2017年3月5日日曜日

〔洋書〕エベリング他編『アメリカ対外戦争の失敗』


「正しい戦争」への異議

建国時の理念に基づき国外での軍事介入を戒めてきた米国は、歴史が下るにつれ、その禁を破っていく。それが決定的になったのは二度の世界大戦である。米政府はそれらを「正しい戦争」だったと主張し、体制派の歴史家を通じ国民にそのように教え込む。本書はそうした公式の歴史観に異議を唱える。

序文でリチャード・エベリングは、歴史における「もし」はあくまで推測にとどまるとしながらも、将来同じ過ちを繰り返さないためには過去の行動に学ぶ必要があるとして、以下のような「もし」を例示する。(数字は位置ナンバー)

もし米国が第一次世界大戦に参戦する確信が英国になかったら、1916年か1917年初めに交戦国は和解できなかっただろうか。そうすれば大戦後のドイツ情勢は現実と大きく異なり、ヒトラーの権力掌握を防げたのではないだろうか。(275)

もしチャーチル英首相が米国の第二次世界大戦参戦にあれほど熱心でなく、ルーズベルト大統領が米国を戦争に仕向けなければ、(米参戦のきっかけとなった真珠湾攻撃の前年の)1940年夏に和解が成立していなかっただろうか。(279)

米国が参戦しなければ、ヒトラーは欧州の中央を一時支配しただろうが、ナチ党は「最終的解決」の当初案どおり、欧州のユダヤ人をマダガスカル島に移送できたかもしれない。野蛮だが、死の収容所の現実よりましではないだろうか。(280)

さらに、もしヒトラーのドイツがスターリンのソ連に対し攻撃に転じていたら、両全体主義大国は消耗し、自滅したのではないだろうか。そして両国の占領地域に住む人々は、いずれ自由になったのではないだろうか。(283)

ルーズベルトが1941年に日本と和解していれば、真珠湾攻撃はなかったのではないだろうか。日本は東アジアで力を増しただろうが、和解で日中戦争が終われば、中国社会は安定し、毛沢東の共産党による征服はなかったのではないか。(286)

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