2016年9月2日金曜日

テイラー『スタンフォード大学で一番人気の経済学入門・ミクロ編』


最低賃金規制の害悪

自然に法則があるように、経済にも法則がある。自然の法則を無視してロケットを設計すれば大惨事を招くのと同じく、経済の法則を無視した政策を強行すれば、社会に混乱をもたらし、人々を貧しくする。たとえば最低賃金規制のように。

経済の代表的な法則の一つは、需要と供給の法則である。需要と供給の力は、政治的意図とは無関係につねに働き続ける。だから「人為的に下限価格を決めると、当然そこには歪みが生じてきます」と経済学者の著者テイラーは警告する。

本来の均衡点よりも高くなるように下限価格を設定すると、売る側はその価格でたくさん売りたいと思うので供給量が増える。しかし買う側は高すぎると感じるので、需要量が減る。すると供給量が需要量を上回り、ものが余ってしまう。

最低賃金は一種の下限価格規制だから、同じ結果を招く。「最低賃金が上がると、企業はそのレベルの非熟練労働者をあまり雇おうとしなくなります。一方、働きたいと思う人の数は増えるはずです」。労働者が余り、失業することになる。

しかも失業を強いられるのは、最低賃金すれすれで働く貧しい人々である。「最低賃金の引き上げは多くの人にささやかな利益をもたらす一方、仕事が見つからない人たちに対して非常に大きな苦難を強いる」と著者はその害悪を指摘する。

著者は現代経済学の標準的な立場に立ち、極端な「市場原理主義者」ではない。他の箇所で政府の介入に寛容すぎるのは不満に感じる。だが最低賃金規制は、そのような著者でさえ反対する無茶な政策なのだ。

支離滅裂なマルクス本などに惑わされず、せめて本書程度の経済学的な常識を身につけたい。

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