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「反インフレ経済勉強会」開講のお知らせ

インフレは税の一種です。しかも普通の税よりも悪質な税です。ところが、この事実はよく理解されていません。それどころか、多少のインフレはむしろ良いことだという嘘が、現在主流の国家主義的な、誤った経済学(ケインズ経済学)や、そこから派生した極端な説 (MMT=現代貨幣理論など) によっ...

2019-11-06

政府は利己的

政府は利己的
あらゆる政府は支配階級が動かす。支配階級は少数で、多数の被支配階級を搾取する。集団はすべて自己利益のために行動するから、支配階級が「公共善」のため利他的に行動すると期待するのは馬鹿げてゐる。彼らは国民の利益を犠牲にし、自分とその特別利害関係者の利益を図る。
James Mill and Libertarian Class Analysis | Mises Institute

景気対策のツケ
日本はバブル崩壊後に金融緩和と財政支出を繰り返したせいで、1980年代の間違つた投資を清算する不況といふ癒しを妨げた。相対価格と生産構造を市場ニーズに合はせる調整を先送りした結果、労働者あたりの資本ストックと労働生産性が次第に低下。実質賃金の停滞をもたらした。
Stimulus Brings Stagnation: The Case of Japan | Mises Wire

帝国主義の代償
米国の帝国主義と対外介入の影響はいつも悲惨だ。外国人にとつてだけではなく、米国人にとつても。連邦政府の支出と負債に歯止めが効かなくなり、中間階級の多くは見捨てられ、高齢になると自活できず、急場の蓄へもなく、その日暮らし。帝国主義と対外介入は安くは済まない。
A Huge Empire Requires a Huge Government | Mises Wire

雇用保障の誤り
健全な経済のカギは雇用を増やすことではない。逆に少ない労働力を使つて生産性を高めることだ。やみくもに「雇用創造」や労働者全員への雇用保障を目指せば、目的と手段が逆転し、労働者が機械や道具を使ふのを制限し、必要以上に多くの労働者を雇ふ事態につながりかねない。
Why Bernie Sanders's Universal Job Guarantee Is Fool's Gold - Foundation for Economic Education

2019-11-03

ガブリエル『未来への大分岐』


ガブリエルがチョムスキーのメディア批判を非難し、NYタイムズの報道は「自明の事実」と断言。イラクの大量破壊兵器保有は同紙の虚報だったのに。ツイッターはプロのジャーナリストを役員にするまで閉鎖せよとか、進化論否定は違法化せよとか背筋が寒くなる。

2019-11-02

内藤淳『進化倫理学入門』


道徳とは利害損得による行動を抑制するためのものと思われている。ところが実際には、道徳とは利害損得で成り立つ。人間が愛情という感情を持つのは、それが生存・繁殖にプラスになり、それゆえ祖先以来受け継がれたからだ。道徳の名による私利の否定は誤り。

2019-11-01

イスラムの無税国家

政府は8月31日、2020年度予算編成のルールを示す概算要求基準を閣議了解した。高齢化に伴う社会保障費の伸びなどにより、一般会計の要求総額は6年連続で100兆円を上回る見通し。2019年度の101兆4571億円を超え、過去最大を更新する可能性がある。

一方で、財政は厳しい。内閣府が同日まとめた新たな財政試算によれば、国と地方の基礎的財政収支(PB)の黒字化は、政府目標の2025年度から2年遅れ、2027年度になる見通しという。

財政がきわめて厳しい状況にありながら、政府の支出拡大に歯止めがかからない。その一因は、福祉や教育、インフラ整備といった公共性の高い事業は、政府に頼らなければできないという考えが、政府自身や国民に強いからだろう。

しかし、その考えは本当に正しいのだろうか。世界史の知識があれば、政府に頼らず、充実した公共サービスを実現した例があると気づくはずだ。最盛期のイスラム文明である。そこは事実上の無税国家だった。


前回このコラムで述べたように、キリスト教世界と異なり、イスラム教では商業活動が肯定された。信徒の中心となったアラブ人は商業や交易の担い手として、広大なイスラム・ネットワークを舞台に活躍していく。

2019-10-30

生態系と経済

生態系と経済
経済は生態系より複雑だ。人間は砂糖に引き寄せられる蟻と違ひ、行動の価値基準が頻繁に変はるうへ、行動を自分の意志で制御するから。環境保護論者は、生態系は複雑で開発の影響を予見できないとして開発に反対しながら、複雑な経済に対する政府の介入は支持し強化を求める。
The Difference Between Ecology and Economics | Mises Wire

同意なき政府
政府のサービスを使ふからといつて、あらゆる課税や規制に暗黙の同意をしたことにはならない。公道を運転しても警察が薬物捜査のため自宅に突然押し入ることに同意したわけではないし、公営図書館を使つても情報機関や軍隊が世界中で内政干渉することに同意したわけではない。
Why the State Can't Claim Our "Implied Consent" | Mises Wire

政府も不合理
行動経済学が言ふやうに、人間は合理的でないとしてみよう。さうすると、政府の政策をつくる人たちも合理的ではないはずだ。彼らは天使ではなく、同じ人間である。だとすれば、事業への過度に楽観的な予想など「認知のゆがみ」は、官僚や議員にもあてはまらなければならない。
If People Can't Be Trusted with Market Freedom, They Also Can't Be Trusted with the Vote | Mises Wire

市場法則に例外なし
価格が高くなるほど需要が増すヴェブレン財は、市場経済の法則と矛盾しない。高級品はありふれた製品より需要を集めうる。iPhoneが人気なのは技術的理由よりも高級感からだ。もしアップルがiPhone 11 を5万円に値下げしたら、高級感が薄れ、たちまち市場シェアを失ふだらう。
Why Austrian School Economists Have a Better Understanding of Goods and Services | Mises Wire

2019-10-28

白井聡・進藤榮一『「日米基軸」幻想』


「(NYタイムズなど)いまのアメリカの主流派メディアがエスタブリッシュメントの一部を構成」(進藤)、「リベラルとコンサバは、ラディカルズを排除することにおいて……同じ穴の狢」「民主党と共和党に本質的な差異がないということと同じ」(白井)など、有益な発言多数。

2019-10-26

猿田佐世『自発的対米従属』


日本の政策形成に大きな影響力を持つ米シンクタンク、CSISやブルッキングス研究所。ところがその資金提供者には日本の政府や大企業。日本の支配層が自分たちの望む政策を実現するために、米国発で外圧をかけさせ、大手メディアが「米国の声」として報じるヤラセの構図を暴く。

経済成長はインフレを起こさない

経済成長はインフレを起こさない
経済成長とは、人々の生命と幸福を支へるのに必要な商品の生産が増えることをいふ。商品の価格とは商品一つあたりに払ふお金の量だから、お金の総量が一定なら、経済成長(商品量の増加)によつて起こるのは物価全般の下落(デフレ)であり、上昇(インフレ)ではないはずだ。
Economic Growth Does Not Cause Price Inflation | Mises Wire

マクドナルドは環境にやさしい
マクドナルドは最も環境にやさしいレストランの一つだ。牛肉の炭素放出は多いが鶏肉はずつと少なく、肉を使はないメニューもたくさん。ハンバーガーのやうな利ざやの薄い商品を世界中で売つて利益を出すには、食材、包装、エネルギーなどの無駄を最小限にしなければならない。
Why Extinction Rebellion should eat at McDonald's - CapX

資本主義は人類を救ふ
資本主義はこれまで現実に人類を繁栄させ、生活水準の向上に寄与してきた。私有財産と市場価格は理論的にも、希少な資源を最も効率よく活用するのに役立つ。かりに破滅シナリオが現実となり資源が著しく欠乏しても、資本主義は数学や科学と同様、重要な自衛手段であり続ける。
No, Capitalism Doesn’t Threaten Humanity | Mises Wire

ビジネスチャンスの発見
最近買つた製品に不満だつたら、満足させる方法を考へよう。サービスが期待外れだつたら、新サービスのチャンスを突き止めよう。消費者の期待と現実のギャップを発見し、満たすのだ。市場に注意を払へば、アマゾンやネットフリックスのやうなビジネスチャンスは目の前にある。
How Entrepreneurs Discover Market Opportunities Through Dissatisfaction | Mises Wire

2019-10-23

青木美希『地図から消される街』

 
入念な取材で明らかにされる手抜き除染。原発のがれき撤去でコメが汚染された可能性があるのに、住民には知らされず。廃炉の見通しも不透明。それでも政府が安全を唱えるのは、核武装には原発が必要だから。ところが原発の集中立地で守りに弱い日本。政府の無計画さが露わに。

2019-10-22

資本主義と信頼

資本主義と信頼
資本主義は人間の最も協力的な営みの一つだ。商品を取引するのは遠く離れた見知らぬ者同士で、それを導くのは価格機構と評判だ。取引参加者が売買を繰り返すうちに、信頼が育まれる。資本主義のこの道徳的な副産物は、あまり話題にされないし、まして称賛など聞くことはない。
Trust me, I'm a capitalist - CapX

進化に逆らふ繁栄
人間は進化によつて、小規模な集団の一員であるやうデザインされてゐる。近代の繁栄は進化の結果ではなく、進化に逆らつて実現された。法の下の平等。遠い国の他人同士を仕事仲間に変へるグローバル経済。人種や性別を問はない能力主義。これらは新しく、とてももろいものだ。
Explaining our miraculous flourishing - CapX

南米の明暗
ベネズエラはかつて南米では比較的自由な市場経済の国だつた。1950年代初め、1人あたりGDPは世界上位で、米国より大きく、82年まで南米一豊かだつた。一方、チリは70年代半ばに軍事政権が社会主義を放棄後、経済が発展。2016年時点で、世界で15番目に自由な経済の国となつた。
Capitalism vs socialism: lessons from Chile and Venezuela - CapX

「国民の声」の嘘
政治家や評論家が「国民の声」と言ふとき、単に一部地域の人を指してゐるにすぎない。他の地域の人はまつたく違ふ考へかもしれない。大きな国では、国民全員の意見が一致するのは難しい。この問題を改善する手段は地方分権だ。ところが右派も左派も望むのはいつも「国策」だ。
Taking a Stand for "the People" Usually Means Hurting Actual People | Mises Wire

2019-10-19

半田滋『「北朝鮮の脅威」のカラクリ』


北朝鮮のミサイル発射と核実験の狙いは、米国から先制攻撃され指導者が殺害されたリビアやイラクの二の舞にならない抑止力の保有。日本を標的としているかのように危機を強調する安倍政権の姿勢を批判。核管理とミサイル発射停止の見返りに米朝の平和協定をまず結ぶよう説く。

2019-10-18

最低賃金と歪んだ情報

最低賃金と歪んだ情報
最低賃金がなければ、求職者は賃金の市場価格で仕事にありつくことができる。しかし最低賃金は求職者の実力からかけ離れてをり、たいていその水準では雇つてもらへない。最低賃金は非熟練労働者の実力が現実より高いかのやうに嘘を伝へ、職に就ける賃金水準の情報を失はせる。
Markets Rely on Accurate and Honest Information — But Governments Want the Opposite | Mises Wire

被災者支援は政府の仕事か
そのやうな支出(水害に遭つた農家への補助金)を行ふ理由は憲法にないし、政府としてやるべきでもない。被災者は同胞の友情と慈善にいつでも頼れる。補助金は中央政府への依存心を強め、国民のたくましい性格を弱めてしまふ。(米第22/24代大統領グロバー・クリーブランド)
The Wisdom of Grover Cleveland | Mises Institute

貿易戦争は誰への戦争?
貿易戦争といふ言葉は、貿易で一方が得をすれば他方が損をするといふ誤つた考へに基づく。だが売り手と買い手はともに貿易で得を見込むから進んで取引する。だから貿易は富を生み出す。保護主義を戦争に例へるなら、国内生産者と政府の連合軍による国内消費者への宣戦布告だ。
The Trade "War" Is Only Making War on Our Freedoms | Mises Wire

小さなノーベル経済学賞
RCT(ランダム化比較試験)は経済理論の代はりにはならない。学生に熱心に試験勉強させる方法や人に健康な食事をさせる方法など、小さな問題しか扱はないからだ。社会的協業の基礎は何か? 経済成長の原動力は? 景気変動はなぜ起こる? かうした大きな問題には答へられない。
New Nobel Winners Are Latest Bad Sign for Economic Theory | Mises Wire

2019-10-14

吉田敏浩『日米戦争同盟』


安保法制で民間企業に課せられた自衛隊支援の協力責務。派遣要員に選ばれたものの会社から何の説明もなく、不安におびえる防衛産業の社員。派遣先で事故が起きたりテロに巻き込まれたりしても、防衛省・自衛隊が責任を取る考えはなし。対米従属がもたらす究極のブラック職場。

