2008年5月に始まったふるさと納税制度は年々、利用者数と寄付金額が増え、国民の間に定着してきました。しかし一方で、「返礼品めあてで不健全」という批判も聞かれます。ふるさと納税は不健全なのでしょうか。
ふるさと納税が広がるにつれ、都市部自治体の財政は苦しくなっています。日経電子版の記事によれば、千葉市の熊谷俊人市長は「『得をする』ということで税を支払う国民は本当に健全なのか」と憤っています。
税金は行政サービスの対価として支払うもので、返礼品を目的に払うのはおかしいと言いたくなる気持ちはわかります。しかし国民からしてみれば、行政サービスも返礼品も「得をする」ための手段であることに変わりはありません。
親であれば、いじめなどなく、充実した教育を受けられる学校に子供を通わせたい。地方のおいしい特産品を食べて喜ぶ子供の顔を見たい。どちらも「得」をしたいという気持ちであり、自然な感情です。不健全なところなどありません。
実際には教育をはじめ、行政サービスには多くの国民が不満を感じています。地元自治体に愛着などわかず、税金を払いたくないと思っても不思議ではありません。
それにふるさと納税は、返礼品目的ばかりではありません。朝日新聞によると、九州豪雨の被災7自治体には返礼品なしで計1億4千万円を超す寄付が集まったそうです。
ふるさと納税は完璧な制度ではないかもしれませんが、納税者の選択肢が増えるのは間違いなく健全で良いことです。資金流出を嘆く都市部自治体は、そうならない努力をもっとするべきでしょう。(2017/07/31)
注目の投稿
「反インフレ経済勉強会」開講のお知らせ
インフレは税の一種です。しかも普通の税よりも悪質な税です。ところが、この事実はよく理解されていません。それどころか、多少のインフレはむしろ良いことだという嘘が、現在主流の国家主義的な、誤った経済学(ケインズ経済学)や、そこから派生した極端な説 (MMT=現代貨幣理論など) によっ...
2018-07-31
2018-07-30
公共事業がゆがめる経済
景気が悪く、失業が増えたときには、民間企業に代わって政府が穴を掘ってでも公共事業を増やし、雇用を増やせばよい--。これが経済学者ケインズの影響を受けた、今の経済学の考え方です。しかし公共事業は経済の働きをゆがめます。それは不況期でも変わりません。
記事によると、各地で花火大会の運営費が増加し、主催者を苦しめているそうです。人件費の上昇に加え、会場の設営に使う鉄パイプやフェンスの価格も上がっているためです。
資材の価格高騰もそうですが、人手不足や賃金上昇に火をつけたのは、アベノミクスの柱の一つである公共事業です。それは予想以上の効果を発揮したといっていいでしょう。しかし忘れてならないのは、賃金は労働者にとっては収入ですが、払う側にとってはコスト(人件費)だということです。
花火大会の例でいえば、賃金上昇は警備員など労働者にとってはうれしいことですが、主催者にとっては悩みの種です。もし資金不足で大会中止に追い込まれれば、花火を楽しみにしていた人たちは悲しむでしょう。それは社会にとって良いことでしょうか。
一部の自治体では、ふるさと納税による寄付金を花火大会に活用するそうです。ああよかったねと喜ぶわけにはいきません。もし花火大会のコストが膨らまなければ、そのお金は他の用途に使えたのですから。
政府が関与しない民間事業であれば、賃金高騰には一定の歯止めがかかります。採算を無視することはできないからです。ところが政府はとにかく予算を消化しないといけないので、高い賃金でも人を雇います。これが賃金を過度に押し上げます。
もし失業者のあふれた不況期ならどうでしょう。どうせ遊んでいる労働力だから、政府が雇っても民間から人材を奪うことにはならない、というのがケインズを始祖とするマクロ経済学の考えです。残念ながら、それは正しくありません。
マクロ経済学の落とし穴は、物事をあまりにも単純化しすぎることです。国全体で人手が余っていたとしても、あらゆる産業分野でそうだとは限りません。人手不足の分野はつねに存在します。公共事業がそうした分野の人材だけを器用に採用しないことは事実上不可能ですから、不況期であっても、民間から人材を直接・間接に奪うことに変わりはありません。
政治家に公共事業大盤振る舞いの口実を与えてきた20世紀の遺物、ケインズ経済学。財政破綻の足音が近づいてきた今、そろそろ別れを告げるべきでしょう。(2017/07/30)
記事によると、各地で花火大会の運営費が増加し、主催者を苦しめているそうです。人件費の上昇に加え、会場の設営に使う鉄パイプやフェンスの価格も上がっているためです。
資材の価格高騰もそうですが、人手不足や賃金上昇に火をつけたのは、アベノミクスの柱の一つである公共事業です。それは予想以上の効果を発揮したといっていいでしょう。しかし忘れてならないのは、賃金は労働者にとっては収入ですが、払う側にとってはコスト(人件費)だということです。
花火大会の例でいえば、賃金上昇は警備員など労働者にとってはうれしいことですが、主催者にとっては悩みの種です。もし資金不足で大会中止に追い込まれれば、花火を楽しみにしていた人たちは悲しむでしょう。それは社会にとって良いことでしょうか。
一部の自治体では、ふるさと納税による寄付金を花火大会に活用するそうです。ああよかったねと喜ぶわけにはいきません。もし花火大会のコストが膨らまなければ、そのお金は他の用途に使えたのですから。
政府が関与しない民間事業であれば、賃金高騰には一定の歯止めがかかります。採算を無視することはできないからです。ところが政府はとにかく予算を消化しないといけないので、高い賃金でも人を雇います。これが賃金を過度に押し上げます。
もし失業者のあふれた不況期ならどうでしょう。どうせ遊んでいる労働力だから、政府が雇っても民間から人材を奪うことにはならない、というのがケインズを始祖とするマクロ経済学の考えです。残念ながら、それは正しくありません。
マクロ経済学の落とし穴は、物事をあまりにも単純化しすぎることです。国全体で人手が余っていたとしても、あらゆる産業分野でそうだとは限りません。人手不足の分野はつねに存在します。公共事業がそうした分野の人材だけを器用に採用しないことは事実上不可能ですから、不況期であっても、民間から人材を直接・間接に奪うことに変わりはありません。
政治家に公共事業大盤振る舞いの口実を与えてきた20世紀の遺物、ケインズ経済学。財政破綻の足音が近づいてきた今、そろそろ別れを告げるべきでしょう。(2017/07/30)
2018-07-29
何が飢餓をもたらしたか
アフリカなどでの飢餓は、現代の最も深刻な問題の一つです。飢餓は理由もなく起こるわけではありません。いくつか原因があります。その中であまり触れられないのは、外国による軍事介入です。
英シンクタンク、経済平和研究所(IEP)が先ごろ発表した2017年度「世界平和度指数」によると、危険な国のワースト10に入ったのは、シリア、アフガニスタン、イラク、南スーダン、イエメン、ソマリア、リビア、中央アフリカ共和国、スーダン、ウクライナでした。
この国々について、ジャーナリストのホイットニー・ウェッブ氏は「10カ国のうち(中央アフリカを除く)9カ国に共通点がある」と指摘します。それは「米国が中心となって展開した、国家弱体化運動や体制転換作戦という暴力を経験したこと」といいます。つまり外国による軍事介入です。
政権転覆の標的となったシリア、イラク、アフガニスタンでは政治勢力の対立が意図的に作り出され、内戦や混乱が続いています。イエメンは米国に支援されたサウジアラビアによって激しく攻撃されています。
日報問題に揺れる陸上自衛隊が国連平和維持活動(PKO)を行なった南スーダンは、米国の軍事介入と「国家建設」が不首尾に終わり、混乱に陥りました。海上自衛隊が海賊対処で派遣されているソマリアも、米軍の空爆など軍事介入が続いています。
戦火に見舞われたこれらの国々の多くでは、国民が飢えに苦しんでいます。経済活動の基礎は平和ですから、当然といえます。
さてNHKの報道によると、国連国際農業開発基金(IFAD)のホンボー総裁は、アフリカなどの農村部で飢餓や貧困が広がっているとして、日本などに積極的な支援を呼びかけたそうです。
同総裁が具体的にあげた国は、南スーダン、ナイジェリア、ソマリア、イエメンの4カ国です。ナイジェリア以外はいずれもさきほど触れた、外国による軍事介入で平和が破壊された国です。しかし総裁は少なくとも記事上では、その事実に触れていません。
ホンボー総裁は、貧困が若者をテロに走らせているといいます。しかしテロに走らせるのは貧困ではなく、軍事介入に対する怒りと考えるのが素直でしょう。本気で飢餓やテロをなくしたいのなら、経済支援よりもやるべきことがあるはずです。(2017/07/29)
英シンクタンク、経済平和研究所(IEP)が先ごろ発表した2017年度「世界平和度指数」によると、危険な国のワースト10に入ったのは、シリア、アフガニスタン、イラク、南スーダン、イエメン、ソマリア、リビア、中央アフリカ共和国、スーダン、ウクライナでした。
この国々について、ジャーナリストのホイットニー・ウェッブ氏は「10カ国のうち(中央アフリカを除く)9カ国に共通点がある」と指摘します。それは「米国が中心となって展開した、国家弱体化運動や体制転換作戦という暴力を経験したこと」といいます。つまり外国による軍事介入です。
