ライアン・マクメイケン(ミーゼス研究所編集主任)
2024年11月12日
トランプの最初の大統領任期は、同氏が任命した数えきれないほどのお粗末な人選で注目を集めた。これは政治任用と政策任命の両面でいえた。政治任用では、トランプは自分をいつも政治的におとしめようとする人々を任用した。トランプ自身が任用した人々の多くは、2020年と2024年にトランプに反対するキャンペーンを展開することになった。トランプの無知な支持者たちは、これがすべてどういうわけだか、「4次元チェス」(凡人には到底認識できない長期的で壮大な知略)なのだと請け合った。もちろん、そうではなかった。4次元チェスという表現は、子供たちが言うように、いつだって「妄想剤」(現実を受け入れられない時に使う架空の薬)だった。
《トランプ次期米政権の国務長官に指名されたマルコ・ルビオ氏は、いつでもどこでも世界中で軍事介入の継続を推進する外交族のトップに立つ。》
— 木村 貴 - Takashi Kimura (@libertypressjp) November 18, 2024
Here Come the Awful Neocon Trump Appointments | Mises Institute https://t.co/hQPL2h92Lb
政策任命では、トランプ大統領の人事はさらにひどいものだった。ニッキー・ヘイリー(元国連大使)、ジョン・ボルトン(元大統領補佐官)、マイク・ポンペオ(元国務長官)といったネオコン(新保守主義)の好戦派、そして数え切れないほどのネオコン寄りの下級官僚が政権の要職に就いた。さらに、多くの連邦省庁で要職に就いた戦争推進派は、政権を弱体化させ、ロシアとの戦争を推進しようと露骨に画策する軍部の面々を守ることができた。卑劣な軍国主義者、アレクサンダー・ビンドマン(バイデン大統領に関するウクライナ不正疑惑を巡ってトランプ氏と対立した元陸軍中佐)が思い浮かぶ。
今、トランプは以前の悪癖に戻ったように見える。次期政権は公式には同じ過ちは繰り返さないと述べているが、新たな証拠は逆を示唆している。すでにトランプは、国連大使にエリス・ステファニク(下院議員)、国家安全保障担当の大統領補佐官にマイク・ウォルツ(同)を任命している。
もちろん、またしてもトランプ支持者の騙されやすい一部から、すべては4次元チェスだとの声が聞こえてくる。
そうだろうとも。
ウォルツは、(ネオコンの)ドナルド・ラムズフェルド(元国防長官)、ディック・チェイニー(元副大統領)の信奉者であり、ある動画の中でトランプ氏を称賛しているが、それはトランプが「イランを崩壊させる」「イスラエルとともに立つ」「中国に代償を支払わせる」など、ネオコンの主張するお決まりのテーマをすべて支持しているからだ。ウォルツは「同盟国とともに立つ」ことを称賛しているが、おそらくこれには、2017年のリヤド訪問でトランプを操ったサウジアラビアも含まれるだろう。ウォルツがイスラエル国家について正しいことは言うまでもない。トランプのホワイトハウスは常にイスラエルに占領された領土だった。「米国第一」(のスローガンが偽りであること)については、これで十分だろう。
ウォルツはウクライナでの紛争激化を繰り返し呼びかけてきた。つまり、選挙戦の大半を通じてトランプ氏が支持基盤に語りかけてきたことの正反対を主張しているのだ。
ステファニクの経歴は、親イスラエルの非政府組織(NGO)を推進し、ジョージ・ブッシュ(子、元大統領)やポール・ライアン(下院議長)といった典型的な保守派の政治家を支援するディープステート(闇の政府)工作員として長年働いてきたことで特徴づけられる。外交政策エリートへの貢献が認められ、議員になって数カ月で、国防政策に関する重要な委員会にすぐに任命された。彼女はワシントンの現状に何ら脅威をもたらさない。
ステファニク、ウォルツがプライバシーと財産権の敵であることは周知の事実である。〔訳注・外国情報監視法=FISA=による令状なしの国民監視に賛成〕
トランプ次期大統領の人事に関する最新ニュースは、マルコ・ルビオ(上院議員、共和党)を国務長官に指名する予定であるというものだ。おそらくディック・チェイニーは無理だったのだろう。ルビオは、いつでもどこでも世界中で軍事介入の継続を推進する外交族政治家のトップに立つ。ランド・ポール(上院議員)にならって、「ヒラリー・クリントン(元国務長官、民主党)とマルコ・ルビオは同じ人間だ」といってもいい。〔訳注・政党は違っても同じタカ派のネオコンという意味〕
これがトランプの示すベストの人選なのか。今のところトランプは、外交政策の役割を担うのにふさわしく、自分のために熱心に選挙運動をしたトゥルシー・ギャバード(元民主党下院議員)に対して何も提示していない。もし彼女が政権で得るポストが些細なものであれば、それはトランプがアメリカ帝国の機能を根本から変えるつもりなどなかったことが急速に明らかになっている政権を象徴するものとなるだろう。〔訳注・その後、ギャバード氏は国家情報長官への起用が決定〕
一方、(保守派評論家)ベン・シャピロは非常に満足している。
(次を全訳)
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【コメント】ヘイリー、ポンペオ両氏が外れてホッとしたのも束の間、ルビオ氏が外交を仕切る国務長官に起用されるなど、トランプ次期米政権の顔ぶれは急速に好戦的なネオコン色を濃くしている。そのトランプ氏が大統領選の勝利後、最初の会談相手に選んだ外国首脳が、同じくネオコン路線で、イスラエルのガザ攻撃を支持するアルゼンチンのミレイ大統領だった意味を、ミレイ氏の明るい面だけに注目する日本のリバタリアンはよく考えておくべきだろう。
Two Zionist statist scumbags. https://t.co/wbSWBuoAYC
— Oscar Grau (@ograu90) November 15, 2024
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