2019-10-13

社会混乱の元凶

社会混乱の元凶
昔から、政府と社会について大きく2つの見方がある。一方は、政府を自由と秩序の源泉と考へ、政府の存在しない社会を他の何よりも恐れる。もう一方は、政府こそ秩序を乱す元凶であり、混乱につけ込み、社会を犠牲にして、政府自身の権力と物的資源を拡大させる存在と考へる。
Two Views on Social Order: Conflict or Cooperation? | Mises Institute

ネオリベ路線の嘘
中南米諸国の経済政策はネオリベラル路線だと批判される。それが本当なら、IMFに助けてもらふたびに、自由な国に向かつてゐることになる。だが実際には、中南米諸国が真の自由な市場へと進んだことは一度もない。せいぜいポピュリスト政権による放漫財政を取り繕つただけだ。
Argentina's Faux "Neoliberalism" | Mises Wire

金融緩和のツケ
中央銀行は、金融緩和のメリットに対し誰もコストを負はないやうなふりをする。けれども誰かがいつかツケを払ふ。それは賃金労働者、貯蓄者、銀行預金をもつすべての人だ。年金に付くはずだつた利息も奪はれる。金融緩和の恩恵を受けるとされる、まさにその人々がツケを払ふ。
Central Bank "Stimulus" is Really a Huge Redistribution Scheme | Mises Wire

経済成長と技術革新
中世欧州には中国やロシア、インドなどと違ひ、国家間の競争が存在し、それが技術革新の発達を促した。支配階級は主権を守らうと技術革新に頼つたため、その発達を許した。これが人口増と繁栄をもたらす。経済を成長させるには規制と税をなくし、技術革新を促すことが必要だ。
An Old-Fashioned Recipe for Economic Growth | The American Spectator

2019-10-12

吉田裕『日本人の歴史認識と東京裁判』


東京裁判は米国が一方的に日本を裁いたのではなく、日米合作の側面があった。日米が水面下で連携し、全責任を軍部(特に陸軍)に押し付け、天皇を免責した。東京裁判は米国主導。「東京裁判史観」「自虐史観」批判は米国批判に帰着するという、自民政権に不都合な事実も指摘。

2019-10-09

ロビイスト規制の無駄

ロビイスト規制の無駄
ロビイングは国民が議員に要望を聞かせる手段だ。ロビイストは嫌はれるけれども、政府権力が拡大し続ける限り、高報酬で雇はれるだらう。特別利益団体が列をなし、政府に助成や保護を求めるからだ。ロビイストの力を弱めるには結局、政府の権限と影響力を小さくするしかない。
What Is Lobbying (And Do We Really Need Lobbyists)? - Foundation for Economic Education

総論賛成、各論反対
「自由な市場に対する批判の根底にあるのは、自由そのものに対する理解不足である」「一部の例外を除き、企業人は自由競争に対し総論賛成だが各論反対である」「政府の政策を評価する際に犯しがちな過ちは、結果でなく意図で判断することだ」。ミルトン・フリードマンの名言。
12 Truth Bombs from Milton Friedman - Foundation for Economic Education

良い独占、悪い独占
市場独占の評判が悪いのは、企業が政府と癒着し、起業家として価値を生み出すより、政治とのコネを使つて競争を免れようとする姿が目立つからだ。しかし他社が競争で太刀打ちできない商品によつて独占事業を築けば、消費者に恩恵をもたらし、長期でより大きな収益を生み出す。
Entrepreneurs Should Aim to Be Good Monopolists

自由な市場といふ嘘
自由な市場とは規制のない市場だ。航空業や金融業は自由な市場ではない。市場ではあつても、きはめて厳しく規制された市場である。そこで市場参加者は、規制がなければ選んだだらう取引をすることが許されない。それを自由な市場と呼ぶことは誤りだし、もつと言へば嘘である。
The Difference Between Regulated Markets and Free Markets | Mises Wire

2019-10-05

スマホは世界を救ふ

スマホは世界を救ふ
スマートフォンが世界中に普及したおかげで、今では南アフリカに住むナイジェリア人の炭鉱夫が故郷の母親に送金できる。コンゴの漁師が悪天候を察知できる。マサイ族の牧夫がケニアの牛乳価格を調べられる。人間が千年かけて集めた全知識をたやすく、たちどころに入手できる。
How smartphones are helping to save the planet - CapX

極貧は減つてゐる
1820年には世界人口の94%が極貧だつたが、1990年には34%、2015年には9.6%に低下。過去25年間で12億5000万人以上が極貧を脱した。1日あたり13万8000人、5分あたり480人の計算だ。1820年に極貧を免れたのは6000万人だけだつたが、2015年には66億人に増えた。資本主義の貢献だ。
The World's Poorest People Are Getting Richer Faster than Anyone Else - Foundation for Economic Education

グローバル化と貧困減少
人口に占める極貧の減少が顕著なのはアジアだ。1990〜2015年に東アジアでは62%から2%に、南アジアでは47%から12%に低下。中南米でも14%から4%に、サハラ以南アフリカでさへ54%から41%に低下した。中国やインド、ベトナムのやうにグローバル経済への統合に伴ひ貧困は減つた。
Globalization's greatest triumph: the death of extreme poverty | TheHill

消費者の投票
社会主義の下で消費者は無力で、国有企業のなすがままだ。消費者ニーズを無視されたら、どうしやうもない。競争がないからだ。資本主義の下では、消費者は顧客ニーズを無視する利己的な企業を罰しうるし、事実罰してゐる。毎日、製品を買ふか買はないか、財布を使ひ投票する。
The Driving Force of Free Markets Is Empathy, Not Greed - Foundation for Economic Education

2019-10-02

資本主義は搾取しない

資本主義は搾取しない
過去数十年から数百年の生活水準向上が示すとほり、賃金が名目・実質とも高まつたのは自由主義経済に基づく資本主義のおかげだ。賃金労働者を豊かにし、まだ残る貧困をなくすために重要な役割を果たすのは資本家だ。資本主義は労働者を搾取するどころか、その生活を改善する。
The End of Marxian Exploitation Theory | Mises Wire

自由放任主義の意味
自由放任主義は、すべての個人が自分にとって最善の利益は何かを知っているという現実離れした前提に立つ——。このような批判がある。その批判は正しくない。自由放任主義が主張するのは、すべての個人は自分が最善とみなす利益を追求する権利を持つべきだ、ということである。
Do Consumers Know What's Best for Them? | Mises Wire

統計が語れないもの
人間の活動には数字で計れないものがたくさんある。親が会社勤めをやめ、家庭で子供を教育すれば、統計上、雇用と賃金収入は減つてしまふ。託児所の売り上げが減り、騒ぎになるだらう。一方、親が子供と一緒の時間を過ごすことでどれだけの満足を得るか、統計は何も語れない。
Why the Government Can't Measure Income, Happiness, or Well-Being | Mises Wire

電子タバコ禁止の愚
コーヒーからベーコンまで、あらゆる食品・嗜好品は発癌性など副作用の可能性がある。消費者はリスクを覚悟のうへで買ひ、健康に役立てようとする。規制当局もその二律背反を認識してゐる。電子タバコは普通のタバコより無害で禁煙にも効果があるから、禁止するのはをかしい。
Hysterics Aside, Vaping Is the Safest Quit-Smoking Aid on the Market - Foundation for Economic Education

2019-10-01

イスラム資本主義の時代

イスラエルとの紛争がイメージされがちなパレスチナ自治区で、IT(情報技術)分野を中心とした起業の波が起きている。朝日新聞の記事によると、ガザ地区とヨルダン川西岸地区で設立されたITなど技術系の新興企業は、2009年の約20社から2015年には約140社に増加したという。

起業を生み出す市場経済は、中東を含む発展途上国で多く信仰されるイスラム教とは相容れないという印象が一般的だ。しかしパレスチナの例に見るように、イスラムが市場経済になじまないというイメージは必ずしも正しくない。それはイスラムの歴史からも明らかである。

7世紀のアラビア半島はオリエント世界や地中海世界からみると辺境で、メソポタミアやペルシャ、ローマなどの先行する文明からの影響は限られていた。半島にはアラブ人の諸部族が居住し、部族どうしで勢力争いをしていた。彼らの多くは多神教で、偶像崇拝を行なっていた。商業都市メッカは商人のクライシュ族が支配し、インド洋と地中海を結ぶ陸上交易で生計を立てていた。

クライシュ族の一人として生まれたムハンマドも商業に従事していたが、40歳のとき(610年ごろ)啓示を受け預言者となったことを自覚し、唯一神アラーへの帰依を説く。彼が啓示として受け取った言葉は、のちに「コーラン」としてイスラムの聖典となった。教義の基本は、唯一神アラーとやがて来る世界の終末を信じるものである。


イスラムは経済活動によって富を生み出すことを奨励した。コーランでは商業による利益を「アラーのお恵み」(第62章10節)と呼んでいる。自身が商人であったムハンマドは「金を儲ける者はアラーを喜ばす」と語ったという記録がある。

ムハンマドは物価統制に反対したことでも知られる。ある逸話によれば、敬虔な信者から市場の物価高を規制するよう求められた際、「アラーのみが物の価を支配したもう」と述べ、反対したという。後世の研究者の中には、ここに近代経済学の父とされるアダム・スミスの「見えざる手」に似た発想をみる向きもある。少なくともムハンマドが市場経済を否定する社会主義者でなかったことは確かである。

2019-09-28

資本家の安楽死

資本家の安楽死
ケインズ経済学の究極の目的は資本家の安楽死である。政府が富を再分配し、低利の資本供給を保証することで、貯蓄と投資を通じ起業家に資本を提供する仕組みは不要になる。政府が資本を支配し、完全雇用を請け負ふ。マルクス主義とは別の社会主義の天国に導くプロパガンダだ。
Hayek Was Right, Keynes Was Not An Economist | Mises Wire

気候変動対策の根拠
世界の平均気温上昇を産業革命前に比べ1.5〜2.0度に抑える国連の政策目標は、査読付きの経済学論文で支持されてゐない。ノーベル経済学賞を受けたノードハウス教授のモデルでも同様だ。国連「1.5度報告書」の共同筆者の1人は昨年の論文で、目標は正当化しにくいと認めてゐる。
The UN's Climate Change Agenda is So Extreme Its Own Analysts Can't Defend It | Mises Wire

不都合な事実
2016年発表の調査では、過去30年、世界で緑の植生は約14%増えた。その要因の70%は大気中の二酸化炭素の増加という。アフリカのサハラ砂漠周辺地域などで砂漠化が食い止められている。緑の増加は良いニュースなのに、報じられない。気候変動の運動家には不都合な事実だからだ。
Rejoice, the Earth Is Becoming Greener - Foundation for Economic Education

気候変動と寿命
マスコミは気候変動が起こす災害で多くの人が命を落とすと言ふけれども、実際には世界で寿命は伸び続けてゐる。豊かになれば防災能力も高まる。地球温暖化を食ひ止めるといふ名目で経済活動に介入したがる連中は、人々の生活水準を高めてきた経済活動を阻害しようとしてゐる。
If Climate Change Is Killing Us, Why Is Life Expectancy Increasing? | Mises Wire

2019-09-26

主戦場は株主総会

主戦場は株主総会
アマゾンの株主は、気候変動への取り組みを含む従業員の提案を否決した。グーグルの株主は、女性や非白人の格差是正を求める提案を拒否した。自由な市場を擁護する人々はこのやうに、株主の圧力を使ひ、自分の意見を社会に反映できる。主戦場は選挙ではなく、株主総会である。
Government Won't Save Us From "Woke" Corporations | Mises Wire

小国と繁栄
欧州が発展したカギは多様性と競争だ。国の小ささは弱さを意味しない。ベニスやジェノバなどの都市国家、ポルトガルやオランダといつた小国は政治経済面で大国となつた。ハンザ同盟やドイツ連邦のやうに小国間の連合はいつでも可能。小国は孤立でなく自治と相互補完への道だ。
What We can Learn from Liechtenstein | Mises Wire

経営者は搾取できない
長期で見れば、労働者に賃金を払ふのは消費者である。経営者は仲介役にすぎない。もし経営者が賃金を過度に低く抑へて利潤をあげれば、競合他社が賃金を引き上げる。自由な市場で利潤は縮小・消失に向かふ。賃金を労働の市場価値以下に抑へ、得た利益も長続きすることはない。
Why Employers Can't Exploit the Workers, Even if They Try | Mises Wire

もう一つの社会主義
百年前、権力層が共産主義に恐怖を抱いたのはブルジョアからすべてを奪ふと脅されたからだつた。ケインズのマクロ経済学は、市場経済を基礎とするやうに見え、歓迎された。しかしそれは、もう一つの社会主義である。通貨の創造を政府と中央銀行に委ねたインフレ主義でもある。
Keynesian Economists Ignore Say's Law. We're Paying the Price. | Mises Wire

