡良瀬川下流の谷中村を買収して村民を立ち退かせ、遊水池にして洪水を防ごうという計画を打ち出した。正造は遊水池化に反対して村民とともに運動を展開し、谷中村に移り住んで抵抗したが、1907年、政府は「土地収用法」を適用し、最後に残った16戸を強制破壊した。ちなみに政府側責任者の内務大臣原敬は、前年まで古河鉱業の副社長だった。

正造には他にも、現在においてもなお輝きを失わない主張がある。非戦平和の思想だ。

正造は、日露戦争開戦前の1903年2月10日に、静岡県掛川で初めて非戦論を主張した後、「倍々(ますます)非戦争論者の絶対なるもの」になっていった。日露戦争の際には、「日本の開戦ハ誠に山師の主張ニて国民の主張ニあらず」と述べ、その階級的性格を鋭く指摘する一方で、「戦争ニ死するものよりハ寧ろ内地に虐政に死するもの多からん」と言う視点から、日露両国政府に抑圧されているもの同士が国境をこえて連帯する必要性も呼びかけた。

また、ポーツマス講和条約の締結後も、「矢張小国ハ小国なり」として、油断して大国ぶることを戒め、日露戦争に勝利した日本だからこそ世界に先駆けて軍備を全廃するのが日本の「権利」であるという独特の認識を形づくるに至った。

20億円の軍事費を全廃すれば、5人家族平均125円となり、10年間無税にすることができる。あるいはまた、そのかわりに外交費を30倍、300倍に増やして、日本が世界平和の唱道者にならなければならない、それこそが日本の世界的使命であると主張した。「人類は平和の戦争コソ常に奮闘すべきもの」というのが、正造の基本的な考えであった。「まぎれもなく、日本国憲法第九条の先駆者の一人であるといえよう」(『田中正造』)と歴史学者の小松裕氏は指摘する。

正造は残った農民とともになおも抵抗を続けたが、1913(大正2)年9月4日、71歳で死去した。

1911年6月9日の日記に、正造は次のように書いた。「対立、戦うべし。政府の存在せる間は政府と戦うべし。敵国襲い来らば戦うべし。人侵さば戦うべし。その戦うに道あり。腕力殺伐を以てせると、天理によりて広く教えて勝つものとの二の大別あり。予はこの天理によりて戦うものにて、斃れても止まざるは我が道なり。天理を解し、この道実践のもの宇宙の大多数を得ば、即ち勝利の大いなるもの也」

歴史学者の由井正臣氏は、「まことに彼の生涯は、人民の生活を破壊し、権利をうばうものとの、天理・人道にもとづく壮絶な戦いの連続であった」(『田中正造』)と総括する。

政府と親密な有力企業が環境汚染などによって人民の生活を破壊するケースは、今もなくならない。人間の権利という「天理」に基づく抵抗の大切さを、田中正造の生涯は教えている。

<参考文献>
  • 布川清司『田中正造』(人と思想)清水書院、1997年
  • 由井正臣『田中正造』岩波新書、1984年
  • 海野福寿『日清・日露戦争』(日本の歴史)集英社、1992年
  • 松本三之介編著『強国をめざして』(日本の百年)ちくま学芸文庫、2007年
  • 大日方純夫ほか『日本近現代史を読む』新日本出版社、2010年
  • 小松裕『田中正造——未来を紡ぐ思想人』岩波現代文庫、2013年

2024-08-24

デフレを止めるな!

経済成長は、起業家が生産コストを削減する新たな方法を採用することで起こる。産業によってコスト削減にばらつきはあるが、全体として、経済が成長すれば物価の下落(デフレ)が起こるはずだ。つまり購買力が高まる。デフレを止めるためにお金の量を増やす経済的理由はない。
Do We Need 3% Inflation? Economic Growth and Deflation | Mises Institute [LINK]
貧困の原因は誰か他の人の富だというゼロサム思考では、社会が経済的に成長し、貧困率が低下するために何が必要かを理解することはできない。経済が成長するのは、企業家が市場の中で、損得に導かれ、資源を価値の低いものから高いものへと移動させる方法を見つけるからだ。
What Anticapitalist Christian Economists Get Wrong | Mises Institute [LINK]

平等主義者は不平等の原因には関心がない。不平等は歴史的抑圧や人種差別などの不公正が原因であることは自明だと主張し、適切な救済策は富の再分配だと宣言する。富の再分配が全員を等しく裕福にすることに失敗すると、それはさらなる再分配が必要な証拠だという。
Identifying the Causes of Economic Inequality | Mises Institute [LINK]

自由主義とファシズムの政治戦術を区別するものは、暴力の役割に対する評価の違いだ。ファシズムが本当に社会主義と闘おうとするならば、社会主義に暴力ではなく思想で対抗しなければならないだろう。しかし社会主義に有効に対抗できる思想はただ一つ、自由主義だけである。
Was Mises a Fascist? Obviously Not. | Mises Institute [LINK]

政治学者ミアシャイマーがいうように、ウクライナ戦争は米国とその同盟国が引き起こした。ロシアがウクライナに侵攻し、戦争を始めたのは事実だが、紛争の主因は、ウクライナのNATO加盟決定にある。ロシアはこの脅威に対処するため、2022年2月24日に予防戦争を開始したのだ。
Why We Need Revisionist History | Mises Institute [LINK]

2024-08-23

無政府主義の倫理

無政府主義に反対するリバタリアンは、功利主義に基づいて、「無政府ではうまくいかない」などと主張する。しかし無政府主義とは、無政府状態が「うまくいく」と考えることではない。侵略は正当化されず、政府は必然的に侵略を行うと信じているだけだ。倫理的な見解なのだ。
What It Means To Be an Anarcho-Capitalist - LewRockwell [LINK]
トランプやマスクのような実業家は、政府を「ビジネスライク」にするといつも口にしており、「効率化委員会」はその第一歩だ。自分を責任者にすれば、政府はスムーズに動く機械になると彼らは言う。しかし効率的な政府はありえない。政府はその性質上、そもそも非効率なのだ。
Elon Musk’s D.O.G.E Is a DODGE - LewRockwell [LINK]

万人が主張できるのは、生命、自由、財産について、万人に同様に与えられる保護を受ける権利だけである。平等法制が形式的平等から実質的平等へと変質する傾向は、偶然や見落としではなく、公正を強制する性質に内在する。実際には、格差の根絶は結果の平等化と変わらない。
The Folly of Legislating against Unfairness | Mises Institute [LINK]

19世紀は独、米、露などの国々において、帝国と統合の世紀だった。政府の統合は、「民主主義国家」を権威主義国家に変えるカギだった。政府の意思決定が遠くなればなるほど、市民が政府に対して持つ影響力は小さくなるからだ。政府は国民のしもべではなく、むしろ主人になる。
U.S. Imperialism through the Lens of Mises’s Nation, State, and Economy | Mises Institute [LINK]

中東で都市を破壊し、何千人もの命を絶つことによって自由民主主義を創設することは、古典的な自由主義ではなく、絶え間ない不安定さの原因だ。米政府にとって自由と人権がそれほど重要であるならば、宗派に関係なく、中東で罪のない人々を虐殺する者を支援すべきではない。
U.S.-Zionist Imperialism and the Middle East | The Libertarian Institute [LINK]

2024-08-22

同意による国家

国家の境界線がすべて公正だとは限らない。リバタリアンの目標の一つは、既存の国民国家を、私有財産の境界線と同じ意味で、境界線が公正と呼べるような国家に変えることだ。あらゆる集団があらゆる国家から離脱し、同意した他の国家に加盟することを認められるべきだ。
Nations by Consent | Mises Institute [LINK]
リバタリアン社会を望むなら、右派の価値観を受け入れる必要がある。右派は人間の相違という現実を受け入れるが、左派はそうではない。左派はすべての人を平等にしようとするので、人間の違いをなくすために政府が大規模に介入することを支持する。
Getting Libertarianism Right | Mises Institute [LINK]