政権転覆の標的となったシリア、イラク、アフガニスタンでは政治勢力の対立が意図的に作り出され、内戦や混乱が続いています。イエメンは米国に支援されたサウジアラビアによって激しく攻撃されています。
日報問題に揺れる陸上自衛隊が国連平和維持活動(PKO)を行なった南スーダンは、米国の軍事介入と「国家建設」が不首尾に終わり、混乱に陥りました。海上自衛隊が海賊対処で派遣されているソマリアも、米軍の空爆など軍事介入が続いています。
戦火に見舞われたこれらの国々の多くでは、国民が飢えに苦しんでいます。経済活動の基礎は平和ですから、当然といえます。
さてNHKの報道によると、国連国際農業開発基金(IFAD)のホンボー総裁は、アフリカなどの農村部で飢餓や貧困が広がっているとして、日本などに積極的な支援を呼びかけたそうです。
同総裁が具体的にあげた国は、南スーダン、ナイジェリア、ソマリア、イエメンの4カ国です。ナイジェリア以外はいずれもさきほど触れた、外国による軍事介入で平和が破壊された国です。しかし総裁は少なくとも記事上では、その事実に触れていません。
ホンボー総裁は、貧困が若者をテロに走らせているといいます。しかしテロに走らせるのは貧困ではなく、軍事介入に対する怒りと考えるのが素直でしょう。本気で飢餓やテロをなくしたいのなら、経済支援よりもやるべきことがあるはずです。(2017/07/29)
雇用増は良いことか
経済統計は便利な半面、経済の本質を見えにくくします。たとえば雇用統計です。雇用の増加を示す数字が出ると、政府はそれを良いこととして強調します。しかしそもそも、雇用増はそれだけで良いことといえるのでしょうか。
厚生労働省が発表した6月の完全失業率は2.8%と引き続き低水準でした。働く意思のある人なら事実上誰でも働ける「完全雇用」状態にあります。正社員の有効求人倍率は初めて1倍を超え、企業の人手不足感が一段と鮮明になったと日経電子版の記事は伝えます。
雇用増が良いことだとすれば、日本経済は最高にすばらしい状態にあるように見えます。けれども、本当にそうなのでしょうか。
すでに報じられているとおり、2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の建設をめぐり、下請け業者で現場監督を務めていた23歳の男性が自殺したのは月200時間近い残業を強いられ精神疾患を発症したためだとして、両親が労災申請しました。真相究明はこれからですが、雇用され、人手不足の中で忙しく働くことが「良い」とは限らないとあらためて気づかされます。
時事通信の報道によれば、1998年長野冬季五輪でボブスレー・リュージュ会場となった「スパイラル」について、長野市は平昌五輪後の来年度以降は製氷を休止、競技場として利用しない方針を決めたそうです。「NIKKEI STYLE」のしばらく前の記事によれば、利用料収入は年700万円にすぎないのに、市が負担する維持管理費は年1億2千万円にのぼり、市民から「税金の無駄」との声が上がっていました。建設には多くの人が雇用されましたが、結果として「良い」ものを生み出したとはいえません。
五輪に限りません。ある事業が多くの雇用を生み出すからといって、雇用された人が必ずしも幸せとは限りません。価値あるものを生み出すとも限りません。経済全体についても同じです。統計で雇用が増え、失業率が下がり、有効求人倍率が上昇したからといって、それが「良い」こととは限りません。
米経済学者のスティーブン・ホーウィッツ氏は「政治家は雇用の創造ばかり気にしすぎる。気にするべきは価値の創造だ」と指摘し、こう続けます。「雇用の創造はたやすい。農場にある機械をすべて壊せば、すぐに何百万人もの雇用を生み出せるだろう。問題はそうした雇用を生み出すことで、私たちの暮らしが良くなるかどうかだ。答えはもちろんノーだ」
雇用統計の数字を見るとき、必ず思い出したい言葉です。(2017/07/29)
厚生労働省が発表した6月の完全失業率は2.8%と引き続き低水準でした。働く意思のある人なら事実上誰でも働ける「完全雇用」状態にあります。正社員の有効求人倍率は初めて1倍を超え、企業の人手不足感が一段と鮮明になったと日経電子版の記事は伝えます。
雇用増が良いことだとすれば、日本経済は最高にすばらしい状態にあるように見えます。けれども、本当にそうなのでしょうか。
すでに報じられているとおり、2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の建設をめぐり、下請け業者で現場監督を務めていた23歳の男性が自殺したのは月200時間近い残業を強いられ精神疾患を発症したためだとして、両親が労災申請しました。真相究明はこれからですが、雇用され、人手不足の中で忙しく働くことが「良い」とは限らないとあらためて気づかされます。
時事通信の報道によれば、1998年長野冬季五輪でボブスレー・リュージュ会場となった「スパイラル」について、長野市は平昌五輪後の来年度以降は製氷を休止、競技場として利用しない方針を決めたそうです。「NIKKEI STYLE」のしばらく前の記事によれば、利用料収入は年700万円にすぎないのに、市が負担する維持管理費は年1億2千万円にのぼり、市民から「税金の無駄」との声が上がっていました。建設には多くの人が雇用されましたが、結果として「良い」ものを生み出したとはいえません。
五輪に限りません。ある事業が多くの雇用を生み出すからといって、雇用された人が必ずしも幸せとは限りません。価値あるものを生み出すとも限りません。経済全体についても同じです。統計で雇用が増え、失業率が下がり、有効求人倍率が上昇したからといって、それが「良い」こととは限りません。
米経済学者のスティーブン・ホーウィッツ氏は「政治家は雇用の創造ばかり気にしすぎる。気にするべきは価値の創造だ」と指摘し、こう続けます。「雇用の創造はたやすい。農場にある機械をすべて壊せば、すぐに何百万人もの雇用を生み出せるだろう。問題はそうした雇用を生み出すことで、私たちの暮らしが良くなるかどうかだ。答えはもちろんノーだ」
雇用統計の数字を見るとき、必ず思い出したい言葉です。(2017/07/29)
2018-07-28
セーフガードは誰を守るか
safeguard という英単語は「保護する」という意味です。経済用語として使われる場合は、「緊急輸入制限」という意味になります。誰を保護するのでしょうか。
経済産業省ホームページによると、セーフガード(緊急輸入制限)とは「特定品目の貨物の輸入の急増が、国内産業に重大な損害を与えていることが認められ、かつ、国民経済上緊急の必要性が認められる場合に、損害を回避するための関税の賦課又は輸入数量制限を行うもの」といいます。
この説明から明らかなように、セーフガードによる保護の対象は「国内産業」です。消費者ではありません。「国民経済上緊急の必要性が認められる場合」という条件は付いていますが、これは要するに「政治的に重要な場合」という意味でしかありませんから、消費者がないがしろにされていることに変わりはありません。
政府は8月1日から冷凍輸入牛肉に対し、22年も前に導入されたセーフガードを発動し、来年3月末までに関税率を引き上げます。記事によれば、冷凍牛肉を使う頻度の高い、牛丼チェーンへの影響が大きいといいます。
牛丼チェーンの利用客の多くは、中間層以下の人々です。政府は何かにつけて庶民の味方だと公言しますが、一部の国内産業の保護を優先し、消費者にツケを押しつける政策は、庶民の味方とは正反対といわざるをえません。
しかも価格帯の高い国内産牛肉と廉価で外食や業務用に使われる輸入牛肉とは市場が競合せず、輸入が増えても国内農家が大きな打撃を被る事態は考えにくいというのですから、いったい何のためのセーフガード発動だかすらわかりません。
政府は「ルールに基づき機械的に発動」(農林水産省幹部)せざるをえないとしているそうです。ルールは秩序をつくるためのものですが、政府の硬直したルールはむしろ社会を混乱させます。(2017/07/28)
経済産業省ホームページによると、セーフガード(緊急輸入制限)とは「特定品目の貨物の輸入の急増が、国内産業に重大な損害を与えていることが認められ、かつ、国民経済上緊急の必要性が認められる場合に、損害を回避するための関税の賦課又は輸入数量制限を行うもの」といいます。
この説明から明らかなように、セーフガードによる保護の対象は「国内産業」です。消費者ではありません。「国民経済上緊急の必要性が認められる場合」という条件は付いていますが、これは要するに「政治的に重要な場合」という意味でしかありませんから、消費者がないがしろにされていることに変わりはありません。
政府は8月1日から冷凍輸入牛肉に対し、22年も前に導入されたセーフガードを発動し、来年3月末までに関税率を引き上げます。記事によれば、冷凍牛肉を使う頻度の高い、牛丼チェーンへの影響が大きいといいます。
牛丼チェーンの利用客の多くは、中間層以下の人々です。政府は何かにつけて庶民の味方だと公言しますが、一部の国内産業の保護を優先し、消費者にツケを押しつける政策は、庶民の味方とは正反対といわざるをえません。