2019-09-20

テロリストの勝利

テロリストの勝利
米政府は9/11テロを防げなかつたにもかかはらず、何も失なはず、むしろ欲しいものを手に入れた。より多くの税金に権力。気ままに投獄、監視、課税、捜査、支配する権限。変革も説明責任も免れた。米国の自由を破壊することがテロリストの狙ひだつたとすれば、それは成功した。
America After 9/11: The Terrorists Won | Mises Institute

自由も安全も失ふ
9/11後、戦争で殺された多数の内外市民、愛国者法、違法な行政行為、巨額の政府負債、監視権限の拡大、運輸保安局の空港統制、無用な国土安全保障省、警察の軍隊化。テロとの戦ひは平和も自由も安全ももたらさなかつた。自由と安全のどちらを選ぶかといふ考えは間違つてゐる。
What We Lost on September 11th | Mises Wire

防衛市場の不在
国防や国土安全保障の量は多過ぎるか、それとも少な過ぎるか。競争に基づく価格形成の結果、それらの真の市場価格はいくらになるか。それを知る方法はない。なぜなら消費者である市民と、国防や対テロ安全保障サービスの供給者との間に、直接売買する市場が存在しないからだ。
Public Goods, National Defense, and Central Planning | Mises Wire

軍隊は公共財か
軍隊は新古典派経済学で公共財(public goods)と言はれる。だが当初は純粋な防衛でも、国内外の市民への攻撃に転用されるリスクをはらむ。むしろ公共害(public bad)と見る人もゐるだらう。個人が進んで購入すれば財と言へるが、政府から税で購入を強制されるから財と言へない。
The "Public Goods" Excuse for Big Government | Mises Wire

2019-09-18

憎悪の理由

憎悪の理由
人はなぜ、意見の合はない相手を人でなし扱ひするのか。自分の信念を疑はなくて済むからだ。相手をまともな人間とみなせば、その意見が少なくとも一部正しいと認めなければならないかもしれない。相手が邪悪な人でなしなら、意見に耳を傾け、自分を疑ふ重労働をしなくて済む。
How We Polarize Ourselves | Libertarianism.org

国家は家族ではない
国家や民族を家族とみなすのは、人の心が現代世界の規模、複雑性、多様性に適応できないことによる誤りだ。人類の本能が発達した先史時代には、仲間内の相互依存が生存に欠かせなかつた。この本能に頼り続けるのは危険だ。近代化によつて手に入れた社会的協力と繁栄を脅かす。
Vice in The Virtue of Nationalism | Libertarianism.org

ポストモダン思想と自由
ポストモダン思想は自由主義にとつて脅威ではない。生き方を中央集権化することに懐疑的だからだ。ポストモダン思想は集団主義を嫌ひ、徹底した多元主義を好む傾向がある。ドゥルーズとガタリは「小さい土地」を占有することが重要と説き、フーコーは一般意志の存在を疑つた。
Postmodernism & the Free Society | Libertarianism.org

権力欲といふ悪
政治権力を行使したいといふ欲求はそれ自体、悪である。いつの時代も、権力を役立つやう使ひたいと言ふ人々がゐる。それは権力を行使したいのだ。立派に統治したいといふ人々がゐる。それは統治したいのだ。親切な主人になると約束する人々がゐる。それは主人になりたいのだ。
Do Socialists Mean Well? | Libertarianism.org

2019-09-08

戦争は割に合はない

戦争は割に合はない
戦争を起こすのは資本主義ではなく、資本主義に反する政策である。企業活動や貿易、移民、輸入、外国資本に対する政府の介入が戦争を生み出す。もし政府が市場経済に干渉しなければ、個人は誰も領土の拡大に関心を持たない。外国の征服は採算に合はず、戦争はすたれるだらう。
Economic Nationalism Is a Philosophy of War | Mises Institute

正義の戦争はない
個人間の紛争を行ひ、費用を負担するのは利害関係者だけである。革命も市民によつてたいてい自発的に実行され、費用がまかなはれる。しかし国家間の戦争は納税者の負担なしに実行できない。だから個人の紛争や革命には正義にかなつたものもあるが、戦争はつねに正義に反する。
War, Peace, and the State | Mises Institute

国家と道徳感覚
国家は人の道徳感覚をねぢ曲げる。個人が行へば非道の極みでも、国家は合法的に行へるといふ考へを吹き込まれる。もし私が誰かを恨み、その人物の隣近所まで爆撃したら、誰も私を擁護するまい。死者は「付帯的損害」にすぎないなどと言つたら、頭がおかしいと思はれるだらう。
Rothbard and War | Mises Wire

政策の見えないコスト
政府がたとへば立派で快適な図書館を建てたからといつて、それがただちに称賛に値するとは限らない。図書館建設に使はれた労働や資源によつて、代はりに何ができたかを考へる必要がある。もし他にもつと満足できる選択肢があつたら、たとへ良い図書館でも、相対的には失敗だ。
The Hidden Costs Behind Every Government Program | Mises Wire

2019-09-01

港市国家の伝統

東南アジア諸国連合(ASEAN)は2019年6月下旬に開いた首脳会議で、独自のインド太平洋構想の概要を打ち出した。

議長声明では、インド太平洋地域で「ASEANが中心的かつ戦略的な役割を果たす」と明記。日米が「自由で開かれたインド太平洋構想」を推進する中、その中核に位置する地域として自ら構想に関与する姿勢を示し、存在感の向上を狙っている。

東南アジアは近年、世界経済の中で存在感を増している。最近こそ米中貿易戦争のあおりで輸出が減速しているものの、一方で中国に代わる生産拠点として海外企業から投資が増える動きもある。独自のインド太平洋構想を打ち出す背後には、荒波にも動じない、したたかな経済力に対する自信が感じられる。

こうした中で、東南アジアの歴史にもあらためて注目が集まっている。それを雄弁に物語るのは、最近の世界史教科書の記述ぶりだ。


以前の教科書における東南アジアの扱いは、インドや中国にとっての辺境でしかなかった。その背景には、歴史学会において東南アジア史の扱いがインド史や中国史の延長にあったこと、陸上中心の一国史観ではとらえにくい海域国家の存在があったことがあげられる。

これに対し現在の東南アジア史では、固有な文化が東南アジアにあったことを基調として、陸上の領域国家ではない海域国家を強調するようになった。それだけでなく、古代から現代に至るまでさまざまな世界商品を産出し続けた地域であること、さらにそういった生産を背景に世界中の商人を集めたことなどが強調される。辺境から世界史の中心に躍り出た感すらある(神奈川県高等学校教科研究会社会科部会歴史分化会編『世界史をどう教えるか』)。

これはグローバル経済の特色でもある。ある教科書の表現を借りれば、東アジアや南アジアの文明世界からみれば東南アジアは辺境だが、東西交易が盛んになると、その辺境が二つの世界を結ぶ中心になるのである。

東南アジアの古い歴史に根付くグローバル経済の伝統を理解するキーワードは、「港市国家」である。

2019-08-31

学校を疑へ

学校を疑へ
「どうして在宅学習を選んだの?」とよく聞かれる。学校の環境への不安など理由は沢山ある。ところが子供を学校に通はせる親は、決してそのやうな質問をされることはない。「どうして子供を学校に通はせることにしたの?」といふ質問が最後にされたのは、いつだつたのだらう。
Questioning the Back-To-School Default - Foundation for Economic Education

公教育は時代遅れ
今の公教育制度は150年以上の歴史があるが、基本の仕組みは変はらない。同い年の20〜30人の子供が教室に押し込まれ、1人の教師から教はる。履修内容は変はつても、教育法は相変はらず規格化されてゐる。中央管理のご多聞に漏れず、きはめて非効率かつ官僚的で、無駄が多い。
Schools Are Outdated. It's Time For Reform - Foundation for Economic Education 

家族を弱めたもの
無責任な親の子育てを助けるために政府の支援を求める声がある。話が逆だ。家族が弱まり、親が子育ての責任を放棄するやうになつたのは、教育をはじめとする政府の政策のせゐだ。家族を助けるための慈悲あふれる政策に見えても、結局は親を駄目にし、国家を太らせるだけだ。
How Government Programs Ruined Childhood - Foundation for Economic Education

図書館と学校
公立図書館と公立学校の違ひは、権力による強制の度合ひだ。図書館は行くのも去るのも自由で、興味のある本だけ読めばいい。近所の図書館が気に入らなければ他の町の図書館にも行ける。利用者は年齢も所属もさまざま。地元の本屋やアマゾンは図書館のルールに従ふ必要はない。
The Difference Between Public Libraries and Public Schools - Foundation for Economic Education

2019-08-23

自由と規律

自由と規律
アメリカ開拓者は、社会の束縛からの自由を求めて西部をめざしたわけではない。守りたい自由は擁護する一方で、価値があると信じた文明生活の規律を維持するため、行く先々で社会的・法的制度をすばやく作り上げた。教会に通ひ、隣人と労働、商品をやり取りし、学校を建てた。
Big Mistakes about Little House | Libertarianism.org

税は善ならず
米国の民主主義はさまざまな圧力団体にとらはれ、巨大な行政国家に実質服従してゐる。これを選挙で変へるのは難しい。課税が公共善に役立つといふ楽観論は受け入れがたい。政府が生身の人間によつて私的に所有され、独自の利害をもつ存在なら、税は正しいとなぜ信じられよう。
Are Taxes a Democratic Alternative to Charity? | Libertarianism.org

公教育の害悪
作家アイン・ランドは公教育に反対だつた。政府の運営する学校は自由な社会の基礎を危ふくする。子供たちにお前は集団の中の無力なメンバーだと言ひ、理性の力をもつ自由な個人だと教へない。民間教育への支出に税控除を行ひ、政府の行ふ教育の害悪を和らげなければならない。
School Choice from Rand to Ron | Libertarianism.org

非暴力の効果
非暴力によつて政府と闘ふことで、生命・財産の喪失を最小限にできるだけでなく、政府は神聖だといふ嘘を暴くうへで暴力革命より大きな効果がある。無政府主義者が暴力革命を推進するのは非生産的であるばかりか、個人の自由を尊重し強制に反対する無政府主義の本質に反する。
Nonviolence and Modern Libertarianism | Libertarianism.org

2019-08-15

児童労働をなくすには

児童労働をなくすには
機械化で農業の生産性が高まると、人々はより良い暮らしを求め都会へ向かつた。最初こそ生活条件は悲惨で、多くの子供が鉱山や工場で働いたが、19世紀半ばに労働条件が改善し始める。労働力を求める競争が強まり賃金が上昇。親たちは子供を働かせるのをやめ、学校に通はせた。
Growth is the ultimate weapon in the fight to end child labour - CapX

市場競争は女性を助ける
自由経済と市場競争は女性を助ける。より健康になり、寿命が延び、ほとんど世界中で男性より長生きになつた。出産時の死亡も減つた。調理器具によつて台所仕事の時間が減り、洗濯機のおかげで以前は1日仕事だつた洗濯が1時間で済むやうになった。家事からの解放は世界で進む。
How Economic Advancement Has Benefited Women

世界は良くなつてゐる
日々の暗い報道にもかかはらず、世界の多くの国で生活水準は改善が続く。50年前、平均寿命はわづか56歳だつたが今では72歳と29%伸びた。生後1年未満で死亡する乳児は1000人中113人だつたのが今は32人。収入の中央値はインフレ調整後で約6000ドルから約1万6000ドルに上昇した。
How globalisation saved the world - CapX

悲観論が好まれる理由
世界中で生活水準が上がつてゐるにもかかはらず、人は将来を悲観する言説を好む。それには進化論的理由がある。生き残ることが一番大切なので、怒り、憎しみ、恐れといふ基本感情に関する情報が人の注意を最もひく。つまり人は悪い知らせを優先して感知するやう進化したのだ。
Things are getting better - so why are we all so gloomy? - CapX

2019-08-09

特権から市場へ

特権から市場へ
市場経済が発展したおかげで、人が社会的地位を改善するためには、戦争で手柄を立てたり、役人におべつかを使つたりしなくても済むやうになつた。女性は貧困から抜け出す目的で結婚しなくてもよくなり、男性は第一子に生まれなくても、兵士や僧にならなくて済むやうになつた。
Capitalism Didn't Invent "Keeping Up with the Joneses" | Mises Wire

過剰消費の元凶
経済では消費と投資のどちらも重要だ。市場には貯蓄と投資のバランスを取る仕組みがある。金利だ。しかし政府と中央銀行が経済を「刺激」しようと介入すると、消費が必要以上に活発になる。よく非難される過剰な贅沢や無駄遣ひをもたらすのは資本主義ではなく、政府の政策だ。
Capitalism Doesn't Cause Consumerism — Governments Do | Mises Wire