お金の量が同じで、商品の数が増えれば、他の条件がすべて同じなら、物価は下がる。物価上昇と経済成長が一緒に起こる可能性があるという事実は、経済成長が物価上昇につながることを証明するものではない。どちらもマネーサプライの拡大によって起こる。
Economic Growth Does Not Cause Price Inflation | Mises Institute [LINK]

トランプ前大統領はビジネスで「大金を稼いだ」ため、金利のあり方についてFRBのメンバーよりも「優れた直感」があると考えている。だからといって、「正しい」金利を知る能力が高いということにはならない。「正しい」金利は、人々の市場での自由なやり取りによって決まる。
Donald Trump Does Not Know the ‘Correct’ Interest Rate - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

人々に晩婚化、小家族化、核家族化を促したのは資本主義ではない。この傾向はすべて、工業化が始まる何世紀も前から北西欧州に存在していた。特異な家族習慣が資本主義への道を開いたのであって、その逆ではない。西洋における現在の家族観は、中世の習慣の遺産かもしれない。
Don't Blame Capitalism for the Decline of the Extended Family | Mises Institute [LINK]

2024-08-21

リバタリアンの使命

もしリバタリアンが自由社会への前進を望むのならば、特定の政策を主張するだけでなく、国家を善玉と考えるパラダイムを覆すべきだ。国家主義の教義だけでなく、「一般常識」も批判しなければならない。常識や直観的な概念を批判することは、知的リバタリアンがとるべき道だ。
Reflections on the Libertarian Role in Society | Mises Institute [LINK]
プーチン、金正恩、習近平をペテン師、ギャング、殺人者と呼ぶのは正しい。しかしミレイ(アルゼンチン大統領)のように、トランプやゼレンスキーをほめ称え、ネタニヤフの味方をするのは、ただ呆れるばかりだ。それだけでミレイはリバタリアンとしては完全に失格である。
Javier Milei Versus the Antiwar Cause - LewRockwell [LINK]

戦争にかかる費用は莫大だ。インフレは政府がその費用を国民から隠そうとする手段である。戦争がもたらす富の破壊は、もし開始と同時に増税をするしか手段がなければ、すぐに明らかになる。お金の量を自由に膨張させることができる政府は、このような破壊を隠すことができる。
War and the Money Machine: Concealing the Costs of War beneath the Veil of Inflation | Mises Institute [LINK]

入植者による報復がいわれのないものだとはいえないが、1864年のサンドクリーク虐殺や、2023年のガザでのアパート破壊を正当化するのは難しい。イスラエルによる民間人居住区の爆撃や都市住民の追放は、19世紀に入植者村が攻撃された際の米国の反応と全然異なるものではない。
American History Is a Preview of the Israel-Palestine End Game | Mises Institute [LINK]

脱成長論者は、地球がずっと居住可能だと信じ、人類の文明を終わらせかねない自然の脅威を無視している。小惑星の衝突、超新星爆発、ガンマ線バーストなど、地球は見えない危険に直面している。マスク氏が構想する宇宙移民に向けて、テクノロジーと富を進歩させる必要がある。
Degrowth Means Certain Death for Humanity - Human Progress [LINK]

2024-08-20

戦争と中央銀行

戦争には資金が必要であり、そのため政府は銀行に助けを求める。中央銀行による貨幣増発は戦争屋を活気づける燃料だ。インフレ、つまり偽金づくりは、中央銀行の特権である。米議会がウクライナやイスラエルに何十億ドルもの不換紙幣を送ると決議しても、合法とされる。
What has the Fed Done to Our Lives? | Mises Institute [LINK]
評論家やエセ経済学者は、政府はほとんど何の制限も害もなく、お金を使ったり、借りたり、作ったりできると信じ込ませようとしている。国債の利子が予算の多くを食い尽くし、他の予算がほとんどなくなったら、どうなるだろう。残念ながら、政府が店じまいすることはあるまい。
TGIF: Gaslighting | The Libertarian Institute [LINK]

米国で1973年初めまで、生産者は1年半の価格統制を受けた。価格の凍結は多くの生産者にとって、製品を市場に出すことがもはや採算に合わないことを意味した。商品とサービスの供給は減り、価格は上昇した。消費者物価は1972年に3.8%、1973年に8.8%、1974年には12.2%上昇した。
Kamala Wants Price Controls, and It's Not Because She Has "Good Intentions" | Mises Institute [LINK]

エンジニアリングは社会にとって重要なツールだが、その限界を認識する必要がある。社会の成功は、最適化の専門家だけでは達成できない。人間の繁栄には起業家もまた欠かせない。起業家はこう問いかける。そもそもこの最適化プロセスは必要なのだろうか、と。
Elon Musk on the Difference between an Engineer and an Entrepreneur - FEE [LINK]

ウォルズ副大統領候補は最悪の「進歩主義者」であり、完全な共産主義者に近い。悪名高いジョージ・フロイド暴動の際、BLM(黒人の命は大切だ〈しかし白人の命は大切でない〉)の略奪や放火を許し、白人の生命と財産を守るために州警察と州兵を派遣することを拒否した。
The Dangerous Tim Walz | Mises Institute [LINK]

2024-08-19

FRBは金を持たない

米FRBは金を所有していない。1934年の金準備法により、FRBはすべての金の所有権を財務省に移すよう義務づけられた。それと引き換えに、財務長官はFRBに対し、財務省が保有する金に対してその時点で適用される法定価格で、移管された金の量に応じた金証券を発行した。
The Federal Reserve Does Not Own Gold | ZeroHedge [LINK]
金で測ると、イーロン・マスク氏のドルはロックフェラーのドルよりもはるかに価値が低い。約90年にわたるドル切り下げの結果、金は今年1オンス約2500ドルの記録的水準に達した。それでもマスク氏の2350億ドルの富は9400万オンスの金にあたり、ロックフェラーの2倍強ではある。
John D. Rockefeller, Elon Musk, Millionaires, and the Price of Gold - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

自由な市場価格が乱れると経済に影響が生じる。最高価格が定められた商品の不足だ。以前は政府と消費者は値段の高さを心配したが、今では入手できるかどうかも心配しなければならない。今の価格で購入する意思のある消費者でさえ、もはや市場でそれを見つけることはできない。
Nigerians Should Understand Their Long-Run Interests | Mises Institute [LINK]

古代ローマ帝国は、銀貨の銀含有率をわずか0.02%にまで切り下げた。その結果、物価は高騰し、帝国全体の経済を脅かした。ディオクレティアヌス帝は、900種類の商品と130種類の労働力・運賃の価格統制を導入し、違反者には死刑を科すことで、物価高を食い止めようとした。
Price-Control Failures, Then and Now | Mises Institute [LINK]

19世紀前半、ほぼすべての米国人は、連邦政府が一方的に奴隷制を廃止する法的権限を有しているとは考えていなかった。唯一の平和的な代替案、つまり唯一受け入れられる代替案は、連邦からの分離独立だった。
Leggett: Disunion Is Better than Slavery | Mises Institute [LINK]

2024-08-18

政商から財閥へ

ロシア報道に登場する「オリガルヒ」は、「新興財閥」と訳されることが多いが、ときに「政商」という訳語を目にする。こちらのほうが本質を言い当てている。政商とは「政治家や高級官僚といった政治権力者と関係を持って、利権や情報を得ている商人」をいうからだ。

企業家に学ぶ日本経営史 -- テーマとケースでとらえよう (有斐閣ブックス)

日本では、政商は明治初期に登場し、特権的立場を利用して膨大な富を蓄積した。その半面、権力者との癒着には大きなリスクもつきまとった。その一つは、権力者が政商に特権を与えた見返りに、何らかの利益を求めてくることだ。後で述べるように、三井銀行ではそうした要求を断れず、権力者に融通した資金が不良債権となり破綻の危機に瀕した。

