2016-05-26

木村朗・高橋博子『核の戦後史』


核の不都合な真実

なぜ重慶爆撃は戦争犯罪として裁かれなかったのか。なぜ政府は内部被ばくの影響を認めたがらないのか。謎を解く共通の鍵は、広島・長崎への原爆投下と米国の核戦略。現在も続く核の不都合な真実を明らかにする。

<抜粋>
連合国はこれ(=日本の重慶爆撃)を戦争犯罪に当たるとして起訴しなかった。…戦争犯罪として裁けば、東京大空襲はもちろん、広島や長崎への原爆投下も国際法違反として間違いなく指弾されることになったからでしょう。(p.33)

国内情勢の危機を軽視し、軍のメンツにこだわって、終戦を遅らせ、原爆投下を招いたという意味で、私は、広島、長崎の壊滅の責任をアメリカだけでなく、日本も負うべきであると考えています。…ある種の日米合作…。 (p.136)

連合軍による占領中はもちろん…主権を回復してからこれまで、日本はアメリカが原爆で日本の一般市民を無差別に殺戮したことについて抗議していないのです。(p.153)

内部被ばくの影響を認めてしまうと、核兵器は化学兵器や毒ガス兵器と同じ「汚い兵器」になってしまう。そんな見方を、核兵器を保有しつづけたいアメリカと、それを支持する日本政府は、認めるわけにはいきません。(p.184)

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