無益な戦ひ
『ロード・オブ・ザ・リング』の原作者トールキンが信じたやうに、世界から悪を完全になくすことはできない。悪との戦ひは罪にまみれた世界で勝利することはない。『ロード』は善の栄光が影でしかなくなつた世界の話だし、百年後を描いた続編『新たな影』では悪がよみがえる。
Tolkien, Christianity, and the State | Mises Wire

福祉介入は有害
英政治思想家バークは飢饉の最中、商取引の規制に反対した。欠乏を満たすのは政府の力ではできない。政治家にそれができると思つてはいけない。国民が政治家を支へるのであり、逆ではない。政府に悪を防ぐことはできない。とくに福祉の分野ほど政府の介入が有害なものはない。
Edmund Burke’s Case for Private Charity Over the Welfare State | Mises Wire

2019-08-01

唐を滅ぼした大型間接税

中国の唐帝国は7世紀に最盛期を迎えるが、8世紀に動揺期に移り、9世紀後半に滅亡期に入る。衰亡の原因となったのは、歴史上のさまざまな大国と同じく、経済と人民を疲弊させる重税だった。とくに唐の場合、一種の間接税である塩の専売制度が国家を内側から蝕んだ。


唐は初期の国内統治では、戸籍を整備したうえで民衆に土地を支給し、負担として租庸調と呼ばれる租税・労役と兵役を課すという、土地制度・税制・兵制が一体となった制度を敷いた。日本で奈良時代に成立した律令制度が手本としたことで知られる。

しかし労働者の多くを占める農民は、租庸調や兵役の負担で没落して逃亡する者が増えていく。貴族や新興の地主は、これら没落した農民を隷属させたり小作人にしたりして、広大な荘園を経営した。

こうして8世紀前半には土地制度・税制・兵制が一体となった体制は崩れ、現実に対応して諸制度が切り替えられていく。兵制は傭兵による募兵制に移行した。財政再建のために土地支給、租庸調の原則も放棄され、現住地で所有している土地・財産に応じて課税する両税法が新たに採用された。

募兵制の下、国境の守備は傭兵軍団を率いる節度使に委ねられた。そのひとりで、イラン系ソグド人の武将、安禄山が755年、部下の史思明とともに反乱を起こす。いわゆる安史の乱である。当時の玄宗皇帝が寵愛した楊貴妃のいとこで、政治の実権を握る楊国忠を排除するというのが反乱の理由だった。

安史の乱は9年にも及び、トルコ系騎馬遊牧民ウイグルの援軍でようやく鎮圧されたが、唐王朝は大打撃をこうむり、軍事的に弱体化した。それでも命脈を永らえ、その後なお150年ほど存続する。支えとなったのは、税収入である。

税には直接税、間接税の二つの柱があった。直接税の柱は、すでに安史の乱以前から実施されていた、前述の両税法である。本籍地に居住するかしないかにかかわらず、現に耕作している農民の土地所有を認め、土地の面積や生産力に応じて夏と秋の2回、銅銭で税を納めさせた。実際には銭納の代わりに絹布による納入が多かった。

一方、間接税の柱は、塩の専売制である。安史の乱中、深刻な財政難に陥ったことを受け、導入された。塩の専売は紀元前2世紀の漢代でも行われたが、制度として定着するのはこれ以降のことである。

2019-07-30

闇市は命綱

闇市は命綱
政府が経済活動の一部を禁止・規制すると、闇市が人々に必要な物資の入手を可能にする。不安定な政府ほど価格統制や重税、投獄の脅しまで使つて体制の崩壊を防がうとする。事態悪化につれ、ベネズエラやギリシャのやうに、地下経済は危機を生き抜くうへできはめて貴重になる。
How the Black Market Is Saving Two Countries from Their Governments - Foundation for Economic Education

北朝鮮を救ふもの
北朝鮮では1990年代以降、政府が国民に食料を十分支給できなくなると、国中に闇市が広がり始めた。国家の経済介入に反発するチャンマダン(闇市)世代と呼ばれる若者たちが台頭。今日、闇市は北朝鮮人の生存に重要な役割を果たす。国民の5人に1人が直接間接に闇市に依存する。
In North Korea, Black Markets Are Saving Lives - Foundation for Economic Education

フランスの闇市
終戦直後のフランスにとつて、闇市は経済学的観点から非常に良いものだつた。闇市のおかげで社会は無秩序を免れたし、闇市で物価上昇が保たれたため、生産が完全にストップせずに済んだ。仏政府が価格統制と物資割当を徹底し、闇市がなければ、経済回復はもつと遅れただらう。
Black Markets Were a Lifeline for Postwar France - Foundation for Economic Education

有事こそ市場経済
終戦直後の英国では多くの経済統制が敷かれた。その背景には、自由な市場と価格システムは平時のためのものであり、豊かな国だけに適してゐるといふ考へである。しかし多数の異なる商品をその不足に応じ、利潤をテコに速やかに供給することこそ、まさに市場経済の本領である。
England vs. the Price System | Mises Institute

2019-07-22

政府は経営できない

政府は経営できない
政府を民間企業のやうに運営できるといふ考へは間違ひだ。政府はその収入を刑罰の脅しによつて集めるのに対し、企業は顧客との自発的な取引によつて収入を稼がなければならない。企業経営者の目的は利潤をあげることだが、官僚にとつての「成功」はほとんど定義不可能である。
You Can't Run a Government "Like a Business" | Mises Wire

政府の「事業」
行政サービスを民間企業のやうに運営することはできない。政府は資本を納税者から徴収できる。民間企業はコストをできる限り削減することで利益を得ようとするが、政府はその必要がない。サービスを減らすか価格を上げればよい。行政サービスはどれも独占かそれに近いからだ。
The Business of Government | Mises Institute

政府の目的?
民間企業の最大の目的は利潤の獲得だ。顧客になるかどうかは自由である。資本は私的に所有される。一方、政府の資産は理屈上は納税者のものだが、事実上、官僚と政治家に支配される。目的は建前上、各省庁の根拠法に定めてはあるが、達成できてゐるかどうかを知る方法はない。
Why Government Cannot Be Run Like a Business | Mises Wire

官民連携の正体
官民連携とは古い中身に新しい呼び名をつけただけだ。大きな政府とは、政府とそのお気に入りの企業の双方が得をするやう連携すること。16〜18世紀欧州の重商主義では、消費者への重税や多くの商工業者への規制により、気に入つた企業の独占やカルテルを助け、助成金を与へた。
The "Partnership" of Government and Business | Mises Institute

2019-07-18

国家の幻想


出典:Hans-Hermann Hoppe, The Great Fiction
(数字はKindle版の位置No.)*現在はペーパーバック版のみ販売中。

少数の人間が社会の多数を長く支配するには、暴力だけでは無理だ。進んで支配を受け入れさせねばならぬ。国家は正当だと信じさせ、多くの政策が失敗しても、国家そのものを疑わせないようにしなければならぬ。それには知識人の助けが必要だ。(ハンス・ホッペ) 147

人々に教育を強制するには、誰もが平等に教育可能だと言わなければならぬ。知識人はそんな平等主義が嘘だと知っている。だが十分な教育さえ受ければ誰もがアインシュタインになれるとデタラメを言えば、大衆は喜び、知的サービスの需要は天井知らずとなる。(ハンス・ホッペ) 162

大衆は哲学的な事柄についてあれこれ考えない。日々の暮らしで手いっぱいだ。大衆が国家を支持するのは、国家が今存在し、記憶する限りずっと存在してきたからにすぎない。(ハンス・ホッペ) 178

ある人物が紛争の調停役に名乗り出たとする。ところがその人物自身、紛争の当事者になるかもしれないという。そんな申し出はふざけている。国家を紛争の調停役にするという考えは、まさにこれなのである。(ハンス・ホッペ) 245

2019-07-14

効率改善の落とし穴

効率改善の落とし穴
起業家による価値創造とは、未来に向けた行動である。一方、効率改善とはすでに存在するものを対象とする。改善できるのは確立された手順だけだから。破壊を伴ふ価値創造でなく効率改善に固執すれば、古い経営体質を強化するばかりだ。効率改善は未来でなく過去の価値に頼る。
Why Modern Economics' Fixation with "Efficiency" Is Dangerous | Mises Wire

ノルウェー脱出
ノルウェーのベンチャー企業が新鮮なアイデアと資本を携へ、次々とニューヨークに移つて来てゐる。地元より税率が低く規制が緩やかなためだ。ノルウェーは高税率と厳しい規制に苦しんでゐる。このため米国はノルウェーのベンチャー企業が育つうへで、より恵まれた土地なのだ。
Norwegian startups flocking to New York for lower tax rates

偽りの経済回復
2008年以降の米経済回復は、景気対策と量的金融緩和による偽りの回復だ。本物の経済成長ではない。株高は富の創造に見えるが、国の生産力は弱いままだ。未曾有の金融緩和にもかかはらず実体経済の成長は貧弱で、その結果、物価水準は大きく上昇せず、比較的安定を保つてゐる。
Phony Economic Growth Stats Conceal Deep Problems on Main Street | Mises Wire

前近代への逆行
社会主義国は工業化と資本主義の利点を突き崩さうとする。経済において個人の選択と資本の蓄積は自然なことなのに、それを抑圧してきた。私有財産を侵し、経済を支配し、個人の意思決定を集団に従はせる。人口に十分な食糧を生産できず飢餓を招く前近代に社会を逆戻りさせる。
Socialism: A Man-Made Malthusian Trap | Mises Wire

2019-07-06

問題は格差か?

問題は格差か?
富の格差はそれ自体が問題だといふ主張に反論するのはたやすい。Aさんの年収が200万円、Bさんが500万円だつたとする。所得格差は300万円だ。もし2人の年収がそれぞれ倍増し、400万円と1000万円になつたら、メディアはそれを祝ふのでなく、「所得格差が600万円に拡大」と書く。
Escaping Poverty — Not Inequality — Is What Matters | Mises Wire

ゾンビ経済の恐怖
市場経済では、経営資源は儲かる分野に配分される。その結果、資源は効率良く利用される。だが赤字企業を政府が低金利などで生き永らへさせ、ゾンビ企業が増えれば、資源は誤つて配分され、経済全体の成長を妨げる。そして1990年代の日本のやうに、経済は停滞に向かふだらう。
The Zombie (Company) Apocalypse Is Here | Mises Wire

市場経済は死なず
意外かもしれないが、社会主義国でも市場経済は生き延びた。地下に潜り、闇市場になつたのである。非合法な商品だけを扱つた資本主義国の闇市場と異なり、ほとんどあらゆる種類の日用品が売り買ひされた。しかるべき時と所に、瓶の蓋からトイレットペーパーまで売られてゐた。
Black Markets Show How Socialists Can't Overturn Economic Laws | Mises Wire

利権としての軍隊
政府の軍隊がひとたび設立されると、政治家、官僚、市民はそれぞれ行動に影響を受ける。軍関係の仕事をしてゐる者は、その仕事を失ふまいとする。権限の拡大と収入の増加を望む。これらの目的を達するうへで戦争の支持は理想的な政策となる。職を守るために戦争を正当化する。
The Standing Army: A Threat to Peace | Mises Institute

2019-07-01

唐帝国の多様性社会

人種、宗教、性別、性的指向などによる差別をなくし、多様な人々が共存する社会を目指そうという声が強まっている。いわゆる多様性(ダイバーシティー)の議論だ。その一方で、今年3月、ニュージーランド・クライストチャーチのモスク(イスラム教礼拝所)で銃乱射事件が起こるなど、多様性に逆行する動きも目立つ。

出自を異にする多様な人々が平和に共存するためには、何が必要なのだろうか。この問題について格好のヒントを与えてくれるのは、中国で栄えた唐王朝(618~907年)である。

前王朝の隋が滅んだ後、武将・李淵(高祖)が長安に入り、唐を建てた。2代目の太宗、3代目の高宗の時代までに、中央アジアまで勢力を伸ばし、朝鮮半島にも進出したため、唐は7世紀後半、ユーラシア東方のほとんどを覆う大帝国となる。

唐の都、長安は総面積84平方キロメートルの都城の中に、盛時には百万の人口を擁する世界最大の活気あふれる都市だった。そこには世界各地からさまざまな人々が集まった。ただ集まったばかりでなく、出自を問わず、何の分け隔てもなく交わることができた。

人の集まるところに、異国の商人が交易のためにやって来たり、宗教家が伝道に訪れたりするのは、いつの時代もあることだろう。しかし唐朝ではそれにとどまらず、外来者もその社会の成員となって、中央・地方を問わず、役人として政務に携わり、武将として国の守りにつき、宦官となって宮中奥深くに仕える者までいた。

