2018-08-21

デフレは本当に悪いのか

いまさらですが、デフレって本当に悪いのでしょうか。

政府・日銀の公式見解では、デフレ(物価が毎年のように下がること)は経済にとって悪いことだとされています。でも、現実に照らして考えるほど、納得できなくなります。

たとえば、昨日配信された日経電子版のこの記事(「物価抑える格安スマホ」)です。格安スマホのおかげで、家庭の携帯電話通信料が下がっているそうです。それが物価全体に下げ圧力となっています。

今、つい「格安スマホのおかげで」と書いてしまいましたが、デフレが悪だとすれば、不適切な表現ですね。正しくは「格安スマホのせいで」です。格安スマホのせいで物価が上がらないのです。困ったものです。でも、いったい誰が困るのでしょうか。

日銀のホームページにある「5分で読めるマイナス金利」というQ&A形式の解説に、「物価が下がって何が悪いの?」という問いがあります。答えにこうあります。「デフレで物価が上がらないということは、会社の売上げも増えないので、給料も上がりません……」

もっともらしく見えますが、考えれば変です。インフレになってすべての会社の売り上げが増えたとしましょう。するとA社の売り上げだけでなく、A社に原料や部品を売るB社やC社の売り上げも増えますから、A社は利益が増えません。利益が増えなければ給料を上げるのは難しいでしょう。

一方、給料が上がらなくても、物価が下がれば、つまりデフレになれば、その分多くの物を買えるようになります。これを実質賃金の上昇といいます。だったら別にデフレでもいいのではないでしょうか。

米国で資本主義が急速に発展し、「金ぴか時代」と呼ばれた1870〜80年代、物価はほぼ一貫して下落しました。つまりデフレでした。

三菱UFJインターナショナルのエコノミスト、ブレンダン・ブラウン氏によれば、当時の物価下落率は1870年代が年3〜4%、80年代が同1〜2%でした。その結果、80年代には1人あたり実質賃金の伸び率がおよそ年4%にも達します。製品改善を考慮した現代流のヘドニック法で計算すれば、物価下落率はさらに大きくなるといいます。

日銀は2%の物価目標をあくまで掲げ続けています。しかしその目標がいつか達成されたとして、そのとき私たちの暮らしは今より豊かになっているでしょうか。(2017/08/21

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