アンチウォー・ドット・コム
(2023年6月2日)
米国はウクライナの武装に力を注ぎ、戦争を交渉による解決に持ち込もうとしないと、米外交官トップが発言した。ブリンケン米国務長官は和平協議が始まる前に、ウクライナの軍備を大幅に拡張する計画を打ち出した。
ブリンケン氏は2日にフィンランドで行った演説で、米国は「同盟国や協力国とともに、今日も、明日も、必要な限り、ウクライナの防衛支援に固く関与する」と述べた。同氏は続けて、「有意義な外交と真の平和の前提条件は、将来の侵略を抑止・防御することができる、強いウクライナだと信じる」と述べた。Blinken Dismisses Calls for a Ceasefire, Says US Must Build Up Ukraine’s Military
— Antiwar.com (@Antiwarcom) June 2, 2023
The Secretary of State called for Washington to continue to put militarism before diplomacy
by Kyle Anzalone@KyleAnzalone_ #Ukraine #Russia #Finland #NATO https://t.co/VOdgt6Q4h2 pic.twitter.com/D3fIvkLuyW
ブリンケン氏は、戦闘を一時的にでも休止するという考えを否定した。「停戦を呼びかける国もあるだろう。そして表面的には、それは賢明で魅力的にさえ思える。何といっても、戦争当事者に武器を捨てさせたいと思わない人はいないだろう。殺戮がなくなることを望まない人はいないだろう。しかし停戦は単に現在の戦線を凍結し、プーチン〔露大統領〕は奪った領土の支配を強化できるようになる。それはロシアによる領土の奪取を正当化することになる。侵略者にほうびを与え、被害者を罰することになる」
ブリンケン長官は、ウクライナの将来の軍事力について野心的なビジョンを提示した。「米国と同盟国は、現在の戦場におけるウクライナのニーズを満たすと同時に、今後何年にもわたって侵略を抑止し、防御することができる戦力を構築する支援を行っている。それは長期の資金、最新の戦闘機を中心とした強力な空軍、統合された航空・ミサイル防衛ネットワーク、先進的な戦車や装甲車、弾薬を生産する国家能力、部隊や装備を戦闘可能な状態に保つ訓練や支援など、未来のウクライナ軍の構築を支援するということだ」
ブリンケン氏の構想する抑止力を構築するのに、どれだけの時間がかかるかは不明だ。米国の武器備蓄は、ウクライナ軍の戦闘を維持するのに十分な軍備を移送しようとするため、減少している。米国はさらに、台湾への武器供与を大幅に増やす計画がある。
ブリンケン氏によれば、「ウクライナへの支援によって、中国やその他の国からの潜在的な脅威に対応する能力は弱まったわけではなく、むしろ強化された」という。米紙ウォールストリート・ジャーナルは昨年11月、「米政府と議会関係者は、ウクライナの紛争によって台湾向けの約190億ドルの兵器の滞留が悪化し、台湾の武装化をさらに遅らせることを恐れている」と報じた。
さらにホワイトハウスは、ウクライナでのこのような大規模な軍備増強に対して、議会で必要な支持を得られないかもしれない。ブリンケン氏は「米国ではこの支持は超党派である」と断言した。しかし下院外交委員会委員長のマイケル・マッコール議員(共和党、テキサス州)は5月初め、今後のウクライナ支援は、同国が長い間計画していた反攻作戦の成功が条件となると述べた。
マッコール議員の発言以降、ウクライナは〔東部ドネツク州の要衝〕バフムトを含め、ロシア軍に徐々に多くの領土を奪われている。ゼレンスキー〔ウクライナ大統領〕は西側支援国の忠告にもかかわらず、数カ月にわたる戦闘でバフムトに限りない資源を投入した。ホワイトハウスは今、反攻が失敗することを覚悟している。
ブリンケン氏が示した米国の戦略は、ウクライナを武装させ、ロシアを弱体化させることだ。同氏は「ロシアは現在、ウクライナへの全面侵攻前よりも軍事的、経済的、地政学的に著しく悪化している。プーチン大統領はすべての大陸でロシアの影響力を低下させている」と述べた。
しかし米欧州軍のカボリ司令官は議会で4月、ロシアの地上軍は昨年ウクライナ侵攻を開始する前よりも「現在の方が大きい」と発言している。
ホワイトハウスがクレムリンを孤立させようとする一方で、ロシアは〔南半球を中心とする新興・途上国〕グローバルサウスとの関係を発展させることで、西側の制裁を乗り越えてきた。ロシア政府関係者は2日、サウジアラビア、イラン、アラブ首長国連邦(UAE)を含むBRICS連合のメンバー候補と会談した。イランのライシ大統領は昨年9月、プーチン氏との会談で「イランやロシアなど米国から制裁を受けている国同士は、多くの問題や課題を克服し、関係を強化することができる」と述べた。
ブリンケン長官はバイデン米政権が軍国主義的手法に関与していることを正当化しようと、ウクライナ侵攻の前にホワイトハウスがクレムリンに意味のある外交を試みたと主張している。同長官によれば、「バイデン大統領はプーチン大統領に、我々はお互いの安全保障上の懸念について話し合う用意があると伝えた。このメッセージは、ラブロフ露外相と直接会うことも含め、繰り返し再確認したものだ。我々は緊張を緩和するための提案を書面で提示した。同盟国や協力国とともに、北大西洋条約機構(NATO)・ロシア理事会(NRC)、欧州安保協力機構(OSCE)、国連、米国の直接のルートなど、戦争を防ぐためにあらゆる場を利用した」という。
バイデン政権高官のデレク・ショレ氏〔国務省顧問〕は2022年4月、プーチン氏の関心の核心であるウクライナのNATO加盟について、ホワイトハウスがクレムリンとの交渉を拒否したことを認めた。同氏は「我々はロシア側に対し、真の懸念と思われる問題については対話する意思があることを明確にした」と述べ、米政府は「ウクライナの将来」がその問題の一つとは考えておらず、NATO加盟の可能性は「問題ではない」と付け加えた。
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