中国史学者の稲畑耕一郎氏は「ここでは、誰であれ、努力しさえすれば、遺憾なく本文を発揮でき、活躍する場が無限に広がっていると感じられた。いわゆる外国人としての治外法権もなければ、そのことだけによる差別もなかった」(『隋唐 開かれた文明』)と述べる。


それではなぜ、唐ではそうした開放的な社会の形成が可能だったのだろう。それは唐王朝自身が外来の政権で、少なくともその最盛期までは、外から来る者を排除しなかったためである。

2019-06-28

ベーシックインカムの肥大

ベーシックインカムの肥大
ベーシックインカムの規模は必ず肥大する。導入後、さまざまな集団が増額を求めるのは時間の問題である。身体に障害がある、生活費の高い都市に住んでゐる、高齢である、勤務地が遠い…など数限りない理由に基づき、人々は支給額の引き上げを主張し、それが支持されるだらう。
4 New Reasons to Fear a Universal Basic Income | Mises Wire

政府事業のコスト
第二次世界大戦によつて合成ゴムが開発され、手間暇のかかる天然ゴムの生産から解放された。同じく政府の宇宙計画によつて、さまざまな技術が開発された。これらは政府事業で得たメリットだ。しかし問題は、代はりに民間事業を諦め、生まれるはずだつた価値が失はれたことだ。
Why It's Important to Understand "Economic Costs" | Mises Wire

経済学はなぜ重要か
市民が経済学をよく理解してゐるかどうかによつて、社会は野蛮にも健全にもなる。自然科学など他の科学も大切だが、それらは一部の専門家さへよく理解してゐれば、その成果が社会全体に広まる。しかし政府の政策は、市民が経済学を正しく理解してゐなければ、しばしば間違ふ。
Economics is the Most Important Science for the Layman | Mises Institute

人間の本性の否定
左派は累進課税を強め、企業の規制を強化し、性などの差別を法律で禁じることで、経済を活性化できると主張する。これらは人間の本性に反するから、左派は必要なら力づくでも人間の本性を変へなければならなくなる。その結果、中国の文化大革命のやうに、全体主義をもたらす。
Why Are Progressives so Bad at Governing? | Mises Wire

2019-06-20

格差で貧しくはならない

格差で貧しくはならない
AさんとBさんがゐて、Aさんが1日かけて小屋を作つたとする。Aさんは豊かになる。これによつてBさんは貧しくなるだらうか。ならない。Bさんの状態は変はらない。あへて言へば、Bさんは小屋に同居できるかもしれず、小屋の作り方を教はることもできるから、その分豊かになる。
Economics 101: More Wealth Means Less Poverty | Mises Institute

資本家は労働者を助ける
資本家が提供する機械や道具などの資本財によつて、労働者の生産性は大きく高まる。たいていの個人は資本家に比べ資金力に乏しく、生産性の低いわづかな資本財しか入手できない。労働者は生産性が高まることで、自分で商品を作つて売るよりも、多くの賃金を得ることができる。
Three Ways Capitalists Make Workers Better Off | Mises Wire

国家主義のユートピア
自由が国家主義のユートピアよりも支持されないのは、人々を駆り立てるのは心に描いた目的であり、そのための手段ではないからだ。汚れた現実を超えて輝くユートピアの理想像と違ひ、自由は社会の全員が満足する結果を約束するわけではない。だから自由は景気づけに向かない。
Why the Amorality of Markets Is Preferable to the Immorality of Coercion - Foundation for Economic Education

子育てと市場経済
子育ては市場経済と関係ないという考へは、市場の働きを過度に単純化した見方に基づく。金融資産を子育ての喜びのやうな無形資産と切り離して考へると、両者が互ひに及ぼすさまざまな影響を無視することになる。主婦・主夫が増えれば労働者の供給が減るから、賃金は上昇する。
What Is Kin Work and Is It Really Off-Market? - Foundation for Economic Education

2019-06-12

政府といふ軍閥

政府といふ軍閥
政府がなければ社会は戦国時代に逆戻りするといふ主張には根拠がない。政府がなければ軍閥の争ひになるやうな社会なら、政府といふ大きな軍閥が加はつても解決にはならない。政府をなくし、財産の自発的な交換を促すはうが、平和と法の支配をもたらす可能性ははるかに大きい。
But Wouldn't Warlords Take Over? | Mises Institute

資本主義と嫉妬
なぜ労働階級の有権者は資本主義を嫌ふのだらうか。資本主義は自由を与へるが、その代はり、自分の暮らしに対する責任を課す。兄弟姉妹や隣人が自分よりも成功すると、自分の失敗を意識させられる。毎日が前進するか後退するかの機会の連続だ。これは愉快なこととは言へない。
Envy, Inc. | Mises Wire

自由の避難場所
フランス革命で攻撃の対象となつたのは、専制君主の政府だけではなく、ギルド、組合、大学、キリスト教教会もである。政府と個人の間に存在するこれら中間組織は、統治を分散させ、中央集権政府による権力の独占に対峙することで、個人の自由を確保し、その避難場所となつた。
The Cost of the Enlightenment | Mises Wire

富の横取り
インフレは、価値ある富を生み出す人から富を横取りし、新たに作り出されたお金の持ち主にそれを与へる。無からお金が作り出されるとき、この富の横取りが起こる。富の横取りが中断すると、デフレが起こる。無から作り出されるお金の量が減り始めると、富の横取りは中断する。
The Real Meaning of Deflation | Mises Wire

2019-06-04

教育といふサービス業

教育といふサービス業
米国の大学は元来、民間で設立が認められた。今は大学と名乗るには州法に従はなければならない。大学への参入が規制されてゐるため、教育費が高騰する。教育制度を抜本改革するのなら、まず教育を政府から与へられる権利ではなく、商品・サービスとして扱はなければならない。
Education Needs More Market Signals, Not "Credential Signals" | Mises Institute

強制されるサービス
政府の行政サービスは民間の自発的な取引と違ひ、利用者に強制される。これはサービスと代金の分断を意味する。政府はサービスの値段を勝手に決め、代金を税として市民から無理やり取り上げる。人が警察の保護を受けられるチャンスは、政治的な地位の高さによつて左右される。
Does the State Care More About Tax Evasion than Murder? | Mises Wire

社会主義対市民社会
市場経済を柱とする自由主義は、市民社会の社会制度である。個人の自由と繁栄を基礎とし、擁護する。社会主義は反社会的な制度である。人間より政治を優先し、平和で自由な協力の代はりに政府権力を用ゐ、人々の多くのアイデアを認める代はりに少数の政治的計画を押しつける。
Socialists vs. Civil Society | Mises Wire

国家と教育の分離
信仰の自由と教育の自由に理論的な違ひはない。人々を強制して子供を教会に通はせるべきでないのと同じく、人々を強制して子供を政府の認可した組織に通はせ、世俗的な教育・訓練を受けさせるべきではない。家族は宗教における決定と同じく、教育の決定に不可侵の権利を持つ。
End School Compulsory-Attendance Laws | Mises Wire

2019-06-01

漢帝国の戦争と衰退

米韓両政府は2019年3月2日、北朝鮮との緊張緩和のため、毎年春に実施している二つの大規模な合同軍事演習の打ち切りを決めたと発表した。トランプ米大統領は翌3日、ツイッターで「(軍事演習に費やす)巨額のお金を節約するためだ」とも説明。演習は米国にとって無駄なコストであり、やめたいとの本音をのぞかせた。

軍事費は米国の財政に重くのしかかる。米財務省によると、連邦政府の公的債務残高は2月11日時点で22兆ドル(約2400兆円)の大台を突破し、過去最大を更新した。トランプ政権が実現させた大型減税に加え、軍事費の増大に伴う国債発行が響いた。

3月に入り、米政府は債務残高に対する法律上の制限が復活し、借金を一時増やせなくなった。国債の償還や利払いが滞るデフォルト(債務不履行)につながれば、金融市場に混乱をもたらすばかりでなく、米国自身の威信と信頼を大きく損ないかねない。

軍事費の増大とそれに伴う財政の悪化が国を衰えさせた歴史上の例といえば、古代中国、武帝時代の前漢(漢王朝の前半期)が思い浮かぶ。


劉邦(高祖)が紀元前202年に建てた漢は、成立直後に北方の騎馬遊牧民、匈奴に大敗。以後約70年間にわたって匈奴に貢納を支払い、事実上従属下に置かれた。

前141年に即位した武帝は、祖父の文帝、父の景帝2代の努力によって蓄積された国家財政の充実を背景に、匈奴に対し反撃に出る。

大月氏や烏孫との連携を求めて張騫(ちょうけん)を派遣するなど、中央アジア方面(西域)に対する外交政策を推進した。同時に将軍の衛青、霍去病(かくきょへい)らに命じて数回にわたって匈奴と戦い、西北方面で甘粛地方を奪って敦煌郡など4郡を置いたうえ、フェルガナ地方の大宛まで出兵した。東北方面でも、匈奴の東部勢力を攻撃するため衛氏朝鮮を攻略して楽浪郡など4郡を置いた。南方では、秦末に独立していた南越を滅ぼしてベトナム北部を支配下に入れ、南海郡など9郡を置いた。

2019-05-27

真の階級闘争

市場経済といふ安全保障
もし米国が鉄鋼生産をすべて外国に頼つてゐて、戦争の恐れのために輸入が完全にストップしても心配はいらない。投機家が事前に鉄鋼価格の高騰を見込んで、安い値段で買ひ集めておいてくれる。戦争が長引きさうなら、国内の他の企業が鉄鋼業に参入しても十分元が取れるだらう。
3 Modern Arguments for Tariffs, Debunked | Mises Wire

真の階級闘争
社会には本来、階級闘争は存在しない。自由な市場経済によつて、あらゆる経済的利益に調和がもたらされるからだ。しかし政府が特権を与へる社会では、政府の力で実入りを得る者とそれ以外の人々との間に闘争が生まれる。この事実は、特権階級の利益を守るために隠されてゐる。
The Regulatory-Industrial Complex | Mises Institute

見下されるブルーカラー
先進国でホワイトカラー労働の比重が高まつたために、それが豊かになる唯一の道だといふ間違つた考へが広まり、政府もそれを後押しする。だから教育費が高騰する。しかし実際には、政治エリートが見くだすブルーカラー労働で学んだ知識を生かして起業し、富を築く人々もゐる。
Why the Elites Look Down on Manual Labor | Mises Wire

取引の効用
自発的な取引の決断はすべて、関係者全員の尊厳を大切にする人間関係の実現を意味する。その関係は知り合ひ同士の場合もあるが、さらに見事なのは、赤の他人同士がきはめて複雑な関係を結び、グローバルな取引のネットワークで私たちの生活をすばらしいものにすることである。
The Love the Market Gives | AIER

2019-05-19

ロボットは怖くない

ロボットは怖くない
市場経済において起業家の意思決定を左右するのは、単なる効率アップやコスト削減ではなく、消費者の好みを満足させるかどうかだ。だからたとへ機械が人より効率良く安価に同じ仕事をできたとしても、消費者が人によるサービスを望めば、人が機械に置き換えられることはない。
The Scaremongers Are Wrong about Robots and AI | Mises Wire

旧東西ドイツの教訓
戦後、旧東西ドイツの1人当たりGDPは劇的に差がついた。西独が資本主義を選び、東独が社会主義に苦しんだからだ。西独の経済自由度は1950〜75年の間、世界10位以内を保つた。経済理論では国の所得格差は縮小するとされるが、それは政府が成長を過度に妨害しないときだけだ。
A History Lesson: Comparing Socialist East Germany vs Capitalist West Germany | Mises Institute

共産主義と社会主義
経済学的にみて、共産主義と欧州諸国の社会主義に本質的な違ひはない。どちらも資本家から土地や機械、原材料などの生産手段を奪ひ、政府に所有または支配させようとする。両者のおもな違ひは、政府が経済を解体し、個人の自由を奪ひ、富を破壊するスピードの違ひにすぎない。
Why Social Democracy is Failing Europe | Mises Wire

政府が生む対立
第一次世界大戦後に政治の介入が強まるまで長年、イスラム教徒、キリスト教徒、ユダヤ教徒はパレスチナ、レバノン、北アフリカで平和に共存してゐた。生ひ立ちや信仰は単に個人の特質で、戦争の口実にならなかつた。政府は今より無害で、税金の取り立てにいそしむだけだつた。
Do We Need The State? - International Man

2019-05-11

政治の過大評価

労働組合員も聖人も
本来経済学では、人間が高い収入と安い値段だけを求めるとみなしたりはしない。どのやうな価値判断に基づいて行動するかは、経済学の関心外だ。高い賃金を求める労働組合員だらうと、宗教上の勤めに最善を尽くさうとする聖人だろうと、経済学はその行動を論じることができる。
The Rejection of Economics | Mises Institute

