2022-06-10

政府のスタートアップ支援策、利用する前に知っておこう

経済学者、ペール・バイランド
(2022年5月31日)

政府は、創業や事業拡大を目指す起業家に対し、さまざまな支援や資金提供を行う。これらの制度が経済成長と雇用創出にどれほど効果があるかは、疑問の余地がある。しかし政府の資金援助は、個々の起業家にとってどのような意味を持つのだろうか。

政府は中小企業庁の融資や助成、インキュベーターやアクセラレーターなど、あらゆる階層で相当額の資金と労力を費やし、起業家の支援を試みている。その根拠は政治的なものだ。その目的は経済成長を促進し、それによって雇用を創出することにある。

しかし、その資金と労力は何を意味するのだろうか。政府の資金援助や支援が利用されていることは間違いない。その結果、資金提供や支援を受ける活動がより多く行われていることも確かだ。しかし本当の疑問は、これらの政策が成功しているのかどうかだ。この問いに対する答えは明らかでない。

ハーバード大学のジョシュ・ラーナーによれば、政府による起業家支援の実績はかなり悲惨なものだ。政府の施策や投資によって起業家精神を高め、起業家を成功に導き、経済成長を実現する方法は、まだよくわからない。起業家支援策は見栄えこそ良いものの、実際の効果はほとんどない。

起業家の仕事は、消費者に価値を届ける最善の方法を見つけ出すことだ。政府の資金支援を受けるため、ビジネスアイデアを微調整してはいけない。価値の創造に忠実でなければ、ビジネスの成功はありえない。それどころか、その種の資金調達に依存するようになる恐れがある。

必要以上の資金を持ったり、市場の厳しい現実から守られたりすると、無気力や非効率の原因となる。余分なコストをかけ、最適とはいえない決断を下すこともある。コスト削減や経費を最大限に活用することに、熱心でなくなってしまうのだ。これはビジネスの収益性や存続に重大な影響を及ぼしかねない。

「タダ飯はない」と経済学者は言う。これは政府の支援にも当てはまる。申請する前に、期待の中身と必要な条件をよく理解しておこう。申請手続き自体が負担になり、時間がかかるかもしれない。資金援助を受けると、納得できる範囲を超えて、事業に対し政府の意見や意向に従うよう求められることもある。

政府の資金支援には、わざわざやりたくないような大量の報告義務や官庁手続きが伴うこともある。覚えておいてほしいのは、起業家とはコストを選択する仕事だということだ。賢明な選択をしよう。

外部からの資金提供は、すべて紐付けされている。これは公共部門の支援にも当てはまる。支援を申請し受け入れる前に、その施策、当局、機関が期待することを確認しよう。資金獲得のために独立や自律を手放したくない場合もあるだろう。

(次より抄訳)
Considering a Government Program to Support Your Startup? Here's What You Need to Know First. [LINK]

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