2024-11-09

歳出削減なき減税——納税者の負担は減らない

ミーゼス研究所編集主任、ライアン・マクメイケン
(2024年11月6日)

今回の選挙で改めて示されたように、民主党は増税を恥ずかしげもなく要求する。法人税であれ未実現キャピタルゲインへの課税であれ、増税を求める。一方、ドナルド・トランプ氏は一部の減税を公約に掲げている。「一部の」と言ったのは、輸入品への増税も公約に掲げているからだ。
トランプ氏は、当選したら米国人の税負担を軽減するという考えで出馬した。残念ながら、トランプ氏には政府支出を削減する計画はない。つまり、一般の納税者が実質的な減税を経験する可能性はほとんどないということだ。

歳出削減を伴わない減税は、実際には政府のコストを削減しない。歳出削減を伴わない減税は、単に税負担を移動させるだけであり、目に見える課税を、しばしば物価上昇という見えない課税に置き換える。

歳出削減を伴わない限り、減税は単に赤字支出を増やすだけであり、納税者は何らかの方法で赤字のツケを払うことになる。通常、財政赤字は将来の税金、現在の利払い、通貨インフレ(通貨量の膨張)のうち1つ以上を使って支払われる。

官僚が利払いコストを抑える方法は、中央銀行に国債を買い取らせることだ。中央銀行は国債を買うことで、人為的に国債の需要を高める。すると財務省は買い手を引き付けるために金利をそれほど払わなくて済む。

中央銀行は国債を買い上げる資金をどこから調達するのだろう。お金を印刷するのだ。そして通貨のインフレと、最終的には物価のインフレ(上昇)を引き起こす。つまり、財政赤字を増やす減税は、結局は納税者に新たな負担を強いるだけなのだ。本当の減税とはいえない。

政府が納税者から略奪したお金で何かを買うたびに、その商品の価格を押し上げ、民間部門がその資源を民間目的のために使うのを妨げる。それだけでなく、経済をゆがめ、勝者(政府職員、請負業者、供給業者)と敗者(政府に好まれない者)を選別する。

共和党が税制に拒否権を発動しても、歳出の拒否権が伴わなければ、納税者の負担を透明な税制法案以外の形に変えるだけで、何の成果もない。

実際、共和党が2020年以降続けているように、巨額の歳出増に同意するのであれば、赤字支出というわかりにくい手段で国民に税負担を押し付けるよりも、税率を引き上げるだけの方が不誠実ではないといえる。

政治家が減税を公言したら、まず歳出削減に力を入れるのですねと念を押してほしい。そして、具体的にどの政府事業を削減するつもりなのか聞いてみよう。もしその質問に信用できるような答えを返せないなら、騙されたと思って間違いない。

(次を抄訳)
Tax Cuts without Spending Cuts Won't Reduce the Taxpayers' Burden | Mises Institute [LINK]

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