そこで、ある時点で一部の政商は、政府との関係を意図的に弱めていく。政商のままでは、権力者の意向を配慮するあまりに、自由な事業活動が束縛されてしまうからだ。権力者との関係を弱めることに成功した政商は、それまでに蓄積した資本を元手に、多角的な事業活動を展開し、「財閥」へと発展していく。財閥とは「富豪の家族・同族の閉鎖的所有、支配下に成り立つ多角的事業経営体」を指す。

財閥が多角的な事業を展開するにあたって、事業を管理するトップマネジメントが必要となった。旧来の番頭経営では近代的なビジネスに対応することはできない。そこで、専門知識と企業家精神を持った人材を外部に求め、管理者として登用していく。そうした人材の多くは「学卒者」と呼ばれる高等教育機関の出身者だった。代表的な人物の一人が、三井銀行の雇われ経営者として同行の再建に成功し、三井の近代化の担い手となった中上川(なかみがわ)彦次郎である。

三井銀行は官金取り扱いを目的に設立された私立銀行だ。しかし1882(明治15)年に日本銀行が設立されたことによって、一般の商業銀行への転換が急務となった。

当時、三井銀行は多額の不良債権を抱え、経営危機に陥っていた。不良債権の多くは、官金取り扱いの見返りとして、不利な条件で政府関係者に貸し出したものだった。政商活動は三井にとって官金取り扱いといううまみがある半面、見返りの融資によって不良債権が増えていくというジレンマがあった。官金を取り扱っている限り、政府関係者に強く返済を促すことができなかったのである。

1891年、三井銀行の京都分店で取り付け騒ぎが発生し、同行は倒産の危機に直面した。そこで明治政府は、明治の元勲で、三井家顧問の井上馨に三井銀行の救済を依頼する。井上は、三井家内部に適当な人材が見当たらないことから、中上川彦次郎を三井家に推薦した。

中上川彦次郎は1854(安政元)年、中津藩(大分県中津市)に生まれた。母親は福沢諭吉の姉だった。1869(明治2)年、上京した中上川は叔父の福沢が設立した慶応義塾に学び、21歳で英国に留学する。帰国後、ロンドンで知り合った井上馨の招きで工部省に入るが、「明治14年の政変」による井上の失脚とともに明治政府を後にする。その後、福沢と設立した新聞社「時事新報社」の社主を経て、山陽鉄道の経営に携わっていた。

三井入りをするにあたって、叔父であり恩師でもある福沢諭吉に相談したところ、福沢は「三井の信用をもってすれば天下の金を左右することができるのだから面白い仕事だと思う」と勧めた。三井入りを決断した中上川は三井銀行の実質的経営者である副長となり、三井の改革を進めていく。

中上川はまず、不良債権の原因となっていた官金取扱業務から撤退する。業務を政府に返上し、全国に23あった取扱店を廃止した。

次に、徹底した債権回収に着手する。不良債権の筆頭は、京都の東本願寺に対する100万円の貸付金だった。中上川は東本願寺の別邸である枳殻邸(きこくてい)を抵当に取り、1年以内の返済を求めた。本願寺は中上川を仏敵として非難しつつ、全国の信者から浄財を集め、借入金を返済した。

政府高官の情実や口利きによる融資、高官個人への貸付なども断固とした態度で回収していった。三井入りを推薦した井上馨の反対を無視して、井上の友人・知人に対して返済を迫ることもあった。これが井上の不興を買い、のちの失脚の原因となる。「中上川は自分の信念に反することは、恩人の井上からの忠告であっても聞くことはなかった」と経営学者の山崎泰央氏は指摘する(『企業家に学ぶ日本経営史』)。

中上川は官金取扱業務からの速やかな撤退と不良債権の徹底回収によって、わずか2年で三井銀行の再建に成功する。この過程で三井と政府の関係を弱め、政商路線からの脱却を成し遂げた。

さらに中上川は、三井銀行の不良債権処理で回収した資金などを利用して、工業分野への展開を進める。それまでの三井家事業は呉服に始まって、銀行、商社など商業的な色彩が強いものだった。

鐘淵紡績(鐘紡)、芝浦製作所(東芝の前身)、新町紡績所、富岡製糸場などを経営したほか、王子製紙、北海道炭礦鉄道を三井傘下に収めた。同時にこの時期には三井物産が三池炭鉱の払い下げを受けた。455万5000という巨額の払い下げ代価であったが、同炭鉱とともに三井に入ったマサチューセッツ工科大学(MIT)出身の技術者・団琢磨の努力により、三池は発展し、三井のドル箱となった。

中上川の急進的な改革は、長くは続かなかった。日清戦争後の不況によって工業部門が不振になると、改革に不満を持つ反中上川派の台頭や井上馨の反発、三井同族からの警戒などによって、三井内部で孤立していった。さらに彼自身、健康を害したこともあり、療養のため第一線から身を引くことになった。1901(明治34)年10月、48歳という若さで失意のうちに世を去る。三井改革は、彼の死とともに、およそ10年で終わった。

失脚したとはいえ、中上川の改革は三井家だけにとどまらず、日本経営史に大きな足跡を残した。その成果は、①三井家が財閥に発展する基盤をつくったこと、②財閥の事業発展の方向を示したこと、③専門経営者(雇われ経営者)進出の端緒をつくったことだ。「中上川は三井を政商から近代的財閥へと再出発させたエース投手であった」と経済学者の宮本又郎氏は評価する。

<参考文献>
  • 宇多川勝・生島淳編『企業家に学ぶ日本経営史』有斐閣、2011年
  • 宮本又郎『企業家たちの挑戦』(シリーズ日本の近代)中公文庫、2013年

2024-08-17

貧困からは抜け出せる

米国で貧困から抜け出す最も一般的な方法は、生涯をかけて株式で財産を築き、それを子供たちに残すことである。移民たちの物語が示すように、人々が貧困から永久に抜け出すことは可能なのだ。「よほど幸運でない限り、勝ち組になることは不可能だ」という主張は間違っている。
Is Poverty Inescapable? An Immigrant's Perspective [LINK]
お金を節約するには、物をたくさん持たないこと。物を持つには購入時のお金のほか、維持するお金や時間、心のコストがかかる。購入時のコストしか考えず、いらない物専用の部屋や収納スペースを作る人が多い。所有の生涯コストを考えると、物の入手をためらうようになる。
7 Simple Ways to Save Money—and Tens of Thousands of Dollars [LINK]

独禁法訴訟でイノベーションをもたらすことはできない。企業は財産権と法の支配という憲法上のルールの下で活動しており、官僚主義的な市場介入体制の下では苦しむことになる。独禁法戦略は、企業のインセンティブを歪めることで成長の見込みを著しく減退させる。
Innovation through Antitrust Litigation? The Myth of Linear Progress | Mises Institute [LINK]

インフレは米国民の暮らしを荒廃させた。しかしそれは米政府の経済介入がもたらした経済的な苦痛の一部にすぎない。FRBを通じた人為的な低金利によって、企業は持続不可能な生産ラインを立ち上げることになり、不況、あるいは市場の調整は避けられなくなった。
The Harris Campaign Will Base Its Platform on Biden’s Fake Economic Accomplishments | Mises Institute [LINK]

イラン国民のためだけでなく、米国民のためにも、現時点で米政府ができる最善のことは、イランを放っておくことだ。制裁を解除し、脅しをやめ、陸海軍をすべて米国に帰還させるのだ。しかし残念なことに、カマラ・ハリスもドナルド・トランプもそれを望んでいない。
US Hypocrisy on Supposed Iranian Meddling in the US Election - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

2024-08-16

社会主義はお好き

社会主義を語ることと実際に生きることは全然違う。人に利用されるのが嫌な人、何かを強制されるのが嫌な人、限られた選択肢や独占が嫌な人、騙されたり操られたりするのが嫌な人、傲慢で悲観的な人とつるむのが嫌な人は、どんな形であれ、社会主義を好きになるべきではない。
You May Think You Like Socialism, But You’re Probably Not a Socialist at Heart [LINK]
現代の人道的介入がしばしば現地住民の流血と貧困に終わったという事実は、民族自決の否定が何をもたらすかを思い起こさせる。西洋の帝国主義がすべて地元民に啓蒙をもたらす「価値あるもの」であったとは到底思えない。むしろ西洋への反感を生み出す役割を果たしてきた。
Self-Determination, Imperialism, and Secession | Mises Institute [LINK]