しかも価格帯の高い国内産牛肉と廉価で外食や業務用に使われる輸入牛肉とは市場が競合せず、輸入が増えても国内農家が大きな打撃を被る事態は考えにくいというのですから、いったい何のためのセーフガード発動だかすらわかりません。
政府は「ルールに基づき機械的に発動」(農林水産省幹部)せざるをえないとしているそうです。ルールは秩序をつくるためのものですが、政府の硬直したルールはむしろ社会を混乱させます。(2017/07/28)
2018-07-27
最低賃金上げの残酷な善意
「地獄への道は善意で舗装されている」という西洋のことわざがあります。よかれと思ってしたことが悲劇的な結果を招くという意味です。経済の分野で、最低賃金の引き上げほど、この言葉にぴったりなものはないでしょう。
最低賃金の引き上げは失業を増やします。なにも難しくはありません。ある会社で1時間に払える賃金が合計50万円で、最低賃金が時給800円のとき、雇える人数は最大625人(50万÷800)です。最低賃金が千円に引き上げられると、雇える人数は最大500人(50万÷1000)に減ります。減った分、失業が増えます。
最低賃金を上げても失業が増えたように見えないことはあります。けれどもそれは、他の条件が変わったためにそう見えないだけです。たとえば労働時間を短くすれば、最低賃金が上がっても払う賃金は増えないので、雇用を維持することができ、失業は増えません。
そうした調整ができない場合は、雇用を維持できず、失業が増えます。会社に残れる人は賃金水準が底上げされてハッピーかもしれませんが、失業した人は収入ゼロです。ひどい所得格差です。格差社会を批判する人の多くが最低賃金上げを支持するのは、不思議なことです。
残念ながら、どんなに愚かな政策でも、一定の有権者の支持があればやってしまうのが政治です。
米ワシントン州シアトル市では2015年4月以来、最低賃金を15ドル(約1670円)まで段階的に引き上げています。このほどワシントン大学の経済学者グループがまとめた報告書によれば、最低賃金が1%上がるにつれて、労働時間が3%短縮されたそうです。最低賃金引き上げは労働者にとって失うもののほうが大きいということです。
日本では日経電子版の記事にあるとおり、政府は最低賃金引き上げの中期目標として全国平均時給千円を掲げています。最低賃金引き上げが日本経済にプラスというなら、千円などとケチなことをいわず、いっそ5千円、いや1万円以上に上げればよいのです。国民の大半は失業し、無知な善意の残酷さにようやく気づくことでしょう。(2017/07/27)
最低賃金の引き上げは失業を増やします。なにも難しくはありません。ある会社で1時間に払える賃金が合計50万円で、最低賃金が時給800円のとき、雇える人数は最大625人(50万÷800)です。最低賃金が千円に引き上げられると、雇える人数は最大500人(50万÷1000)に減ります。減った分、失業が増えます。
最低賃金を上げても失業が増えたように見えないことはあります。けれどもそれは、他の条件が変わったためにそう見えないだけです。たとえば労働時間を短くすれば、最低賃金が上がっても払う賃金は増えないので、雇用を維持することができ、失業は増えません。
そうした調整ができない場合は、雇用を維持できず、失業が増えます。会社に残れる人は賃金水準が底上げされてハッピーかもしれませんが、失業した人は収入ゼロです。ひどい所得格差です。格差社会を批判する人の多くが最低賃金上げを支持するのは、不思議なことです。
残念ながら、どんなに愚かな政策でも、一定の有権者の支持があればやってしまうのが政治です。
米ワシントン州シアトル市では2015年4月以来、最低賃金を15ドル(約1670円)まで段階的に引き上げています。このほどワシントン大学の経済学者グループがまとめた報告書によれば、最低賃金が1%上がるにつれて、労働時間が3%短縮されたそうです。最低賃金引き上げは労働者にとって失うもののほうが大きいということです。
日本では日経電子版の記事にあるとおり、政府は最低賃金引き上げの中期目標として全国平均時給千円を掲げています。最低賃金引き上げが日本経済にプラスというなら、千円などとケチなことをいわず、いっそ5千円、いや1万円以上に上げればよいのです。国民の大半は失業し、無知な善意の残酷さにようやく気づくことでしょう。(2017/07/27)
2018-07-26
寡占は悪か
市場に商品やサービスを供給する企業が少数しかない状態を寡占といい、特に企業が1社しかない場合を独占といいます。今の経済学の通説によると、寡占・独占が進むと企業間の競争がなくなって価格上昇や品質低下などの問題が起こるとされ、その考えを背景に、独占禁止法で寡占・独占が制限されます。しかし、この考えは本当に正しいのでしょうか。
長崎県の親和銀行を傘下に持つふくおかフィナンシャルグループ(FG)と同県最大手の十八銀行は25日、10月予定だった経営統合を未定として延期すると発表しました。公正取引委員会の審査をクリアできなかったためです。当初予定の4月から再度の延期です。
公取委が統合に待ったをかけたのは、統合で競争が阻害されるとみているためです。十八銀と親和銀が合併すると、県内の融資シェアが7割にのぼります。公取委によれば、他県の地銀が長崎まで越境して展開している事業性融資の規模が小さく、今後進出を計画している金融機関も見当たらないことなどから「競争圧力が極めて低い」。寡占が進めば貸出金利の上昇などを招きかねないといいます。
けれどもこの考えは、価格と需要・供給が互いに影響し合ってつねに変化することを忘れています。今は長崎県内の貸出金利が低いので、他県の地銀や金融機関はわざわざ進出してこないかもしれません。しかし、もし寡占で貸出金利が上昇すれば、それより低い貸出金利で融資を伸ばす商機が生まれます。参入が規制されていない限り、インターネット銀行を含め、県外からの進出・融資は増えるでしょう。そうなれば貸出金利はまた下がります。
寡占は市場経済にとって悪という考えを支えるのは、市場で完全な競争が成り立つには「買い手と売り手が多数存在し、どちらも価格に影響力を持たない」などの条件を満たさなければならないという、今の経済学の通説です。しかしこの条件は現実離れしていますし、そのような条件を満たさなくても、参入の自由さえあれば競争は成り立ちます。
そうだとすれば、寡占を無理に制限しなくてもよいのではないでしょうか。米経済学者のイスラエル・カーズナーは「競争プロセスの自発的なダイナミズムを促進するために必要なのは、必ずしも同じやり方で同じ生産物を生産しているたくさんの小規模な生産者ではない」として、「必要なのは、企業家的参入の自由」だと強調します(『企業家と市場とはなにか』、日本経済評論社)。(2017/07/26)
長崎県の親和銀行を傘下に持つふくおかフィナンシャルグループ(FG)と同県最大手の十八銀行は25日、10月予定だった経営統合を未定として延期すると発表しました。公正取引委員会の審査をクリアできなかったためです。当初予定の4月から再度の延期です。
公取委が統合に待ったをかけたのは、統合で競争が阻害されるとみているためです。十八銀と親和銀が合併すると、県内の融資シェアが7割にのぼります。公取委によれば、他県の地銀が長崎まで越境して展開している事業性融資の規模が小さく、今後進出を計画している金融機関も見当たらないことなどから「競争圧力が極めて低い」。寡占が進めば貸出金利の上昇などを招きかねないといいます。
けれどもこの考えは、価格と需要・供給が互いに影響し合ってつねに変化することを忘れています。今は長崎県内の貸出金利が低いので、他県の地銀や金融機関はわざわざ進出してこないかもしれません。しかし、もし寡占で貸出金利が上昇すれば、それより低い貸出金利で融資を伸ばす商機が生まれます。参入が規制されていない限り、インターネット銀行を含め、県外からの進出・融資は増えるでしょう。そうなれば貸出金利はまた下がります。
寡占は市場経済にとって悪という考えを支えるのは、市場で完全な競争が成り立つには「買い手と売り手が多数存在し、どちらも価格に影響力を持たない」などの条件を満たさなければならないという、今の経済学の通説です。しかしこの条件は現実離れしていますし、そのような条件を満たさなくても、参入の自由さえあれば競争は成り立ちます。
そうだとすれば、寡占を無理に制限しなくてもよいのではないでしょうか。米経済学者のイスラエル・カーズナーは「競争プロセスの自発的なダイナミズムを促進するために必要なのは、必ずしも同じやり方で同じ生産物を生産しているたくさんの小規模な生産者ではない」として、「必要なのは、企業家的参入の自由」だと強調します(『企業家と市場とはなにか』、日本経済評論社)。(2017/07/26)
2018-07-25
自由の代償、統制の代償
複数の人々がかかわる問題に対して、互いに対等な立場の人どうしで解決に取り組むと、しばしば意見の対立が起こります。一方、誰かが絶対的な権限で統制すれば、対立は起こりません。どちらが望ましいのでしょうか。
仮想通貨ビットコインが分裂騒動に見舞われています。記事によると、決済スピードを高める新たな仕組みが導入され、分裂はひとまず回避されたようですが、参加者の中には新しい仕組みに納得していない勢力も残り、8月1日に向けて分裂騒動が再燃する恐れがあるといいます。