政治の過大評価
アリストテレスの哲学は、政治の過大評価、経済の過小評価をもたらした。彼や師プラトンのやうな貴族階級にとつて、農民や商人は生計のためにあくせくする俗物でしかなかつた。今でも知識人の間では、政治に携はる人間を経済に携はる人間より優れてゐるとみなす傾向が根強い。
Against the Primacy of Politics — Against the Overestimation of Majority Principle | Mises Wire

価値は主観的
ビジネスの成功を左右するのは、顧客が商品・サービスを高く評価するかどうかだ。この価値判断は顧客自身の観点から行ふのであつて、企業側の観点からではない。その意味で、価値とは純粋に主観的である。この事実は1871年、経済学者カール・メンガーによつて明らかにされた。
4 Ways to Make Value Creation Core to Your Business

社会保障といふ偽保険
本当の保険では、人々は今多く払ふことによつて、将来多くの資産を得ようとする。しかし社会保障の場合、お金の流れは逆だ。将来世代の犠牲によつて、今の高齢者に多くのお金を与へる。社会的な視野から見れば、社会保障は逆保険として作用し、将来得られる資産を少なくする。
Unlike Real Insurance, Social Security "Insurance" Creates Greater Risk for the Future | Mises Wire

2019-05-04

税は会費ではない

コンテナを住居に
世界のミレニアル世代に中古コンテナが住居として人気だ。単なる流行ではなく、高騰する住宅市場から締め出された低所得層にマイホームの可能性をもたらしてゐる。米国では市や郡の建築基準を満たした。鉄製の箱なので、普通の家よりむしろ構造的に頑丈。建築家も興味津々だ。
Why Shipping Containers Are Becoming a Trendy Option for Home Buyers - Foundation for Economic Education

見えない増税
政府が資金調達する方法は⑴課税⑵国債⑶インフレ−−の三つだ。しかしインフレは実質収入がなぜ減つたかわかりにくい。家計が増税のせゐで苦しくなれば政府に文句を言へばいい。だが物価高のせゐだと、中央銀行が真犯人とわからず、「強欲な」資本家や労働組合などを責める。
MMT Is Even More Dubious Than AOC's Green New Deal | Mises Wire

税は会費ではない
市場取引の本質は自発性にある。税は違ふ。税を任意団体の会費に例へることはできない。退会の自由がないからだ。取引を拒めば儲けそこなふかもしれないが、税を拒めば待つてゐるのは監獄だ。払つた税の対価に何かを得ても、それは欲しいからではなく、押し付けられたからだ。
Taxation Is Robbery | Mises Institute

信頼の喪失
インフレの見通しが確たるものになると、政府は普通の債務者と変はらなくなり、借金を返せると信じてもらへるかだけが信頼のカギになる。貨幣の唯一の発行者であることによる特権はなくなる。「信頼の喪失」だ。投資家はもはや国債を通貨と同等の安全資産とはみなさなくなる。
Austerity Works — When the Market Is Freed | Mises Wire

2019-05-01

仏像はグローバル文化

フランスで開催中の「ジャポニスム2018」の一環として、2019年2月23日から3月18日まで、パリのギメ東洋美術館で興福寺(奈良市)の仏像展が開催された。展示されたのは同寺の木造金剛力士立像(国宝)と木造地蔵菩薩立像(重要文化財)である。

「ジャポニスム2018」は日仏友好160年を記念し、フランスで日本文化を紹介する複合型イベント。公式サイトには「世界はふたたび、日本文化に驚く」というキャッチコピーとともに、「世界にまだ知られていない日本文化の魅力」を紹介するという狙いが掲げられている。

仏像が日本を代表する文化の一つであることは間違いない。しかし同時に、古代以降のグローバルな交流から生まれ育った文化であることも、忘れないようにしたい。

仏教は紀元前5世紀頃、ガウタマ・シッダールタ(釈尊、のちにブッダ)によって開かれた。現在のインドとネパールの国境周辺で王国を形成していたシャーキャ(釈迦)族の王子として生まれた釈尊は、極端な苦行を否定して中道を説き、王侯や商人を信者にもつ。仏教は交易の拡大とともに大商人の保護を受け、信者を急速に増やしていった。


前1世紀頃、二つの大きな変化が訪れる。一つは、それまでの伝統的仏教に対する革新運動として、大乗仏教が起こったことである。

伝統的な仏教の特徴は、一言でいえば出家が鉄則という点にある。釈尊がそうであったように、家も富も捨て、妻子とも縁を切って修行に励んでこそ、この世の苦悩から解放され、解脱の境地に至ることができると説く。

これに対し、出家せずに在俗のまま仏教に帰依した在家の信者たちが、仏教は出家した僧だけではなく、民衆を救済するものであるべきだと主張するようになる。彼らは伝統的な仏教(上座仏教)を小乗(一部の人しか救わない小さな乗り物)と蔑称で呼び、自分たちの立場を大乗(すべての人を救う大きな乗り物)と称した。

大乗仏教は交易路を通じて北インドから西域を経て後漢時代に中国に伝播し、いわゆる北伝仏教として、朝鮮半島を経て6世紀に日本に伝えられることになる。

仏教に起こったもう一つの変化は、初めて仏像がつくられるようになったことである。

2019-04-25

世界貧困の真実

悪い統計調査
経済学者カードとクルーガーの調査によれば、最低賃金を引き上げた後、雇用は増えたといふ。同じ企業を対象に、引き上げの前後で従業員数を尋ねた。しかしこの調査には問題がある。生き残つた企業だけが調査の対象になるから、倒産した企業で失はれた雇用がカウントされない。
Good Statistics, and Bad | Mises Institute

世界貧困の真実
過去20年で世界人口に占める極貧層の割合はどう変化したか。a)ほぼ倍増、b)横ばひ、c)ほぼ半減。答へはcのほぼ半減。正解する人はごくわづかだ。人々は実際の傾向でなくニュースにとらはれてゐる。報道の世界では、明るい長期トレンドよりも悲観的な物語のはうが注目される。
What 19 in 20 Americans Don't Know About World Poverty | Cato @ Liberty

自由を築くには
自由は金で買へるものではない。知的な勇気と大変な努力によつて築きあげるものだ。政治家が与へてくれるものでもない。そもそも自由は、政治だけで勝ち取れるものではない。文化から変へなければならない。自分ができることから取り組み、社会の通念を変へなければならない。
Easter Symbolizes a New Hope for Life and Liberty - Foundation for Economic Education

賃金はなぜ下がる
賃金の高さを決めるのは、働き手の少なさだ。保育士の仕事がとても大切だとしても、人数は多い。すると賃金は下がる。賃金は仕事の価値だけでなく、働き手の多さ、少なさによつても決まるからだ。人としての価値は賃金と関係ない。賃金が低いのは働き手が多いからにすぎない。
AOC’s Marxist Labor Theory Was Debunked by Economists Decades Ago - Foundation for Economic Education

2019-04-22

ファシズムと社会主義

ファシズムと社会主義
社会主義が経済を動かすため政府によつて工場や土地を直接支配するのに対し、ファシズムは実権のない資本家を実質支配し、経済を間接的に動かす。社会主義が財産をあからさまに国有化するのに対し、ファシズムは資本家に財産を「国益」のために使ふやう求め、実質国有化する。
Fascism: Socialism with a Capitalist Veneer - Foundation for Economic Education

奴隷・戦争・刑罰
民主主義の時代になつても、奴隷はなくならなかつた。私的な奴隷が課税によつて公的な奴隷になつだけだ。戦争も消えず、むしろ大規模になつた。中世には刑罰の主な目的は被害者に対する損害賠償だつたのに対し、現代では国家に服従させることが第一で、被害者は二の次である。
The Libertarian Quest for a Grand Historical Narrative | Mises Wire

国家主義対個人主義
共産主義、ナチズムといふ全体主義のイデオロギーには多くの共通点がある。どちらも個人を国家に服従させ、経済に対する支配力を国家に与へようとする。そしてどちらも数百万人の人々を虐殺する。本当の戦いは右翼と左翼との戦ひではない。国家主義と個人主義との戦ひなのだ。
The Battle Isn't Right vs. Left. It’s Statism vs. Individualism - Foundation for Economic Education

格差を楽しむ
人は格差に寛容になれるし、格差が正当なものと思へれば、それを楽しみさへする。スポーツのスター選手が自分より年収が高く有名だからといつて、客席からブーイングを浴びせる人はゐない。ゲームが公正なら成功を祝ふ。ところが左翼はあらゆる格差を区別せず、非道と考へる。
Jordan Peterson on What Draws Young People to Socialism - Foundation for Economic Education

2019-04-21

気づかない差別

官営大学の悲劇
もし大学がすべて純粋に民間で経営されてゐれば、多くの大学理事長のうちただ一人でも、研究者として価値を認めてくれれば、職を得るチャンスがあります。けれども現実の日本のやうに、大学が国公立だつたり、私立でも補助金なしで成り立たなかつたりすると、唯一の政府が研究者の死命を左右することになります。しかも日本のやうに、税金が無駄遣ひされ、財政に余裕がなくなると、大学予算が削られ、人員増はますます困難に。この惨状は「市場原理主義」のせゐなどではありません。明確な政府の失敗です。
文系の博士課程「進むと破滅」 ある女性研究者の自死

気づかない差別
女子の4年制大学進学率が男子より低いのは「息子は大学まで、娘は短大まで」でよいと考へる親の性差別の結果だと上野千鶴子さん。この発言が短大生に対する差別だといふことに気づいてゐません。短大生はすべて、親の言ひなりになつて仕方なく進学した女子ばかりだとでも言ふのでせうか。度しがたい特権意識です。「東大ブランドがまったく通用しない世界でも……生きていける知を身につけてもらいたい」と言ひますが、それなら最初から東大なんか目指さないはうがいい。独学で十分です。東大生になるのは東大ブランドを得るのが最大の目的です。「今すぐ入学を辞退しなさい」と言い放つてこそ、本物のラディカルでせう。
「がんばっても報われない社会が待っている」東大の入学式で語られたこと【全文】

ふたつの財政健全化
財政健全化には良いものと悪いものがあります。良い健全化は歳出削減によるもの、悪い健全化は増税によるものです。両者を一緒くたに論じるから訳がわからなくなります。歳出削減だけでは借金を返せなくなつたらどうするか。増税は悪い健全化なのでノー。潔く財政破綻を宣言するのがベストです。借金に責任のある政治家、官僚は処分。一時的な混乱はあるかもしれませんが、将来世代へのツケが膨れ上がり続けるよりはマシです。
日本の消費税、20~26%必要 OECDが試算、財政再建で

2019-04-20

北欧を救つた資本主義

自己犠牲でなく自己利益を
米国の豊かさを生んだのは、公共善とやらに対する国民の自己犠牲ではなく、自己の利益を自由に追求した事業の天才たちだつた。彼らは社会主義国のやうに産業化のために国民を飢ゑさせたりせず、発明や発見、技術革新によつて雇用を生み出し、賃金を引き上げ、物価を安くした。
6 Quotes That Explain Why Capitalism Is Preferable to Socialism - Foundation for Economic Education

北欧を救つた資本主義
スウェーデンは1995年以降、急速に資本主義に回帰した。国内産業の規制を緩和し、教育・年金を民営化し、貿易に門戸を開いた。他の北欧諸国はそれをしのぐ。規制緩和ランキングでデンマーク 、フィンランド、ノルウェー、スウェーデンはそれぞれ7、8、9、12位。米国は15位だ。
Capitalism Saved Sweden | AIER

協力の社会制度
私的財産権は協力の基礎である。協力を通じ、相手の成功が自分の成功をもたらす。これは相手の得を自分の損とみるゼロサムゲームの考へとは対照的だ。資本主義社会では、機会さへあれば暴君になるやうな人間でも、他人に奉仕し、相手の協力を促すやう努力しなければならない。
Capitalism (aka Self-Ownership) Is the Only Moral Economic System | Mises Wire

起業家の発想
起業家は自分の製品が将来どのやうに使はれるか、しばしばわからない。人々がどんな製品を求めるか、確かなことは言へない。消費者が「こんな物、誰も要らない」と思ふのに対し、起業家は「誰かが必要としないかな」と考へる。これは世界に対するまつたく異なる二つの見方だ。
How Capitalists — Unlike Environmentalists — Make Life Easier for the Disabled | Mises Wire

2019-04-19

最低賃金で広がる格差

最低賃金で広がる格差
最低賃金をいくらにするか、そもそも最低賃金を設けるかどうかは各企業の自由な判断で決めれば良いことですが、それが果たして労働者にとつて良いことかどうかは疑問です。時給が高ければ企業は当然、雇用に慎重になります。今グーグルにいる人は幸せになれても、これからグーグルに入りたいと思つてゐた人は門戸が狭くなり、格差が広がります。
グーグル、契約社員の最低時給「15ドル」に賃上げ 育児休暇も