人間は人種差別を含め、コストを度外視して何かをすることはない。人種差別は差別される側にコストを課すが、差別する側にもコストがかかる。 人は本能としてコストを削減しようとするから、経済学によって、差別者がコストを減らすために用いる方法を分析することができる。
Walter Williams and the Race Hustlers | Mises Institute [LINK]

政府が国内の特別利益団体のご機嫌を取ろうと自由経済を介入経済に変えると、保護主義の前提条件が整う。政府が保護する雇用や産業は、安価な代替品の輸入に脅かされる。保護主義の高まりは、外交政策や国際紛争をもたらす。これは戦争や軍事衝突へとエスカレートする。
The Goose that laid the Golden Egg | Mises Institute [LINK]

中央銀行がお金の量を増やして政府支出をまかなうとインフレが起こる。同じ量の商品をより多くのお金が追い求めることになる。これによって、なぜほとんどの商品の価格がいつも上昇しているのか、誰がそれを引き起こしているのか、それが何を意味するのかを説明できる。
Musk-Trump Interview: What Really Caused the Inflation of the Biden Presidency? | Mises Institute [LINK]

2024-08-15

なぜ働くのか?

人々が働くことを選ぶのは、働くことが自分にとって有益であることを理解しているからであり、抑圧されているからではない。自由市場における雇用者と被雇用者の関係は相互に有益であり、双方が失う以上のものを得ることができる。
Why Do We Work? | Mises Institute [LINK]
自由な交換や経済の自由を「不道徳」とみなすのはおかしい。市場全般に反対することは、人と人との会話全般に反対するのと同じくらい奇妙なことだ。表現の自由や結社の自由、人と人との会話を道徳的に擁護することは、結果が平等であるかどうかに左右されない。
Presenting the Moral Case for Capitalism | Mises Institute [LINK]

パイを切り分けるように、所得から資本に税負担を単純に移すことはできない。資本に課税すると生産コストが上昇し、将来の消費財の供給が減り、実質所得が減少する。その結果は主に低所得者にもたらされ、所得よりも物価が先に上昇するため、消費の削減を余儀なくされる。
Tax the Rich? Not a Good Idea | Mises Institute [LINK]

喫煙や電子タバコは不健康かもしれないが、政府は、個人が自分の身体でできることに口を出す権利はない。個人が消費するものに関して自分で決定することを、政府が禁止する場合、それは個人の自主性を侵害しており、倫理に反する行為である。
Why Britain’s Proposed Smoking Ban Is Immoral - FEE [LINK]

トランプ氏は「州兵保護法」を支持するべきだ。この法律は憲法が要求するように、議会が公式に宣戦布告しないかぎり、州兵部隊の海外派兵を阻止するための州法である。州兵は「週末の戦士」とみなされているにもかかわらず、世界規模の対テロ戦争における主要な戦闘部隊だ。
Donald Trump Should Endorse the 'Defend the Guard' Act | The Libertarian Institute [LINK]

2024-08-14

倒産が経済に良い理由

経済ゲームにおける真の勝者は、企業自身ではなく、その企業が対象とする顧客である。企業間の競争こそが、イノベーションを起こし、人間の欲求をより良く満たす原動力であり、競争に敗れた企業が倒産することは、その健全な過程にとって必要な部分なのだ。
Why Business Failures Are Good for the Economy [LINK]
保護主義は停滞の元凶だ。芸術や科学を妨げ、共通の利益の絆を破壊し、外国人に対する理解やその長所に対する評価を低下させ、戦争に対する商業的・道徳的障壁を低くし、世界連邦の理想である人間の兄弟愛を弱める。
The Only Difference between International and Domestic Trade Is Geography [LINK]

平和の維持とは、平和でない行為を禁止することである。政府が平和な行動を禁止する場合、そのような禁止そのものが一見して平和的でない。人がどれほど国家主義者であるかは、平和な行動をどこまで禁止するかで判断できる。
On Keeping the Peace [LINK]

米国はベネズエラ国民が主権によって選挙結果を決定するうえで、何の役割もありはしない。選挙妨害について判断したりコメントしたりする権利もない。米国はこれまで他国はもちろん、ベネズエラで選挙干渉やクーデターをさんざんしてたきたし、今回の選挙でもそうだからだ。
The US Has No Right to Interfere in Venezuela's Election - Antiwar.com [LINK]

パリ五輪で水泳競技場にいたファンは、中国選手に敬意を払い、感謝した。米国のドレッセル選手ら一部の外国選手もドーピング論争を無視し、正しい行動をとり、中国選手の勝利を祝福した。中国水泳陣を苦しめ、中国の国際イメージをおとしめようとする試みは成功しなかった。
US Elites Fail To Sink Chinese Swimmers - Antiwar.com [LINK]

2024-08-13

平和運動は必要だ

実現可能で合理的な要求(軍拡競争の凍結、原爆投下の禁止など)を中心に組織された平和運動は、デモや手紙、投票で政治家に圧力をかける。アイゼンハワー元米大統領は「長い目で見れば、平和を促進するためには、政府よりも人々の方が多くのことを行うだろう」と言った。
We Need a New Peace Movement to Prevent Nuclear War [LINK]
戦争とは、課税という盗みによって資金提供された、嘘に基づく大量殺人キャンペーンだ。 有史以来、どの国の国家安全保障エリートも、国民に自由を放棄させ、死んだり手足を吹き飛ばされたりする高い代償を負わせるために、嘘をつき、外国の見えない脅威を煽り立てる。
Justifying Evil | The Libertarian Institute [LINK]

元米国家安全保障担当補佐官バンディ、外交官ケナンらは1982年、ソ連が欧州に侵攻した場合の核兵器配備計画を中止するよう求めた。核の先制使用を禁止することで、第三次世界大戦の発生を避けようと考えた。このような正気で倫理的な核政策への支持は、現在の米政府にはない。
Time to Adopt a ‘No First Use’ Nuclear Policy - The American Conservative [LINK]

イラクが米国を攻撃したことはなく、イラクを攻撃したのは米国であることは議論の余地がない。米政府はイラクに対する侵略戦争に関し、ニュルンベルク裁判で宣言された戦争犯罪の罪を犯している。副大統領候補のバンスもワルツもイラク派兵命令を拒否する道徳的義務があった。
Both Vance and Walz Experience Moral Blindness on “Serving” in Iraq – The Future of Freedom Foundation [LINK]

イランが何をしようとも、西側帝国とマスコミのプロパガンダ担当は、いわれのない非道な侵略行為と決めつけ、イスラエルを「攻撃者」から「守る」ことについて語り始めるに違いない。帝国の歴史は常に、イスラエルの侵略の直後から始まり、報復が起こると時計の針が動き出す。
US Policy: Let Israel Escalate Against Iran, Then Tell Iran Not To Escalate Back - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

2024-08-12

奴隷の自由

自由人だったら給料の一部で野菜を買いたいと思う奴隷が、主人から野菜を与えられたからといって、経済的に自由だとは言えない。同様に、政府の独占事業が提供するようなサービスを、自由な市場でも購入したかもしれないからといって、自由だとはいえない。
How Slavery Can Be Used as a Litmus Test for Claims about Liberty [LINK]
共和党にとって財政悪化の解決策は簡単だ。予算を均衡させ、これ以上借り入れを必要としないようにする。そのための増税に反対しているのだから、歳出の大幅削減を意味する。しかし、共和党員にどこを削減するのかと尋ねると、口ごもり、どもり、独り言をつぶやいて立ち去る。
Out-of-Control Spending and Debt Means More Tyranny – The Future of Freedom Foundation [LINK]

