2022-09-17

「欧米の価値観」を守らない欧米人たち

ジャーナリスト、ケイトリン・ジョンストン
(2022年9月16日)

外国の専制政治を声高に非難する人々が、欧米帝国に対するあらゆる批判の検閲とソーシャルメディアからの排除を求める人々と、いつも同じであることに気づいたことがあるだろうか。

これは欧米社会に蔓延する、精神のウイルスだ。大勢の前で、米国とその同盟国の外交政策を大胆かつ一貫して批判する人は誰でも、帝国の擁護者たちから、ロシアの工作員の烙印を押される。同時に、ロシアの工作員や「役に立つ馬鹿(プロパガンダに利用される者)」は欧米のソーシャルメディアから追放されるべきだという意見もじわじわ増えている。

欧米帝国を擁護する人々は、批判者すべてを黙らせたがっているとは認めないものの、(A)十分攻撃的に帝国を批判する者をすべてロシアの工作員とみなすという事実と、(B)ロシアの影響を受ける者は検閲されるべきだという彼らの意見とを結びつければ、そうなる。欧米帝国の外交政策を批判すると、その擁護者たちが、もしロシアや中国のような国に住んでいたら、そのように支配者を批判することは決して許されないだろう、と言ってくる。彼らは、自分たちが軽蔑すると言っている暴君と同じなのだ。

「欧米の価値観」の問題点は、欧米人がその価値を認めていないことだ。認めていると思ってはいるが、表現の自由や、真実の光によって権力の責任を問うことに対する畏敬の念は、支配者や宣伝担当者の主張と大きく異なることを言う人を見た瞬間に、すっかり消えてしまう。そしてその人物を黙らせ、ソーシャルメディアから追放するよう望む。

本当は、欧米帝国を強く批判する人は、帝国の擁護者よりもはるかに多く、欧米の価値観を体現している。言論の自由と権力者の責任追及を重視するのは、帝国を批判する人々だ。世界一の権力者たちを厳しく監視する人々に対し検閲を求め、罵倒するのは、米国中心の帝国に洗脳された従順な連中である。

私は「ロシアに移住しろ!」「中国に移住しろ!」と言われるが、「いや、あなたこそロシアに移住しろ」「中国に行け」と言いたい。反対意見や権力批判を弾圧しようとしているのは、あなただ。私は欧米の価値観そのままに生き、史上最強の帝国に正常な監視を要求しているのだ。あなたは欧米にふさわしくない。

学校では、欧米社会は真実、言論の自由、平等、権力者の説明責任、敵対的ジャーナリズムを重んじると教えられるが、大人になると、ロシアのメディアが禁止され、主流リベラル派の熱狂的な支援を受けて検閲が拡大されるのを見る。ソーシャルメディア上で、ウクライナに関する体制側の主張を吟味する人々を大量に報告し、追放する作戦を見る。ウィキリークス創始者ジュリアン・アサンジが無許可のジャーナリズムの罪で収監されるのも見る。

私たちの聞かされる「欧米の価値観」が、実は欧米ではあまり一般的でないことは、周りを見渡せば明らかだ。欧米の主要メディアで、西洋文明の権力中枢に対して意味のある批判をする人物を登場させることは、ほぼ皆無である。

学校で教えられた欧米の価値観を信じる者もいる。それは意外かもしれないが、私たち、無視されたアウトサイダーだ。私たちは検閲、プロパガンダ、帝国の報道弾圧に断固反対する。権力機構に周縁から真実の光を当てるために、たゆまず働く。体制派のサイコパスから怒鳴られ、反逆者と責められる。体制派の連中は、自分が支持するという欧米の価値観よりも、反対するという独裁者たちとのほうが、はるかに多くの共通点を持っているのに。

(次より抄訳)
The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : The Trouble With ‘Western Values’ Is That Westerners Don’t Value Them [LINK]

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