2023-01-21

新たな終わりなき戦争

ジャーナリスト、ジョセフ・ソリス=ミューレン
(2023年1月16日)

米国はウクライナ紛争について政策を変更し、ウクライナ政府が要求する限りの資金や武器を提供するのではなく、交渉に入る働きかけを始めるのかと尋ねられるたびに、バイデン政権は一貫して「今やっていることを必要なだけ続けるつもりだ」と繰り返してきた。
何に必要なだけか。

ウクライナがロシアとの戦争に「勝利」し、2014年以降にロシアに占領・併合されたすべての土地を取り返すのに必要なだけだ。

これが可能かどうかは明らかではないし、そのような最大主義的な結果を追求することが米国の国益にかなうかどうかはもっと明らかではないが、ジョー・バイデン大統領とその政権関係者は、米政権が戦争を終わらせることができるという考えに対し絶えずとぼけている。あるいは、終戦の決定はウクライナだけではできないとか、バイデン政権はその決定に何ら影響を及ぼすことができないし及ぼすべきでもないとかいう指摘に対し、不快感を装っている。——結局、戦争に関する公約を掲げるゼレンスキー氏を選出したのはウクライナ人だったのだ。

もちろん、ゼレンスキー氏が掲げたのは平和の公約だったことを除けばの話だが。

今や公然と認められているように、ゼレンスキー大統領がウクライナ東部の超国家主義者らを中央政府に服従させ、ウクライナ、ロシア、フランス、ドイツの四カ国政府が交渉したミンスク合意を履行するため、「シュタインマイヤー方式」(ウクライナによるドンバス地方の特別地位の承認と欧州監視下のドンバスでの完全選挙を前提とする)に基づく選挙に同意させようとした際、米トランプ政権はゼレンスキーを支援するのでなく、肩をすくめ、「失せろ」と言ったのである。ゼレンスキー氏に「地獄に落ちろ」と言った最前線の超国家主義者は、米政府が2014年から協力し、2017年から重火器で武装させている連中である。

誰も驚かなかったように、すべての武器がウクライナに届いているわけではないし、それどころか資金もあまり届いていない。状況は受け入れがたくなっており、ワシントン・ポスト紙は、ウクライナのために計上されたすべての新しい予算が急いで可決されることをまだ支持しているものの、ウクライナに届かない武器と資金がどこに行くのかをあえて公然と質問している。CBSテレビはウクライナ支援策に批判的なドキュメンタリー番組を制作したが、圧力によってすぐに一部撤回した。企業メディアに言わせれば、政策批判は「大問題」なのだ。

米国防総省はこうした正当な反対意見に応え、支援を止めたり遅らせたりするのではなく、10月に米軍をウクライナに派遣し、監督することにした。

え、何だって?

しかし死者が出て膠着状態が続く間、米国人はこれがすべて計画の一部であることを心に留めておくべきだ。他人を殺すことで、米政府はロシアを弱め、中国を威嚇することができる。少なくとも政府はこの計画がうまくいっていると考えている。たしかなことを言うのは難しい。ロシアは長い目で経済的・技術的に弱体化するだろうし、誰も米財務省の逆鱗に触れることを好まない。しかし明らかにロシアと中国を接近させるように思える。これも計画の一部だったのだろうか。もしそうなら、それは良い計画だったのだろうか。

前からわかっていたこと、つまり先進国中、最も腐敗した国の一つである、地球の裏側にあるブラックホール〔=ウクライナ〕に武器を流すのは悪い考えだということをようやく認めた以外、いわゆる第四勢力(言論界)は実にひどい失敗をしてきた。ウォールストリート・ジャーナル紙やワシントン・ポスト紙が掲載しているのは、裸の戦争ポルノだ。北大西洋条約機構(NATO)がオデッサを封鎖するロシア船を爆破する夢や、中国に対し優位に立って台湾海峡を軍事化、いや、一段と軍事化して、アンクル・サム〔米国〕が脅かされることはないと中国に示す夢などである。