米国の福音派キリスト教徒は政治家の道具になった。ブッシュ息子やトランプら共和党候補が教会を救うと繰り返し信じ込まされ、選挙を道徳の国民投票に変えてしまった。 「神の国と自分の国を混同してはならない。キリスト教を国旗で包んではならない」という警告のとおりだ。
American Theocracy: Politics Has Become Our National Religion - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

米政府が選挙運動に税金を投入する意図は、候補者の競争条件を公平にし、主要政党の候補者が総選挙中に政治献金を求める必要性をなくすことにあった。その結果、大統領候補の選挙運動は納税者の税金に依存するようになった。長期にわたる政府の介入は選挙費用の増大を招いた。
Watergate-era "reforms" made the federal government even stronger | Mises Institute [LINK]

米財政赤字を増税で削減することは不可能だ。年間2兆ドルを生み出す歳入策はなく、投資意欲を損ねることなくこれ以上の増税はできない。FRBが政府債務をマネタイズし続ければ、米国人はインフレの影響と住宅費の上昇に苦しむことになる。米ドルの購買力は低下し続けるだろう。
Americans are poorer: the United States Misery Index rises again | Mises Institute [LINK]

2024-08-11

植民地支配の教訓

日清・日露の戦争をきっかけに、日本は台湾や朝鮮半島で植民地支配に乗り出していく。明治政府が植民地政策を推し進めた背景には、ロシアの南下政策に備えるという国家戦略があった。しかし今から振り返ると、植民地支配は自由貿易に比べ、政治的・経済的に無理のある政策だった。

日清・日露戦争をどう見るか 近代日本と朝鮮半島・中国 (NHK出版新書)

まず台湾から見てみよう。日清戦争は1895(明治28)年4月の下関条約で講和が成立し、形式的にはその時点で終結した。しかし日本軍による台湾征服戦争は、それから始まった。

下関条約によって日本に割譲されることになった台湾では、割譲反対派により「台湾民主国」の建国が宣言され、日本の支配に抵抗する動きがあった。5月末に台湾北端部に上陸した日本軍は、各地で武装した民衆によるゲリラ戦に悩まされ、南部の台南を占領したのは10月下旬のことだった。

この5カ月間の侵攻・鎮圧作戦により、台湾の軍民約1万4000人が犠牲になったとされる。日本側も戦死527人、戦病死3971人を出した。歴史学者の山田朗氏によれば、これは台湾征服戦争を含めた日清戦争全体の日本軍の戦死・戦病死者1万3458人の実に33%を占め、台湾島民の抵抗がいかに激しかったかを示している(『日本近現代史を読む』)。

日本は1895年8月に台湾総督府を設置し、翌96年3月まで軍政(占領軍による直接支配)を敷いた。4月から民政に移行し、恒常的な植民地支配を始める。民政移行後もゲリラ鎮圧作戦は間断なく続けられた。児玉源太郎総督の統治時代に民政長官を務めた後藤新平の報告によれば、1898年から1902年までの5年間だけで「叛徒」1万950人を処刑もしくは殺害したという(海野福寿『日清・日露戦争』)。

産業政策では農地改革を実施したほか、製糖業を中心に米・樟脳・木材などの産業振興策をとった(樟脳はクスノキから樹液を精製した薬品で、この当時は火薬の原料として使用された)。1897年には植民地における最初の特殊銀行である台湾銀行を設置し、日本本国からの資本導入の窓口とする。ただし、これらの産業政策の狙いは台湾の近代化というよりも、台湾統治の財政基盤を確保することにあった。

日本は朝鮮半島でも植民地化を進めた。韓国(当時朝鮮は「大韓帝国」と改称し、韓国と呼ばれていた)に対し、日露戦争開戦中の1904(明治37)年締結の第1次日韓協約によって、財政・外交に関する日本人顧問を韓国政府が任用することを認めさせた。続いて日露戦争終結直後の1905年、第2次日韓協約を結ばせて韓国を保護国とし、外交権を奪い、漢城(ソウル)に統監府を置き、伊藤博文が初代の統監となる。さらに1907年には、韓国皇帝(高宗)を退位させ、第3次日韓協約を結んで軍隊を解散させ、以降、司法・警察権も掌握するに至る。

このように韓国に対する支配力を強めたうえで、1910年、韓国併合条約を成立させ、韓国を朝鮮と改めて植民地とし、漢城を京城に改め、朝鮮総督府を置いて統治した。韓国併合である。

日本の進出・支配に対しては日清戦争中の1894年から農民主体の義兵闘争が始まり、日露戦争中にも朝鮮半島南部を中心に義兵闘争が広まった。1907年に韓国軍隊が強制的に解散されると、旧韓国軍の将兵たちの多くが蜂起して農民義兵に合流し、反日武装反乱が各地に広がった。日本軍はこれを厳しく弾圧する。

日本は朝鮮の土地支配のために、1908年に農業拓殖事業を行う国策会社である東洋拓殖会社を設立、1910年には朝鮮の土地調査事業を本格的に開始する。日本は朝鮮を食糧(米)と工業原料(生糸・綿花)の供給地と位置づけ、農民に作付転換などを強要した。

さらに鉄道網の整備、中央銀行の設置も進める。すでに台湾では中央銀行の台湾銀行を設置し「台湾銀行券」を流通させていたが、韓国では早くから日本の第一銀行釜山支店が活動しており、第1次日韓協約によってこの第一銀行が「朝鮮銀行券」の発行業務を行っていた。1909年には韓国銀行を設置し、中央銀行券の発行業務を第一銀行から継承する。総裁も行員も建物も、すべて第一銀行から引き継いだ(原朗『日清・日露戦争をどう見るか』)。

こうした日本の植民地支配は台湾・韓国に技術やインフラを導入することで、第二次世界大戦後の経済発展の土台を築いたといわれることがある。当たっている部分はあるものの、全般には誇張されているようだ。経済アナリストのリプトン・マシューズ氏はそう指摘する。

同氏が米シンクタンク、ミーゼス研究所のウェブサイトで公表した記事によれば、台湾・韓国で日本企業は政府官僚とのつながりを利用して特権を手に入れ、コネのない地元企業は排除された。一部の地元企業は恩恵にあずかったものの、大半は民需に基づくものというより、軍事的・地政学的な需要だった。

台湾・韓国の産業成長は、アジアの他地域と比較してそれほど急速ではなかった。日本の植民地はインフラの先駆者だと思われているが、ライバルより優れているというよりも、むしろ同等だった。どの植民地でも、植民地技術者は鉄道、道路、灌漑事業などの建設に、都市住民の専門知識を活用した。たとえば、オランダのジャワ島での成果は、日本の台湾での成果と似ている。オランダはジャワ島に大規模な灌漑網を建設し、それは現在も残っている。

健康面でも日本の植民地はアジアの日本以外の植民地と大差はなく、台湾の乳児死亡率は英領マラヤより少し低い程度だった。教育面では、台湾・韓国には学校が建設されたが、エリート主義であり、ほぼすべての台湾人が高等教育やホワイトカラーの仕事に就くことを拒否された。日本は韓国の初等教育に投資したものの、敵対的な文化政策をとり、韓国語の使用を制限し、韓国固有の教育制度を崩壊させた。1944年には韓国で学校教育を受けた人は14%未満、初等教育以上の教育を受けた人は2%となった。

日本の植民地政策は先進的に見えるかもしれないが、日本以外の植民地と比較すると、むしろ平凡だった。「韓国・台湾が戦後に遂げた目覚ましい発展は、植民地時代の後に加速した経済政策、起業家精神、人的資本への投資によるものだと推論できる」とマシューズ氏は指摘する。

<参考文献>
  • 大日方純夫ほか『日本近現代史を読む』新日本出版社
  • 歴史教育者協議会編『日本の戦争ハンドブック』青木書店
  • 海野福寿『日清・日露戦争』(日本の歴史)集英社
  • 原朗『日清・日露戦争をどう見るか 近代日本と朝鮮半島・中国』NHK出版新書
  • Was Japanese Colonialism the Engine of Later Prosperity for Korea and Taiwan? Probably Not | Mises Wire [LINK]