分裂騒動を受け、国内の仮想通貨取引所はビットコインの入出金と決済を一時中止しました。利用者には不安を感じる人も少なくないでしょう。それは当然のことです。しかしだからといって、この騒動がビットコインや仮想通貨そのものの欠陥を示すと考えるのは正しくないでしょう。
関連記事「仮想通貨 未来を聞く」で早大ファイナンス総合研究所顧問の野口悠紀雄氏が述べるように、中央に管理者を置かず、多くの参加者が平等に近い形でかかわるビットコインは、民主的に仕様変更についての意思決定をしようとしています。民主的な意思決定に対立はつきもので、それを混乱とみるのは適切ではないでしょう。
野口氏が指摘するとおり、今回のような騒動は、中央で管理する法定通貨ならありえません。通貨の発行について国内で一つしかない中央銀行が絶対的な権限を握っているからです。
しかしその代わり、法定通貨は仮想通貨と違い、発行量に歯止めがなく、通貨価値が毀損されがちです。中央銀行は政治から独立した建前になっていますが、現実には影響は避けられません。安い送金料で世界中どこにでもすぐに送れるといったメリットもありません。自由と統制のそれぞれにメリットと代償があり、両者を冷静に比較しなければならないでしょう。
少なくとも今のところ、ビットコインは意見の対立を抱えながらも、利用者に大きな不利益を及ぼしていないようです。昔から企業のお家騒動や独立騒ぎはよくありますが、それでその企業の商品が買えなくなったことはありません。仮想通貨が定着していけば、今回のような分裂騒動が不安視されることもなくなるのではないでしょうか。(2017/07/25)
仮想通貨ビットコインが分裂騒動に見舞われています。記事によると、決済スピードを高める新たな仕組みが導入され、分裂はひとまず回避されたようですが、参加者の中には新しい仕組みに納得していない勢力も残り、8月1日に向けて分裂騒動が再燃する恐れがあるといいます。
分裂騒動を受け、国内の仮想通貨取引所はビットコインの入出金と決済を一時中止しました。利用者には不安を感じる人も少なくないでしょう。それは当然のことです。しかしだからといって、この騒動がビットコインや仮想通貨そのものの欠陥を示すと考えるのは正しくないでしょう。
関連記事「仮想通貨 未来を聞く」で早大ファイナンス総合研究所顧問の野口悠紀雄氏が述べるように、中央に管理者を置かず、多くの参加者が平等に近い形でかかわるビットコインは、民主的に仕様変更についての意思決定をしようとしています。民主的な意思決定に対立はつきもので、それを混乱とみるのは適切ではないでしょう。
野口氏が指摘するとおり、今回のような騒動は、中央で管理する法定通貨ならありえません。通貨の発行について国内で一つしかない中央銀行が絶対的な権限を握っているからです。
しかしその代わり、法定通貨は仮想通貨と違い、発行量に歯止めがなく、通貨価値が毀損されがちです。中央銀行は政治から独立した建前になっていますが、現実には影響は避けられません。安い送金料で世界中どこにでもすぐに送れるといったメリットもありません。自由と統制のそれぞれにメリットと代償があり、両者を冷静に比較しなければならないでしょう。
少なくとも今のところ、ビットコインは意見の対立を抱えながらも、利用者に大きな不利益を及ぼしていないようです。昔から企業のお家騒動や独立騒ぎはよくありますが、それでその企業の商品が買えなくなったことはありません。仮想通貨が定着していけば、今回のような分裂騒動が不安視されることもなくなるのではないでしょうか。(2017/07/25)
2018-07-24
自由と繁栄
自由と繁栄
豊かさを謳歌するボツワナ(Botswana)、貧困にあえぐジンバブエ(Zimbabwe)。アフリカの隣国同士の明暗を分けたのは、経済の自由を守る政策を採ったかどうか。チリとベネズエラ、韓国と北朝鮮、香港とキューバにも当てはまる真理。大きな福祉国家スウェーデンが豊かになったのは、小さな政府の時代。
Economic Policy Matters: The Example of Botswana vs. South Africa vs. Zimbabwe | Mises Wire
北欧の自由な資本主義
米国とフィンランド、ノルウェーなど北欧諸国の経済自由度はほとんど変わらない。北欧のほうが米国より市場主義的な領域すらある。もし米国が「野放しの資本主義」なら、北欧だってそうだ。米国も北欧も経済自由度で香港やシンガポールには及ばないが、世界の上位20%に入る。
Is Norway a Role Model for "Democratic Socialism"? | Mises Wire
自由主義経済のアフリカ
今のアフリカは社会主義路線を歩んだ過去と様変わり。アフリカ大陸自由貿易協定を主導するルワンダのカガメ大統領は熱心な自由貿易論者で、シンガポールの繁栄を築いたリー・クアンユー元首相を師と仰ぐ。ニジェールのイスフ大統領によれば「指導者の大半が自由貿易を望む」。
Africa's revolutionary new free trade area could lift millions out of poverty - CapX
アルゼンチンが貧しくなった理由
アルゼンチンは20世紀前半、ブラジルや日本より豊かで、米国にもそう見劣りしなかった。しかし1940年代に(左派ポピュリストで妻のエビータが有名な)ペロン大統領が就任すると、その経済政策のせいで庶民は貧しくなる。貧しい香港が自由放任政策で豊かになったのと対照的だ。
How Juan Perón's Left Populism Destroyed Argentina's Economy | Mises Wire
豊かさを謳歌するボツワナ(Botswana)、貧困にあえぐジンバブエ(Zimbabwe)。アフリカの隣国同士の明暗を分けたのは、経済の自由を守る政策を採ったかどうか。チリとベネズエラ、韓国と北朝鮮、香港とキューバにも当てはまる真理。大きな福祉国家スウェーデンが豊かになったのは、小さな政府の時代。
Economic Policy Matters: The Example of Botswana vs. South Africa vs. Zimbabwe | Mises Wire
北欧の自由な資本主義
米国とフィンランド、ノルウェーなど北欧諸国の経済自由度はほとんど変わらない。北欧のほうが米国より市場主義的な領域すらある。もし米国が「野放しの資本主義」なら、北欧だってそうだ。米国も北欧も経済自由度で香港やシンガポールには及ばないが、世界の上位20%に入る。
Is Norway a Role Model for "Democratic Socialism"? | Mises Wire
自由主義経済のアフリカ
今のアフリカは社会主義路線を歩んだ過去と様変わり。アフリカ大陸自由貿易協定を主導するルワンダのカガメ大統領は熱心な自由貿易論者で、シンガポールの繁栄を築いたリー・クアンユー元首相を師と仰ぐ。ニジェールのイスフ大統領によれば「指導者の大半が自由貿易を望む」。
Africa's revolutionary new free trade area could lift millions out of poverty - CapX
アルゼンチンが貧しくなった理由
アルゼンチンは20世紀前半、ブラジルや日本より豊かで、米国にもそう見劣りしなかった。しかし1940年代に(左派ポピュリストで妻のエビータが有名な)ペロン大統領が就任すると、その経済政策のせいで庶民は貧しくなる。貧しい香港が自由放任政策で豊かになったのと対照的だ。
How Juan Perón's Left Populism Destroyed Argentina's Economy | Mises Wire
もう一つの憲法問題
憲法というと、戦争放棄を定めた9条ばかりが注目されますが、もっと国民が関心を持っていい条項があります。9条のように話題にならない、地味な条項ですが、それだけに問題は深刻といえます。それは84条です。
日本国憲法第84条は次のような短い条文です。「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする」。ここに定められた原則を租税法律主義といいます。
租税法律主義は、世界最初の憲法といわれる英国のマグナ・カルタ(大憲章)やアメリカ独立革命当時のスローガン「代表なければ課税なし」、財政の民主的決定の原則を定めたフランス人権宣言などにさかのぼる、近代国家の最も重要な原則の一つです。
租税法律主義の目的は大きく二つあり、互いに密接に結びついています。一つは、税当局の恣意的な課税を阻止し、国民の自由と財産を保障すること。もう一つは、明確に定められた法律によって、納税者が自分の税負担を容易に予測できるようにすることです。
ところが今の日本では、少なくとも二番目の目的が事実上果たせなくなっています。課税のルールは「だれでもその内容を理解できるように、明確に定められなければならない」(野中俊彦他『憲法II』、有斐閣)のに、現実には記事にあるように、税のプロである税理士でさえ「すべての税法や細かいルールの完全把握は事実上不可能」な状態に陥っているのです。