新陳代謝なき経済
ライドシェアのスタートアップが世界的に名を知られ、今年最大のIPOを実施するまでに成長。資本主義のダイナミズムを象徴する動きです。大型上場の上位を元国営企業ばかりが占める日本とは対照的。日本でウーバーはタクシー業界の既得権益保護に阻まれ、まともに事業展開さへできません。新陳代謝なき経済を待つものは衰退のみです。
ウーバー、2016年以降の営業損失100億ドル強-IPO申請書類

規制は既得権者を潤す
政府ウーバーの運転手が政府から自営業者でなく従業員として分類される可能性あり。今雇はれてゐる運転手にとつては目先は良いニュースかもしれません。しかし、これからウーバーの運転手になつて収入を得たいと考えてゐた人たちにとつては、悪いニュースです。ウーバーは労働コストの膨張を抑へるため、運転手をあまり増やさなくなるからです。それどころかウーバーの事業モデルそのものが困難になるかもしれません。さうなれば労働者、利用者の双方にとつてマイナスで、現在の運転手にとつても結局は収入源を絶たれることになります。市場メカニズムを理解しない規制は、一部の既得権者を潤し、残りのすべての人々を不幸にします。
運転手は従業員か ウーバー、事業モデル崩れるリスク

資本主義の退化
企業活動が地球温暖化をもたらし、それが環境破壊につながるといふ政府公認の説には、専門家から懐疑的な見方がされてゐます。しかし政治的に正しい人たちはさうした異論を無視し、企業活動を規制あるいは「自粛」するやう唱えます。それは資本主義の進化ではなく、退化です。それによつて世界は豊かさを失ひ、貧しい人たちをさらに貧しくするでせう。
パタゴニアのCEOが指摘…… 地球を守りたいなら「資本主義には進化が必要」

2019-04-16

公的な偽札

社会主義と起業家
社会主義で、起業家はリスクを取つて新たな商品を生産する気にならない。利益が自分のものにならないからだ。リスクを抑へる気にもならない。損失を自分で負はないからだ。コスト削減の工夫は現状の範囲内でしかできず、過去に試されたことのない方法で無駄を最小化できない。
What Most Critics of "Markets" Get Wrong about Entrepreneurs | Mises Wire

公的な偽札
人は交換を行ふ前に、お金を払ふ価値のあるものを何か作らなければならない。さうしてお金を得る。ところが中央銀行が無から作り出すお金は、偽札と変はらない。偽札造りは役立つものを何も作らずに商品を手に入れる。蓄えられた実物財の一部を得つつ、自分は何も提供しない。
Central Banks Shouldn't Fight Deflation | Mises Wire

大量生産農業の恩恵
大量生産農業は自然を破壊すると批判されるが、実際は生態系を改善してゐる。きはめて生産的なため、増大する世界人口をより少ない土地で養へる。農地の総面積は2000年以降、16年にわたり減り続けてゐる。最新の農業がなければ、農地は逆に増え続け、生態系を破壊するだらう。
Progressives say no to meat, but the world thinks otherwise | CFACT

思慮深い破壊者
成功する人は現状に満足しない。絶えず「こうしたらどうなるだらう」「なぜそうしないのか」と問ひ続け、社会通念に挑むことを恐れない。破壊そのものが目的ではなく、物事を良くするために破壊する。礼儀正しく思慮深く、人に恥をかかせるためだけにミスを指摘したりしない。
8 Paradoxical Habits of Wildly Successful People

2019-04-14

原英史『岩盤規制』


獣医学部問題の真相

2017〜18年にメディアをにぎわせた加計問題。安倍晋三首相の友人が理事長を務める学園が、52年間どこの大学にも認められていなかった獣医学部を新設する国家戦略特区の事業者に選定され、特別の便宜を疑われた。文部科学次官を退任した前川喜平氏が「行政が歪められた」として会見を開き、一気に批判が高まった。

だが国家戦略特区ワーキンググループの委員を務め、獣医学部をめぐるここ数年の政策決定プロセスに直接当事者として関わってきた著者によれば、「真相は全く異なる」。

一般に大学や学部は、文部科学省の認可プロセスを経て、適正な計画ならば認められる。ところが獣医学部の場合、すでに存在する16学部しか認めず、新設は一切門前払いする規制があった。これほど露骨で極端な規制はあまり例がない。しかも国会で議決された法律ではなく、文科省が独自に定めた告示に基づく「異様な規制」である。

獣医学部新設禁止の理由について、文科省は「獣医師の需給調整が必要なため」と説明する。獣医学部の数がこれ以上増えると、将来獣医師が余ってしまうという。けれども10年後、20年後にペットや家畜の数がどうなるかわかるはずもない。現実には獣医師不足が問題となっている。

一方、既存の獣医学部の入試倍率はおおむね10倍以上。獣医師になりたい若者たちの職業選択の自由が合理的な理由もなく妨げられ、「憲法違反といってもよい状態」だと著者は指摘する。

獣医師の需給調整が必要という文科省の説明は、表向きの建前にすぎない。実際には、新規参入を排除したい獣医師会が規制維持を求め、政治力を発揮し、行政もそれに従ってきたというのが真相である。

加計学園に対する獣医学部の新設認可は行政の歪みではない。著者が述べるとおり、むしろ新設を許さなかった行政こそ、利権構造のために歪められていたのである。加計問題に関する洪水のような報道で、その本質を指摘するものはほとんどなかった。政府による規制を当然と考える、自由な社会にそぐわない固定観念がメディアに蔓延しているためだろう。

新規参入に対する規制は、大学学部に限らず、運輸、宿泊、エネルギー、通信、放送、農林漁業、医療、介護などさまざまな分野に残る。これら「岩盤規制」を打破しない限り、世界的に低い日本の労働生産性は上がらず、貧しくなり続けるという著者の警告を重く受け止めなければならない。

2019-04-13

現金決済の再評価

金融行政と経済疲弊
地方の小さなベンチャー企業の創業を支援し、地方経済を元気に。期待大ですが、なぜこれまでできなかったのでせうか。壁となつてゐたのは、金融庁の「金融検査マニュアル」。ベンチャー向け融資はリスクが高いからやめろと20年間もブレーキをかけておいて、地方経済を疲弊させた反省は政府の誰からも聞かれません。せめて今後は余計な口出しを一切やめてもらひたいもの。
スモールビジネスで大逆転! 地方経済が復活するただ1つの方法

半官半民の悲劇
ベルリンの壁が崩壊し、社会主義は持続不可能といふ認識がそれなりに世間に浸透したはずですが、半官半民ならうまくやれるといふ迷信がいまだに根強いやうです。市場と政府の良いとこどりができると錯覚してゐるのでしょう。英作家ジョージ・バーナード・ショーがある女優から「あなたの頭脳と私の肉体を持つ子が生まれたらすばらしいですね」と言はれ、「私の肉体とあなたの頭脳を持つ子ができたらどうします?」と答へたエピソードを思い出します。
JDIに待ち受けるシャープの二の舞。外資に翻弄され再生ままならず

望ましい変化
官に若者が集まらないことがそんなに問題でせうか。民と官との違ひを一言でいへば、民は他人が欲しがるものを納得する値段で買つてもらふ人。官とは他人が欲しがらないものを言ひ値で押し付ける人。国民の懐に余裕があつた頃は、欲しくもないものを買ふゆとりがあつたかもしれませんが、今やそんな時代ではありません。官より民に人が集まるはうが日本のために良いのです。
なぜ?東大生の“官僚離れ”

現金決済の再評価
特需はしよせん一過性です。それより注目したいのは、今回の紙幣刷新をきつかけに現金決済が再び脚光を浴びさうとの指摘。キャッシュレス化が急速に進んだスウェーデンでは、電力系統が故障したり、サーバーが停電やハッカーによる攻撃、戦争などで稼働しなくなつたりした場合のリスクや、高齢者や移民、身体障害者らの一部がキャッシュレスから取り残される状況への反省機運が出ています。現金とキャッシュレス、どちらを選ぶかは消費者が決めることで、政府が誘導するべきではないことを再確認する良い機会です。
紙幣刷新「特需」に虎視眈々の企業たち

2019-04-10

最低賃金と犯罪率

規制強化は起業家いぢめ
政府が企業に対する規制を強化すれば、事業のコストは増大する。大企業はこの追加コストを小さなスタートアップ企業よりもたやすく吸収できる。資金調達も容易だ。すでにかなりの市場シェアを握つてゐるので、守りの経営をしやすい。規制強化は起業家に厳しい環境をもたらす。
3 Reasons Why Facebook's Zuckerberg Wants More Government Regulation | Mises Wire

国際経済学の錯誤
今の国際経済学は国際貿易の現実をほとんど説明できない。その理由の一つは、個人でなく国を経済の主体とみるマクロ的発想にある。19世紀の経済学者リカードとミルは、国際取引は国内取引と性格が異なるとして、両者を別々に扱ふやう主張。その誤つた方法が今でも続いてゐる。
Why International Economics Theory Has Become Irrelevant | Mises Wire

最低賃金と犯罪率
最低賃金を引き上げると犯罪率が上昇する。米国での研究結果によると、1998〜2016年に実施された10%の最低賃金引き上げの結果、新たに8万件近い窃盗犯罪が16〜24歳の若者によつて実行された。もし最低賃金を時給15ドルまで上げれば、さらに41万件の窃盗犯罪を生み出すだらう。
Minimum Wage Hikes Increase Crime, National Bureau of Economic Research Study Finds - Foundation for Economic Education

外れた予測
社会主義は例外なく経済を崩壊させてきた。ソ連はロシア革命から70年後、経済規模が米国のわずか5%しかなかつた。社会主義に好意的なポール・サミュエルソンは有名な経済学教科書の1988年版で、ソ連の経済は2000年までに米国を追い抜くだらうと予測したが、物の見事に外れた。
What Are Socialism’s Dirty Secrets That Must Be Kept From America’s Youth?

2019-04-09

文化融合の象徴

文化融合の象徴
昭和に続き「和」を採用。ニュースで見る国民の反応はおほむね歓迎で、今の日本になほ平和を尊ぶ精神が健在であることを知り、ほつとしました。典拠が初めて日本の古典である万葉集になつたと話題ですが、偏狭なナショナリズムの高揚に利用されないやう祈ります。万葉集の画期的な点は、日本の言葉をシナの漢字を使つて表記したこと。両国文化の融合を象徴します。令和の歌に描かれた梅をめでる趣味もシナ伝来のものです。そもそも元号といふ制度そのものがシナ発祥。改元を機に、日本と中国は同じ東アジアの文化を共有することに思ひを致し、自由な経済交流をさらに密にし、軍事的な緊張緩和を進めてもらひたいものです。
新元号は「令和」、5月1日施行 出典は「万葉集」、日本の古典初

背任罪はいらない
そもそも背任といふ行為は、政府が刑法で罰するべき行為でせうか。経済行為は当事者間の私的自治を尊重し、国家の介入を極力控へるのが刑法の原則のはず。会社に損害を与へたのであれば、会社が賠償を求めて訴へればよい話です。経済に対する政府の介入を許した結果、個人の人権が脅威にさらされる事態を招いてしまつてゐます。
東京地検がゴーン被告を再逮捕へ、特別背任容疑で-報道

それが法の支配?
記事によれば、外務省内では「令」が律令など法律の意味で使はれることがあることから、「令和」は「法の支配に基づく平和」とも解釈できるといつた声も出てゐるとか。さうだとすれば、外務官僚は法の支配の意味をまつたく理解してゐません。法の支配の「法」とは、政府の作つた法律ではなく、政府を超え、個人の権利を守る不変の法(自然法)のことです。もし律令による支配が法の支配なら、日本には奈良時代から人権思想が根付いてゐたことになつてしまひます。
令和は「Beautiful Harmony」外務省が英語の趣旨説明

かき消された死
2日前の報道によれば、JAXAの筑波宇宙センターで人工衛星の管制業務に従事してゐた当時31歳の男性が長時間労働や上司のパワハラなどに悩み精神障害を発して自殺したことに対し、労基署が労災認定しました。これが民間企業なら、たちまち「ブラック企業」「やりがい搾取」と非難が巻き起こるのに、JAXAだと「宇宙のロマン」の大絶賛にかき消されてしまふのは、なぜなのでせう。こういふ国民性の日本人は、たとへば政府が戦争を始めてもたやすく美化・礼賛に転じてしてしまふ気がします。
はやぶさ2 衝突実験が成功 世界初、小惑星にクレーター作る

