2021-09-14

形だけの資本主義

A Critique of Interventionism (English Edition)

経済介入政策は土地や機械の私有を維持しつつ、当局の指令で所有者の行動を規制しようとする。重要な決定がすべて指令の線に沿って行われるようになれば、資本家の利潤追求ではなく、政府の都合で生産の対象や方法が決められる。私有が形だけ維持されても、それは社会主義だ。(経済学者、ルートヴィヒ・フォン・ミーゼス)

政府が命令しても無から何かを生み出すことはできない。政府が不換紙幣を刷れば人を豊かにできると信じるのは、お人好しのインフレ主義者だけだ。政府は何も生み出せない。政府は人を豊かにすることはできない。できるのは人を貧しくすることだ。(同)

政府がある商品に価格統制令を出せば、供給統制令、配給令だけでなく、商品を生産する機械の価格や労賃への規制、労働統制まで必要になり、あらゆる産業に広がる。政府は市場経済への介入を控えるか、すべて統制するかのどちらかだ。資本主義か社会主義かだ。中間の道はない。(同)

労働組合による最低賃金の強制に効き目がなければ、失業は労働市場に圧力を及ぼし、人為的に押し上げられた賃金を自然な市場水準まで引き下げる。失業は摩擦現象であり、政府の介入しない市場であればすぐに消えるが、介入政策の下ではいつまでも続く習い性となる。(同)

政府の経済介入政策が失敗しても、経済の専門家でない人は、かえって私的所有を厳しく制限するべきだと確信を強める。規制官庁が腐敗しても、政府は間違いを犯さず完璧であるという盲目的な思い込みはびくともしない。企業家と資本家に道徳的な嫌悪感を募らせるだけである。(同)

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