国民は自分の税負担が一体いくらかわからなければ、税当局が恣意的な課税をした場合も、身を守れません。民主国家としてゆゆしい事態です。
税のルールがここまでわかりにくくなったのは、増税で税の種類が増え続けているうえ、政治的な都合で例外や「例外の例外」が次々に付け足されたり、税当局が都合よく解釈できるあいまいな表現が多用されたりするからです。
憲法84条を有名無実にしているこの状況に危機感を抱き、国会前でデモをする人はいません。しかしこのまま放置していれば、やがて政治は大きなノーを突きつけられるでしょう。租税法律主義の歴史が示すように、近代の市民革命が税に対する不信や怒りに発したことを忘れてはいけません。(2017/07/24)
日本国憲法第84条は次のような短い条文です。「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする」。ここに定められた原則を租税法律主義といいます。
租税法律主義は、世界最初の憲法といわれる英国のマグナ・カルタ(大憲章)やアメリカ独立革命当時のスローガン「代表なければ課税なし」、財政の民主的決定の原則を定めたフランス人権宣言などにさかのぼる、近代国家の最も重要な原則の一つです。
租税法律主義の目的は大きく二つあり、互いに密接に結びついています。一つは、税当局の恣意的な課税を阻止し、国民の自由と財産を保障すること。もう一つは、明確に定められた法律によって、納税者が自分の税負担を容易に予測できるようにすることです。
ところが今の日本では、少なくとも二番目の目的が事実上果たせなくなっています。課税のルールは「だれでもその内容を理解できるように、明確に定められなければならない」(野中俊彦他『憲法II』、有斐閣)のに、現実には記事にあるように、税のプロである税理士でさえ「すべての税法や細かいルールの完全把握は事実上不可能」な状態に陥っているのです。
国民は自分の税負担が一体いくらかわからなければ、税当局が恣意的な課税をした場合も、身を守れません。民主国家としてゆゆしい事態です。
税のルールがここまでわかりにくくなったのは、増税で税の種類が増え続けているうえ、政治的な都合で例外や「例外の例外」が次々に付け足されたり、税当局が都合よく解釈できるあいまいな表現が多用されたりするからです。
憲法84条を有名無実にしているこの状況に危機感を抱き、国会前でデモをする人はいません。しかしこのまま放置していれば、やがて政治は大きなノーを突きつけられるでしょう。租税法律主義の歴史が示すように、近代の市民革命が税に対する不信や怒りに発したことを忘れてはいけません。(2017/07/24)
2018-07-23
誰のためのデータ保護
誰のためのデータ保護
企業に個人データの厳重な保護体制を求める欧州の新規制。弁護士相談、システム整備など数百万から数千万円の費用。違反すれば最大で世界年間売上高の4%または2千万ユーロの高い方を上限とする制裁金。コストは結局、利用者が負担することに。保護が個人を苦しめる本末転倒。
EUデータ新規制GDPR、主要企業8割が対応未了:日本経済新聞
さらば強権の欧州
EUの厳しい個人情報保護の新ルールGDPRを避け、米スタートアップ企業が欧州撤退。「欧州の利用者の皆さん、ごめんなさい。皆さんの議員と相談してください」「GDPRは少し曖昧で、かなり恐ろしい」と撤退企業。個人を保護するはずの法律が個人から便利なサービスを奪う。
[FT]GDPR回避、米スタートアップ企業が欧州撤退:日本経済新聞
巨額債務の報い
巨額の公的債務を抱え、米ドルの優位性が揺らぐ恐れありとFT記事。とはいえ米国の政府債務残高は現在まだGDP比77%で、2028年末に105%程度の見通し。一方、日本はすでに200%近く。お金を刷るという見えない増税で当面危機を避けられても、永遠には続けられません。
[FT]ドルが報いを受ける日:日本経済新聞
会社は株主のもの
「マンションは誰のものか」という問いは誰も発しません。所有者のものだとわかりきっているから。管理人が特定の所有者の権利を妨げたりもしません。ところが会社の場合「会社は誰のものか」と不思議な問いが発せられ、一部の株主は乗っ取り屋と呼ばれて権利を制限されます。
進化する物言う株主 日本株の保有額最高:日本経済新聞
企業に個人データの厳重な保護体制を求める欧州の新規制。弁護士相談、システム整備など数百万から数千万円の費用。違反すれば最大で世界年間売上高の4%または2千万ユーロの高い方を上限とする制裁金。コストは結局、利用者が負担することに。保護が個人を苦しめる本末転倒。
EUデータ新規制GDPR、主要企業8割が対応未了:日本経済新聞
さらば強権の欧州
EUの厳しい個人情報保護の新ルールGDPRを避け、米スタートアップ企業が欧州撤退。「欧州の利用者の皆さん、ごめんなさい。皆さんの議員と相談してください」「GDPRは少し曖昧で、かなり恐ろしい」と撤退企業。個人を保護するはずの法律が個人から便利なサービスを奪う。
[FT]GDPR回避、米スタートアップ企業が欧州撤退:日本経済新聞
巨額債務の報い
巨額の公的債務を抱え、米ドルの優位性が揺らぐ恐れありとFT記事。とはいえ米国の政府債務残高は現在まだGDP比77%で、2028年末に105%程度の見通し。一方、日本はすでに200%近く。お金を刷るという見えない増税で当面危機を避けられても、永遠には続けられません。
[FT]ドルが報いを受ける日:日本経済新聞
会社は株主のもの
「マンションは誰のものか」という問いは誰も発しません。所有者のものだとわかりきっているから。管理人が特定の所有者の権利を妨げたりもしません。ところが会社の場合「会社は誰のものか」と不思議な問いが発せられ、一部の株主は乗っ取り屋と呼ばれて権利を制限されます。
進化する物言う株主 日本株の保有額最高:日本経済新聞
イスラム資本主義という希望
イスラムの教えに沿った金融手法であるイスラム金融が最近話題になってはいますが、資本主義やそれを精神面で支える西洋の古典的自由主義は、イスラム教とはなじまないどころか、正反対だという意見が少なくありません。しかし、それはどうやら正しくないようです。
記事の筆者はトルコのジャーナリスト。たしかに現在のイスラム諸国の多くは自由のお手本とはいえないが、だからといってイスラム教を自由の敵とみなすのは誤りだと主張します。キリスト教国だって千年前は、宗教裁判で異端者を拷問にかけ処刑したり、十字軍で異教徒を虐殺したりしたのだから、と。
資本主義もイスラム教と両立するといいいます。根拠の一つは、預言者ムハンマドの人生です。ムハンマドは40歳で伝道を始める前、やり手の商人でした。市場メカニズムを理解していたムハンマドは、商業を奨励し、正直な商人を称える言葉を多く残したと筆者は指摘します。
ある逸話によれば、敬虔な信者から市場の物価高を規制するよう求められたムハンマドは「神のみが物の価を支配したもう」と否定的に応じたそうです。後世の解説者の中には、ここにアダム・スミスの「見えざる手」に似た精神をみる向きもあるといいます。
残念なことに、中世に栄えたイスラム資本主義は戦争、侵略、貿易ルートの変化などにより没落し、イスラム文明全体の凋落をもたらしました。イスラム諸国が立ち直るカギは資本主義の創造力を取り戻すことにあるという筆者の意見には、説得力があります。(2017/07/23)
記事の筆者はトルコのジャーナリスト。たしかに現在のイスラム諸国の多くは自由のお手本とはいえないが、だからといってイスラム教を自由の敵とみなすのは誤りだと主張します。キリスト教国だって千年前は、宗教裁判で異端者を拷問にかけ処刑したり、十字軍で異教徒を虐殺したりしたのだから、と。
資本主義もイスラム教と両立するといいいます。根拠の一つは、預言者ムハンマドの人生です。ムハンマドは40歳で伝道を始める前、やり手の商人でした。市場メカニズムを理解していたムハンマドは、商業を奨励し、正直な商人を称える言葉を多く残したと筆者は指摘します。
ある逸話によれば、敬虔な信者から市場の物価高を規制するよう求められたムハンマドは「神のみが物の価を支配したもう」と否定的に応じたそうです。後世の解説者の中には、ここにアダム・スミスの「見えざる手」に似た精神をみる向きもあるといいます。
残念なことに、中世に栄えたイスラム資本主義は戦争、侵略、貿易ルートの変化などにより没落し、イスラム文明全体の凋落をもたらしました。イスラム諸国が立ち直るカギは資本主義の創造力を取り戻すことにあるという筆者の意見には、説得力があります。(2017/07/23)
市場競争が貧困層を救う
市場競争が貧困層を救う
携帯サービスの普及に拍車がかかったのは、国営通信企業の民営化や外資の参入で、料金が大幅に下落したため。貧困層を救うのは税金による援助ではなく、市場競争です。
携帯サービス、最貧国でも 送金・配車… 端末普及率7割、外資が続々参入:日本経済新聞
不条理な不効率
入国管理局時代に目にした、外国人が書類に苦労する姿。窓口が開く前から長蛇の列、ようやく順番がまわっても書類の不備を指摘される。煩わしさを解消しようと起業、オンラインで外国人向けのビザ申請支援を手がける。不効率な政府が不幸にする人たちを助けるのは起業家です。
ワンビザの挑戦 不条理な送還、繰り返させない: 日本経済新聞
日本全部を特区に!