2019-04-08

社会主義と大虐殺

客観報道の神話
報道機関はあらゆる出来事を報じることは無理だから、報じる対象を決めなければならない。それで読者の関心事を限定することになる。ロシア疑惑に50本の記事を書く一方で、イエメンの子供達に対する米国後押しの空爆に1本の記事しか書かなければ、問題の重要性を決定づける。
"Objective Journalism" Has Always Been a Myth | Mises Wire

社会主義と大虐殺
英作家ジョージ・バーナード・ショーは社会主義に魅せられ、独裁者スターリンの大虐殺を擁護した。ソ連を「搾取者や投機家」から守るため、大量処刑は仕方なかつたといふ。優生政策を支持し「ある種の文明と文化を望むなら、それに適さぬ者たちを一掃せねばならぬ」と述べた。
George Bernard Shaw Was so Enamored with Socialism He Advocated Genocide to Advance It - Foundation for Economic Education

ベーシックインカムと言論の自由
ベーシックインカムが国民全員を対象にし続けるのは無理だ。やがて左右の過激派が給付金を活動に利用し、「政府の金でネオナチを支援していいのか」と排除が始まるだらう。そうなれば除外対象は際限なく広がる。今でも保守派や古典的自由派は極右と呼ばれ排除されるのだから。
How Universal Basic Income Could Be Used to Suppress Free Speech - Foundation for Economic Education

全体主義と真理
オーウェルは『1984年』で、全体主義における真理の不在について主人公にかう語らせた。「最終的に、党は二足す二は五であると発表し、こちらもそれを信じなくてはならなくなるだろう。自由とは二足す二が四であると言える自由である。……他の自由はすべて後からついてくる」
Two Ways Our World Resembles “1984” - Foundation for Economic Education

2019-04-07

悪政で自滅したローマ

前回述べたように、ローマ帝国の長期にわたる繁栄をもたらしたのは、市民生活に介入しない小さな政府だった。しかしその原則を踏み外し、政府の事業を過度に拡大したとき、衰退に向かい始める。それを統制によって取り繕うとして混乱をもたらし、かえって衰えに拍車をかけた。

ローマは蛮族の侵入によって滅んだとよく言われる。だが実際には、軍事・経済政策の誤りによって自滅したのである。

2人の皇帝に焦点を当て、ローマ衰亡の経緯をたどってみよう。

ローマ帝国の版図は、トラヤヌス帝(在位98〜117年)の治世に最大となる。まさに繁栄の絶頂だ。だがこのとき、すでに衰退の影は忍び寄っていた。

トラヤヌスといえば、最盛期のローマ帝国を統治した「五賢帝」の一人だ。けれども今から振り返ると、外政・内政ともその施策が賢明だったかどうか疑問が残る。


トラヤヌスは53年、スペイン南部のイタリカで生まれた。イタリア本土出身者でない、初の属州生まれの皇帝である。軍人として頭角を現し、中年となりゲルマニア(現ドイツ)で総督を務めていたとき、ネルウァ帝の養子として後継者に指名される。

2019-04-06

権利なき年金

さらば欧州大陸諸国
英国は第一次大戦前まで欧州大陸諸国と恒常的な同盟を結ばず、豊かな国を築いた。EU離脱は、その賢明な外交方針への回帰になりうる。米国、ノルウェー、アイスランド、グリーンランド、カナダ、日本と自由貿易協定を結び、温暖化で航海しやすくなつた北極海航路に乗り出さう。
Wars, Not Brexit, Destroyed Britain’s Global Power | The National Interest

人口増大への対応策
世界の人口が増えれば、市場はそれに反応する。食料やエネルギーが値上がりし、生産企業を刺激して増産や技術革新を促し、生産を質量ともに高める。大飢饉が起こるとの予言とは裏腹に、過去百年に食料価格は大幅に低下。インドでは1960年代以降、食料生産が4倍近くに増えた。
Why Markets Are the Answer to Concerns about "Overpopulation" - Foundation for Economic Education

権利なき年金
社会保障において、政府は年金を支払ふいかなる法的義務も負はない。これは米国では1960年の最高裁判決で確認されてをり、1935年の社会保障法でも議会はいつでも給付を減額・中止してよいことになつてゐる。公的年金の加入者である国民は、法的な権利を何も持たないのである。
80% of Millennials Are Worried Social Security Won’t Be There for Them - Foundation for Economic Education

政府がもたらした少子化危機
年金生活者の政治力が強い社会では、現役世代への増税で年金を増やせる。人口減少は経済問題ではない。政治問題である。現在直面する危機は人口動態そのものが原因ではない。公的年金、受給資格、生産的な現役世代から非生産的な引退世代への所得移転がもたらしたものである。
The "Fertility Crisis" Is a Government-Caused Crisis | Mises Wire

2019-04-05

細く長い搾取

非難の資格
トランプ陣営とロシアの共謀とやらには結局、確たる証拠が何もあがつてゐません。かりにロシアによる米大統領選への介入があつたとして、米国にそれを非難する資格はありません。CIAが1950年代にイランとグアテマラで実行した政権転覆をはじめ、多数の国で外国の国内政治への介入を繰り返してきたからです。今でもベネズエラで同じことをやらうとしてゐます。ロシアだけを悪者扱いする論調は、国際政治の現実から目を逸らさうとするものです。
“ロシア疑惑” 捜査終結 特別検察官が報告書提出 米メディア

共謀の虚報
多額の税金を使つた1年10カ月もの捜査の結果、共謀の証拠なし。この間、大手メディアが捜査当局側の尻馬に乗つて報じた数々の「疑惑」は一体何だつたのでせう。既得権益を脅かす者を排除しようとする政治エリートと情報機関、それに喜々として仕えるメディア。米国だけの問題ではありません。
モラー特別検察官、トランプ陣営とロシアとの共謀の証拠なし

細く長い搾取
MMTは既存のパラダイムを揺るがすやうな斬新な持論ではありません。むしろ大昔から存在する、野放図な政府に都合の良い古臭い詭弁にすぎません。古い手口だからこそ「現代」といふ看板を麗々しく掲げるわけです。異次元緩和を肯定する政府公認の理論とどこが違ひますか? せいぜい五十歩百歩でせう。現実問題として、少なくとも戦後、日本も米国も政府が借金を完済したことなどないのですから。著名経済学者らがMMTを批判するのは、あまりに露骨すぎるからにすぎません。あけすけに話されると、MMTという異端と、政府・中央銀行がやつてゐることは本質的に同じだとバレてしまふからです。どちらもハイパーインフレを否定しつつ、マイルドインフレといふ名の見えない課税を細く長く続けるのが狙ひなのです。
アメリカで大論争の「現代貨幣理論」とは何か

リサイクルという宗教
中国が悪い、リサイクル業者が悪いとニューヨークタイムズ。けれどもリサイクルのそもそもの目的は、資源とエネルギーの無駄遣ひをなくすことだつたはず。さうであるなら、リサイクルが焼却や埋め立てよりむしろ資源やエネルギーを浪費するとわかつた今、やるべきことは、過去を反省し、リサイクルをやめることであるはず。もしそれを拒否し、たとへ無駄でもリサイクルをやり抜くのだと言ふやうなら、それは合理性を超えた宗教でしかありません。宗教活動は税金でやるべきことではありません。
【激震】全米で急増。「リサイクル破綻」で泣く人・笑う人

2019-04-04

社会を分断するもの

社会を分断するもの
社会を分断するのは市場経済ではなく、政治である。企業が特定の人々を排除すれば、その分市場シェアを失ひ、利益が減り、倒産する恐れさへある。一方、政治の場合、多数派の人数が少数派よりも十分多ければ、多数派に選ばれた政府が少数派を排除しても、そのコストは小さい。
Most Obstacles to Affluence Today Are Politically Made - Foundation for Economic Education

出産の統制
自由な社会では人々は自分の選択で子供を産む。恋愛、結婚、出産に政府の許可はいらない。これは政府の指示なしに人口動態が変化することを意味する。社会主義国家はそれが許せない。社会を統制するには、人口の統制が欠かせないからだ。出産の自由は廃止しなければならない。
The Socialists Always Come For the Kids, Eventually | AIER

恐怖の利用
銃乱射事件に対する衝撃を受けて、ニュージーランド政府が最低限の討議だけで銃規制に踏み切るのは、大々的な法改正を実施する最も楽な方法だが、最悪の方法でもある。民主主義政府が市民の権利を侵害する場合として一番多いのは、市民が恐怖におののき、怒りに燃えるときだ。
New Zealand Gun Law Changes: Demagoguery, Not Leadership | National Review

国家なき秩序
歴史上、社会が現在のような国家によつて統治された時期は短い。国家が生まれる前、中世欧州を統治したのは支配権が分散・重複・競合する王、貴族、ギルド、自由都市、教会など。互いに権力の濫用を牽制し合つた。だから法と秩序を重視する保守主義と、無政府主義は両立する。
Why True Conservatism Means Anarchy | The American Conservative

2019-04-02

憎悪の捏造

憎悪の捏造
俳優ジャシー・スモレットに限らず、ヘイトクライムの捏造が米国で相次いでゐる。これはある意味で良いニュースだ。左翼は彼らが蔓延してゐると主張するヘイトクライムを現実にはなかなか見つけられない。だからでつち上げる。マイノリティはこれらの捏造を強く非難すべきだ。
Hate Crime Hoaxes: The Bad and the Good – Walter E. Williams

責任なき権限
政府がさまざまな責任を引き受けるのは、権限の拡大を正当化するためだ。けれどもこの権限拡大にはきりがなく、高くつく。政府と、政府が「責任を持つ」個人との間には、真の法的契約がない。このため、取り決めた目的を達成できなくても、政府に責任を取らせる手立てはない。
The State Expands its Responsibilities In Order to Expand Its Power | Mises Wire

独立の勧め
フランスでEU離脱(フレグジット)の議論が活発になつてゐる。しかし、そこでとどまる理由はない。仏政府はブルターニュ地方や北カタルーニャのピレネーオリアンタル県の独立を認めるべきだ。仏国内で自治権の競争が増えるほど、人間の自由が広がり、企業の革新が盛んになる。
Decentralize the French State | Mises Wire

男の真似ではなく
フェミニズムの問題は、女性に対し男性のやうに競争しなさいと教へることだ。フェミニズムと言ひながら、女性らしさの役割を弱めようとする。それは拙劣で有害な戦略だ。男性の真似ではなく、個人として競争しよう。女性らしさを生かし、価値創造をめざし公正な競争をしよう。
Why We Should Teach Girls to Be Individualists Instead of Feminists - Foundation for Economic Education

2019-04-01

賭博を合法化せよ

賭博を合法化せよ
カジノに限らず、認可は利権の温床です。設置場所を3カ所に限つたりせず、自由に作れるようにするべきです。その前提として、賭博を原則禁じる刑法の見直しが必要です。賭博をするかしないかは個人の価値観の問題であり、政府が決めるべきことではありません。法律で禁じられてゐなくても、賭博が嫌いな人はやらなければいいだけです。賭博を合法化すれば、当然、反社会的組織が関与することもなくなります。
政府、IR法施行令を閣議決定 巨大ホテル、会議場を併設

巨額予算と子供の命
「子供の命を最優先に」と安倍首相。けれども子供の命を一番脅かしてゐるのは、両親の貧困。政府が多額の予算で市場経済に介入すれば、経済の自律的な発展を妨げ、長い目でさらなる貧困をもたらします。そのうへ、国の借金は将来、成長して大人になつた子供たちの背中にのしかかる。最優先なのは子供の命ではなく、政治の都合でしかありません。
19年度予算成立、初の100兆円超え 2兆円消費増税対策が目玉

無念なり、庶民の味
消える庶民の味。人件費や物流費、原材料費の高騰に抗せず。「コスト高についていけない商品は淘汰されるのが市場原理」と思ふ人がゐるかもしれません。けれどもそれは間違ひです。これらコストの増大は政府・日銀のリフレ政策によつて意図的にもたらされたもので、市場の自然な需給の変化を映したものとは言へないからです。無念なり、大盛りいか焼きそば。
「大盛りいか焼そば」販売終了 発売31年、SMAPのCMも話題に

ベンチャー集積の号令
ベンチャーの集積地はエコシステム(生態系)と呼ばれることからわかるやうに、下からの自然発生的なもの。経済学者ハイエクの言葉を借りれば自生的秩序です。それを政府が主導して上からこしらへようといふのは、大きな勘違ひです。政府にやれることがあるとしたら、生態系の自由な発展を可能にする規制緩和のみ。政府があれこれ口を出し、選挙の材料や天下りの対象に利用するやうでは、かえつてベンチャーの成長を阻害します。
政府、ベンチャー集中支援へ「拠点都市」を選定 巨大投資企業誘致も