2023-06-16

カラー革命という内政干渉

オーストリア経済センター、チェン・ウェイミン
(2023年6月14日)

最近、米国の海外に対する関心はロシアに集中しているが、米政府の目により大きな魚として映っているのが中国だ。米国は一方ではウクライナ紛争に次々と援助を注ぎ込んでいるが、他方では太平洋を隔てて競合する超大国に警告を発している。しかし世界の他の国々と同様、中国も過去数十年間、米国の軽率な外交政策と介入主義を見続けてきた。そして今、中国もまた米国に警告を発している。

警鐘を鳴らす


中国は最近、古代シルクロードが中国帝国と西方の文化を結んだ歴史的な都市、西安で2日間の中国・中央アジアサミットを開催して終了した。習近平国家主席は中央アジア諸国の首脳を前に、投資計画、自由貿易、科学技術交流、観光・農業の振興、安全保障協力などを通じた、中国と近隣地域との今後の関わり方について発言した。

そして最後のポイントとして、習氏は米国に目を向け、言葉を濁すことなくこう言った。「〔中国が2023年3月に発表した〕グローバル・セキュリティ・イニシアティブに基づいて行動し、地域諸国の内政に干渉したり、カラー革命を起こそうとしたりする外部の企てに断固として立ち向かうべきだ」。この発言で習氏は米国を批判し、米政府がここ数十年目立たないように行ってきた類の干渉に対して警告を発した。

カラー革命の背景


カラー革命は、ソビエト連邦とその影響圏が崩壊した後の90年代初頭から一貫して観察されてきた。この革命は、名目上民主的でない国々で、自由を実現するために草の根の民衆運動が行われるのが特徴である。これらの運動は一般に、既存の政府体制の打倒や変更を目的とした大規模な抗議活動、デモ、市民抵抗運動を伴う。陰謀論や偽情報として理解されず無視されることも多いが、米政府は数十カ国でいわゆるカラー革命に資金を提供し、指導してきた。とくにロシアや中国の近隣やその周辺の重要な地理的位置で親中露に傾いている国々である。

カラー革命を起こす仕組みは非政府組織(NGO)である。NGOは表面的には民主主義制度、市民社会、統治改善の推進を謳っているが、全米民主化基金(NED)や〔ジョージ・ソロス氏が保有する〕オープン・ソサエティ財団のような団体は、政情不安をあおり、国内制度や選挙を混乱させ、親米派の指導者を政権に就かせるという決定的な役割を担ってきた。このように、民主主義と自由を守るという名目で、アメリカ帝国の名の下に、選挙と主権を損なうのがカラー革命である。

中国の外交政策


中国の権威主義的な指導はさておき、中国の外交政策は、国際関係における米国の「自分のやり方しか認めない」(あるいはそれ以下)の手法に代わるものを提供している。米国の介入主義とは対照的に、中国の外交政策はいわゆる平和共存5原則(主権と領土保全の相互尊重、相互不侵略、内政不干渉、平等と相互利益、平和共存)を軸にしている。この原則は1950年代半ば、共産主義の新政府である中華人民共和国が外国と友好を深めようとしたときに生まれた。

中国が他国の内政に干渉しないことを約束し、国家主権を尊重することは、欧米諸国やその組織と比較して、国際協力や開発に対する中国流のやり方の重要な特徴となってきた。今、中国はさらに一歩進んで、同盟国と協力し、国内問題を米政府が資金を提供するNGOのような外国の影響から共同で守る可能性があるようだ。

注目すべきこと


中国の首脳がカラー革命に対して明確に発言したのは、これが初めてではないだろう。ウズベキスタンのサマルカンドで開催された上海協力機構(SCO)首脳会議で、習近平氏は中央アジア、ロシア、インド、パキスタン、イランの指導者に「カラー革命を引き起こす外部勢力の試みを許さないことが重要」と警告し、加盟国は「いかなる口実でも他国の問題への干渉に共同で反対する」べきだと述べた。

繰り返しになるが、これらの国はいずれも、我々西側諸国が見習いたいと思うような政権で運営されているわけではない。しかしこれらの国を密かにジェファーソニアン共和国〔=米国流の自由主義的な国〕に変えようとするのは卑劣であり、これらの国が米国とその価値観に完全に不信感を抱くよう仕向けることになる。結局のところ、ウクライナを引き裂いた10年で2回のカラー革命〔2004年のオレンジ革命、2014年のマイダン革命〕は、現在のロシアとの紛争の大きな要因になった。

皮肉なことに、中国は国家主権のもとで経済協力を行い、平和を促進する国になっている。一方、米国は「ルールに基づく国際秩序」を守ると主張し、世界中で政府を転覆させ、経済の混乱をもたらし、卑劣な戦争と軍国主義を繰り広げている。米中間の緊張と対立が予測可能な将来にわたって激化し続けるなか、多くの国が事業活動における中国の手法を支持し始め、世界の舞台ですでに揺らいでいる米国の影響力に反撃する自信を持つようになるかもしれない。米政府は、このままカラー革命のシナリオを実行し続けることは危険を高めると考えるかもしれない。

China Calls Out the USA for Instigating the Infamous Color Revolutions | Mises Wire [LINK]

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