臨海部に次々建つタワーマンションやミッドタウン日比谷など再開発ラッシュで活気づく東京。それをもたらしたのはビルの容積率緩和や計画手続きを早める規制緩和。規制で「守られた」地方都市がシャッター商店街だらけとなり、活力を失うのと対照的。日本全体を特区にしよう。
TOKYO大変身 都の重心「東へ東へ」(ルポ迫真):日本経済新聞
官製値上げの結末
ビール官製値上げ1年。中小酒販店の保護を大義名分に掲げたものの、消費者のビール離れが加速。政府の市場介入が招いた典型的な悲喜劇。同じ政府が行う官製賃上げも本質は同じだと理解している人はどれだけいるでしょうか。酒も労働も値段を無理に上げれば需要はしぼみます。
誰も得しなかった ビール官製値上げ1年の無力感:日本経済新聞
携帯サービスの普及に拍車がかかったのは、国営通信企業の民営化や外資の参入で、料金が大幅に下落したため。貧困層を救うのは税金による援助ではなく、市場競争です。
携帯サービス、最貧国でも 送金・配車… 端末普及率7割、外資が続々参入:日本経済新聞
不条理な不効率
入国管理局時代に目にした、外国人が書類に苦労する姿。窓口が開く前から長蛇の列、ようやく順番がまわっても書類の不備を指摘される。煩わしさを解消しようと起業、オンラインで外国人向けのビザ申請支援を手がける。不効率な政府が不幸にする人たちを助けるのは起業家です。
ワンビザの挑戦 不条理な送還、繰り返させない: 日本経済新聞
日本全部を特区に!
臨海部に次々建つタワーマンションやミッドタウン日比谷など再開発ラッシュで活気づく東京。それをもたらしたのはビルの容積率緩和や計画手続きを早める規制緩和。規制で「守られた」地方都市がシャッター商店街だらけとなり、活力を失うのと対照的。日本全体を特区にしよう。
TOKYO大変身 都の重心「東へ東へ」(ルポ迫真):日本経済新聞
官製値上げの結末
ビール官製値上げ1年。中小酒販店の保護を大義名分に掲げたものの、消費者のビール離れが加速。政府の市場介入が招いた典型的な悲喜劇。同じ政府が行う官製賃上げも本質は同じだと理解している人はどれだけいるでしょうか。酒も労働も値段を無理に上げれば需要はしぼみます。
誰も得しなかった ビール官製値上げ1年の無力感:日本経済新聞
2018-07-22
消防士の正体
「マッチポンプ」とは、マッチをすってつけた火を自分で消火ポンプで消すという意味で、そこから「自分で起こしたもめごとを鎮めてやると関係者にもちかけて報酬を得ること」(大辞林)を指します。中央銀行が不動産市場の過熱を冷ますために利上げに踏み切ったり、注意を呼びかけたりする姿は、まさしくこの言葉にぴったりです。
世界の不動産市場にファンドマネーの流入が加速し、不動産価格が高騰しています。この状況を欧米主要国の中央銀行は警戒しています。しかしそもそも、不動産市場に流れ込む大量のマネーを生み出したのは誰でしょうか。
もちろん、中央銀行自身です。2008年の金融危機から9年間も、世界的な低金利が続いてきました。それは各国中央銀行の政策によるものです。金融危機が去った後も、低金利に加え、量的緩和政策まで繰り出し、マネーを際限なくあふれさせました。
記事にあるように、カナダ銀行(中央銀行)は今月、住宅市場を冷ますために7年ぶりの利上げに踏み切りました。英断のように見えますが、むしろ遅きに失したというべきでしょう。昨年9月、UBSが発表した「住宅バブル崩壊リスクが高い世界の主要都市指数」で、首位はカナダのバンクーバーでした。しかも今回の利上げも0.5%から0.75%に引き上げたにすぎません。
「巨匠(マエストロ)」と呼ばれたアラン・グリーンスパン氏は米連邦準備理事会(FRB)議長の座にあった1990年代半ば、低金利政策を続け、これが自国通貨を米ドルにペッグ(連動)させる東南アジア諸国への急激な資本流入と、その反動による1997年のアジア通貨危機につながったといわれます。この途中で、グリーンスパン氏は一度だけ、インフレ圧力に対処するとして0.25%の小幅な利上げを実施しました。
これについて、三菱UFJインターナショナルのエコノミスト、ブレンダン・ブラウン氏は「放火犯人が熟練の消防夫に転じた」と皮肉り、こう続けます。「火事をもたらした最初の責任は忘れて、本格的な火事になるのを阻止するために巨匠が救援にくるという概念は、FED(=FRB)そのものと同じくらい古い」(田村勝省訳『FRBの呪いと第二次マネタリスト革命』、一灯舎)
中央銀行が本気で不動産バブルを鎮めたいのなら、申し訳程度の利上げでお茶を濁すべきではないでしょう。それさえできない、どこかの中銀は論外ですが……。(2017/07/22)
世界の不動産市場にファンドマネーの流入が加速し、不動産価格が高騰しています。この状況を欧米主要国の中央銀行は警戒しています。しかしそもそも、不動産市場に流れ込む大量のマネーを生み出したのは誰でしょうか。
もちろん、中央銀行自身です。2008年の金融危機から9年間も、世界的な低金利が続いてきました。それは各国中央銀行の政策によるものです。金融危機が去った後も、低金利に加え、量的緩和政策まで繰り出し、マネーを際限なくあふれさせました。
記事にあるように、カナダ銀行(中央銀行)は今月、住宅市場を冷ますために7年ぶりの利上げに踏み切りました。英断のように見えますが、むしろ遅きに失したというべきでしょう。昨年9月、UBSが発表した「住宅バブル崩壊リスクが高い世界の主要都市指数」で、首位はカナダのバンクーバーでした。しかも今回の利上げも0.5%から0.75%に引き上げたにすぎません。
「巨匠(マエストロ)」と呼ばれたアラン・グリーンスパン氏は米連邦準備理事会(FRB)議長の座にあった1990年代半ば、低金利政策を続け、これが自国通貨を米ドルにペッグ(連動)させる東南アジア諸国への急激な資本流入と、その反動による1997年のアジア通貨危機につながったといわれます。この途中で、グリーンスパン氏は一度だけ、インフレ圧力に対処するとして0.25%の小幅な利上げを実施しました。
これについて、三菱UFJインターナショナルのエコノミスト、ブレンダン・ブラウン氏は「放火犯人が熟練の消防夫に転じた」と皮肉り、こう続けます。「火事をもたらした最初の責任は忘れて、本格的な火事になるのを阻止するために巨匠が救援にくるという概念は、FED(=FRB)そのものと同じくらい古い」(田村勝省訳『FRBの呪いと第二次マネタリスト革命』、一灯舎)
中央銀行が本気で不動産バブルを鎮めたいのなら、申し訳程度の利上げでお茶を濁すべきではないでしょう。それさえできない、どこかの中銀は論外ですが……。(2017/07/22)
強制の害悪
強制の害悪
もし自由な社会を守りたいなら、ある目的にとって望ましいからといって、強制(coercion)を正当化することはできないと認めなければならない。強制は個人から思考と価値判断を奪い、他人の目的を達成するだけの道具にしてしまう。政府に広範な強制力を与えたら最後、抑制するのは困難だ。
18 Hayek Quotes That Show the Importance of Liberty - Foundation for Economic Education
資本主義の知恵
アップルと北朝鮮の違いは何か。経営・政府中枢が計画を誤ったとき、不効率な企業は非効率な政府よりもすみやかに淘汰される。市場経済における企業が海に浮かぶ大小さまざまな多くの船だとすれば、社会主義政府は陸地に建つただ一棟のビル(single structure)。災害に遭うと全国民が長く苦しむ。
Arnold Kling, What Makes Capitalism Tick? | Library of Economics and Liberty
治安維持をビジネスに
企業がトラブル解決のために警察を呼び、暴力などが問題になると、不買運動(boycott)に遭い、株価は下落する。企業は消費者が離れないよう、正当な場合でも暴力の行使に慎重。しかし警察自身はお金を稼がないから、不買運動も株価も気にしない。仕事をなくす心配のない組織は腐敗する。
Starbucks Case Illustrates How Government Police Aren't Like Private Police | Mises Wire
革命か戦争か
革命と戦争は正反対だ。革命は権力の分散。中央集権政府から権力を個人に取り戻し、自分で自分の生活を律することができるようにする。戦争は権力の集中。個人を使い捨ての兵士としか考えないエリートが権力を手にし、国民を動員する。革命の究極の担い手は集団でなく個人だ。
Wendy McElroy: Are You Part of the Revolution or Part of the War? - Bitcoin News
もし自由な社会を守りたいなら、ある目的にとって望ましいからといって、強制(coercion)を正当化することはできないと認めなければならない。強制は個人から思考と価値判断を奪い、他人の目的を達成するだけの道具にしてしまう。政府に広範な強制力を与えたら最後、抑制するのは困難だ。
18 Hayek Quotes That Show the Importance of Liberty - Foundation for Economic Education
資本主義の知恵
アップルと北朝鮮の違いは何か。経営・政府中枢が計画を誤ったとき、不効率な企業は非効率な政府よりもすみやかに淘汰される。市場経済における企業が海に浮かぶ大小さまざまな多くの船だとすれば、社会主義政府は陸地に建つただ一棟のビル(single structure)。災害に遭うと全国民が長く苦しむ。
Arnold Kling, What Makes Capitalism Tick? | Library of Economics and Liberty
治安維持をビジネスに
企業がトラブル解決のために警察を呼び、暴力などが問題になると、不買運動(boycott)に遭い、株価は下落する。企業は消費者が離れないよう、正当な場合でも暴力の行使に慎重。しかし警察自身はお金を稼がないから、不買運動も株価も気にしない。仕事をなくす心配のない組織は腐敗する。
Starbucks Case Illustrates How Government Police Aren't Like Private Police | Mises Wire
革命か戦争か
革命と戦争は正反対だ。革命は権力の分散。中央集権政府から権力を個人に取り戻し、自分で自分の生活を律することができるようにする。戦争は権力の集中。個人を使い捨ての兵士としか考えないエリートが権力を手にし、国民を動員する。革命の究極の担い手は集団でなく個人だ。
Wendy McElroy: Are You Part of the Revolution or Part of the War? - Bitcoin News
選挙はくじ引きで
選挙はくじ引きで
アリストテレスやモンテスキューもまじめに論じた、くじによる選挙。汚職と無縁、コスト削減、無駄な法律がなくなる、といいことだらけ。政治の知識がない? 政治家の知識は権謀術数ばかり。官僚に支配される? 今より悪くはならない。くじ(demarchy)による民主主義(democracy)を!