2024-08-10

中国経済はなぜ成功したか

所得再分配の比率が西欧諸国で国内総生産(GDP)の50%近くに肥大化しているのに対し、中国は28%にとどまる。これが中国の経済的成功を説明するものだ。欧米は所得への累進課税を好み、起業家精神が旺盛で勤勉な人々にペナルティを課し、労働意欲を減退させ、貯蓄や投資を抑制してきた。
China’s competitiveness is driven by low taxation, not by industrial policy | Mises Institute [LINK]
人々の貯蓄意欲や生産への投資意欲の高まりによって下がる金利と、政治権力によって人為的に引き下げられる金利には大きな違いがある。人為的に金利を下げると、生産者はあたかも生産に利用できる資源が実際よりも多くあるかのように錯覚し、バブル景気と反動の不景気を招く。
A Fed rate cut will not solve our economic problems | Mises Institute [LINK]

生産のアウトソーシングは倫理的に中立だ。労働力の搾取によって生産が行われる場合にのみ、非難できる。しかし誰が搾取し、搾取されたのか、どうやって決められるのだろうか。最低賃金を下回る賃金で働く人がいても、搾取されているとはいえない。仕事は自由に選べるからだ。
Exploitation in the fashion industry? | Mises Institute [LINK]

強い大統領はいらない。アメリカ合衆国憲法が採択された当時、大統領の権限が強くなりすぎるのではないかという懸念は大きかった。憲法反対派はそうなると言い、憲法支持派はそうならないと言った。 しかし、強い大統領は危険だという点では、誰もが同意していた。
Why We Need a Weak Presidency - LewRockwell [LINK]

大日本帝国のために殺し、死ぬことは、多くの日本人にとって大きな誇りであり、当然のことですらあった。国家のような抽象的なものに奉仕する多くの人々は、自分がその勃発を後押ししたかもしれない戦争について、苦難や悲惨、破壊への加担と責任を否定しがちだ。
Stand With Dignity: The Honor of Li Xouyin | The Libertarian Institute [LINK]

2024-08-09

法の支配が守るもの

法の支配という概念は伝統的に、単に「政府に従え」という意味ではなかった。法はすべての個人の自由権と財産権を等しく保護するべきだという考えを反映していた。そうだとすれば、財産権を守るのでなく失わせる法律は、法の支配ではなく、まさにその正反対である。
The rule of law and property rights | Mises Institute [LINK]
EUで過剰債務が深刻な問題となっている。2023年のGDPに占める債務の割合はEU全体で81.7%だった。フィンランドとフランスは支出を削減し、スペインは大幅な増税に踏み切った。国防費と環境対策費が支出減と増税を上回っているため、これらの措置は十分ではないかもしれない。
Is the European Union headed for another debt crisis? | Mises Institute [LINK]

人間は石油が存在すると知らなかった場所で石油を発見し、新しい技術で以前は利用できなかった埋蔵量を解き放つ。石油が希少になれば、その価格は上昇し、消費の抑制と生産の増加を促す。価格が経済の現実を自由に反映する限り、石油が使われなくなる前に枯渇することはない。
In Defense of Cornucopianism - Human Progress [LINK]

石油は使えば使うほど発見される。埋蔵量は1980年以来158%増え、現在では2400億トンを超える。これは世界人口が80億人以上に82%増えたのと同じ時期に起こった。人口が1%増加するごとに石油埋蔵量は1.92%増えている。地球上にどれだけの石油が存在するのか、見当もつかない。
More Oil or More Knowledge? - Human Progress [LINK]

パレスチナ、サウジアラビア、ウクライナが中国と対話するということは、かつて米国の専売特許だった地域や戦争に関して、中国と連携する意思を明確に表す。この3者すべてが旧敵と対話する意欲を示している。ファタハはハマスと、サウジはイランと、ウクライナはロシアと。
Look Who’s Talking: America, Russia, Ukraine, China, and Palestine | The Libertarian Institute [LINK]

2024-08-08

アメリカ帝国は持続不可能

アメリカ帝国主義の現在の進展は、帝国そのものの永続に逆効果だ。軍事的優位は持続不可能であり、国際覇権を主張する前提としては不適切だ。米国は自制しなければ生き残れない。超大国であり続けたいのであれば、もはや無謀な帝国主義の名の下に経済を食いつぶす余裕はない。
The U.S. military machine is unsustainable | Mises Institute [LINK]
米財政赤字が問題でないかのように装う人々は、国債の利子が政府予算の最大の項目となり、歳入の40%にも達するという事実を無視している。これは持続不可能だ。FRBの赤字穴埋めによるドルの下落が基軸通貨の地位否定につながれば、大恐慌以来の経済危機が起こるだろう。
America Reaches a Sad Milestone - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

攻撃しなかった個人をテロリスト集団の一員だとして罰することは、リバタリアンだと認められる行為ではない。イスラエルの情報源でさえ、ガザで1万6000人の民間人が死亡したと認めている。私はユダヤ人だが、自分の血統が古代イスラエルまで遡れるかどうか、全然わからない。
Libertarianism and Zionism Can’t Be Squared | The Libertarian Institute [LINK]

最近の調査によれば、米国で70%の学生が「言論は物理的暴力と同じくらい有害でありうる」と考えている。3人に2人が教室での討議中に「自己検閲」をしている。とくにその傾向が強いのは共和党支持の学生だ。保守的な教授陣が粛清された不寛容な言論環境では不思議ではない。
'The Movement is Winning.': Polling Shows Drop in Support for Free Speech - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

収入が倍増し、余った富で自分や家族、自分の選んだ慈善団体に何ができるかを想像してみてほしい。そのようなことが、ほとんどの米国人に起こったかもしれない。しかし税金や規制が新しいイノベーションを常に阻害し、認めなかったために、米国では成長が著しく鈍化している。
The Human Meaning of Economic Growth - Human Progress [LINK]

2024-08-07

ローマ帝国はなぜ衰退したか

ローマ帝国の衰退をもたらしたのは、経済の相互依存の崩壊であり、蛮族の侵略ではなかった。3〜4世紀の政治混乱の中で、皇帝たちが通貨価値の切り下げに手を染め、衰退は決まった。通貨安は最高価格制と相まって重要な食料品の生産販売を麻痺させ、社会の経済組織を壊した。
How Mises Explained the Fall of Rome [LINK]
貨幣は無制限に刷ることができ、インフレを起こすこともないと長年考えてきた各国中央銀行は、論理に立ち返り、保有資産に金を増やそうとしている。ドルやユーロ建て債に損失が生じる恐れが強まり、金の買い増しに動き、新たなインフレ圧力の爆発から身を守ろうとしている。
Central banks purchase gold to offset their own money destruction | Mises Institute [LINK]

保護主義で競争がなくなれば、ある産業が他の産業よりも成長しやすくなる。しかしこれは、保護される産業以外の人々を犠牲にする。純粋な自由市場では、生産はより効率的な場所で行われる。保護主義は、政治的に人気のある特定の産業を振興するために、非効率を強いる。
Protecting infant industries doesn’t help the economy | Mises Institute [LINK]

ハイエクの自由論には、略奪する国家についての説明がない。政府権力の恣意から個人を守る法の支配の重要性を擁護する一方で、政府を権利の源泉とみなしている。政府そのものが自由に対する最大の脅威であることを認めていない。歴史的に、政府が略奪を控え続けたことはない。
Hayekian liberty and the predatory state | Mises Institute [LINK]

ファシズムは資本主義に反対すると主張したが、同時に伝統的なマルクス主義の国際主義にも反対した。ファシズムは社会主義のもう一つの形態だった。ファシズムとマルクス主義との戦いは右翼と左翼の戦いではなく、異なる左翼思想、すなわち国際主義と民族主義との戦いだった。
There's No Denying the Socialist Roots of Fascism [LINK]