だって、キューバ・ミサイル危機はそうやって〔ソ連に対するこわもての強硬策で〕、世界を吹き飛ばさずに解決したんだから。


それから、その名に全然ふさわしくない「シンクタンク」だ。たいてい、外国のお金と、ロッキード・マーチン社やノースラップ・グラマン社〔いずれも大手兵器メーカー〕のような利害関係のない第三者からの親切な寄付の組み合わせで資金を供給されており、そのすべてがまったく、明らかに合法的である。ミュンヘン会談〔ナチスの東欧侵略を容認する宥和政策が第二次世界大戦への道を開いたと批判される〕の二の舞になる危険や、米国の安全保障の信頼性を維持する必要について息を切らして叫ぶとき、利益相反を表明する必要はない。たとえその安全保障が、以前は考えが浅く、あいまいで、現在の状況の変化に照らして明らかに不適切であってもだ。

たとえトム・コットン上院議員(共和党、アーカンソー州)が、七十年前にまったく異なる状況下で立案された安全保障政策に疑問を呈するべきでないと考えていたとしても、それは賢明な判断であると思われる。

この戦争は何のためなのか。ウクライナが参加する資格もなければ、強化もされない、すでに半分以上大きくなりすぎていて、もう米国の利益に具体的に貢献することさえない安全保障同盟のためか。それとも民主主義のためか。欧州の片隅の最も腐敗した国の一つで、ロシア並みの評価しかない国で民主主義が失われれば、世界中の民主主義が危機にさらされるのだろうか。

一か八か、やってみよう。

新たな終わりなき戦争に「ノー」と言おう。終わりなき対テロ戦争は、数兆ドルの追加費用と数千人の(米国人の)命を静かに費やしながら、放置されたままくすぶり、視界から安全に消えていく可能性がある。対テロ戦争は、NATOとロシアの間で起こりうる直接交戦の本質的な危険に近づくことはなかった。その影響は、世界中の多くの人々の飢餓と貧困をもたらすものでもなかった。

対テロ戦争はもう十分長く続いている。

間違いがあったのは事実だが、それは仕方がない。誰もそれを認めようとしない。予測可能なことではあったが、それももうほとんど重要ではない。

重要なのは、多極化が事実であること(フォーリン・アフェアーズ誌へのショルツ独首相の寄稿を参照)と、米国自身のお粗末な行為が何よりも「自由なルールに基づく国際秩序」を損なったこと(過去三十年間の相次ぐ侵略を参照)である。米政府が事実に抵抗する能力は、事実をでっち上げる能力と同じくらい伝説的だが、米国民が自分たちの政府を抑制できる時間と希望はまだ残っている。大多数の人々はまだ地図でウクライナを見つけることができないし、白紙委任が良い政策でないことを知っているし、ウクライナが勝利するとは思っていない。

新しい道を切り開くのに必要な勇気と展望を備えた米国の政治的リーダーシップの見通しは暗いかもしれないが、だからといって現在の政策に反対する人たちが反対の声を上げるのを止めるべきでない。

それどころではない。

米国防総省がウクライナによるロシア内奥への攻撃を「黙認」しているという英タイムズ紙の報道が明らかにしているように、現在の交戦国間の不安定な均衡は突然崩れ、恐ろしい結末を迎える可能性がある。

ロシアとNATOの戦争に進展し、人類の文明が滅亡する可能性を除けば、この戦争を終わらせる唯一の方法は、交渉による解決だ。銃ではなく、ペンによる領土分割が望ましい。

ロシアのウクライナ侵攻によって明らかになったことが他にあるとすれば、欧州の他地域には何の危険もないことだ。20世紀最大の大量殺人者であるスターリンや毛沢東と取引ができ、スハルト、ソモサ、モブツ、李承晩〔それぞれインドネシア、ニカラグア、ザイール、韓国の独裁者〕など抑圧的な独裁政権に直接支援ができるなら、ロシアの現支配者ともきっと取引できるに違いない。

(次を全訳)
Just Say No to the New Forever War | Mises Wire [LINK]

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