Forget Electoral Democracy — Give "Demarchy" a Chance | Mises Wire
代表民主制の幻想
大衆の政治的代表になることは可能か。大衆間の利益は異なり、対立する。全員の代表にはなれないから、たいてい多数に従い少数を裏切る。有権者を代表することは難しいどころか、不可能なのである。代表民主制(representative democracy)とは支配する側とされる側の非情な関係を隠すまやかしにすぎない。
In What Way Are Political Representatives Representative? | Mises Wire
政府に天使はいない
公務員も民間人も人間だ。どちらも自分の利益に関心がある。人は政府の仕事に就いたとたん天使にはならない。しかも権力は普通の人間を腐敗させるだけでなく、腐敗した人間を引き寄せる。有権者が誠実に社会全体のためを思っても、その善意(good intentions)が政策として実現するとは限らない。
TGIF: A Public Choice Perspective on Trade | Sheldon Richman
ディープ・ステートの正体
陰謀論でいうディープ・ステート(deep state, 国家内国家)とは行政国家のこと。多くの人は行政法や行政国家という言葉を知らないが、官僚支配に対し健全な懐疑心を抱いている。司法によって官僚の権限を制限するのも一つの手だが、省庁の大半を廃止すれば、行政国家の問題は消え失せる。
Administrative Law Is the Real “Deep State” | International Liberty
アリストテレスやモンテスキューもまじめに論じた、くじによる選挙。汚職と無縁、コスト削減、無駄な法律がなくなる、といいことだらけ。政治の知識がない? 政治家の知識は権謀術数ばかり。官僚に支配される? 今より悪くはならない。くじ(demarchy)による民主主義(democracy)を!
Forget Electoral Democracy — Give "Demarchy" a Chance | Mises Wire
代表民主制の幻想
大衆の政治的代表になることは可能か。大衆間の利益は異なり、対立する。全員の代表にはなれないから、たいてい多数に従い少数を裏切る。有権者を代表することは難しいどころか、不可能なのである。代表民主制(representative democracy)とは支配する側とされる側の非情な関係を隠すまやかしにすぎない。
In What Way Are Political Representatives Representative? | Mises Wire
政府に天使はいない
公務員も民間人も人間だ。どちらも自分の利益に関心がある。人は政府の仕事に就いたとたん天使にはならない。しかも権力は普通の人間を腐敗させるだけでなく、腐敗した人間を引き寄せる。有権者が誠実に社会全体のためを思っても、その善意(good intentions)が政策として実現するとは限らない。
TGIF: A Public Choice Perspective on Trade | Sheldon Richman
ディープ・ステートの正体
陰謀論でいうディープ・ステート(deep state, 国家内国家)とは行政国家のこと。多くの人は行政法や行政国家という言葉を知らないが、官僚支配に対し健全な懐疑心を抱いている。司法によって官僚の権限を制限するのも一つの手だが、省庁の大半を廃止すれば、行政国家の問題は消え失せる。
Administrative Law Is the Real “Deep State” | International Liberty
2018-07-21
マスク氏の素顔
マスク氏の素顔
イーロン・マスク氏の富は政府との癒着で築かれる。これまで受け取った補助は50億ドル超。スペースXは契約の80%を米政府から得る。香港が電気自動車所有者への税控除を打ち切ったとたん、テスラの販売はゼロ近くに落ち込み、デンマークでも補助金削減で売り上げが急減した。
Elon Musk, Crony Capitalist | Mises Wire
偽りの資本主義
多くの人は縁故資本主義と本来の資本主義を混同している。本来の資本主義は市場で自由に売買する個人の財産権を尊重し、縁故資本主義は特定の個人・企業に特権を与え他の人に害を及ぼす。企業が政府の力を借り弱者や貧者を搾取すると、その分だけ本来の資本主義から遠ざかる。
Cronyism Feeds on the Success of Capitalism—but It Should Not Be Confused with Capitalism Itself - Foundation for Economic Education
関税の不公正
関税は官民癒着(cronyism)そのもの。特定の産業や企業の利益を優先し、他の産業や消費者の利益を犠牲にする。特定の製品に課税すればその製品を必要とする企業・消費者に害を及ぼす。しかも対象を政治家・官僚が決めるのだから最悪だ。中小企業は除外を求めロビー活動する余裕もない。
Trade Exclusions Are Crony Capitalism Within Crony CapitalismThe American Spectator
WHOは必要か
アフリカでエボラ熱が流行した2014年、世界保健機構(WHO)は対応が遅れる一方、タバコの広告(promotion of tobacco products)を非難。欧米だけでなく、エボラ熱で2500人以上が死亡したギニアのタバコ広告まで問題に。職員の出張費用はマラリア、結核、エイズ、肝炎、精神疾患、薬物乱用の対策費より大きい。
Who Needs the WHO? Not the World’s Poor - Foundation for Economic Education
イーロン・マスク氏の富は政府との癒着で築かれる。これまで受け取った補助は50億ドル超。スペースXは契約の80%を米政府から得る。香港が電気自動車所有者への税控除を打ち切ったとたん、テスラの販売はゼロ近くに落ち込み、デンマークでも補助金削減で売り上げが急減した。
Elon Musk, Crony Capitalist | Mises Wire
偽りの資本主義
多くの人は縁故資本主義と本来の資本主義を混同している。本来の資本主義は市場で自由に売買する個人の財産権を尊重し、縁故資本主義は特定の個人・企業に特権を与え他の人に害を及ぼす。企業が政府の力を借り弱者や貧者を搾取すると、その分だけ本来の資本主義から遠ざかる。
Cronyism Feeds on the Success of Capitalism—but It Should Not Be Confused with Capitalism Itself - Foundation for Economic Education
関税の不公正
関税は官民癒着(cronyism)そのもの。特定の産業や企業の利益を優先し、他の産業や消費者の利益を犠牲にする。特定の製品に課税すればその製品を必要とする企業・消費者に害を及ぼす。しかも対象を政治家・官僚が決めるのだから最悪だ。中小企業は除外を求めロビー活動する余裕もない。
Trade Exclusions Are Crony Capitalism Within Crony CapitalismThe American Spectator
WHOは必要か
アフリカでエボラ熱が流行した2014年、世界保健機構(WHO)は対応が遅れる一方、タバコの広告(promotion of tobacco products)を非難。欧米だけでなく、エボラ熱で2500人以上が死亡したギニアのタバコ広告まで問題に。職員の出張費用はマラリア、結核、エイズ、肝炎、精神疾患、薬物乱用の対策費より大きい。
Who Needs the WHO? Not the World’s Poor - Foundation for Economic Education
市場は人を助ける
市場は人を助ける
アダム・スミスが述べたのは、人は非情なまでに利己的(ruthlessly selfish)だとか、利己的でなければならないとかではない。彼は歴史上、人の同情心について最も熱心に語った一人なのだから。スミスは単に、人が家族や自分の面倒を見る性質は、市場ではすべての人のためになると述べたにすぎない。
Quotation of the Day... - Cafe Hayek
人は協力を好む
キケロいわく、人間には同情と協力を好む性質がある。愛と友情を好む自然の本能ゆえに、人間は恐怖や私益からではなく正義によって結束する。人間は話す能力によって、生まれつき親族だけでなくあらゆる人との愛を求める、社会的動物である。この本能こそ人間関係の核である。
Why the Founders' Favorite Philosopher Was Cicero - Foundation for Economic Education
人間の本質
古代ローマの政治家・哲学者キケロいわく、人間の本質は絶え間ない闘争ではない。平和な協力(peaceful cooperation)である。人は互いに奉仕の義務を交換し、役務と財産を与え受け取り合うことで、相互の絆を強める。キケロのいう義務は個人間のもので、国家が一方的に強制するものでないことに注意。
5 Reasons We Should Still Read Cicero - Foundation for Economic Education
資本主義は貧困を生まない
資本主義は誰かの計画で創設されたのではない。人間の本性から自然に生まれる。資本主義は貧困(poverty)を生まない。中国やインドなど資本主義を取り入れた国は貧困が減っている。資本主義は勝者と敗者を生むかもしれないが、それはどの経済制度も同じ。資本主義は豊かな勝者を増やす。
4 Common Capitalism Myths Debunked - Foundation for Economic Education
