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2026-01-28

立憲主義の限界

自由主義者たちは長年、憲法という「成文化されたルール」によって政府の暴走を抑えられると信じてきました。しかし、歴史を冷静に紐解けば、憲法が権力を制限するどころか、むしろ権力拡大を正当化する道具へと変質してきた事実に直面します。マレー・ロスバードら懐疑派が指摘した通り、憲法は統治者のインセンティブ(動機)と衝突した瞬間、再解釈され、骨抜きにされてしまうのです。

この「立憲主義の失敗」の本質を、3つの歴史的教訓から読み解いてみましょう。

1. 古代ローマ:規範の崩壊と権力の常態化

共和政ローマには成文憲法はありませんでしたが、長い伝統に基づく強力な政治規範がありました。しかし、帝国の拡大により莫大な富と権力が集中すると、エリート層の「自制」という規範は消え去りました。選挙は形骸化し、本来は一時的であるはずの「非常事態権限」が常態化しました。注目すべきは、ローマが帝政へと移行する際、既存の法的手続きがそのまま利用された点です。憲法は破られたのではなく、独裁を正当化するために「再解釈」されたのです。

2. 中世フィレンツェ:制度の裏に隠れる非公式な権力

イタリアのフィレンツェ共和国は、権力の集中を防ぐために極めて複雑な役職回転制や議会制度を構築しました。しかし、メディチ家に代表される有力一族は、制度を壊すことなく、パトロンとしての経済力や縁故を通じて実質的な支配を確立しました。立憲的な仕組みがどれほど緻密であっても、実質的な権力は「制度の外」にある非公式なネットワークへと移動してしまいます。ここでも、危機のたびに設置された臨時委員会が、憲法の制約を無効化する前例を作りました。

3. 20世紀の英国:行政国家による「穏やかな専制」

成文憲法を持たず、伝統と議会主権を誇ったイギリスの事例は最も衝撃的です。20世紀、イギリスは革命を経ることなく、通常の立法手続きを通じて権力を官僚機構(行政国家)へと移譲しました。議会が作った複雑な規制や福祉制度を管理するのは、国民の審判を受けない専門官僚です。フランスの思想家トクヴィルが警告した「穏やかな専制」により、市民は形式的な自由を保ちつつも、日常のあらゆる場面を非人格的な規制によって管理されるようになりました。

結論:憲法は自らを執行できない

これら3つの事例に共通するのは、憲法が外部からの攻撃で崩壊するのではなく、内部から侵食されるという事実です。非常事態の恒久化、法解釈による制約の無効化、そして官僚化。これらが憲法を「機能はしているが、権力抑制には無意味なもの」へと変質させます。

憲法はただの紙に過ぎず、それ自体が権力を行使して自らを律することはできません。私たちが「憲法があるから自由は守られている」と盲信し、その背後で進む権力の肥大化に目を瞑るとき、自由は静かに、しかし確実に失われていくのです。

(Geminiで要約)
On the Failure of Constitutionalism Through the Ages: Norms, Emergencies, and the Administrative State | Mises Institute [LINK]


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