2022-06-27

ジューンティーンスと世俗的休日は体制の道具

ミーゼス研究所、ゾー・ビショップ
(2022年6月20日)

昨年、米議会は6月16日を連邦の祝日と公式に宣言した。評論家は、「ジューンティーンス」が長い間祝われてきた米国の休日だと人々を必死に説得しようとしたが、実際には、議会の行動の前には全国でほとんど知られていなかった。政府は世俗的な休日を武器にして、より大きな文化的行動計画を進めようとする。
奴隷制という恐ろしい組織暴力の終焉は、たしかに人間の自由にとって大きな勝利であり、祝賀と称賛の瞬間だ。 このため、ランド・ポール上院議員を含む多くのリバタリアン志向の政治家は、トランプ政権を引き継いだバイデン政権による祝日実施を支持した。しかしそれは罠であり、連邦政府に米国の物語、ひいては国の文化を都合よく作り上げる機会を与えてしまう。

政府が社会統制を目的に祝日を武器にするのは、目新しいことではない。古代ローマの勝利とは、ローマ軍の勝利を祝う壮大な宗教と国家の儀式だった。共和政ローマでは、元老院だけが勝利を承認でき、派閥政治の道具とした。ジュリアス・シーザーは有名な公の祝賀会を利用し、ローマの平民の間で支持の基盤を築いた。

大革命時代のフランスでは、ジャコバン派が新しい合理主義の教義に従って暦を完全に書き直した。カトリック教会への忠誠を保つのに役立つ道具だった伝統的な宗教上の祝日の代わりに、「理性の祭典」と「最高存在の祭典」を称える新しい無神論的祝典を推進した。

世俗的な休日は、米国でも政治的道具として利用されてきた長い歴史がある。憲法記念日は、建国時に最大の勝利を収めたフェデラリスト党を公に祝うものだった。ホワイトハウスが7月4日(独立記念日)を最初に祝ったのは、1800年にトーマス・ジェファーソン大統領が選出されてからだ。1939年、フランクリン・ルーズベルト大統領は、連邦政府が認めた感謝祭の日付を、消費者支出を増やす狙いで変更し、1941年にようやく実施された。

皮肉なことに、ジューンティーンスに最も似た起源を持つ祝日は、現代の左翼から攻撃される「コロンブス・デー」である。ハリソン大統領は1892年、ニューオーリンズ(ルイジアナ州)で起こったイタリア系住民の暴動に対応し、コロンブスの航海四百周年を祝う全国的な祝日を宣言した。

政治の道具としての祝日は長い歴史があり、中央集権的な権力への忠誠を強化する目的で、宗教的・地域的な文化のつながりを弱めるため、体制によってしばしば利用される。ジョージ・ワシントン、リンカーン、マーティン・ルーサー・キングといった個々の人物を祝う国民の祝日は、(カトリック教会の)列聖の世俗版とみなすことができる。

ジューンティーンスは、特定の文化的行動計画を促進するため、帝国の都市(首都ワシントン)から国民に命令で押しつけられた祝日の例だ。国民の考えが劇的に変われば、奴隷廃止と自由の祝典に戻せるだろう。(しかし)短期では、「ブラック・ライブズ・マター」運動の思想目的や「聖ジョージ・フロイド(白人警官に殺害された黒人男性。キリストに模した絵画が描かれた)」の祝祭とはるかに似たものとなるだろう。

(次より抄訳)
Juneteenth and Secular Holidays as Tool of the Regime | Mises Wire [LINK]

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