朝日新聞は1月6日の社説で、世界各地で社会の分断が極度の政治不信を生んでいるとして、民主主義が機能するためには「政治的に競い合う相手を「排除すべき敵」ではなく、正当な存在と認める自制と寛容が必要だ」と説いた。ご立派な主張だが、問題点が少なくとも2つある。
[朝日新聞] 岐路の国際協調 力頼みの秩序にせぬために (2024年01月06日) #社説 https://t.co/a4mrsec1nU
— 新聞社説一覧 (@ktaro38) January 5, 2024
まず、朝日を含む大手メディア自身が社会の分断をあおってきた事実を無視している。次に、社会の分断は民主主義で解決することはできない。順に説明しよう。
朝日は、米バイデン政権は前任のトランプ政権の政策のひずみを正さず、むしろ中国やロシアへの対抗を念頭に「専制主義か、民主主義か」という対立軸を打ち出し、新たな分断を助長したと批判する。だが朝日など日本の大手メディアは、バイデン政権やその忠実なしもべである岸田政権の尻馬に乗り、中国やロシアを、民主主義を踏みにじる専制国家として非難してきた。
とくにロシアに対する攻撃は目に余る。朝日は同じ社説で、3月に予定されるロシア大統領選は「プーチン氏の独裁とウクライナ侵略を正当化する茶番になるだろう」と切り捨て、ロシアでは「反対勢力は排除され、言論統制は一層深まった」と非難する。一方のウクライナでロシア以上の言論統制や反対勢力の排除が横行していることには、知らんぷりだ。
ウクライナとロシアの紛争には、昨年10月激化したイスラエルとパレスチナの紛争と同じく、それまでの長い経緯があるのに、それを無視してロシアを一方的に「排除すべき敵」と決めつける。「正当な存在と認める自制と寛容」などかけらもない。
次に、朝日によれば、米国の民主主義は秋の大統領選で試練に直面する。バイデン氏当選を認めない共和党支持者がなお6割超もいる中で、トランプ氏が返り咲けば、内外の分断と対立はより深まりかねないという。そうなるかもしれない。だからといって、社会の分断と対立は民主主義で解決することはできない。
民主主義とは、ざっくり言ってしまえば、意見の異なる人々を多数決で無理やりまとめ、同じ考えに従わせようとする制度である。自分の意見が認められない人は他者と反目し、溝を深める。民主主義はそもそも分断や対立を招きやすい政治制度なのだ。その弊害は国が大きくなるほど深刻になる。価値観や主張の異なる多くの人々が住むからだ。
そうだとすれば、改善策は一つしかない。国をできるだけ小さくすることだ。具体的には、既存の国からの分離独立である。米国で共和党支持者の多い「赤い州」が、民主党支持者の多い「青い州」と別れて別の国になれば、社会の分断・対立はかなり和らぐだろう。実際、カリフォルニア州、テキサス州、ニューハンプシャー州などに分離独立の運動がある。
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