2021-01-11

奴隷制と資本主義


アダム・スミスは資本主義哲学の源泉とされる『国富論』で、英国の植民地主義とそれを支える重商主義思想を槍玉にあげることで、奴隷制を批判した。その他の著作でも、奴隷制がなくならないのは奴隷主が議会を支配し、補助金や政治的保護を確保しているからだと論じた。

NYタイムズ紙は「1619プロジェクト」の検証委員を務める歴史学者に次の主張の確認を求めた。「アメリカ植民者が英国からの独立を宣言した重要な理由は、巨富を生む奴隷制を守ることだった」。検証委員は、奴隷制は独立戦争の主要な原因ではなかったと警告したが、無視された。

英経済学者ケインズは晩年、優生学を「最も重要重大で、いわば現存する社会学の純血種」だと述べた。名誉副会長を8年務めた英国優生学会の晩餐会でのことだ。同学会はケインズが役員や顧問を務めた優生学組織の最後のもので、古くはケンブリッジ大学の学生時代にさかのぼる。

19世紀英国の社会学者スペンサーは、ロンドン市の保健委員会は官僚的で、公衆衛生を妨げると批判した。委員会は、コレラは汚水付近の空気から広がるという誤った理論を信じ、下水道工事に熱中した。政府と親しい業者を儲けさせ、テムズ川に汚物を捨て、飲み水で感染を広げた。

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