2024-08-06

民主主義という宗教

民主主義は宗教である。十分に信仰し、何千万人もが投票に行けば、正しい判断が下されると信じている。なぜそうなるのか、誰も説明しないし、そうはならない。それは魔法への信仰であり、魔法は実在しない。民主主義という宗教には欠陥がある。ほとんどの有権者は無知なのだ。
TGIF: Democracy as Religion | The Libertarian Institute [LINK]
政府によるルール作りを否定することと、ルールそのものを否定することとは違う。政府によるルールがなくても、共同体はメンバーのためにルールを作り、利益をもたらす伝統を築いていく。このような真に優れたルールは、それを生み出す過程を妨げない場合にのみ存在しうる。
An open letter to Jordan Peterson | Mises Institute [LINK]

経済成長の最も重要な条件は経済的自由だ。ポーランドとベトナムがその例だ。ベトナムは1990年当時、世界で最も貧しい国だった。ポーランドは欧州で最も貧しい国の一つだった。今驚くことに、ポーランドは過去30年間、欧州の経済成長の王者で、ベトナムも非常に繁栄している。
How Nations Escape Poverty | Podcast Highlights - Human Progress [LINK]

米連邦準備理事会(FRB)が今できる最善のことは、2001年の景気後退後に初めて住宅バブルを発生させて以来維持してきたインフレバブルを、本物の景気後退によってすべて吹き飛ばすことだ。2008年以降にFRBが住宅ローン担保証券や国債を買い入れたせいで、住宅や国債など多くのバブルを生んだ。
Bidenomics: New employment numbers say recession is here | Mises Institute [LINK]

1941年12月7日に日本が真珠湾を攻撃するまで、米国民の大多数は枢軸国への宣戦布告を避けたいと考えていたが、連合国支援を支持する人々は、戦争の危険を冒す非中立的な手段をいとわなかった。英独とも米国内のプロパガンダに資金を出したが、英国ははるかに大規模だった。
Rachel Maddow's hunt for imaginary fascists | Mises Institute [LINK]

2024-08-05

政治民主主義より市場民主主義を

市場民主主義(資本主義)は政治民主主義よりも公平だ。政治民主主義では、多数派の候補者や多数派の計画に投じられた票だけが、政策を形成する上で有効だ。少数派の票は政策に直接影響しない。市場では無駄な1票はない。使われた1円1円が、生産過程に働きかける力を持つ。
Democracy is Dead, and Democracy Killed it [LINK]
労働力を必要としながらも支払い能力のない政府にとって、徴兵制はその単純さゆえに魅力的な政策手段である。政府は徴兵制によって、労働力の提供を強制することができる。その賃金率は明らかに、強制されない個人が自由意志でサービスを提供する場合よりもはるかに低い。
Now for another failed UK policy: Conscription | Mises Institute [LINK]

今日米軍はウクライナで、その軍隊に米軍の武器を使ったロシア軍の殺し方を教え、イスラエルではその国防軍にガザでの民間人の殺し方を教えている。これは米大統領の秘密命令によって行われた。ロシア軍とガザの市民は、米国人の生命、自由、財産に何の脅威にもならないのに。
When Presidents Kill - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

パレスチナの対立勢力を和解させる「北京宣言」のおかげで、パレスチナ人は、もし国民和解政府が樹立されれば、統一できる立場となった。これはイスラエルのネタニヤフ首相にとって脅威であり、ハマスの政治指導者ハニヤ氏が北京合意の数日後に暗殺された理由の一つでもある。
The Beijing Declaration: Quest for Middle East Peace After the Haniyeh Assassination - Antiwar.com [LINK]

ロシアのいわゆる「十月革命」は革命ではなく、少数派によるクーデターだった。 社会主義史観では、十月革命はレーニンとボリシェヴィキが自由主義派の臨時政府を倒したボトムアップの人民運動だとする。しかし実際には、革命的多数派の要求に応えたものではなかった。
The "October Revolution" was a coup, not a revolution | Mises Institute [LINK]

2024-08-04

グローバル化の恩恵と希望

世界は良くなっているのか、悪くなっているのか。ニュースを見ていると、つい悲観的になってしまいがちだ。しかし、報道には一定の偏りがあることを忘れてはならない。悪いニュースは高い視聴率や閲覧数につながるから多く報道されるが、良いニュースはめったに報道されないという偏りだ。

OPEN(オープン):「開く」ことができる人・組織・国家だけが生き残る (NewsPicksパブリッシング)

それでは、人類の本当の姿はどうなっているのだろうか。第二次世界大戦後、世界で起きた変化のいくつかを具体的な数字で見てみよう。

▽1950年に出生時の平均寿命はわずか48.5歳だった。2019年には72.8歳になっている。50%も伸びているのだ。
▽1950年の出生児1000人のうち、20.6人が5歳の誕生日を迎える前に亡くなった。その数は、2019年にはわずか2.7人。87%の減少である。
▽1950年から2018年の間に、1人あたりの平均所得は3296ドルから1万5138ドルへと上昇した。インフレ調整後で359%の増加だ。
▽1961年から2013年の間に、1人あたりの1日の平均食料供給量は2191カロリーから2885カロリーに上昇した。31.7%の増加である。
▽1950年、人が通常受けられる学校教育の長さは2.59年だった。2017年には8年となった。これは209%の増加だ。

これらのデータは米シンクタンク、ケイトー研究所が運営するウェブサイト「ヒューマン・プログレス」に掲載されたものだ。メディアに日々あふれる暗いニュースに覆い隠されがちだが、世界はこの約70年間、驚くようなスピードで良くなっている。

さらに長期間でみても、ほぼ同じことが言える。同研究所の主任研究員マリアン・テューピー氏によれば、「近代」と呼ばれるこの2〜3世紀は、人類がおもに農耕民族として生きたそれまでの1万2000年だけでなく、人類出現以来の30万年とは根本から異なる。古代シュメールの農民は古代エジプト、古代ローマ、大革命前のフランスには違和感なく住めるだろうが、「1900年や2000年頃の先進国の生活は理解できないだろう」という。

同氏が指摘するように、古代ギリシャの女性は男性の所有物だった。これに対し現在、女性は多くの国を運営し、大半の国で投票権がある。男性が危険な仕事をしたり、外国の戦争で戦ったりして死ぬ可能性は昔よりずっと低い。奴隷制はおそらく農業の誕生以来、存在していたが、18世紀英国で組織的・持続的な反奴隷運動が起こった。昔、児童労働と体罰は珍しくなかったし、同性愛は罰せられた。動物への残酷な行為はいたるところで行われていた。魔女狩り、人肉食、新生児遺棄、人間の生けにえも忘れてはならない。

テューピー氏は、悪いニュースが高い視聴率や閲覧数を集めやすい現象には、人間の進化で形成された特質が関係していると指摘する。人間のハードウェア(脳の構造)とソフトウェア(心理学)は、否定的な事柄に強く反応するように進化してきた。これは危険・残酷・不快な世界で生き残るには適切なメカニズムだ。脅威かもしれないものに過剰反応し、それが偽物だとわかっても、取り越し苦労で済む。しかし本物の脅威に過小反応しかしなかったら、命にかかわる。

けれども世界が大きく変化した今、人類にとって重要なのは、脅威を過剰に恐れ、規制によって安全を求めることではない。歴史から正しい教訓を学び、世界の繁栄は個人の自由、経済の自由と深く結びついていると理解することだ。それができなければ、「経済が停滞し、自由が後退する恐れさえある」とテューピー氏は警告する。

経済の繁栄にとって、カギを握るのは他者との協力だ。同じくケイトー研究所の主任研究員ヨハン・ノルベリ氏は著書『OPEN(オープン)』で、その理由を以下のように説明する。

ホモ・サピエンスは協力的な生物種だ。人間は他の多くの動物に比べると、特に強くもないし足も遅いし、外皮も弱いし空も飛べず、泳ぐのもあまり上手ではない。だが、圧倒的な優位性をもたらす別のものがある。他の人間たちだ。