アダム・スミスが述べたのは、人は非情なまでに利己的(ruthlessly selfish)だとか、利己的でなければならないとかではない。彼は歴史上、人の同情心について最も熱心に語った一人なのだから。スミスは単に、人が家族や自分の面倒を見る性質は、市場ではすべての人のためになると述べたにすぎない。
Quotation of the Day... - Cafe Hayek
人は協力を好む
キケロいわく、人間には同情と協力を好む性質がある。愛と友情を好む自然の本能ゆえに、人間は恐怖や私益からではなく正義によって結束する。人間は話す能力によって、生まれつき親族だけでなくあらゆる人との愛を求める、社会的動物である。この本能こそ人間関係の核である。
Why the Founders' Favorite Philosopher Was Cicero - Foundation for Economic Education
人間の本質
古代ローマの政治家・哲学者キケロいわく、人間の本質は絶え間ない闘争ではない。平和な協力(peaceful cooperation)である。人は互いに奉仕の義務を交換し、役務と財産を与え受け取り合うことで、相互の絆を強める。キケロのいう義務は個人間のもので、国家が一方的に強制するものでないことに注意。
5 Reasons We Should Still Read Cicero - Foundation for Economic Education
資本主義は貧困を生まない
資本主義は誰かの計画で創設されたのではない。人間の本性から自然に生まれる。資本主義は貧困(poverty)を生まない。中国やインドなど資本主義を取り入れた国は貧困が減っている。資本主義は勝者と敗者を生むかもしれないが、それはどの経済制度も同じ。資本主義は豊かな勝者を増やす。
4 Common Capitalism Myths Debunked - Foundation for Economic Education
保護主義は国民を保護しない
保護主義は国民を保護しない
保護主義者によれば、国内企業は強大な外国企業に太刀打ちできないので、その圧力を食い止めるために貿易障壁(trade barriers)が必要だという。しかし実際には、強大なライバルとの競争こそが生産性と生活水準を高める。国内企業の生産性が海外企業より低いなら、貿易障壁を高めてはいけない。
How foreign competition helps domestic firms - CapX
国際収支のナンセンス
すべての人を身長の高さによって二つのグループに分け、その間のお金の流れを計算しても、経済的な意味は何もない。同じく、すべての人をある国(たとえば日本)と他の国の人に分け、その間のお金の流れを計算しても、経済的な意味は何もない。その無意味な数字が国際収支だ。
The Balance of International Payments Is Economic Nonsense
経済に勝敗なし
企業家の洞察には価値がある。しかし経済学への理解(understanding)は別だ。ビジネスマン出身の政治家の多くは企業経営のつもりで、GDPや輸出額などで他国を打ち負かそうとする。だが市場シェア争いと違い、経済成長はゼロサムではない。中国が成長しても損はしない。むしろ自国も得をする。
Why Businessmen Don't Make Good Politicians | Mises Wire
欧州が始めた貿易戦争
EUは今回米国に対し報復関税をかける前から、米製品に高い関税をかけていた。バーボンなど非課税製品への課税以外に、オレンジジュースなどすでに高税率の製品まで税率を引き上げたがっている。そのうえ食品の品質や安全基準など非関税障壁も厳しい。これで自由貿易だろうか。
The European Union Started This Trade War - Foundation for Economic Education
保護主義者によれば、国内企業は強大な外国企業に太刀打ちできないので、その圧力を食い止めるために貿易障壁(trade barriers)が必要だという。しかし実際には、強大なライバルとの競争こそが生産性と生活水準を高める。国内企業の生産性が海外企業より低いなら、貿易障壁を高めてはいけない。
How foreign competition helps domestic firms - CapX
国際収支のナンセンス
すべての人を身長の高さによって二つのグループに分け、その間のお金の流れを計算しても、経済的な意味は何もない。同じく、すべての人をある国(たとえば日本)と他の国の人に分け、その間のお金の流れを計算しても、経済的な意味は何もない。その無意味な数字が国際収支だ。
The Balance of International Payments Is Economic Nonsense
経済に勝敗なし
企業家の洞察には価値がある。しかし経済学への理解(understanding)は別だ。ビジネスマン出身の政治家の多くは企業経営のつもりで、GDPや輸出額などで他国を打ち負かそうとする。だが市場シェア争いと違い、経済成長はゼロサムではない。中国が成長しても損はしない。むしろ自国も得をする。
Why Businessmen Don't Make Good Politicians | Mises Wire
欧州が始めた貿易戦争
EUは今回米国に対し報復関税をかける前から、米製品に高い関税をかけていた。バーボンなど非課税製品への課税以外に、オレンジジュースなどすでに高税率の製品まで税率を引き上げたがっている。そのうえ食品の品質や安全基準など非関税障壁も厳しい。これで自由貿易だろうか。
The European Union Started This Trade War - Foundation for Economic Education
移民問題の解決法
移民問題の解決法
移民政策(immigration policy)を改善する一つの方法は自由貿易。貿易ができれば、人々は外国の資本、製品、サービス、経営ノウハウを自国にいたまま利用できる。わざわざ母国の家族や文化から遠く離れ、慣れない外国で暮らさずに済む。保護主義で物の流入を妨げれば、代わりに人が入ってくるのだ。
4 Ways to Improve Immigration Policy — Without Growing Government | Mises Wire
難民にプログラミング技術を
プログラミングを教えることは、最も価値ある贈り物の一つだ。人が誰かの助けになり、独立して生きることを可能にするのだから。オランダの難民キャンプでプログラミングを学んだ難民の多くは、再び独立した生き方を求めるようになった。
Gijs Corstens, Why We're Teaching Refugees How to Code (2017.5.27)
2つのグローバリズム
グローバリズムという言葉は二つの正反対の意味に使われている。一つは良い経済的グローバリズム(economic globalism)。政府の排除を意味し、技術革新と貿易の自由を促し、人々が自由に協力し合う。もう一つは悪い政治的グローバリズム(political globalism)。政府による支配、規則、中央計画、強制の拡大を意味する。
The Difference Between Good Globalism and Bad Globalism | Mises Wire
市場の「勝者」と「敗者」
自由貿易を行うなら、貿易で得をする「勝者(winners)」が、損をする「敗者(losers)」に補償せよという意見がある。その理屈だと、マクドナルドで食事をする人は地元の食堂に補償しなければならない。就職に成功し「勝者」となった女性は、職にあぶれた「敗者」の男女に補償しなければならない。
Should Those Who Gain from Women Entering the Workforce Compensate the 'Losers'? - Cafe Hayek
移民政策(immigration policy)を改善する一つの方法は自由貿易。貿易ができれば、人々は外国の資本、製品、サービス、経営ノウハウを自国にいたまま利用できる。わざわざ母国の家族や文化から遠く離れ、慣れない外国で暮らさずに済む。保護主義で物の流入を妨げれば、代わりに人が入ってくるのだ。
4 Ways to Improve Immigration Policy — Without Growing Government | Mises Wire
難民にプログラミング技術を
プログラミングを教えることは、最も価値ある贈り物の一つだ。人が誰かの助けになり、独立して生きることを可能にするのだから。オランダの難民キャンプでプログラミングを学んだ難民の多くは、再び独立した生き方を求めるようになった。
Gijs Corstens, Why We're Teaching Refugees How to Code (2017.5.27)
2つのグローバリズム
グローバリズムという言葉は二つの正反対の意味に使われている。一つは良い経済的グローバリズム(economic globalism)。政府の排除を意味し、技術革新と貿易の自由を促し、人々が自由に協力し合う。もう一つは悪い政治的グローバリズム(political globalism)。政府による支配、規則、中央計画、強制の拡大を意味する。
The Difference Between Good Globalism and Bad Globalism | Mises Wire
市場の「勝者」と「敗者」
自由貿易を行うなら、貿易で得をする「勝者(winners)」が、損をする「敗者(losers)」に補償せよという意見がある。その理屈だと、マクドナルドで食事をする人は地元の食堂に補償しなければならない。就職に成功し「勝者」となった女性は、職にあぶれた「敗者」の男女に補償しなければならない。
Should Those Who Gain from Women Entering the Workforce Compensate the 'Losers'? - Cafe Hayek
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