言語の発達と、社会関係を把握する過大な脳のおかげで、大規模な協力が可能になり、他人のアイデア、知識、労働が使えるようになった。この協力のおかげで、人工的な強さ、速度、衣服や医療という優れたものが得られた。そして動物界のどんな生物よりも速く空を飛び、海を渡れるようにすらなった。

人は生まれながらの交易者だ。たえず他人とノウハウや頼みごとや財を交換し、自分一人の才能や経験に限定された場合よりずっと多くのことを実現できる。

「今日のグローバル化は、この協力を国境を超えて拡大し、世界中に広げて、ますます多くの人々が、世界中のどこにいようとも他人のアイデアや仕事を活用できるようにしただけの話だ」とノルベリ氏は指摘する。

同氏はさらに、「洞察の数、アイデアや解決策の組み合わせは、潜在的に無数にある。あらゆる知識を使い、あらゆるアイデアを試す唯一の方法は、みんなの好きにさせて、自由に協力しやりとりができるようにすることだ」と強調する。

経済学者ミーゼスは「社会とは、協調行為であり、協業である」としたうえで、「社会的協業の組織下では、社会構成員の間に、同情と友情の感情や連帯感を生むことができる。これらの感情は、人間の最も喜ばしい、最も崇高な経験の源泉である。これらは、人生の最も貴重な光彩であり、動物の一種族である人間を、本当に人間的な存在の高さにまで引き上げる」と述べる

ミーゼスが言うように、人間同士の協力は、互いに経済的な恩恵を生むだけでなく、友情や連帯感を育む感情面の効果もある。グローバル化によって協力が世界に広がれば、国家間の対立を和らげ、平和をもたらす役割を果たすだろう。

ウクライナ紛争をきっかけに米欧日がロシアに対する経済制裁に踏み切り、これまで順調に発展してきたグローバル化にブレーキがかかろうとしている。これは憂慮すべき事態だ。世界が再び繁栄と希望の道を歩むためには、早期の停戦を実現するとともに、効果に疑問も持たれる経済制裁を中止し、世界の人々の間に経済的な協力関係を復活させることが欠かせないだろう。

2024-08-03

米財政はネズミ講

米政府は際限のない支出を続けている。どう見てもネズミ講だ。借金を返すには、さらに借金をするしかない。議会はそんなことには目もくれず、海軍でいう「酔っ払った船乗りのような支出」を続けている。レーガン大統領がよく口にしたように、それは水兵に対する侮辱である。
The Great Ponzi Scheme [LINK]
大統領に誰が選ばれようと、米連邦準備理事会(FRB)はいつもと同じように、経済が悪化するにつれて金利を引き下げるだろう。大企業や政権のお友だちに対する救済措置を画策するだろう。多くの経済指標が、景気後退の接近か開始を示している。FRBは利下げを準備している。唯一の問題は時期だけだ。
The Fed is holding interest rates steady. This won't last much longer. | Mises Institute [LINK]

政府官僚は専門分野で有能な能力を発揮することが多い。だからといってその影響範囲を社会全体に広げるのはよくない。私たちは強制よりも自発的な解決策を好むし、判断を委ねる相手を押しつけられたくない。権力は当局者の判断を曇らせ、その選択に悪影響を及ぼすことが多い。
The technocratic fallacy | Mises Institute [LINK]

トランプ氏がディープ・ステートを打ち砕くと思う人は多い。しかし彼は哲学がないので、政府を廃止する代わりに利用するだけだろう。大統領時代に何兆ドルもの政府支出を承認した。再選されれば、また何兆ドルも使うだろう。そのすべてがディープ・ステートを養うことになる。
Your Enemy, The Deep State - LewRockwell [LINK]

ソ連が価格を廃止したことは、その多くの弊害の一つだった。ソ連経済の成長は非効率であり、無理な工業化と技術改良の結果だった。国家計画委員会(ゴスプラン)が戦車や兵器といった非小売品に生産を振り向けると決定すれば、国民は何も買わずに済ませなければならなかった。
The Soviets Tried to Run an Economy without Market Prices [LINK]

2024-08-02

意図ではなく結果で

経済介入政策の効果を評価する際には、掲げる目標を達成したかどうかを含め、有用か有害かを確かめなければならない。経済政策はその意図ではなく、結果に基づいて評価しなければならない。最低賃金法はその意図に反し、低技能の黒人労働者を雇用から排除してしまう。
Law and state coercion: The liberating effects of free markets | Mises Institute [LINK]
複雑な経済が機能するためには、利益と損失を計算する能力が必要だ。国家が財や産業を所有すると価格シグナルを妨げ、排除する。もし国家があらゆる種類の財を所有すれば、それらの財に本当の市場価格は存在せず、企業家は異なる生産工程間のリターンの違いを計算できない。
MMT: Feeding the economically inferior machine | Mises Institute [LINK]

米国の対ベネズエラ制裁は野蛮で非道徳的だ。しかし過去20年間にベネズエラで起こった経済崩壊の責任は、制裁にはない。たしかに制裁は生活水準をさらに低下させ、とくに最下層の人々に重くのしかかったが、その影響は経済全般の崩壊を引き起こすほど広範囲には及んでいない。
Socialism, not US sanctions, ruined the Venezuelan economy | Mises Institute [LINK]

ヘリテージ財団がまとめたプロジェクト2025の外交政策は、ポピュリスト的なアメリカ・ファーストよりも、ブッシュ時代のネオコンに近い。米政府は中国、イラン、ベネズエラ、北朝鮮、ロシアに弱腰だと非難し、太平洋、中東、南米、東欧で行動するため資金を費やすよう説く。
Project 2025: The good, the bad, and the frustrating | Mises Institute [LINK]

130万の兵士を擁し、100万近い官僚に支えられる恒久的な国家管理の軍隊を、米建国の父たちはどう思うだろう。無謀な軍国主義や野蛮な帝国主義に反対することは、不戦主義ではない。米国の政治と軍国主義の現状を正直に見つめ、憤慨することは、人としての美徳と共感の問題だ。
Why You Needn't Be a Pacifist to Oppose the Military | Libertarian Christian Institute [LINK]

2024-08-01

アダム・スミスは経済学の父か

ミレイ氏(アルゼンチン大統領)はアダム・スミスを経済学の父と称えるが、スミスはいかなる意味においても先駆者ではなかった。一般にスミスの貢献とされるものは、他の人々によって先取りされている。たとえば分業に関して、スミスは一つの工場における分業に限定し、産業間の分業は無視している。
Deconstructing Mileinomics | Mises Institute [LINK]
1920年代以降、気候に関連した死亡者数は97%以上減少した。この間、世界人口は300%増加している。人口が1%増加するごとに、気候関連の安全性は53%高まった。人間が自由に適応し、イノベーションを起こせば、リスクを劇的に減らし、生活を安全なものにすることができる。
Freedom from Climate-Related Death Risk - Human Progress [LINK]

ハリス氏はガザ問題に関し民主党の進歩派に歩み寄るため、米外交の強硬路線を和らげるだろうか。「自由主義陣営」が何十年も続けてきた路線を和らげることは誰にも許されない。これがディープステートの態度だ。ハリス氏が柔軟路線に転じることは、米国では通用しないだろう。
Is There a Risk that Kamala Harris Might 'Go Soft' on Foreign Policy? - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

米大統領を目指すハリス副大統領のウクライナ戦争に関する単純すぎる解説。「ウクライナは欧州にある国ですね。ロシアという別の国の隣にあります。ロシアは大きな国です。強い国です。ロシアは小さいウクライナを侵略しようと決めました。だからそもそも間違っています」
Why We Don’t Want Kamala - LewRockwell [LINK]

生徒の長期欠席を取り締まるために、強制を強化することは、今日の大規模学校教育モデルが非常に望ましくないという現実を無視している。子供たちに学校に行ってほしいのであれば、子供たちが行きたがる学校と、その学校を創設している起業家たちに投資すればいい。
Chronic Absenteeism Is a Problem, but Most Proposed Solutions Miss the Point - FEE [LINK]